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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

「世界湿地の日」名蔵アンパル自然観察会【石垣地域】

2013年03月04日
石垣
毎年2月2日はラムサール条約が締結された日として「世界湿地の日(World Wetlands Day)」とされています。この時期は世界各地のラムサール条約湿地で催し物などのイベントや活動が実施されています。ラムサール条約湿地に登録されている名蔵アンパル(石垣市)では、この日を記念して石垣自然保護官事務所主催の『「世界湿地の日」名蔵アンパル自然観察会』を日本野鳥の会石垣島支部、西表石垣国立公園パークボランティアの方々の協力を得て実施しましたので、その内容をお知らせします。


西表石垣国立公園パークボランティアさんの解説

名蔵アンパルは、石垣西部に位置する名蔵川と海をつなぐマングローブ林が広がる河口干潟で、国指定鳥獣保護区及び国立公園にも指定されており、平成18年11月にラムサール条約湿地として157haが登録されました。干潟にはカニやエビ、貝、小魚などの多様な生き物が生息し、八重山地域を代表するカンムリワシや世界各地から渡ってくる珍しい水鳥たちがやってきて休憩場所や絶好のエサ場(サンクチュアリ)として利用しています。ほかにも亜熱帯地域を代表する数種類のマングローブ林を見ることができる貴重な場所となっています。

・今年の世界湿地の日のテーマは「湿地は水を育む」です。

今回の観察会は、マングローブ林の植物や生き物を観察しながら湿地の大切さを知っていただくことを目的に、マングローブ林の落葉などを食べるキバウミニナと呼ばれる日本最大のウミニナ(貝)の採食実験やアナジャコの巣穴を観察したほかに、なかなか日頃入ることの出来ないサンクチュアリでの野鳥観察などを通して、多くの生きものを育む湿地の生物多様性を体感していただけたと思います。


キバウミニナ採食実験の様子

今回は、幸運なことに絶滅危惧IB類(EN)(環境省レッドリスト)に指定されているクロツラヘラサギを確認することができました。クロツラヘラサギは、ヘラ状のくちばしを左右に振って、砂底に生息するカニやエビなどの底生生物を採食します。推定生息個体数は約2000羽と世界的にもとても希少な鳥です。10月下旬頃から3月下旬頃まで越冬地として沖縄などで過ごし、4月初旬から繁殖地である中国大陸や朝鮮半島へ渡っていきます。


2羽のクロツラヘラサギと手前に小さく見えるのはイソシギです。

湿地は、様々な生き物が利用していますが、釣り・潮干狩り・ハイキング・バードウォッチングなど私たち人間も楽しめる場所です。いろんなレクレーションができるほかにも、海への土砂流失を防いだり、防災の役割をはたすなど、農業・漁業・観光といった資源を生み出している私たちにとってもなくてはならない大切な場所となっています。しかし、身近にある分、さまざまな開発や私たちの生活のために湿地が失われ、汚されてしまっているのが現状です。そこで、世界の国々が協力し合い、大切な湿地を保全し、恵みを賢明に利用することを目的に「ラムサール条約」が結ばれており、日本には46カ所の条約湿地があります。これからの貴重な湿地を未来にずっと残していけるように、私たちみんなで湿地について理解し、守っていきたいと思います。

今後もこのような観察会を実施して、数多くの方にすばらしい名蔵アンパルの自然を楽しみながら大切さを知っていただけたらと考えています。きっと、毎回新しい発見に出会えるはずですよ。当主催の観察会以外にも暖かい夏場や一年を通して名蔵アンパルで催しものが開催されていますので家族や友人を誘って、ぜひご参加して下さい。


【ラムサール条約と条約湿地についての詳細は以下のリンクから】
http://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/