アクティブ・レンジャー日記
冬に開花する桜・カンヒザクラ【石垣地域】
2022年01月31日みなさん、こんにちは。石垣自然保護官事務所の江川です。暖かいイメージの強い石垣島にも冬の季節が訪れます。1月は曇り空の日も多く、北風が強く吹き、雨が降って急に気温が下がることもあり、半袖では肌寒い時期です。海に入るのが少々辛いですが、山登りをして軽く汗をかくのには最適な気温です。
今回は、石垣島の山で見られる冬ならではの植物を紹介していきたいと思います。
1月15日のパークボランティア活動で、石垣島の自然に関する知識を身につけることを目的として、荒川のカンヒザクラ自生地周辺の観察会を行いました。荒川のカンヒザクラは、国の特別天然記念物として指定されています。石垣島でカンヒザクラを観察できる場所は多くありますが、自然の中で咲いている様子が見られるのは県内でも唯一ここだけです。米原海岸近くにある桴海於茂登岳のふもとに位置します。
満開は例年2月中旬ごろとのことですが、カンヒザクラの自生地までのルートを知り満開の時期まで何度か楽しめるように一足早い時期に観察会を開催しました。
まず、散策の途中に観察した植物を少し紹介します。
地表に目を凝らしてみると、キノコのような不思議な姿の植物がありました。
▲リュウキュウツチトリモチ
12-1月に地表に花茎が現れる。琉球諸島、東南アジア、オセアニア等に分布。キノコのような姿をしているが、特定の植物の根茎に寄生する多年草。沖縄本島でも見られるが八重山諸島のものは赤みがかっている。
また、リュウキュウチクが生い茂るところをかき分けてみると紫色の斑点模様のきれいな花が咲いていました。
▲シマアケボノソウ
1-3月が開花期。八重山諸島に分布。
そして、今回の目的のカンヒザクラはちょうど開花が始まっていて、わずかでしたが濃いピンク色をした花を観察することができました。
▲カンヒザクラ
1月下旬-2月が開花期。台湾、中国南部に分布。市街地に植樹されているが、日本で自生地があるのは石垣島のみ。
また、上から見下ろすとこのような感じです。
まばらでしたが、ヒカゲヘゴなどの亜熱帯植物の緑にピンクが映えていました。満開になると山肌がピンク色になり、美しいそうです。
▲カンヒザクラ自生地の標識
今回の観察会ではこの他にもツワブキやセンリョウ、ムラサキシキブなど冬季に色鮮やかな花や実をつける植物を観察することができました。
蔓延防止措置が取られるなどして観察会の参加者はそれほど多くありませんでしたが、小雨が降りながらも途中晴れ間も見られ、荒川上流から流れる滝を見ながらのんびりと休憩もでき、みなさん楽しんでいる様子でした。