ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

RSS

西表石垣国立公園 石垣

132件の記事があります。

2022年05月06日サンゴ群集モニタリング調査のための事前準備 【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 江川博子

みなさん、こんにちは。石垣自然保護官事務所の江川です。ゴールデンウィークが始まり、本州では夏に向けて気温がだんだんと暖かくなっている頃かと思います。こちら石垣島では晴れた日は夏のような陽気ですが、そろそろ梅雨に入る時期です。

さて、ゴールデンウィークが過ぎた頃に、八重山に生息するサンゴにとっての一大イベントがあります! みなさんは知っていますか?

その年によって前後しますが、夏の満月を迎える夜にサンゴの一斉産卵が行われます。ピンク色をした「バンドル」という卵と精子の入ったカプセルを海へ無数に放出するのが、サンゴの産卵と言われるものです。放出されたバンドルは海の中ではじけて、卵と精子が結びつきサンゴの赤ちゃんが成長していきます。そのサンゴの赤ちゃんは、はじめのうちは海を漂っていますが、良い環境を見つけると海底にくっつきその場で一生を暮らすことになります。

環境省の国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターでは毎年、サンゴのモニタリング調査を行なっています。モニタリング調査では、1.サンゴが海底をどのぐらい覆っているか、2.サンゴの赤ちゃんがどのぐらい新しく定着して順調に成長しているか、3.水温の変化によって白化現象を起こしているサンゴがどのぐらいいるか、4.サンゴの産卵が行われ、どのぐらいの量の赤ちゃんがその海域に流れてきたのか...... その他、病気や捕食などによってサンゴが弱っていないかなど様々な項目を調べて、その年のサンゴの様子を記録しています。

今回わたしは、上に挙げた4.サンゴの産卵が行われ、どのぐらいの量の赤ちゃんがその海域に流れてきたのかについて調査するための準備作業に同行してきました。サンゴの産卵がはじまる前の4月下旬に「定着板」と呼ばれる取り外し可能な小さな板を海底に設置する作業をします。その後、サンゴの赤ちゃんが板に定着する9月頃に定着板を回収して赤ちゃんの数を調べます。

定着板を設置する様子

▲ ブロックの上に設置されている四角い板が「定着板」です。波の力で持っていかれないように重いブロックやロープを使ってしっかりと固定しています。

モニタリングの調査地点は毎年同じ場所で行われます。下の地図で示していますが、西表島と石垣島をはさむ広い海域の中の31地点が調査地点です。この海域は日本最大である「石西礁湖」と呼ばれるサンゴ礁が広がっています。

潜水地点

▲ モニタリング調査地点(赤丸部分は今回潜水作業を行なった地点)

なぜこの石西礁湖を毎年モニタリング調査しているかというと、1998年頃から高水温が原因とされる大規模白化現象が数年ごとに繰り返され、死滅してしまったサンゴが多く、昔と比べるとサンゴの数が激減しているからです。今回わたしが、同行して潜った海域は地図の中の丸印をした部分で、石垣島の南側や竹富島の南側にあたる4地点です。

最近では2016年に大規模白化が起こり、石西礁湖周辺でサンゴが大きなダメージを受けました。そこから5、6年経って生き残ったサンゴが産卵し、そこから新しいサンゴが成長して少しずつ回復しているのですが、場所によっては回復が遅いところもあります。(回復しつつある海域の様子は「オニヒトデ調査」の記事でご紹介しています。)

今回潜った4地点はモニタリングの結果から回復が遅いと言われている海域です。現在の海の様子を今回撮影した写真でご紹介します。まずは、比較的回復の兆しがみられる海域です。

