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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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西表石垣国立公園 石垣

127件の記事があります。

2021年10月27日インターン生がやってきました【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 江川博子

みなさんこんにちは。石垣自然保護官事務所の江川です。

10月に入り、長らく出ていた緊急事態宣言がやっと解除になりました。

宣言下の5月中旬から9月の末までは当事務所の施設、国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターは閉館していました。その間は遠足などでの施設見学やインターンシップの受け入れを中止していましたが、再開できるようになりました。

10月初旬に早速、九州大学よりインターン生がやってきて、10日間の研修を終えました。今回はインターン研修の様子をご紹介していきます。

▲国立公園巡視中のインターン生

久しぶりのインターン生ということもあってか、とても充実した研修となっていました。

ここで、石垣自然保護官事務所で行っている業務について簡単にご紹介します。

  • ・国立公園の巡視

    ・希少種の保全(希少種の救護、パトロール等)

    ・外来種対策

    ・ビジターセンターの管理(当事務所で管理しているのは、竹富島と黒島にある施設)

    ・サンゴの自然再生事業

    ・ウミガメの繁殖地となる砂浜保全のための海岸清掃

    ・普及啓発活動(子どもパークレンジャー事業等)

    ・イベントの開催や施設内での企画展    ...など

研修に関わっていたのは、この中でほとんどではないかというほど多くの現場を経験されていました。

インターン生は生き物の中でとりわけ鳥とトカゲが好きなのだそうです。幸運にも研修期間中に、1週間ほど前にケガにより保護されていたカンムリワシが回復し、放鳥の場面に立ち会うことができました。カンムリワシは石垣島、西表島にしかいない希少種で交通事故による傷害や死亡が問題になっており、救護活動を行っています。

また、10月は昆虫採集がさかんなシーズンのため、地元の方々と協力しながら希少種の出現調査と利用者に対しての普及啓発を行う夜間の希少種パトロールを定期的に行っていますが、こちらにも参加。積極的に参加しつつ、夜に生き生きと活発に動くハブやコウモリに出会うことができ、ナイトサファリのようだと楽しんでいる様子でした。

マングローブ林と干潟が特徴的な名蔵アンパルでは、カヌーに乗って外来植物であるナガエツルノゲイトウの現地確認を行いました。残念なことに、新たに繁茂している場所が確認されたようです。インターン生も現場での緊迫した雰囲気を肌で感じているようでしたが、今後早急な駆除対策が必要となります。

国立公園の巡視として、石垣島島内、離島の黒島にも行きました。石垣島島内だけでもマングローブ林や山頂、海岸など景観が美しい場所が様々あります。中でも川平湾の景色に感激している様子でした。インドネシアからの留学生で故郷にも似た観光地があり、それを思い出したそうです。(秘境のため実際に足を運んだことはないようなのですが、観光ガイドブックなどでよく目にするようです。)

その他、研修期間中に開催された北部地域の地元の子どもたちを対象とした自然にふれあう活動や、現在開催されている特別展示「外来カエル展」の設営などにもお手伝いいただきました。様々なタイミングが重なり充実した内容となりました。

私が印象に残っているのは、最後に行われた実習のふりかえりの発表会です。

10日間というわずかな期間で様々な現場に行き、目にしたことを自分なりに消化し、自然保護のために自分には何ができるのかを熱心に考えていることが伝わってきました。


▲発表会の様子。所内全員で参加しました。

<環境省インターンシップ制度>

インターンシップ制度について詳しくお知りになりたい方は以下のページをご参照ください。

http://www.env.go.jp/info/internship/

問い合わせ先:環境省大臣官房秘書課

(連絡先電話番号:環境省代表3581-3351)

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2021年09月28日サバニで向かうサンゴ礁スノーケリング【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 江川博子

こんにちは。石垣自然保護官事務所の江川です。

秋分が過ぎ朝晩が涼しくなりましたが、天気の良い日はまだ夏のように日差しが強いです。

さて、石垣島最北端に位置する平久保崎灯台からの眺めは絶景で、観光スポットとしても人気があります。私も天気の良い休日に景色を眺めによくドライブに行きます。

平久保埼灯台

特に海の色がコバルトブルーとエメラルドグリーンが入り混じりとてもきれいなので、私は一度その海に入って海中の様子を確かめてみたいと思っていましたが、業務でその機会に恵まれました。

