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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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出水

19件の記事があります。

2020年09月16日市民の森で自然観察!(前編)森のお弁当箱づくり【出水地域】

出水 本多孝成

出水自然保護官事務所の本多です。

今夏も、出水市青年の家よりご依頼を頂き、同所の主催事業である「わんぱくトライアル」及び「ファミリーキャンプ」において自然観察活動を実施致しました。こちらの様子を前編と後編に分けて紹介致します。

※青年の家・市民の森とは

青年の家は、出水市の小原地区にある社会教育施設です。子供たちの宿泊学習や研修等に利用されています。周囲にはシイ・カシ類、クスノキなどの常緑樹の他、スギ・ヒノキ、モウソウチク等の人工林を主とするフィールド(市民の森)が形成されており、市中心部からもほど近いことから、出水市民の憩いの場となっています。

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今回は前編として、8月7日(金)に実施した、わんぱくトライアルにおける自然観察活動の様子をお伝えします。

わんぱくトライアルは、出水市内の小中学生が青年の家における共同生活(1泊2日)及び自然観察等のアクティビティを通じて、仲間づくりを行ったり、ふるさとの良さや魅力を学んだりするためのイベントです。

出水自然保護官事務所では、2日目の午前中に「自然観察」のお時間を頂き、市民の森の魅力を知って頂くためのアクティビティとして、「森のお弁当づくり」を実施致しました。これは、自然の中にある様々な素材を集め、それらを食材に見立てたオリジナル弁当を作るという自然遊びのひとつです。

参考:NATS 自然大好きクラブ「森のお弁当屋さん」

https://www.env.go.jp/nature/nats/tryandsearch/pdf/0508b.pdf

❚ お弁当の素材集め&市民の森の自然観察

昨年同様、マウンテンバイクで市民の森を移動しつつ、いくつかのポイントでお弁当の素材集めを行いました。

 

▲ マウンテンバイクと素材集めの様子

市民の森は勾配が多く、特に上り坂は過酷な試練となりました。一方で下り坂や木陰の道は、森の涼しい空気を感じながら(上り坂の苦しさも相まって)気持ちよく走行することができました。右の写真は素材集めの様子です。フィールドの隅々にまで注意を払い、様々な色や形をした素材を集めました。

❚ お弁当づくり

各ポイントで集めた素材を持ち帰り、お弁当づくりを行いました。

 

▲ お弁当づくりと展示会・投票の様子

集めた素材を広げて全体像を考えたり、テープやはさみを使って素材をアレンジしたりしていました。一人一人が自分の作品と真剣に向き合うまなざしが印象に残りました。

完成後は、お弁当の展示会&投票を行いました。自分以外の作品に投票し、上位3位までを表彰しました。入賞作品を以下で紹介いたします。

☆第二位(同票2作品)

▲ 「緑の弁当」(7票)

蝶(ゴマダラチョウ?)や鳥の羽等、奇抜な素材が目を引くお弁当です。

▲ 「キノコ入り!いろいろ弁当」(7票)

黄色いキノコを使った色彩豊かなお弁当です。右側の松かさや、左上のコケなど、素材同士の大きさのバランスも良いと思いました。

☆第一位(13票)

▲ 「兵児(へこ)弁当」

第一位に輝いた兵児(へこ※)弁当です。木の皮を唐揚げ、栗をゴマ団子、枝を折って長さを揃えたものをウインナーに見立てたようです。見た目がとても華やかです。また、捨てられた容器のキャップに梅干しという役割を与えたところも素晴らしいと思いました。

※兵児(出水兵児)とは、かつて出水に存在した青年団のことです。出水は旧薩摩藩と肥後藩との境に位置する国防の要所であったため、武士の「卵」である出水兵児にはとりわけ熱心な教育が施されたそうです。(詳しくは記事の最後のURLを参照ください)

☆特別賞(青年の家の所長より、特別賞を一つ選んで頂きました)

▲ 「葉っぱのカレーべんとう」

落ち葉(枯れ葉)をちぎり、敷き詰めたものをカレーに見立てたお弁当です。森の素材からカレーにまで発想を飛ばすセンスに加え、シダの葉を切りそろえたものに木の実を貼り付けて彩りのアクセントにする等、細部にまでこだわりが感じられるお弁当です。

「森のお弁当づくり」では、自然の中の多様な素材と子供たちのみずみずしい感性が融合した、多種多様なお弁当が出来上がりました。今回のように、「自分で集め、自分で作る」ことは、自然環境の細部にまで関心を向けたり、自らの感性を以て自然の魅力・価値を見出したりする良いきっかけになると思いました。

<参考URL>

出水ナビ「小原山市民の森(出水市青年の家)」

https://www.izumi-navi.jp/spots/detail/43

出水市「わんぱくトライアルに関する活動報告」

https://www.city.kagoshima-izumi.lg.jp/page/page_01846.html

出水市「出水兵児修養掟 解説」

https://www.city.kagoshima-izumi.lg.jp/page/page_40057.html

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2020年09月16日市民の森で自然観察!(後編) 昆虫採集&自然のフォトフレームづくり【出水地域】

出水 本多孝成

出水自然保護官事務所の本多です。

今夏も、出水市青年の家よりご依頼を頂き、同所の主催事業である「わんぱくトライアル」及び「ファミリーキャンプ」において自然観察活動を実施致しました。こちらの様子を前編と後編に分けて紹介致します。

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今回は後編として、8月23日(日)に実施した、ファミリーキャンプにおける自然観察活動の様子をお伝えします。