海の様子

  • ▲ 一見岩場のようにも見えますが、よく見てみると手のひらサイズの若いサンゴが点々とありました。

    近くで見てみるとこんな感じです。

  • 若いサンゴ
  • ▲ 2、3才ほどの若いサンゴ。直径10センチほどです。

    続いて砂地が広がる海域です。かつてはサンゴが多く生育していたようですが、度重なる大規模白化現象が起こった結果、今は海藻の方が目立ちます。

  • 海藻が育つ砂地
  • ▲ 水深が浅く日当たりが良いので海藻がよく育っています。

    この海域にも所々に若いサンゴを見つけることができました。

  • 海藻にまみれて育つサンゴ
  • ▲ サンゴも海藻も光を浴びて成長します。海藻の方が伸びるのが早くサンゴの場所が日陰になってしまっているところもありました。

    また別の海域でも、海藻が目立っていました。

  • ▲ 岩の形から昔テーブルサンゴが広がっていたと思われる場所に小さなサンゴ(黄色印)が見れますが、こちらも茶色い海藻(ラッパモク)がよく育っています。

このように少しずつではありますが、新しく定着するようになった若いサンゴをそれぞれの海域で確認することができました。海藻が目立つ場所ではサンゴの生育が心配ですが、今後も見守って行きたいと思います。

2022年のサンゴの産卵時期は5月の中旬頃と予想されています。今年はどれぐらいのサンゴの赤ちゃんが新たに加入してくるのか調査結果が楽しみです。

ページ先頭へ↑

2022年04月28日小浜島の巡視【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 田村彰帆

アクティブレンジャー日記をご覧の皆様、こんにちは。

石垣自然保護官事務所の田村彰帆です。

西表石垣国立公園の巡視を小浜島にて行いました。

小浜島は八重山のほぼ中央に位置し、島全域が国立公園に指定されています。

赤瓦の民家が残る集落やサトウキビ畑、マングローブ群落などの多彩な風景が凝縮され、沖縄らしさをゆったりと満喫できます。

▲一面に広がるマングローブ群落(石長田海岸)

島の最高地点、標高99mの大岳(うふだき)は国立公園内の第2種特別地域です。

急な角度の階段が多くありますが10分ほどで頂上にたどり着くことができます。

頂上からはサトウキビ畑が広がる島の風景が見渡せ、竹富島や新城島や黒島、天気の良い日は波照間島も望めます。

▲大岳から石垣島を撮影

大岳の隣にある西大岳(いりうふだき)も国立公園内の第2種特別地域です。

大岳よりも気軽に5分ほどで登山することができます。

頂上からは美しい海と大岳を望むことができ、2001年度に放映された朝の連続ドラマ「ちゅらさん」の石碑が設置されています。

巡視を行った日も多くの観光客が訪れていました。

▲西大岳の展望台にある「ちゅらさんの碑」

国立公園は、日本を代表する優れた自然の風景地を守り、将来へと受け継いでいくための場所です。しかし、自然を守るだけでなく、その地域ならではの多様な自然とふれあい、その自然を活かしたアクティビティを楽しみ、そこで暮らす人々の独自の文化や歴史を知るなど、さまざまな体験や発見ができる場所でもあります。

ぜひ、お近くの国立公園にも足を運んでみてください。

国立公園に、行ってみよう!

https://www.env.go.jp/nature/nationalparks/

ページ先頭へ↑

2022年03月31日石垣島最北端の海岸清掃【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 田村彰帆

アクティブレンジャー日記をご覧の皆様、こんにちは。

石垣自然保護官事務所の田村彰帆です。

西表石垣国立公園特別地域に指定されている石垣島最北端の平久保にある平野海岸において、地元のボランティア団体「海Loveネットワーク」の海岸清掃に参加してきました。参加者は110名でした。

海岸にはたくさんのゴミがあります。その多くは、私たちが普段の生活で使用していたペットボトルや空き缶、レジ袋、使い捨てプラスチックなどの家庭ゴミが捨てられ、河川などを通じて海へ流れ込み、海岸に流れ着いた「漂着ゴミ」です。