平久保には沖縄伝統の漁船であるサバニの造船場があり、昔ながらの木製の船で風力とエークという木製の櫂(かい)を漕いでサンゴのキレイなポイントに行き、スノーケリングをするツアーを行なっています。

今回は、子どもパークレンジャー事業で、石垣島の北部地域にすむ子どもたちを対象にスノーケリングツアーを行った時の様子をご紹介します。子どもパークレンジャー事業では、地元の子どもたちに自然体験を通して、自然の豊かさを学び、環境を大切にする気持ちを育むことを目的として活動を行なっています。

サバニは帆で風を受けながら進むので、風向きが重要。数日前から台風16号が発生し、天候が心配でしたが、参加者は13名で無事に決行することができました。まずは砂浜から乗船です。

船頭さんは、船の後ろに乗って帆の向きを操縦します。船の前方に乗っている人たちでエークを漕ぎます。良い風が吹いていたので、すいすいと進みました。

サバニ

スノーケリングポイントに到着し、アンカーを降ろし、帆をたたんで船を留め、30分ほどサンゴ礁の海を楽しみました。

海中をのぞくと、テーブルサンゴやエダサンゴがびっしり!

平久保サンゴ

水面を浮かんでいるだけでも、楽しめます。

中には、素潜りに挑戦する子も。

スノーケリングを楽しんだ後は、再びサバニに乗って戻ります。

サバニにはモーターがついていないので、とても静かでスピードも穏やか。

波の音や風の音がよく聞こえます。

また、帰る途中にはウミガメが呼吸をしに水面にやってくる姿も見ることができました。

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2021年09月21日サンゴのモニタリング調査【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 田村彰帆

アクティブレンジャー日記をご覧の皆さん、こんにちは。

石垣自然保護官事務所の田村彰帆です。

石垣自然保護官事務所では例年、西表島と石垣島の間にある日本一大きなサンゴ礁「石西礁湖(せきせいしょうこ)」にてサンゴのモニタリング調査を行っています。

いくつかある調査項目のうち、「一年生稚サンゴ加入量」の調査に同行したのでその様子を紹介します。

調査日は風も波もないべた凪で、湖の様な海でした。

▲調査中の海の様子

一年生稚サンゴ加入量とは、昨年生まれたサンゴが、幼生になって新しくサンゴ礁に加わり成長している数のことです。

20mm未満のサンゴを1~2齢と考え一年生と呼びます。

調査するサンゴは、調査地点ごとに加入した範囲や傾向が分かりやすいように、ミドリイシ属(放卵放精型)とハナヤサイサンゴ科(幼生保育型)の産卵の仕方が対照的な2種類のサンゴで行います。

ミドリイシ属のサンゴは、ほとんどが卵で放出された後、幼生で海を漂い、潮の流れに乗って広い範囲に分散します。一方、ハナヤサイサンゴ科のサンゴは、多くが親サンゴから幼生で放出され数時間でサンゴ礁に加わり、狭い範囲に分散します。

▲サンゴの産卵の仕方

調査では、50cm×50cm の枠を10か所に置き、目視で枠内に存在する1齢の稚サンゴ群体を探し、群体数を計測します。

稚サンゴの加入量を調べることで、前年と比べ、その調査地点のサンゴが回復するかが分かります。

▲一年生稚サンゴ加入量調査

サンゴ礁のモニタリング調査はほかにも、その年にどれだけサンゴが産卵したか、その年のサンゴの白化の傾向など、同じ場所の変化を追うことで、サンゴ礁の今、現状を知ることができます。

サンゴを守るには、知ることが大切です。

調査中、こんなものを発見しました。

潜水して確認してみると...サンゴに縄が絡まってしまっていました。

サンゴは生き物です。縄が絡まるとサンゴは成長できず、波や潮流などで縄が揺れ動き続けることで、サンゴが折れ、傷つきます。

サンゴが破壊されると、サンゴを住みかとする生物にも影響を与えてしまいます。

海洋のゴミは様々な場所から流れ出て、海面で漂流し、海岸に漂着、海底に残ってしまったものです。

海に流れ出るごみを減らす、海岸清掃活動など、サンゴを守るために自分ができることを考えてみることもサンゴの保全にはとても大切です。

八重山周辺の気になるサンゴの情報等がありましたら、

下記センターまで、是非お寄せ下さい。よろしくお願いします。

<環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター>

住所:沖縄県石垣市八島町2-27

TEL: 0980-82-4902 Mail:coremoc(a)sirius.ocn.ne.jp ※(a)を@に変えて送信下さい

http://kyushu.env.go.jp/okinawa/coremoc/index.html

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2021年08月17日石垣島で出会えるトカゲ【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 江川博子