ファミリーキャンプは、飯ごう炊飯やテントでの宿泊を通じて、家族の絆を深めてもらうイベントです。

出水自然保護官事務所では、わんぱくトライアルと同様に2日目の午前中に自然観察活動のお時間を頂き、①昆虫採集と②自然のクラフトづくりの二つを実施しました。

❚ ①昆虫採集 a.m.7:00~8:00

会場近くの林(市民の森)で昆虫採集を行いました。前日の夜に2種類のトラップ(バナナトラップ、落とし穴トラップ)を仕掛けておき、当日朝、それらを回収しながら捕まえた昆虫を観察しました。

 

▲ バナナトラップの設置・回収

前日の夜、ジッパー付き容器にバナナ、芋焼酎、砂糖、ドライイーストを入れて発酵させたものを、クヌギの幹に直接塗りつけました。翌朝、参加者の皆さんと一緒にトラップの様子を見てみたところ、発酵臭に誘引されたクロゴキブリを発見しました。今回は残念ながら、カブトムシやクワガタムシ等の人気種は見当たりませんでした。

 

▲ 落とし穴トラップ(ベイトトラップ)の設置

地面に小さな穴を掘り、そこへ餌を入れたプラスチックコップをはめ込みました。プラスチックコップは表面が滑らかであるため、餌のにおいに誘引されたターゲットが一度コップの中に落ちてしまうと、自力で這い上がることが困難になる...という仕掛けです。

餌の違いによって集まる昆虫にも差が生じるのではないかと考え、トマト、りんご、バナナ、にぼし、かつおぶし、魚肉ソーセージの6種の餌を使用しました。設置後、ポイントを俯瞰して眺めてみると、まるで繁華街の薄暗い路地裏のような、いかにも胡散臭い雰囲気が漂っていました。

 

▲ 落とし穴トラップで捕まえた昆虫

翌朝、昨夜の胡散臭さとは裏腹に、トラップの中にはアリ、チャバネゴキブリ、サツマゴキブリ等、地面を移動することに長けた昆虫が多数入っていました。また、トマトとかつおぶしのコップにはセンチコガネ(左の写真)が入っており、そのメタリックな輝きから、子供たちの熱視線と関心を集めていました。

※なお、自然観察活動プログラムの終了後、トラップを処分する際に中身を確認したところ、本番よりも多くの昆虫が入っていました。特に昆虫からの人気が高かったのはトマトとかつおぶしで、トマトにはカブトムシ、ヒラタクワガタ等の発酵臭を好む昆虫が入っており、かつおぶしにはマイマイカブリ(右の写真:肉食性の強い昆虫)が入っていました。餌が異なると、捕まえられる昆虫も異なるようです。

 

▲ その他、昆虫の解説

アブラゼミの雌雄の見分け方について紹介したり、落ちていた大型のヒラタクワガタ雄の頭部を観察したりしました。また、アクティブレンジャーがクレインパーク周辺や市民の森で事前に捕まえておいた昆虫(カブトムシ、コクワガタ、ノコギリクワガタ、ニジゴミムシダマシ)を持参し、それぞれの生態について解説しました。

❚ ②自然クラフト(森と海のフォトフレームづくり)a.m.9:30~11:00

昆虫採集の後、自然クラフトとして森と海の素材を使ったフォトフレームづくりを行いました。

 

▲ 使用した森と海の素材

フォトフレームと、森の素材(出水市内でとれたフウ、ジュズダマ、ヤシャブシの実等)は青年の家にご用意いただきました。海の素材はアクティブレンジャーが個人の趣味で集めた貝殻やシーグラス、流木(すべて北薩地域で拾ったもの)などを用意しました。

 

 

▲ フォトフレームづくりの様子と完成した作品(一部)

フォトフレームづくりでは、子供たちが率先して素材を選んだり、保護者の方々へ(まるで映画監督のように)「指示」を出したりする姿が印象に残りました。完成作品は、キャンプ中に撮影した家族の集合写真を入れる思い出のフォトフレームとしてそのままお持ち帰り頂きました。

今回のフォトフレームづくりのように、その地域内で採れた素材のみを使用したクラフトづくりは、「身近にこのような魅力的な自然があったのか!」と、地域の自然の魅力や価値を捉えなおす良いきっかけになると思いました。今後も、様々な企画を通じて、出水の自然の魅力を再発見するお手伝いができればと考えています。

▲ ご参加いただいた子供たちとの記念写真

青年の家の皆様、参加者の皆様、ありがとうございました。

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2020年07月31日大川内中学校で出前授業を行いました~米ノ津川と大川内の「いいね!」&ツルクイズ大会~【出水地域】

出水 本多孝成

こんにちは!

出水自然保護官事務所の本多です。

今回は、7月11日(土)に実施した、出水市立大川内(おおかわうち)中学校での出前授業の様子をお伝えします。

大川内中学校は、出水市の南東部に位置する大川内地区の谷あいにあり、全校生徒約30名の小規模な学校です。周囲は豊かな山林に囲まれ、また校庭のすぐ横を米ノ津川の渓流が通り、夏季にはアカショウビンやオオルリのさえずりが響き渡る...自然好きにとってはまさに極上の学び舎です。

※大川内中学校HP:https://www.city.kagoshima-izumi.lg.jp/tyugakko/okawauchi_jhs/

今回の出前授業は、総合的な学習の時間(郷土教育・環境教育)として、米ノ津川と大川内の自然環境について解説すると共に、川の生き物調べを主なテーマとしていました。しかし、先日の豪雨に伴う川の増水により生き物調査は中止となったため、①米ノ津川と大川内の自然環境について解説した後、②雨天時の特別プログラムとしてツルクイズ大会を実施しました。以下にて当日の様子を紹介致します。