▲レクチャーを受ける様子

一見何もないようにみえる海岸でも海岸林の下には果てしなく広がるゴミがいくつも散乱していました。植物の根やツルに絡まったゴミを解きながら拾うのは大変です。

▲海岸清掃の様子

ゴミを拾うのがゴールではなく、分別まで行うのが海岸清掃です。分別にはゴミを拾う以上に時間と労力が必要です。海岸清掃の分別は地域ごとにルールが異なるのでレクチャーを受けました。

ただ、種類ごとに分ければ良いのではないのです。例えばペットボトルの分別の際には、中身のないものと中身が入っているものに分けなければなりません。中身が入っている物は海岸清掃をする人の安全性を考えてフタを開け中身を出さなくても良いことになっています。水やお茶なら問題はないかも知れませんが、タバコが詰め込まれたものや、危険な液体の可能性があるからです。

▲分別のレクチャーの様子

また、発泡スチロールを小さくするために折ると細かく崩れ、マイクロプラスチックとなります。小さなゴミも増やさないよう袋の中で小さくするなどの工夫も大事です。

▲分別作業の様子

▲回収した海岸ゴミ

今回は1時間という短い時間の中で行いましたが、1つ1つを拾うのは果てしなく、全て回収することは叶いませんでした。

それでも、集めたこのゴミが海岸に広がっていたと考えると恐ろしく感じます。

○燃やせないゴミ58袋

○ペットボトル138袋(約6800本)

○発砲スチロール74袋、(特大)72個

○漁具36袋、(かたまり)約30㎏

...まだまだありますが代表的なゴミを記載しました。

海岸清掃活動は、海岸のゴミをなくすには何ができるのか、考えるきっかけになります。

こうした美化清掃活動を続けていくことや、普段の生活でゴミなるべく出さないようにするなどの意識や行動が大切です。

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律が令和4年4月1日に始まります。

プラスチックは「えらんで」「減らして」「リサイクル」!

https://plastic-circulation.env.go.jp/#rd

プラスチック・スマートの取組

http://plastics-smart.env.go.jp/

ページ先頭へ↑

2022年01月31日冬に開花する桜・カンヒザクラ【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 江川博子

みなさん、こんにちは。石垣自然保護官事務所の江川です。暖かいイメージの強い石垣島にも冬の季節が訪れます。1月は曇り空の日も多く、北風が強く吹き、雨が降って急に気温が下がることもあり、半袖では肌寒い時期です。海に入るのが少々辛いですが、山登りをして軽く汗をかくのには最適な気温です。

今回は、石垣島の山で見られる冬ならではの植物を紹介していきたいと思います。

1月15日のパークボランティア活動で、石垣島の自然に関する知識を身につけることを目的として、荒川のカンヒザクラ自生地周辺の観察会を行いました。荒川のカンヒザクラは、国の特別天然記念物として指定されています。石垣島でカンヒザクラを観察できる場所は多くありますが、自然の中で咲いている様子が見られるのは県内でも唯一ここだけです。米原海岸近くにある桴海於茂登岳のふもとに位置します。

満開は例年2月中旬ごろとのことですが、カンヒザクラの自生地までのルートを知り満開の時期まで何度か楽しめるように一足早い時期に観察会を開催しました。

まず、散策の途中に観察した植物を少し紹介します。

地表に目を凝らしてみると、キノコのような不思議な姿の植物がありました。

リュウキュウツチトリモチ

▲リュウキュウツチトリモチ

12-1月に地表に花茎が現れる。琉球諸島、東南アジア、オセアニア等に分布。キノコのような姿をしているが、特定の植物の根茎に寄生する多年草。沖縄本島でも見られるが八重山諸島のものは赤みがかっている。