こんにちは。石垣自然保護官事務所の江川です。

石垣島には7月の下旬に台風6号が通り過ぎ、私は初めて沖縄で迎える台風でしたが被害はそれほど大きくなく安心しました。8月に入りスコールも増えて、以前よりは涼しくなり過ごしやすくなっています。

今回は身近に出会える生き物、トカゲをご紹介したいと思います。

まずご紹介するのは木が多く日陰になっている場所で見かけるトカゲです。

こちらは米原にあるヤエヤマヤシ群落を巡視した際に撮った写真です。

サキシマキノボリトカゲ 

平日の昼間、観光客が少ないせいか、ウッドデッキに沢山のサキシマキノボリトカゲが出てきていました。

ずっと木に登っているのかと思いきや道路に飛び出してくることがあるので運転の際には注意が必要です。

同じくヤエヤマヤシ群落にて木の葉に乗っていた鮮やかなグリーンが目を引くのはサキシマカナヘビです。

サキシマカナヘビ

こちらはイシガキトカゲ。

イシガキトカゲ

一見、本州でよく見かけるニホントカゲに似ていますが、石垣島で出会えるのは、このイシガキトカゲです。成長しても15センチ程度で日本最小のトカゲです。幼体はしっぽが青くよく目立ちます。海岸近くでよく見かけ、天気のいい日は特に石垣島の強い日差しでしっぽの光沢がより目立ちます。

最後にご紹介するのは、トカゲの種類の中で日本最大のキシノウエトカゲ。心なしか顔に貫禄があります。最大全長40センチにまで成長するそうです。海岸近くの茂みでよく目にします。

キシノウエトカゲ

幼体の頃は、イシガキトカゲと同じくしっぽが青いため、背中の線で見分けるそうです。私はまだ見かけたことがないので、今度しっぽの青いトカゲを見た際にじっくり見てみたいと思います。

今回ご紹介したトカゲたちは、八重山諸島(種類によっては宮古諸島も含む)にしかいない日本固有種です。石垣島にお越しの際にはぜひ探してみてください。国立公園内のように自然の多い場所では出会える確率が高く、私は巡視のたびに遭遇しています。

こちらではよく目にするのでだんだんと身近な生き物の様に感じられますが、なかには希少なトカゲとして国内希少野生動植物種、天然記念物に指定されている種、石垣市の条例で捕獲が禁止されている種もありますので、出会った際にはじっくり観察するだけにとどめて下さいね。

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2021年08月03日サンゴの出前授業【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 田村彰帆

アクティブレンジャー日記をご覧の皆さん、こんにちは。

石垣自然保護官事務所の田村彰帆です。

石垣自然保護官事務所は、「国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター」の施設の中にあり、普及啓発として八重山の小中学校にサンゴ学習を行っています。

石垣島内にある富野小中学校より、「サンゴやサンゴの白化現象について知りたい」「自分たちに何かできることはないか」と、出前授業の依頼をいただきました。

今回、伺った学校は教室を挟んで見える景色が違い、石垣島の海と山に囲まれた素晴らしい学校でした。

 

▲教室から見える海と校庭側に見える山

まずはレンジャーからのお話がありました。

石垣島には日本一のサンゴ礁があること、その素晴らしい自然の中にあるこの学校で勉強できることを誇りに思って欲しいとのお話がありました。

▲レンジャーからのお話

そしてクイズを交えたスライドで「サンゴって何だろう?」をテーマにサンゴの基礎的な知識やサンゴと私たちとの関係性などを学びました!

▲サンゴについてどのくらい知っているかな?

ところでみなさん、「サンゴ」と「サンゴ礁」の2つの言葉の違いって知っていますか?