❚ ①米ノ津川と大川内の自然環境(「いいね!」探し) ❚

自然の大切さや魅力を知るための手がかりとして、SNSに着想を得た「いいね!」(優劣や勝ち負けに捕らわれない、その人ならではの発見)という観点をベースに、米ノ津川の特徴や大川内の自然の魅力について紹介しました。その後、教員の方が用意して下さったワークシートを用いて、大川内の「いいね!」について振り返る時間を設けました。

 

▲米ノ津川と大川内の「いいね!」を振り返りました

生徒の皆さんからは、「野生のイノシシやシカがいる」、「アジサイが綺麗な観光スポットがある」、「米ノ津川(渓流)の水が綺麗」、「校庭に野生のサルが現れたことがある」(!?)等々...それぞれの経験や発見に基づく「いいね!」を共有して頂きました。

 

 

 

▲アクティブレンジャーが見つけた「いいね!」(一部抜粋)

私が発見した「いいね!」も共有させて頂きました。米ノ津川の渓流沿いの幻想的な景観はもちろんのこと、多様な生き物や、湧き水等、大川内には素晴らしい魅力が沢山あります。

❚ ②ツルクイズ大会 ❚

当初は米ノ津川で生き物調べを行う予定でしたが、豪雨の影響により中止にせざるを得なくなり、代替プログラムであるツルクイズ大会を実施しました。

クイズ大会では、賞金クイズのパロディやお馴染みの○×クイズ(個人戦)、四択難問クイズ(学年ごと+教員チームの計4チームによる対抗戦)の三つの企画を用意し、問題はすべて出水自然保護官事務所で考案しました。簡単すぎず難しすぎず、尚且つ「ツルって面白い!」と、様々な気づきが得られるような問題作りは、まさに私にとっての難問でした。

以下では、実際に出題したクイズとクイズ大会の様子を紹介します。

<ツルクイズ(一部抜粋)>



▲当日出題したクイズの一部

皆さんもぜひ解いてみてください。※答えと解説は記事の最後に掲載いたします。

<○×クイズ(個人戦)の様子>

 

▲左の写真:最初は、知識が豊富な三年生(手前側)やツルガイド博士の経験がある先輩たちにつられて全員が同じ答えを選択し、順調(?)に正解を重ねていましたが...? ▲右の写真:徐々に問題の難易度を上げていき、最後から二番目の問題で初めて半分に分かれ、どよめきが起こりました。

▲最終問題では更に半分に分かれました。見事正解し、最後まで勝ち残った生徒たち(左側)のガッツポーズが良い感じです。

<解説時の様子>

▲クイズから様々な気づきを得てもらうよう、すべての問題でその都度解説を行いました。「盛り上がって終わり」ではなく、解説時には生徒・教員の方々が興味を持って聞いて下さったおかげもあり、メリハリのある充実したクイズ大会になりました。

今回の出前授業は、豪雨の影響により米ノ津川の生き物採集は叶いませんでしたが、一方で生徒の皆さんより大川内地区の「いいね!」を共有して頂き、またツルクイズ大会を通じてツルの生態や人々とのかかわりを紹介することができ、有意義な時間になりました。

これからも豊かで魅力あふれる出水の自然やツルの面白さを子供たちへ発信すると共に、「いいね!」等の新たな気づきを相互に発見・共有していきたいと思います。

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❚ ツルクイズの答え ❚

問題1.「野生のツルの寿命は千年である ○か×か?」

問題2.「出水のツルは、草を敷いたふかふかベッドを作って寝る ○か×か?」

問題3. 「出水では、ツルに対し小麦などのエサ撒き(給餌)を行っているが、これはツルを太らせて我々がおいしく食べるためである ○か×か?」

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2020年03月30日令和元年度 出水ツルフェスタを開催しました 【出水地域】

出水 本多孝成

 出水自然保護官事務所の本多です。

 今回は、2月1日(土)~9日(日)に実施した「パーク&ライド出水ツルフェスタ」(以下、ツルフェスタ)についてお伝え致します。ツルフェスタとは、ツル渡来地をさらに魅力的な場所へと磨き上げていくために、様々な社会実験を通じて地元や観光客の方々にご意見を伺うイベントです。

※過去のアクティブレンジャー日記では、「なぜツルフェスタを行うのか」、「どのようなイベントなのか」についてご紹介しています。是非ご覧ください。

・2019年の記事 http://kyushu.env.go.jp/blog/2019/03/post-562.html

・2018年の記事 http://kyushu.env.go.jp/blog/2018/03/post-425.html

 

▲今年度のツルフェスタのチラシ画像。写真クリック(タップ)で拡大表示できます。

 ツルフェスタは今回で4回目の実施となりました。出水市との共催など、地元のご協力を頂きながら年々ステップアップしてきました。

 今回のツルフェスタの取り組みについて、当日の写真と共に紹介致します。

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<ガイド付きバスツアー>

 ツルフェスタの目玉の一つである、ガイド付きバスツアーを今回も地元のご協力のもと実施しました。

 ツアーでは、「ツルガイド博士」や、ツルや野鳥の生態に詳しい地元の専門家、地元の農家の方にガイドとしてご活躍頂きました。また、今回新たに地元ボランティアの方々が、ツアーの進行役としてそれぞれの経験を活かし、全体の雰囲気を盛り上げて下さいました。

 

▲ツルガイド博士による解説。自作のイラストや、ツルの生態についてびっしり書かれたノートを活用したり、また、持ち前の明るさやまぶしい笑顔、様々な魅力を持つ子どもガイドは大変好評でした。

 ツルの渡来地は、ただツルが沢山集まる場所ではなく、様々な農作物や海苔等、豊かな自然環境に恵まれた地域です。このような魅力を余すことなく発信するため、バスツアーでは①バードウォッチングコースと②出水ご当地産物コースの二つのコースを用意しました。