また、リュウキュウチクが生い茂るところをかき分けてみると紫色の斑点模様のきれいな花が咲いていました。

シマアケボノソウ

▲シマアケボノソウ

1-3月が開花期。八重山諸島に分布。

そして、今回の目的のカンヒザクラはちょうど開花が始まっていて、わずかでしたが濃いピンク色をした花を観察することができました。

カンヒザクラ

▲カンヒザクラ

1月下旬-2月が開花期。台湾、中国南部に分布。市街地に植樹されているが、日本で自生地があるのは石垣島のみ。

また、上から見下ろすとこのような感じです。

カンヒザクラ2

まばらでしたが、ヒカゲヘゴなどの亜熱帯植物の緑にピンクが映えていました。満開になると山肌がピンク色になり、美しいそうです。

カンヒザクラ自生地標識

▲カンヒザクラ自生地の標識

今回の観察会ではこの他にもツワブキやセンリョウ、ムラサキシキブなど冬季に色鮮やかな花や実をつける植物を観察することができました。

蔓延防止措置が取られるなどして観察会の参加者はそれほど多くありませんでしたが、小雨が降りながらも途中晴れ間も見られ、荒川上流から流れる滝を見ながらのんびりと休憩もでき、みなさん楽しんでいる様子でした。

ページ先頭へ↑

2021年11月12日オニヒトデ調査【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 江川博子

みなさんこんにちは。石垣自然保護官事務所の江川です。11月の石垣島は曇空が多く半袖では肌寒さを感じる日が多くなってきました。一方、海水温は27℃と海に入れば比較的温かい季節です。

さて、みなさんはオニヒトデとサンゴの関係をご存知ですか?

オニヒトデは造礁サンゴ類を好んで食べる30㎝ほどの大型のヒトデです。特に成長が早い種類のサンゴを好む傾向があるという報告もあり、適度に捕食する分にはサンゴ礁の多様性を維持するのに貢献しているとも言われています。しかし、時折大量発生を起こし、3ヶ月から半年ほどでサンゴを食べつくしてしまうことがあるようです。

2001年より石垣自然保護官事務所では、毎年石西礁湖と石垣島周辺のいくつかの海域においてオニヒトデの発生調査と駆除を行っています。今回はオニヒトデの調査に同行したときの様子をご紹介していきます。

オニヒトデの潜水調査

近年の話でいえば八重山では2008年から2014年にかけてオニヒトデが大量発生しました。さらに、2016年には高水温が原因とされる大規模白化が起こり、八重山全体でサンゴが減少する要因が重なりました。

今回私が同行した調査は、石垣島ではナンヨウマンタが見られることで有名な川平湾近くの底地(すくじ)沖で行われました。この海域は、例年比較的オニヒトデが見られる場所であり、2016年の大規模白化でサンゴがかなり減少してしまったというポイントです。

そして、実際に潜ったときの海の様子はこちら。

すくじ沖のサンゴ礁

調査員さんいわく被度が90%以上で、見渡す限り一面にテーブルサンゴが広がっていました。2016年以降、石垣島周辺の海の様子を見続けてきた調査員さんによると、ここ5年でかなり回復してきた場所であるとのこと。白化して死んでしまっても、産卵する親サンゴが生き残り、産卵により生まれたサンゴの幼生が順調に成長するとこのような状態になるようです。特にここ12年でのサンゴの成長スピードは早かったそうです。

さて、オニヒトデの食痕を探していきます。サンゴ礁全体を見渡してサンゴが白くなっている部分を見つけたら、近づいて観察します。オニヒトデの食痕の可能性があるのがこちらです。

オニヒトデの食痕

▲丸く白くなっているところがオニヒトデの食痕と思われます。

オニヒトデの食痕その2

▲白くなったサンゴが何か所かまとまって見られると、近くにオニヒトデがいる可能性が高いそうです。

夜行性であるオニヒトデは昼間は岩陰に隠れているので、ライトを使って食痕が見られた周辺を探します。

岩陰に潜むオニヒトデを探す調査員

一方、こちらはシロレイシガイダマシ類の食痕と思われるもの。

レイシガイの食痕

オニヒトデの食痕との違いは、サンゴの一部が白くなっているということ。シロレイシガイダマシは2~4cmほどの貝の仲間で食べる範囲はそれほど広くありません。オニヒトデの場合は、体から胃袋を出して消化するので円形に広範囲に白くなるのが特徴です。