サンゴは生物で、サンゴ礁はサンゴや貝、ホシズナなどが作った地形です。サンゴは生きていますが、サンゴ礁は生物ではありません。

サンゴ礁が作る複雑な地形は、多様な生物に「食」と「住」を提供します。癒しや観光資源、天然の防波堤など私たち人間の生活にも多くの恵みをもたらしてくれています。

そのサンゴが今、地球温暖化や私たち人間生活の影響で激減しています。

「サンゴを守るためには、私たちに何ができるの?」

ビーチクリーンやゴミを出さないことも大事ですが、まずは、サンゴについて知ることが大切です。知ることは、何をすれば守れるのかを考えることにつながります。そして、サンゴって何だろう?なぜ大事なの?など、学んだことを友達や家族に伝えてみてください。

▲感謝のお手紙をいただきました!!!

素敵なお手紙をありがとうございます。サンゴを知って興味を持ったこと、好きになったことがジーンと伝わってきました。豊かな自然を次世代につなげていくためにも、「なぜ?」「どうして?」を大切にしてください。

当センターでは出前授業の他にも、施設見学や器材利用などの対応も行っております。今後ともこれまで以上に連携し合い、地域の皆様とともにサンゴ礁の価値や重要性、保全の必要性を伝えられるようにサンゴ学習を展開していく予定です。

<環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター>

住所:沖縄県石垣市八島町2-27

TEL: 0980-82-4902 Mail:coremoc@sirius.ocn.ne.jp

http://kyushu.env.go.jp/okinawa/coremoc/index.html

緊急事態宣言中は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、サンゴ礁研究・モニタリングセンターは臨時休館しています。

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2021年07月20日子どもパークレンジャー・川平小中学校「スノーケリング観察会」【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 江川博子

こんにちは、石垣自然保護官事務所の江川です。

子どもパークレンジャー事業として川平小中学校で行われているサンゴ学習について、前回の「マイクロプラスチック調査」に引き続き、現地学習となる「スノーケリング観察会」をご紹介します。

今回は、スノーケリングスポットとして人気の米原海岸で観察会を行いました。

川平湾を左に見ながら北上した場所にあるのが、米原海岸です。広い範囲で遠浅のリーフが広がり、白い砂浜と青い空と海というビーチからの景色もとても美しいのですが、海に入るとすぐにカラフルで多種多様な生きものを目にすることができます。

米原ビーチ

天然のビーチのため、サンゴ礁による複雑な地形で引き起こされる潮の流れや、毒を持つ危険生物など、安全面で気をつけるポイントがあります。

また、海の底に足がつくような浅い場所にも一面にサンゴが広がっているので、足で踏んでサンゴを傷つけないようにしたいところです。サンゴは動物で、成長するまでにいろいろな試練があるということを事前学習で学びましたからね。

そこで、普段スノーケリングガイドやライフガードをされている方々も所属している「わくわくサンゴ石垣島」の皆さんと一緒に、気をつけるポイントを教わりながら実際に海の中に入ってサンゴ礁の様子を観察しました。

まずは器材の使い方の練習です。

慣れないうちは苦戦するウエットスーツの着方から。波打ち際でスーツと体をよく濡らすのがポイントです。海水をかけあう場面もあり楽しそうでした。

マスクの曇り止めにクサトベラの葉っぱを使うことも教えていただきました。

クサトベラ    マスクの曇り止め

▲クサトベラは海岸付近に自生しています      ▲葉っぱをちぎって汁をマスクに塗る様子

マスクをつけて、スノーケルでの呼吸にも慣れたら、いよいよサンゴ礁の生きものたちの観察です!

サンゴ礁

▲海中の様子。エダサンゴに隠れながらたくさんのスズメダイが群れていました。

マイクロアトールの上でひとやすみ。フィンを履いているときの着地はかかとから。

マイクロアトール

▲マイクロアトールとは、干満の差が激しい遠浅のサンゴ礁で、ハマサンゴのようなかたまり状のサンゴに見られる現象です。干潮時、海から出てしまう部分のサンゴは死んでしまいますが、横に大きく成長し、てっぺんが平らなテーブルのような形になります。

オニヒトデも発見!サンゴを捕食しているところでした。サンゴの天敵としてよく耳にするものの、実際に海の中でオニヒトデを目にすることができるのは、自然観察の良いところです。

オニヒトデ

▲オニヒトデのトゲには強い毒があるので、さわらずそっと見守りましょう。

スノーケリング   スノーケリング

地元のこどもたちなので海に慣れている子もいましたが、スノーケリングがはじめての子たちもサンゴ礁の魚たちと遊んでいるうちに海の中で自在に動けるようになっている様子でした。

 

最後に集合写真を撮りました!