 バードウォッチングコースではお馴染みのナベヅル・マナヅルや、15年ぶりに飛来したアネハヅル、ヘラサギ等の貴重な野鳥を見ることができました。参加者の方々が、興和光学株式会社の協賛により無償でお借りした双眼鏡を手に、アネハヅル等の「お目当て」を探す真剣なまなざし、そして見つけたときの感動的な雰囲気が印象に残りました。農業コースでは、農業や海苔養殖の現場で農家の方々と合流し、農業・海苔養殖の苦労話や、地元の魅力、幼少期からのツルとのかかわりについてお話を伺いました。現場の空気感等、言葉だけでは伝わらない情報を得ることができ、非常に貴重な体験となりました。

 

▲(左):バスツアーの様子。バスは、高い車高から見下ろすようにして観察できるため、ツルの家族の様子や、カナダヅル、クロヅル等の「(大多数のナベヅルに比べて)見た目が少し白っぽく見える」という感覚を共有しやすい点もメリットだと思いました。

 (右):15年ぶりに飛来が記録されたアネハヅル。写真クリック(タップ)で拡大表示できます。

<PHV車の試乗体験>

 今回新たな取り組みとして、トヨタプリウスPHV(プラグインハイブリッド)車の試乗体験が行われました。これは、出水市が事務局となり、鹿児島トヨタ自動車株式会社の協賛のもとで実現したメニューです。前述のバスツアーよりも移動・ツルの観察に自由が効くことから、同ツアーのデメリットを補う観光体験が可能になり、大変好評だったようです。

 私も試乗させて頂きましたが、ツル等の野鳥を間近で観察できると共に、風の音やにおい、道端の草花の質感等、バスツアーでは味わえないツル渡来地の魅力を満喫することができました。加えてPHV車は動作が非常に静穏であるため、エンジン音などによるツルへの刺激(環境負荷)が最低限に抑えられる点においても、ツル渡来地に非常にマッチした魅力的な観光スタイルであると感じました。

 

▲ツルフェスタで貸出が行われたPHV車。同車およびツアーバスは立入規制エリア内への進入可とし、東干拓を走行する際は運営スタッフが手動でゲートを開閉して対応しました。

<その他>

▲昔の生活様式やツルとのかかわりについて、地元の歴史に詳しい方が解説する特別ブースを、観察センター内に設けました。

 

▲地元の義務教育学校、鶴荘学園の生徒による「ツルラップ」のPV撮影(Youtubeに公開されていますhttps://www.youtube.com/watch?v=3Pc-xQrw3n4)や、「ツル科」の研究発表が行われました。

 

▲クレインパークいずみでは、出水の干潟の野鳥を紹介する企画展や地元の飲食店による出店が行われました。

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 ツルフェスタを通じて、出水は、ツルガイド博士や地元のボランティア等の素晴らしいスキルや才能・熱意を持った人々に加え、ツル以外の貴重な野鳥や農作物・海苔、豊かな自然環境等、大きな可能性を秘めた場所であると改めて気付きました。そうした地域のポテンシャルを、今後もツルフェスタ等の機会を通じて多くの人に知って頂けたらと思いました。

 一方で、ツル渡来地は、農地であると共に生活道路として利用される等、地元の方々の日常生活に欠かせない土地です。ツル観光あるいはツル保護のどちらかに偏るのではなく、地元の方々が納得できるようなツル渡来地のあり方について考えたいと思いました。

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2019年12月16日国指定草垣島鳥獣保護区の巡視を実施しました 【出水地域】

出水 本多孝成

 出水自然保護官事務所の本多です。

 皆さんは草垣群島という島をご存知でしょうか。

 草垣群島は、鹿児島県枕崎港から南西へ約90km離れた場所に位置する無人島(群島)です。

上ノ島、中ノ島、下ノ島等の小さな島々で構成されており、カツオドリやオオミズナギドリの重要な

繁殖地として国指定の鳥獣保護区「国指定草垣島鳥獣保護区」(特別保護地区)が上ノ島に

設けられています。

 ※鳥獣保護区指定年月日:昭和48年11月1日、周囲:2.3km、面積:21ha

▲草垣群島の位置図

https://maps.gsi.go.jp/#5/36.104611/140.084556/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1)をもとに作成。

 九州地方環境事務所野生生物課および出水自然保護官事務所では、11月12日(火)において

草垣島鳥獣保護区の現況調査を実施致しました。今回は、この様子についてお伝えいたします。

  • ■串木野港出発~上ノ島到着(A.M.6:00~10:30)

 草垣群島には旅客船や飛行機等の定期便が存在しないため、今回は串木野港から漁船を

チャーターし、上ノ島まで行きました。フィールドスコープやカメラ、調査用紙等の荷物を

船へ搬入した後、午前6時頃に串木野港を出港しました。

 出港してすぐは日の出の時間帯と重なったこともあり、朝焼けに映える桜島等の美しい景色を

楽しみつつ、一日の始まりに期待を膨らませていました。しかしそれも束の間、出港から30~60分が

経過してからは次第に波が荒くなり、船体が大きく揺れ始めました。そこから私はあっという間に

猛烈な船酔いに襲われ、思わずダウン...。

 以後、船の中でずっと横になることしかできませんでした。

■上ノ島到着~島内巡視(A.M.10:30~P.M.13:00)

 出港から約4時間半後、草垣群島(上ノ島)に到着しました。船酔いで朦朧とする意識の中、

這うようにして甲板へ出てみると、目の前にはゴツゴツした岩場がそびえ立ち、上空には

カツオドリが絶え間なく飛び交う幻想的な光景が広がっていました。

 