また、こちらはブダイなどの魚がかじった跡です。

ブダイのかじったあと

サンゴのでこぼこが削りとられています。ブダイはオウムのくちばしのような固い歯をもっていて、サンゴの骨格をかじりとることができます。

残念ながら(?)私は水中では、オニヒトデを見つけることができませんでしたが、調査員さんのひとりが1匹捕獲して上がってきました。27cmほどの大きさでした。

捕獲されたオニヒトデ

実は、この個体が今年度の調査ではじめて捕獲されたものです。近年オニヒトデは収束傾向にあるようですが、予定していた海域の調査をほとんど終えた時点で、今年はオニヒトデの気配がさほど感じられないということです。

オニヒトデの生態については解明されていないことが多く、爆発的に数を増やすメカニズムがはっきりとわかっていません。オニヒトデの大発生によりサンゴが食べ尽くされてしまうことを防ぐには、多くの人の目が必要となります。

八重山の海に潜った際に、オニヒトデと思われる食痕が多数あった、オニヒトデを多く目撃した等の情報がありましたら、下記までぜひご連絡ください。

【国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター】

HP: http://kyushu.env.go.jp/okinawa/coremoc/index.html

住所:沖縄県石垣市八島町2−27  電話:0980-82-4902

mail:coremoc(a)sirius.ocn.ne.jp ※(a)を@に変えて送信ください。

ページ先頭へ↑

2021年10月27日インターン生がやってきました【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 江川博子

みなさんこんにちは。石垣自然保護官事務所の江川です。

10月に入り、長らく出ていた緊急事態宣言がやっと解除になりました。

宣言下の5月中旬から9月の末までは当事務所の施設、国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターは閉館していました。その間は遠足などでの施設見学やインターンシップの受け入れを中止していましたが、再開できるようになりました。

10月初旬に早速、九州大学よりインターン生がやってきて、10日間の研修を終えました。今回はインターン研修の様子をご紹介していきます。

▲国立公園巡視中のインターン生

久しぶりのインターン生ということもあってか、とても充実した研修となっていました。

ここで、石垣自然保護官事務所で行っている業務について簡単にご紹介します。

  • ・国立公園の巡視

    ・希少種の保全(希少種の救護、パトロール等)

    ・外来種対策

    ・ビジターセンターの管理(当事務所で管理しているのは、竹富島と黒島にある施設)

    ・サンゴの自然再生事業

    ・ウミガメの繁殖地となる砂浜保全のための海岸清掃

    ・普及啓発活動(子どもパークレンジャー事業等)

    ・イベントの開催や施設内での企画展    ...など

研修に関わっていたのは、この中でほとんどではないかというほど多くの現場を経験されていました。

インターン生は生き物の中でとりわけ鳥とトカゲが好きなのだそうです。幸運にも研修期間中に、1週間ほど前にケガにより保護されていたカンムリワシが回復し、放鳥の場面に立ち会うことができました。カンムリワシは石垣島、西表島にしかいない希少種で交通事故による傷害や死亡が問題になっており、救護活動を行っています。

また、10月は昆虫採集がさかんなシーズンのため、地元の方々と協力しながら希少種の出現調査と利用者に対しての普及啓発を行う夜間の希少種パトロールを定期的に行っていますが、こちらにも参加。積極的に参加しつつ、夜に生き生きと活発に動くハブやコウモリに出会うことができ、ナイトサファリのようだと楽しんでいる様子でした。

マングローブ林と干潟が特徴的な名蔵アンパルでは、カヌーに乗って外来植物であるナガエツルノゲイトウの現地確認を行いました。残念なことに、新たに繁茂している場所が確認されたようです。インターン生も現場での緊迫した雰囲気を肌で感じているようでしたが、今後早急な駆除対策が必要となります。