身近な場所であっても、海に入ることには危険がともなうため、地元の子どもたちでも海の中に入る機会は少ないようです。今回のスノーケリング観察会では海の中をじっくり眺めることができ貴重な体験ができたようでした!

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2021年06月30日子どもパークレンジャー・川平小中学校「マイクロプラスチック調査」【石垣地域】

西表石垣国立公園 江川博子

はじめまして。今年4月から石垣自然保護官事務所に着任しましたアクティブレンジャーの江川です。どうぞよろしくお願いします。

環境省では国立公園をフィールドとして、自然にふれあいながら環境について学ぶ機会を作るために子どもパークレンジャー事業(以下JPR)を行っています。

今回はJPRの一環として地元の小中学校向けに行っているサンゴ学習についてご紹介します。

川平小中学校の校舎からは美しいエメラールドグリーンの海が眺められ、サンゴ礁の海を身近に感じられます。神奈川県から来た私にとってはうらやましい限りですが、地元の子どもたちにとっては見慣れた景色なのかもしれません。それでも、意外と深くは知らないサンゴの世界。今年は総合学習の時間を5回使って、わくわくサンゴ石垣島の皆さんと一緒に楽しくサンゴについて学んでいく予定です。

第1回目は教室にて事前学習としてサンゴの基本的な生態についてゲームも交えながら授業を行いましたが、今回第2回目は実際にフィールドに出て行う授業です。今サンゴのすむ海はどうなっているのかを知るために、近くの海岸にて「マイクロプラスチック調査」を行いました。

まずは、マイクロプラスチックはどこからやってきて、どのようにできるのかについて考えていきます。

マイクロプラスチックとは 直径5mm以下の小さなプラスチックのことをいいます。ゴミとして人の手を離れたプラスチック製品は、風や川によって海岸へ流れていきます。すると、石垣島の近くを流れる大きな海流「黒潮」によって、さらに流されていきます。黒潮の秒速は1mから2m。ちょうど私たちが歩くスピードです。黒潮になったつもりで、ゴミを持って歩いてみます。

黒潮の幅は最大で100kmとも言われているので、あっという間に多くのゴミを運んでしまいます。その間に、紫外線にさらされたり、生き物にかじられたり、波によって砕かれたりして、プラスチックの劣化が進み段々と細かくなっていきます。

その後、海中を漂うマイクロプラスチックの一部は波によって砂浜へと打ち上げられます。

そして、いよいよ海岸へ向かいます。まだ梅雨明けしていない時期なので、時折通り雨が降ります。海岸に到着した頃、雨雲がすぐそこまで来ていました。

25cm四方の枠の中で、どれくらいのマイクロプラスチックがあるのか採集して調べます。

枠を基準にちりとりを使って砂をすくい、その中からなるべくマイクロプラスチックを取り出すために、5mmの目合いのふるいでこし、水に浮く性質を利用して海水をくんだバケツに入れ、浮いたものだけをすくって取り出します。

 

わかりやすいように、黒い布を敷いたトレイの上に取り出します。この一連の作業を、場所を変えて2回行います。

海岸の様子。潮が引いた後にできる波の跡に注目。マイクロプラスチックが溜まりやすいポイントです。

また、砂浜を近くで見るとこのような様子。貝殻やサンゴの骨格にまぎれて一見シーグラスのようなプラスチックもありました。

そして、教室に持ち帰りルーペやピンセット、指の触感を使って細かく分類していきます。

 

班ごとに採集する場所が違っていたので、マイクロプラスチックの量や種類に差がありました。プラスチックの原料となるレジンペレット、触ってみるとふかふかする発泡スチロール、カラフルなもの......。ルーペで見分けるには限界があるかもしれませんが、繊維のものもマイクロプラスチックである可能性があります。

さて、これらマイクロプラスチックは甲殻類の体内からも確認され、自然生態系への影響が懸念されています。今回の調査で行った採取では、区間が狭いとはいえ取り出すのに細やかな工程を要しました。これらが広大な海に漂っていると思うと、全てを回収するのは想像を絶する作業になるでしょう。

私たちが普段の生活で利用しているプラスチック製品は、私たちの手を離れた後どうなっていくのか、プラスチック製品にふれる機会があまりに多いので、いちいち考えることはないかもしれません。今回のサンゴ学習で、砂浜に混じっていたマイクロプラスチックの粒を改めて細かく見ることで、買い物の際になるべく過剰包装でないものを選ぶなど普段の生活を見つめ直すきっかけとなりました。