▲上ノ島の外観と上陸地点

 周囲は険しい岩場・崖に囲まれていますが、島の東側に緩やかな斜面と小さな入り江が

形成された場所があります。この入り江には島内の歩道と連結した突出部分(左下の写真)があり、

ここへ船首から飛び移るようにして上陸しました。

<島内の様子>

 上陸後、少し休憩をとってから巡視を始めました。今回の巡視の主な目的は、鳥獣保護区内に

設置された制札(標識)の確認と、野鳥を含めた野生生物の調査です。巡視中、島内の様子を写真に収めた

ので紹介します。

▲崩落した歩道

 上ノ島の頂上には海上保安部所管の灯台が設置されており、島内には灯台へ続く一本道が残って

います。しかし、この道はかなり老朽化が進んでいるようで、崩落した箇所がいくつかありました。

 

▲一本道の勾配・カーブと斜面の植物

 一本道は急な勾配かつカーブが連なっていたため、進むのに一苦労しました。

斜面はハチジョウススキ等の野草や、成人の高さ程の低木で覆われていました。

▲野鳥の古巣(カツオドリ?)

 歩道沿いには、枯草がお椀状に浅く窪んだポイントがいくつかありました。カツオドリの

古巣かもしれません。周囲には羽毛や野鳥の排せつ物が散らかっていました。

▲野鳥の死骸(オオミズナギドリ?)

 野鳥の死骸がいくつか横たわっていました。これはオオミズナギドリでしょうか。

この現場の上空ではカツオドリが元気いっぱいに飛び交っており、生き物の生と死の

コントラストが印象に残りました。

▲哺乳類の糞便(クマネズミ?)

 野鳥だけでなく、哺乳類のフィールドサインも見つかりました。

▲繁茂した下草によって見えなくなった歩道

 一本道の途中、下草が繁茂し歩道が見えない場所がありました。上ノ島には急な斜面や

崩れた歩道が多く、誤って道を踏み外す危険があるため、安全面を考慮しここで折り返しました。

<上ノ島で確認された野鳥(一部)>

 約2時間の野鳥調査を上ノ島で実施した結果、合計5目26種120羽の野鳥を記録しました。

その一部を紹介します。

 

 

▲カツオドリ

 島内や洋上のいたるところで見ることができました。上二枚の写真のように、古巣を休息の

ために利用する様子が確認できました。

▲ハシブトガラス

 ハシブトガラスは一般的には留鳥であり、渡りをしない野鳥として知られています。

この個体は一体どのようにして草垣群島までやってきたのでしょうか。

 

▲チョウゲンボウ(左)、ノスリ(右)

 上ノ島の野鳥調査では、わずかな範囲内に多くの猛禽類を見ることができました。

写真の二種に加え、ミサゴ、オオタカ(幼鳥)、ツミ、ハヤブサを確認しました。

▲ジョウビタキ(メス)

 お馴染みの冬鳥です。今回の調査では同じヒタキ類のコサメビタキ(夏鳥)も確認しました。

上ノ島は冬鳥、夏鳥の渡りの中継地になっているようです。

 今回、上ノ島の巡視を通じて、草垣島鳥獣保護区の現況や野鳥等の生息状況を知ることができ、

大変貴重な経験になりました。草垣群島は私たちの生活とは距離的にも社会的にもかけ離れた

存在ですが、そこには確かに野鳥を始めとする生き物たちにとって重要な自然環境が広がっていました。

手に届くあるいは目に見える範囲の自然環境だけが重要ではないと気付くきっかけになりました。

<参考URL>

・鳥獣保護区制度の概要(環境省HP)http://www.env.go.jp/nature/choju/area/area1.html

・鳥獣保護区の指定状況(環境省HP)http://www.env.go.jp/nature/choju/area/area2.html

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2019年09月10日市民の森で自然観察!「わんぱくトライアル」・「ファミリーキャンプ」実施報告 【出水地域】

出水 本多孝成

 出水自然保護官事務所の本多です。

 今回は、出水市青年の家主催事業「わんぱくトライアル」(8月8日(木))および

「ファミリーキャンプ」(8月25日(日))のプログラムとして実施した自然観察活動の

様子をお伝えします。

 出水自然保護官事務所では、昨年度より上記の事業において講師として協力させて頂いており、

今年度は、「わんぱくトライアル」ではマウンテンバイクを使った自然観察、「ファミリーキャンプ」

では身近な自然と触れ合う活動のご依頼を頂きました。

※各事業の概要はこちらhttps://www.city.kagoshima-izumi.lg.jp/page/page_50035.html

(出水市HP、青年の家イベント情報ページにジャンプします)

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<わんぱくトライアル>

 「わんぱくトライアル」のマウンテンバイクを使った自然観察活動では、青年の家に隣接する

市民の森の遊歩道(計5.5km)をマウンテンバイクで移動しつつ、途中三か所で自然と触れ合う

アクティビティを行いました。

 

▲マウンテンバイクで移動中...

 子どもたちが上り坂を一生懸命に進む姿が印象的でした。私も一緒にマウンテンバイクで

 移動しましたが、想像以上に過酷な道のりでした。しかしその分、森のにおいや風の心地よさを

 堪能することができました。

(1)

 

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▲各ポイントで実施したアクティビティ。

 (1):周囲の音を、線や記号等、自分なりの表現を用いて地図にするゲーム(サウンドマップ)を

     行いました。鳥の鳴き声や風の音を始めとする、様々な自然由来の音を聞きとることができ

     ました。

 (2):昆虫採集を行いました。昆虫が好きな子も嫌いな子もお互いに協力しながら採集していました。

     時折、大物を捕まえたときの歓声や昆虫が苦手な子どもたちの絶叫がこだまし、終始賑やかな

     時間になりました。

 (3):松かさ(松ぼっくり)を、チームで協力してできるだけ高く積み上げるゲーム

     (松ぼっくりタワー)を行いました。ただ積み重ねるのではなく、2つの松かさの「カサ」の

     部分をプラモデルのようにかみ合わせたり、他のチームの状況を確認する偵察係を設けたり

     する等、チームによって独自の創意工夫が見られました。

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<ファミリーキャンプ>

 「ファミリーキャンプ」では、身近な自然と触れ合う活動として、自然のモノや形をビンゴ形式で

発見するゲーム(ネイチャービンゴ)を実施しました。

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(2)