国立公園の巡視として、石垣島島内、離島の黒島にも行きました。石垣島島内だけでもマングローブ林や山頂、海岸など景観が美しい場所が様々あります。中でも川平湾の景色に感激している様子でした。インドネシアからの留学生で故郷にも似た観光地があり、それを思い出したそうです。(秘境のため実際に足を運んだことはないようなのですが、観光ガイドブックなどでよく目にするようです。)

その他、研修期間中に開催された北部地域の地元の子どもたちを対象とした自然にふれあう活動や、現在開催されている特別展示「外来カエル展」の設営などにもお手伝いいただきました。様々なタイミングが重なり充実した内容となりました。

私が印象に残っているのは、最後に行われた実習のふりかえりの発表会です。

10日間というわずかな期間で様々な現場に行き、目にしたことを自分なりに消化し、自然保護のために自分には何ができるのかを熱心に考えていることが伝わってきました。


▲発表会の様子。所内全員で参加しました。

<環境省インターンシップ制度>

インターンシップ制度について詳しくお知りになりたい方は以下のページをご参照ください。

http://www.env.go.jp/info/internship/

問い合わせ先:環境省大臣官房秘書課

(連絡先電話番号:環境省代表3581-3351)

ページ先頭へ↑

2021年09月28日サバニで向かうサンゴ礁スノーケリング【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 江川博子

こんにちは。石垣自然保護官事務所の江川です。

秋分が過ぎ朝晩が涼しくなりましたが、天気の良い日はまだ夏のように日差しが強いです。

さて、石垣島最北端に位置する平久保崎灯台からの眺めは絶景で、観光スポットとしても人気があります。私も天気の良い休日に景色を眺めによくドライブに行きます。

平久保埼灯台

特に海の色がコバルトブルーとエメラルドグリーンが入り混じりとてもきれいなので、私は一度その海に入って海中の様子を確かめてみたいと思っていましたが、業務でその機会に恵まれました。

平久保には沖縄伝統の漁船であるサバニの造船場があり、昔ながらの木製の船で風力とエークという木製の櫂(かい)を漕いでサンゴのキレイなポイントに行き、スノーケリングをするツアーを行なっています。

今回は、子どもパークレンジャー事業で、石垣島の北部地域にすむ子どもたちを対象にスノーケリングツアーを行った時の様子をご紹介します。子どもパークレンジャー事業では、地元の子どもたちに自然体験を通して、自然の豊かさを学び、環境を大切にする気持ちを育むことを目的として活動を行なっています。

サバニは帆で風を受けながら進むので、風向きが重要。数日前から台風16号が発生し、天候が心配でしたが、参加者は13名で無事に決行することができました。まずは砂浜から乗船です。

船頭さんは、船の後ろに乗って帆の向きを操縦します。船の前方に乗っている人たちでエークを漕ぎます。良い風が吹いていたので、すいすいと進みました。

サバニ

スノーケリングポイントに到着し、アンカーを降ろし、帆をたたんで船を留め、30分ほどサンゴ礁の海を楽しみました。

海中をのぞくと、テーブルサンゴやエダサンゴがびっしり!

平久保サンゴ

水面を浮かんでいるだけでも、楽しめます。

中には、素潜りに挑戦する子も。

スノーケリングを楽しんだ後は、再びサバニに乗って戻ります。

サバニにはモーターがついていないので、とても静かでスピードも穏やか。

波の音や風の音がよく聞こえます。

また、帰る途中にはウミガメが呼吸をしに水面にやってくる姿も見ることができました。

ページ先頭へ↑

2021年09月21日サンゴのモニタリング調査【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 田村彰帆

アクティブレンジャー日記をご覧の皆さん、こんにちは。

石垣自然保護官事務所の田村彰帆です。

石垣自然保護官事務所では例年、西表島と石垣島の間にある日本一大きなサンゴ礁「石西礁湖(せきせいしょうこ)」にてサンゴのモニタリング調査を行っています。

いくつかある調査項目のうち、「一年生稚サンゴ加入量」の調査に同行したのでその様子を紹介します。

調査日は風も波もないべた凪で、湖の様な海でした。

▲調査中の海の様子

一年生稚サンゴ加入量とは、昨年生まれたサンゴが、幼生になって新しくサンゴ礁に加わり成長している数のことです。

20mm未満のサンゴを1~2齢と考え一年生と呼びます。

調査するサンゴは、調査地点ごとに加入した範囲や傾向が分かりやすいように、ミドリイシ属(放卵放精型)とハナヤサイサンゴ科(幼生保育型)の産卵の仕方が対照的な2種類のサンゴで行います。