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2021年06月15日交通事故に遭ったカンムリワシ放鳥【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本

今年3月下旬に交通事故に遭ったカンムリワシ(若鳥)を救護しました。野生復帰はかなり難しいと覚悟していましたが、順調に回復し、骨折した翼も完治。リハビリゲージ内でも翼を広げて旋回できるまで元気になったことから、5月26日(水)に救護場所近くのきび畑にて放鳥することができましたので、お伝えしたいと思います。

▲事故現場(緩やかな下り坂)

発見された際は、道路上でうずくまっていたそうですが、職員が救護現場に駆けつけると道路上にはおらず、道路脇の林の中で、うつ伏せの状態で発見されました。

▲救護時の様子

救護後、すぐに動物病院で診察と治療が行われ、右の翼の橈骨と尺骨(人で言うと手首と肘の間の骨)の開放骨折(骨折した際に皮膚が破れて、骨が外に露出する状態)が見つかり、皮膚の表面の損傷もかなり酷く、翼がねじれてしまい、雑菌による感染症を引き起こす可能性も高く、重傷な状態でした。

▲救護したばかりの放鳥個体

今回のようなケースで野生復帰できるのは、かなり稀なケースです。これも速やかな通報により迅速な救護対応ができこと、動物病院の獣医師さんの懸命な治療、リハビリを行って頂いている方等の連携がうまくできたおかげです。今回、放鳥を行うことができ、本当にうれしい限りです。

▲放鳥場所(写真中央、野底岳)

▲元気に羽ばたき、林内に向かう「のそこ」

放鳥した個体には、左脚に緑のNと刻印された足環を装着し、野底(のそこ)地域で救護されたことから、愛称は「のそこ」と名付けられました。かなり臆病な性格で、なかなか飛び立とうとしなかったのですが、しばらくして元気に飛び立っていきました。

令和3年(2021年)のカンムリワシの救護件数は、石垣島で2件、西表島で3件、合計5件です。その内5件すべてが交通事故で救護されています。もし、交通事故にあったり、衰弱して弱っているカンムリワシを発見しましたら、下記の連絡先までご連絡をお願いいたします。

<カンムリワシの救護連絡先>

○石垣島

 環境省石垣自然保護官事務所 0980-82-4768

 石垣市教育委員会文化財課  0980-83-7269

○西表島

 西表野生生物保護センター  0980-85-5581

<足環の付いた放鳥個体の目撃情報の連絡先>

○カンムリワシリサーチ

 ウェブサイト : "http://kanmuriwasi.web.fc2.com/"

 E-mailアドレス: yonnayonna470(a)gmail.com 

          ※(a)を@に置き換えてお送りください。

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2021年04月12日サンゴSHOWでおうちカフェ ~サンゴと歩んだ20年~【石垣地域】

西表石垣国立公園 田村彰帆

アクティブレンジャー日記をご覧の皆様、こんにちは。

石垣自然保護官事務所の田村彰帆です。

地域の皆様から「サンゴセンター」と親しんで頂いている国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターが開所20年の節目を迎えたことを記念し、3月6日(土)、「サンゴSHOWでおうちカフェ ~サンゴと歩んだ20年~」と題し、サンゴ礁の価値や重要性、保全の必要性を考えるきっかけとなるようイベントをWEB配信にて開催しました。

サンゴSHOWでおうちカフェの様子をご紹介します。

◯看板お披露目

イベントの前日である3月5日(サンゴの日!)に、地元小学校の児童がサンゴの破片や、貝殻、シーグラスを使ってサンゴセンターの表札看板をリニューアルしてくれました。

サンゴを慎重に運び作った看板は、どんな看板に仕上がったのでしょうか。

「1、2、サンゴ!!!」の掛け声とともに看板のお披露目をしました。

この看板がサンゴセンターの新しい顔になります。

↓以前の看板とはまた違った、個性あふれる看板ができました。

国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター20周年記念WEB配信イベントのお知らせ【石垣地域】

◯トークセッション第1部「サンゴってなに?」

サンゴに詳しい琉球大学名誉教授の土屋先生が、サンゴ・サポーターである石垣島の大人気アーティスト「きいやま商店」からの質問に答える形式で、写真で説明しながらサンゴの基本的なことについておさらいしました。