 

(3)

 

▲(1):当日使用したビンゴカード。当日は雨が降っており、本来であれば野外活動に適さない

     状況でしたが、雨ならではの自然も楽しんで頂きたいと考え、「みずたまり」や

     「ぬれたはっぱ」等の項目を盛り込んだ雨天用のビンゴカードを使用しました。

 (2):ネイチャービンゴの様子。慣れ親しんだ場所である市民の森が、雨によってどこか神々しい

     雰囲気に包まれていました。子どもたちや保護者の方々は、最初は躊躇した様子でしたが、

     ゲームが終わる頃には多少の雨は誰も気にせず、雨ならではの自然観察を楽しんでいました。

 (3):ビンゴゲーム中、特に参加者の方々の視線を集めたのが、この大きなナメクジ(ヤマナメクジ?)

     です。縮んだ状態でも体長10cmはありそうな、一般的なナメクジ観(?)を覆すスケール

     でした。保護者の方々が苦笑いで眺める中、子どもたちは興味津々の様子でした。

 ゲーム終了後、マスの一つである「雨ならではの○○」について、何が見つかったかを子どもたちに

尋ねたところ、「雨水が地面を流れていて、小川のように見えた」や、「雨粒が木に生えたコケ類をつたう

光景が美しかった」との、素敵な発見を教えてくれました。

 一般的に雨の日は、ネガティブなものとして捉えられがちですが、一方で雨の日にしか見ることが

できない自然の光景や魅力があるように思います。

 市民の森においては、これまでにも野鳥観察会等の自然観察活動を実施してきましたが、その度に新しい

発見があり、いつもわくわくさせてくれる場所です。今後も沢山の方々に市民の森を好きになってもらえる

ような活動ができればと考えています。

 今回このような機会を下さった出水市青年の家の皆さま、そして参加者の皆さま、ありがとうございました。

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2019年06月07日瀬早川の生き物を調べよう!大軣(だいごう)小学校の出前授業 【出水地域】

出水 本多孝成

こんにちは!出水自然保護官事務所の本多です。

今回は、5月23日(木)に、鹿児島県の薩摩川内市立 大軣(だいごう)小学校にて実施した、

瀬早川の生き物調べの出前授業についてお伝えします。

この授業は大軣小学校のふるさと教育の一環として、学校の近くを流れる瀬早川が

どのような川であるかを、生き物調べを通じて学ぶことを目的としています。(四年生対象)

出水自然保護官事務所では、生き物の捕まえ方および調べ方のサポート役として

二年前よりこの授業に協力させて頂いており、今年で三回目の参加となりました。

<生き物採集の様子>

 
▲タモ網を使って魚を追い込んだり、石の裏をひっくり返したりして生き物を捕まえました。

大軣小学校の子どもたちは普段から川遊びや生き物に親しんでいるそうで、

トンボやカニ等の生き物も積極的に素手で捕まえて感触を確かめていました。

 

▲何とこの日のためにゴーグルを持参し、ダイナミックに水中を観察する子もいました。

「何が見られた?」と聞くと、「魚が泳いでたよ!」とまぶしい(ずぶ濡れの)笑顔で

答えてくれました。彼のアイディアと実行力には驚かされました。

<調べ学習の様子>

捕まえた生き物たちをいったん教室に持ち帰り、種名や生態を図鑑で調べました。

 

▲グループに分かれて、調べ学習スタート。

子どもたちは、最初は図鑑をどのように使えばよいか戸惑っていた様子でしたが、

目次や索引等の読み方についてアドバイスし、また捕まえた生き物の特徴を一緒に

考えてみたところ、徐々に自主的に調べられるようになりました。

調べ学習の結果、「メダカ」だと思っていた小魚はカワムツだということ、

また瀬早川にはヨシノボリ、サワガニなどの魚介類、ニホンカワトンボや

ミヤマカワトンボ等の昆虫が生息していることが分かりました。

他にもカワニナやカワゲラの幼虫など、きれいな水を好む生き物が多数生息していることから、

瀬早川はきれいな川であることが分かりました。

▲最後に、採集した生き物にお礼を言い、元の場所へ返しました。

自分の手で捕まえた生き物を、自分で調べて学ぶことは、単に生き物の知識を

増やすだけでなく、その土地の自然環境や生態系に関心を持つきっかけとして非常に

大切なことだと思います。この授業を通じて、ふるさとの自然に少しでも関心を持ち、

その魅力を発掘してもらえたらと思います。

私も子どもたちに図鑑の使い方や観察のしかたを

分かりやすく伝えるにはどうすれば良いかを考えるきっかけができました。

大軣小学校の皆さん、ありがとうございました。

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2019年03月28日ツルとの共生のあり方を探る!出水ツルフェスタ開催 【出水地域】

出水 本多孝成

出水自然保護官事務所の本多です。

1月19・20日及び2月2・3日(土・日)の合計4日間、出水のツル渡来地において、ツルとの共生を考える社会実験「パーク&ライド出水ツルフェスタ」を開催しました。今年で3年目となる取組ですが、皆様のご協力のおかげで今回も無事に終えることができました。

さて、例年イベント当日は九州地方環境事務所の職員が運営を手伝ってくれています。出水は初めてという、鳥越アクティブ・レンジャーの質問に答える形でツルフェスタの紹介をしていきたいと思います。

 

 

 ↑ツルフェスタの広報チラシ。クリック(タップ)で拡大画像が表示されます。

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■鳥越:そもそも、どうしてこの社会実験を行うことになったのですか?