ミドリイシ属のサンゴは、ほとんどが卵で放出された後、幼生で海を漂い、潮の流れに乗って広い範囲に分散します。一方、ハナヤサイサンゴ科のサンゴは、多くが親サンゴから幼生で放出され数時間でサンゴ礁に加わり、狭い範囲に分散します。

▲サンゴの産卵の仕方

調査では、50cm×50cm の枠を10か所に置き、目視で枠内に存在する1齢の稚サンゴ群体を探し、群体数を計測します。

稚サンゴの加入量を調べることで、前年と比べ、その調査地点のサンゴが回復するかが分かります。

▲一年生稚サンゴ加入量調査

サンゴ礁のモニタリング調査はほかにも、その年にどれだけサンゴが産卵したか、その年のサンゴの白化の傾向など、同じ場所の変化を追うことで、サンゴ礁の今、現状を知ることができます。

サンゴを守るには、知ることが大切です。

調査中、こんなものを発見しました。

潜水して確認してみると...サンゴに縄が絡まってしまっていました。

サンゴは生き物です。縄が絡まるとサンゴは成長できず、波や潮流などで縄が揺れ動き続けることで、サンゴが折れ、傷つきます。

サンゴが破壊されると、サンゴを住みかとする生物にも影響を与えてしまいます。

海洋のゴミは様々な場所から流れ出て、海面で漂流し、海岸に漂着、海底に残ってしまったものです。

海に流れ出るごみを減らす、海岸清掃活動など、サンゴを守るために自分ができることを考えてみることもサンゴの保全にはとても大切です。

八重山周辺の気になるサンゴの情報等がありましたら、

下記センターまで、是非お寄せ下さい。よろしくお願いします。

<環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター>

住所:沖縄県石垣市八島町2-27

TEL: 0980-82-4902 Mail:coremoc(a)sirius.ocn.ne.jp ※(a)を@に変えて送信下さい

http://kyushu.env.go.jp/okinawa/coremoc/index.html

ページ先頭へ↑

2021年08月17日石垣島で出会えるトカゲ【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 江川博子

こんにちは。石垣自然保護官事務所の江川です。

石垣島には7月の下旬に台風6号が通り過ぎ、私は初めて沖縄で迎える台風でしたが被害はそれほど大きくなく安心しました。8月に入りスコールも増えて、以前よりは涼しくなり過ごしやすくなっています。

今回は身近に出会える生き物、トカゲをご紹介したいと思います。

まずご紹介するのは木が多く日陰になっている場所で見かけるトカゲです。

こちらは米原にあるヤエヤマヤシ群落を巡視した際に撮った写真です。

サキシマキノボリトカゲ 

平日の昼間、観光客が少ないせいか、ウッドデッキに沢山のサキシマキノボリトカゲが出てきていました。

ずっと木に登っているのかと思いきや道路に飛び出してくることがあるので運転の際には注意が必要です。

同じくヤエヤマヤシ群落にて木の葉に乗っていた鮮やかなグリーンが目を引くのはサキシマカナヘビです。

サキシマカナヘビ

こちらはイシガキトカゲ。

イシガキトカゲ

一見、本州でよく見かけるニホントカゲに似ていますが、石垣島で出会えるのは、このイシガキトカゲです。成長しても15センチ程度で日本最小のトカゲです。幼体はしっぽが青くよく目立ちます。海岸近くでよく見かけ、天気のいい日は特に石垣島の強い日差しでしっぽの光沢がより目立ちます。