◯トークセッション第2部「サンゴと歩んだ20年」

土屋先生と石垣自然保護官事務所職員が、サンゴセンターを拠点に行われてきた石西礁湖再生事業を中心としたサンゴ礁に関する情報の収集・整理・提供や海外支援活動、普及啓発活動などの20年の取組みを、八重山でのできごとをまとめた年表と一緒に振り返り、達成できたことやこれからの課題についてのトークを繰り広げました。

◯講演「サンゴは魚とお友だち!?~サンゴと生き物のつながり~」

サンゴにちなんだ講演として、水産総合技術研究所の名波さんを講師にお迎えし、サンゴ礁を住処とし、サンゴをエサとする魚の生態についてお話くださいました。

魚の種類によって食べるサンゴの部位や食べ方が違うことなど、動画を交えた説明は子どもにも分かりやすく、サンゴの重要性を、サンゴそのものだけでなくサンゴと関係のある生き物の視点からも考えるきっかけになりました。

◯ミニライブ「サンゴSHOW TIME」

最後に、サンゴ・サポーター「きいやま商店」によるミニライブが行われました。

「画面の向こう!盛り上がってますか~!?」

サンゴ礁保全再生応援ソング「1、2、サンゴー!」や、他の曲も「サンゴ保全」と歌詞を替えて歌ってくださり、サンゴを守ろうという強いメッセージを届けてくださいました。

初の試みであるWEB配信イベントを通して、サンゴ礁やサンゴセンターに親しみを持ってもらい、少しでもサンゴ礁のためにできることを考えるきっかけになっていただけたら嬉しいです。

八重山の、日本の、世界のサンゴ礁を守るため、これからも多くの方とともに一歩一歩進んで行けたらと思いますので、よろしくお願いします。

みなさまのご視聴ありがとうございました!!

サンゴセンターでは、常設展示も行っております。

是非遊びにお越しください!

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2021年03月17日カンムリワシ交通事故防止の活動【石垣地域】

西表石垣国立公園 アクティブレンジャー 仲本

最近の石垣地域は、夏目前の過ごしやすい気候が続き、天気の良い日は、少しの間で日焼けしてしまう3月となりました。

また、カンムリワシにとっては、求愛や巣作りなどで行動が活発的になるシーズンを迎えています。特に雨が降った後は、カンムリワシのエサとなるカエルやミミズなどが道路上に轢かれて死んでいることも多く、轢かれて死んでいるエサを求めて道路沿いに現れたカンムリワシが交通事故に遭うケースが、例年多発するシーズンでもあります。

令和2年(2020年)のカンムリワシの交通事故件数は石垣島で5件、西表島で5件、合計10件でした。そのうち7件(石垣島3件、西表島4件)が死亡しています。新型コロナウイルスの影響で観光客が減少し、交通量も減少した時期もありましたが、近年のカンムリワシの交通事故件数は、ほぼ同数で推移しています。

▲令和2年(2020年事故件数)石垣島におけるカンムリワシ運転注意マップ

今回は、地元でカンムリワシの保護活動や普及啓発活動を行っている民間団体のカンムリワシ・リサーチさんや関係機関と協力しながら、カンムリワシの交通事故が多発する道路で、カンムリワシの交通事故を1件でも減らしていけるように、通行するドライバーさんに注意喚起する活動を2回に分けて実施しましたので、報告したいと思います。

▲1回目の注意喚起活動(名蔵湾沿いの県道)

1回目の活動は、警察署や石垣市役所の方など関係機関と協力しながら、青空の下、ドライバーさんに呼びかけを行いました。

▲2回目の注意喚起活動(於茂登岳に近い県道)

2回目の活動は、長年野鳥観察を続けている小学校の児童や先生と協力して実施しました。「いきもの注意」「いそがず」「ゆっくり走ろう」と書かれたメッセージボードを掲げ、車を運転されるドライバーさんの中には、スピードを控えてくれるドライバーさんもいました。

現在、カンムリワシ交通事故多発地帯「あぶない!」と書かれた移動式の看板をカンムリワシの多発する道路にも設置して注意喚起を行っています。

▲カンムリワシの交通事故防止移動式看板

カンムリワシは、低空飛行で道路を横断することもあるので、野生動物の急な飛び出しがあっても安全に事故を避けることができるよう、余裕をもったゆとりのある運転にご協力お願いします。

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