●本多:近年、出水のツル渡来地にはナベヅルが世界の全個体数の9割、マナヅルが4~5割飛来しているとされ、合計1万5千羽程のツルが越冬のために飛来します。こうした一極集中の状態は、仮に出水で災害あるいは鳥インフルエンザ等の野鳥の感染症が発生した場合、ツルが大量死するリスクをはらんでいます。また、地元ではツルの食害対策として始まった人工給餌に誘引されたカモ・カラス類による食害や、一部の来訪者による危険運転・路上駐車等の迷惑行為が問題になっています。

 

 ↑路上駐車のカメラマン(左)/農地を徒歩移動するバードウォッチャー(右)

 ※現在、ツル渡来地は人や車両が自由に出入りできる場所になっていますが、ビジターによる

  路上駐車やわき見運転等が地元の農作業の妨げになっています。加えて、不用意な徒歩移動は、

  野鳥の感染症のウイルスが靴底等に付着し、他の地域へ持ち込まれるリスクを高めると

  考えられています。

以上のような地元の課題やリスクを解決する一手段として、ツル渡来地におけるマイカー規制の社会実験が3年前から始まりました。

■鳥越:今年で3年目ということですが、変化を実感することはありますか?

●本多:1年目は九州地方環境事務所と業務請負者である日本生態系協会が主体となり実施しましたが、2年目以降、徐々に地元の関係機関との連携が強まっていると実感しています。特に今回は、出水市・出水市教育委員会の共催に加え地元企業等の協賛を頂き、ツル観光の視点から出水市全体を盛り上げるためのイベント「ツルフェスタ」として実施することができました。

 

■鳥越:準備をする中で1番大変だったことは何ですか?

●本多:私が担当した中で最も大変だったことは、立入規制を行うエリア(道路)及び周知用の看板の設置に関わる許認可申請です。ツルの渡来地付近は農道・市道・県道・国道が混在するため、各担当窓口へ社会実験の趣旨説明に伺ったり、それぞれに応じた資料を作成したりすることが大変でした。

■鳥越:ツルフェスタ当日は、ガイドバスでコーディネーターを務めていましたが、参加者の皆さんはどのような様子でしたか?

●本多:ツルフェスタではツル渡来地の一部エリアにおける立入規制を実施し、代わりの観光手段としてガイド付きのツアーバスを運行しました。私は、「コーディネーター」としてこのツアーバスの進行役を担当しました。ツアーバスは三つのコース(バードウォッチングコース、歴史不思議発見コース、出水ご当地産物(海苔・農業)コース)に分かれ、ツルガイド博士(出水市主催のツルの検定試験に合格した子どもたち)と、各コースに応じた大人の専門ガイドが案内役を務めました。

 

 ↑大人ガイド(海苔コース)とツルガイド博士

 

 ↑バス車内の様子

ツアーバスにご乗車頂いたほとんどの方が満足されたご様子でした。特に、子どもガイドは自作の資料を使って説明したり、「ツルクイズ」を出題したりしてツアー全体を盛り上げてくれました。他にも、「出水ご当地産物(海苔)コース」において実際の生産現場を見学した際は、地元の方から「出水で海苔の生産が行われているとは知らなかった」との声を頂くことができました。

ツルを含む出水の様々な魅力を、現場の最前線に立つ子どもたちや大人の専門ガイドの方に発信して頂いたことは、「ツルを見て終わり」ではない今後のツル観光を考えるうえでも重要な試みになったと思います。

■鳥越:コーディネーターとして楽しかったこと、苦労したことはありますか?

●本多:苦労したことの方が多いです。ツアーバスの主役はあくまで子どもガイドや大人ガイドであるため、コーディネーターは「黒子役」として臨機応変な対応が求められました。具体的には子どもガイドが言葉に詰まったときにアドバイスしたり、ツアー時間がオーバーしないよう運転手の方にルート変更をお願いしたりする等、常に周囲に気を配っていました。また、子どもガイドの中には初対面の児童・生徒もいたため、バス発車前にガイド内容やルートを一緒に確認したり、お話をしたりして少しでも緊張がほぐれるように努めました。

一方で楽しかったこと(嬉しかったこと)は、子どもガイドや大人ガイドとの連携がうまく取れた時や、乗車して下さった方々に「ありがとう!たのしかったよ!」、「勉強になったよ!」とコメントを頂けたことです。

■鳥越:今回のイベントでいちばん印象に残っていることは何ですか?

●本多:ツルフェスタ当日、来訪者の方より「なぜ、ツルから我々を引き離すようなことをするのか詳しく説明して欲しい」と声をかけて頂いたことです。その時は私からツルフェスタの趣旨や出水の現状について説明し、ご理解を頂けましたが、後で振り返った時に「ツルを自由に観察・撮影したい方にとって立入規制はある意味、迷惑なことなのかもしれない...」と気付かされました。農業、観光、産業(特に養鶏)、ツルの保護等、様々な立場の人々が納得できる「ツルと人とのより良い距離感って何だろう?」と、自分自身に問うきっかけになりました。

■鳥越:出水のアクティブ・レンジャーとして普段から人とツルの関わりを身近で見ていると思いますが、本多さんから見て良いところ、悪いところは何ですか?

●本多:「ツルと人との距離が近い」ことが良いところでもあり、悪いところでもあると思います。良いところは、これだけ多くのナベヅル・マナヅルが飛来する地域は世界的にもほかにはなく、ここだけでしか見られない景観や、羽数調査等、独自の保護活動があることです。悪いところは、ツル渡来地に自由に出入りできることから野鳥の感染症の拡散リスクが高まったり、一部のビジターによる迷惑行為(わき見運転、路上駐車、徒歩移動)が地元の負担になったりすることです。

■鳥越:最後になりますが、本多さんが好きな野鳥は何ですか?

