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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

見つけた与那国島の生き物【石垣地域】

2015年06月10日
石垣

5月25日~26日の1泊2日で鳥獣保護区の制札を設置するために与那国島へ行ってきました。沖縄地域は梅雨に入っているため、当日の際も与那国島は曇りで、やや雨の降る天気でした。

鳥獣保護区に新たに設置した制札

与那国島は日本最西端の島です。快晴で空気が澄んだ日には西海岸から台湾の山々を望むことができますが、今回はあいにくの天気でしたので展望することができず残念でした。国境がすぐ近くにあると思うと不思議な感じがします。与那国島には、国内希少野生動植物種に指定されているヨナグニカラスバトやキンバトなどの希少な鳥類が生息しています。鳥類を保全していくために約1,040haの地域が国指定与那国鳥獣保護区に指定され、約63haが特別保護地区となっており、大規模な開発などが規制され、希少鳥類が生息しやすい環境が維持されています。

今回は、台風等で倒れ、撤去されたままだった鳥獣保護区の境界線に新たに制札を取り付けました。沖縄地域は台風が直撃することもあるため、台風後は制札の看板が飛ばされ、支柱だけ残されている被害も多くあり、定期的な巡視は欠かせません。

ナンバンギセル

与那国の林道を走っていると、ナンバンギセルという植物を発見しました。ナンバンギセルは日本各地で生息している植物で、絶滅危惧種に指定されている県もあります。開花は夏から秋にかけて見られ、自ら光合成をすることができないため、他の植物に寄生して養分を得ながら成長し、主にイネ科の植物に寄生する寄生植物です。名前の由来は、その名の通り、むかし、南蛮人がくわえていたパイプに似ていたことから「ナンバンギセル」と名付けられたようです。

上の写真をご覧ください。少しインパクトがありますが、この大きな幼虫も与那国島の生き物です。何の幼虫かわかりますか?

正解は・・・ヨナグニサンの幼虫です。

日本最大の蛾として知られ、沖縄県の天然記念物に指定されているヨナグニサンの幼虫。ヨナグニサンは、与那国島の方言で「アヤミハビル」と呼ばれ、「模様のある蝶」という意味があります。むかしは、標本用に乱獲される等、生息数が危機的な状況まで減少しましたが、現在では、地元の皆さんの保護活動のおかげで、たいぶ生息数が増えてきているようです。5・6月はヨナグニサンの幼虫の時期で、最初に幼虫を見た際は、すごく大きくて、驚きました。ぜひ、与那国島にお越しの際は、観察して頂きたい生き物の1つです。