石垣
夏はアジサシたちの繁殖シーズンになります【石垣地域】
2023年07月11日
沖縄地方と奄美地方は梅雨明けし、最近は、海上などでアジサシ類が飛んでいる様子を観察することができるシーズンになりました。陸上では日本で一番小さなセミの”イワサキクサゼミ”が元気よく鳴きます。
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最近は、島内の岩礁などで子育て中のコアジサシを確認することもできます。4月から8月ごろにかけて、アジサシたちは繁殖のために沖縄に渡来し、海岸や岩礁などで産卵や子育てを行うため、アジサシたちは周囲の様子にとても敏感な時期となります。
そこで、特に夏場の時期は子育て中のアジサシを温かく見守っていこうということで、今回は、ポケットサイズの撮れる望遠鏡カメラ「Power Shot ZOOM」を使って撮ったコアジサシの写真を交えて、コアジサシの特徴やアジサシたちはの繁殖シーズンに気をつけておきたいことについてお伝えします。
コアジサシは、夏鳥として沖縄や本州以南などに渡来する小型のアジサシです。種の保存法に基づく国際希少野生動植物種に指定され、環境省レッドリストの絶滅危惧種II類(VU)となっています。
コアジサシの特徴は、くちばしは黄色で先端部分は黒く、脚は橙色(だいだいいろ)です。夏羽は背中から翼にかけて薄い灰色で、額からお腹にかけては白い部分が拡がっています。また、二叉に伸びた尾羽を持っているのも比較的見分けがつきやすいポイントの1つです。
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コアジサシは、小魚を捕らえるために海上を旋回し、上空でホバリング(停空飛翔)をして、海上にいる小魚などに狙いを定めて真っ逆さまに急落下し、水にダイブして小魚を捕らえます。
コアジサシは、埋立地の工事や土地利用によって繁殖地が消失したり、繁殖地付近での海のレジャーによる人の入り込みなどによって刺激を与えてしまうなどして繁殖地が減少しています。また、物音や火に対しても敏感に反応するため、最悪の場合、抱卵や子育てを諦めて、卵や雛(ヒナ)が死んでしまうケースもあります。
アジサシたちの繁殖地付近に近づくと、アジサシたちは「キィッ、キィッ」などと甲高い鳴き声で繁殖地付近の上空を旋回して、警戒鳴きをします。
そういった鳴き声が聞こえる場所では、懸命にアジサシたちが子育てを行っていますので、特に5月中旬~6月ごろは注意して頂き、アジサシたちが安心して産卵や子育てができるように、あたたかく見守る意識をもって、海のレジャーなどを楽しんで頂けるとうれしいなと思います。
毎年、海上付近で、夏を感じさせるアジサシの素敵な鳴き声がいつもでも聞こえ、元気な姿を観察できればと思いますので、ご理解ご協力をよろしくお願いします。