●本多:国内の野鳥は総じて好きですが、特にゴイサギという鳥が好きです。(ツルとは関係ありませんが...笑)。出水では繁殖期に多く、春~初夏は特に観察しやすくなります。とても可愛らしい野鳥なので是非見て頂きたいです。

  

 ↑ゴイサギ

これに関連して、出水にはツル以外にも多くの野鳥が飛来し、4~10月上旬(ツルがいない時期)にも様々な野鳥を観察することができます。田園地帯、湖沼、干潟、河川、岩礁、ヨシ原、里山、山林等フィールドも多様です。「野鳥観察」は出水の大きな見どころだと思います。

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さて、今回はツルフェスタについて、質問に答える形で紹介いたしました。次回は私から、鳥越アクティブ・レンジャーへ出水の印象やツルフェスタの感想を伺ってみたいと思います。

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2018年11月02日身近な野鳥の観察会を実施しました!【出水地域】

出水 本多孝成

出水自然保護官事務所の本多です。

出水では各地でジョウビタキが見られるようになり、一足早い冬の便りが届きました。

また、ツル・カモ類の飛来が本格化し、野鳥観察にぴったりの季節になりました。

今回は、出水自然保護官事務所の普及啓発活動として、9月22日(土)に出水市教育委員会との

共催のもと実施したクレインパーク周辺の身近な野鳥観察会の様子をお伝えします。

【当日の様子】

今回の観察会では、7名の地元住民の方にご参加頂き、また鶴荘学園(旧荘小学校・荘中学校)の

8年生3名に運営ボランティアとしてご協力頂きました。

野鳥観察会の様子

▲左上:観察を始める前にボランティアの皆さんより、双眼鏡の使い方の説明がありました。

▲右上:双眼鏡やスコープを使ってサギ類の識別に挑戦。

▲左下:鳴き声をたよりに野鳥の姿を確認。

▲右下:周辺の水辺でコガタノゲンゴロウやコマツモムシ等の水生昆虫を観察しました。

【当日観察できた野鳥】

確認できた野鳥 カワセミ、ミサゴ、キセキレイ、セイタカシギ

▲左上:カワセミ/右上:ミサゴ/左下:キセキレイ/右下:セイタカシギ

およそ90分の観察時間で、合計21種の野鳥を記録しました。

また、今回新たな試みとして、クレインパーク周辺の多様な環境や野鳥の生息状況をより深く知って

頂くために、観察会の記録結果を反映した野鳥マップを作製しました。

野鳥マップ

▲クレインパーク周辺の野鳥マップ。

野鳥のイラストは、おもに鶴荘学園のボランティア3名に手書きで制作して頂きました。

クレインパーク周辺は、河川(米ノ津川)、小規模な森林・池、ヨシ原、田園地帯などの多様な環境が

コンパクトにまとまっており、各環境を好む様々な野鳥を観察することができます。

出水ではこれまでにツルをはじめとする様々な野鳥の飛来が確認されており、「野鳥の宝庫」として

市内外から知られるようになりました。

こうした出水ならではの自然の魅力を、これからも観察会等を通じて積極的に発信していきたいと思います。

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2018年11月01日出水のツルシーズンが始まりました 【出水地域】

出水 本多孝成

出水自然保護官事務所の本多です。

10月18日(木)、ナベヅル2羽が今季初飛来し、出水のツルシーズンが始まりました。

18日の朝、ツル初飛来の連絡を受け早速ツルの飛来地へ向かったところ、

東干拓の保護区内にて2羽のナベヅル成鳥を確認しました。

ナベヅル初渡来、成鳥2羽

▲10月18日、飛来したばかりのナベヅル成鳥2羽。8:30ごろ撮影。

上の写真は若干ぼやけていますが、これはかなり離れた場所からカメラの望遠機能を使って

撮影したためです。

越冬初期のツルは4~8月の繁殖期において人がいないシベリア半島等の湿地で過ごしていたため

特に警戒心が強く、11月中旬ごろまでは目隠し網で遮られた保護区の奥で行動する傾向にあります。

12月ごろになると、飛来数の増加に伴い二番穂などの餌が少なくなり、また人の存在にも慣れるため、

保護区の目隠し網の近くや、餌を求めて市内各地へ行動範囲を拡げます。

ツルの行動範囲変化の様子

▲ツルの行動範囲の変化。

越冬初期は保護区の奥にいるため、肉眼ではほとんど見えません。

飛来数が増加すると右側の写真のように道路に出てくる等、近くでも観察できるようになります。

早期米刈り取りと二番穂の生育

▲干拓地の早期米と二番穂。

早期米は8月中旬頃に収穫されます。刈り取り後の株からひこばえが生育し、

穂を実らせたものが二番穂です。ちょうどツルの飛来が始まる10月頃に成熟します。

本来であれば二番穂も加工米として収穫されますが、出水では地元農家の方が

ツルのために収穫せずそのまま残してくださっています。

10月29日現在ツルの飛来数は300羽程ですが、これから続々とツルが飛来し、11月下旬には

飛来数がピークに達します。これから1月上旬頃までは特に観察しやすい時期になりますので、

みなさんも是非、ツルを見に出水までお越しください。

==ツル観察・観光の際に役立つサイト=======================

クレインパークいずみ:https://www.city.kagoshima-izumi.lg.jp/cranepark/

ツル観察センター(11月1日オープン予定):http://www.izumi-navi.jp/spots/detail/1

出水市観光協会:http://www.kanko-izumi.com/

=========================================

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