最後にご紹介するのは、トカゲの種類の中で日本最大のキシノウエトカゲ。心なしか顔に貫禄があります。最大全長40センチにまで成長するそうです。海岸近くの茂みでよく目にします。

キシノウエトカゲ

幼体の頃は、イシガキトカゲと同じくしっぽが青いため、背中の線で見分けるそうです。私はまだ見かけたことがないので、今度しっぽの青いトカゲを見た際にじっくり見てみたいと思います。

今回ご紹介したトカゲたちは、八重山諸島(種類によっては宮古諸島も含む)にしかいない日本固有種です。石垣島にお越しの際にはぜひ探してみてください。国立公園内のように自然の多い場所では出会える確率が高く、私は巡視のたびに遭遇しています。

こちらではよく目にするのでだんだんと身近な生き物の様に感じられますが、なかには希少なトカゲとして国内希少野生動植物種、天然記念物に指定されている種、石垣市の条例で捕獲が禁止されている種もありますので、出会った際にはじっくり観察するだけにとどめて下さいね。

ページ先頭へ↑

2021年08月03日サンゴの出前授業【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 田村彰帆

アクティブレンジャー日記をご覧の皆さん、こんにちは。

石垣自然保護官事務所の田村彰帆です。

石垣自然保護官事務所は、「国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター」の施設の中にあり、普及啓発として八重山の小中学校にサンゴ学習を行っています。

石垣島内にある富野小中学校より、「サンゴやサンゴの白化現象について知りたい」「自分たちに何かできることはないか」と、出前授業の依頼をいただきました。

今回、伺った学校は教室を挟んで見える景色が違い、石垣島の海と山に囲まれた素晴らしい学校でした。

 

▲教室から見える海と校庭側に見える山

まずはレンジャーからのお話がありました。

石垣島には日本一のサンゴ礁があること、その素晴らしい自然の中にあるこの学校で勉強できることを誇りに思って欲しいとのお話がありました。

▲レンジャーからのお話

そしてクイズを交えたスライドで「サンゴって何だろう?」をテーマにサンゴの基礎的な知識やサンゴと私たちとの関係性などを学びました!

▲サンゴについてどのくらい知っているかな?

ところでみなさん、「サンゴ」と「サンゴ礁」の2つの言葉の違いって知っていますか?

サンゴは生物で、サンゴ礁はサンゴや貝、ホシズナなどが作った地形です。サンゴは生きていますが、サンゴ礁は生物ではありません。

サンゴ礁が作る複雑な地形は、多様な生物に「食」と「住」を提供します。癒しや観光資源、天然の防波堤など私たち人間の生活にも多くの恵みをもたらしてくれています。

そのサンゴが今、地球温暖化や私たち人間生活の影響で激減しています。

「サンゴを守るためには、私たちに何ができるの?」

ビーチクリーンやゴミを出さないことも大事ですが、まずは、サンゴについて知ることが大切です。知ることは、何をすれば守れるのかを考えることにつながります。そして、サンゴって何だろう?なぜ大事なの?など、学んだことを友達や家族に伝えてみてください。

▲感謝のお手紙をいただきました!!!

素敵なお手紙をありがとうございます。サンゴを知って興味を持ったこと、好きになったことがジーンと伝わってきました。豊かな自然を次世代につなげていくためにも、「なぜ?」「どうして?」を大切にしてください。

当センターでは出前授業の他にも、施設見学や器材利用などの対応も行っております。今後ともこれまで以上に連携し合い、地域の皆様とともにサンゴ礁の価値や重要性、保全の必要性を伝えられるようにサンゴ学習を展開していく予定です。

<環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター>

住所:沖縄県石垣市八島町2-27

TEL: 0980-82-4902 Mail:coremoc@sirius.ocn.ne.jp

http://kyushu.env.go.jp/okinawa/coremoc/index.html

緊急事態宣言中は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、サンゴ礁研究・モニタリングセンターは臨時休館しています。

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