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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

出張授業第2回in大浜小学校

2014年03月31日
石垣
 出会いと別れの季節ですね。石垣自然保護官事務所もこの2ヶ月で職員の半数が変わり、新しい雰囲気となりそうです。私と仲本は引き続き勤務しますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 3月11日、大浜小学校5年生の皆さんへサンゴの授業を行ってきました。去年の10月に4年生へ出張授業を行った小学校です。これまで小学校での学習は体を動かしながら行う授業がほとんどで、他の団体の方々と協力しながら行ってきましたが、今回は電子黒板を使ってお話をする1時間。アクティブレンジャーとして一人で生徒の皆さんの前に立つのも実はこれが初めてです。いつにも増して緊張していましたが、児童の皆さんに暖かく迎えていただきました。
 まず説明するのはサンゴという「生きもの」のお話から。サンゴは固いし動かないのでなかなか生きものとして認識されにくいのですが、その正体は立派な動物です。児童の皆さんに「サンゴって生きもの?それとも石?」と訪ねるとほとんどの児童は「生きもの」と答えてくれるのですが、「それじゃあサンゴは動物?植物?」とクイズを出すと、植物と答える児童の方が多いのです。一般的にイメージしやすい、沖縄の海岸によく転がっているサンゴの固い部分は骨です。サンゴは私たちがよく見にする生きものとは違い、体の周りに骨を作って、本体は骨の間に隠れて身を守ります。サンゴの骨をよく見てみると小さな穴がたくさんあるのがわかります。



写真:塊状サンゴの骨。

この穴の間に小さなイソギンチャクがたくさん住んでいます。そして、サンゴが長い時間をかけて作り上げてきた地形をサンゴ礁と呼び、私たちは食料や観光資源として活用しています。また、昔の人はサンゴを塀や柱の支柱など、建築資材としても利用していました。石垣では古くからサンゴ礁の恩恵を受けていることがわかります―――。そんなお話を、クイズや質問のやりとりを行いながら進行していきました。



写真:質問にきちんと手を挙げて答えてくれる児童たち。(提供:大浜小学校)

後半はそんなサンゴの海に迫る危機と現在の海の様子のお話です。温暖化やオニヒトデ、陸上からの流出などサンゴが晒されている驚異を説明し、赤土が溜まってしまった海と影響を受けていない海の写真を見比べてみました。また、これらの驚異によって八重山の海がどう変化しているのか、海域のサンゴ被度(ある区間がどの程度サンゴで被われているのか)の定点調査の結果を見ながら考えていきました。最後に、自分の目でサンゴや海の生きものを観察して石垣の豊かな自然を感じる体験をしてみてくださいとお願いをして、授業を終了しました。

 後日、児童達から一人ひとりからよせられた感謝状をいただきました。サンゴがイソギンチャクの仲間で毒をもっていることに驚いたという声や、たくさんの種類がいること、きれいな海を守るためにゴミを捨てず、これからも海岸清掃をやっていきたいという言葉がたくさん綴られていました。短い学習時間の中でも、児童達はサンゴを生きものとして理解し、豊かな海に囲まれて生活していることを感じてくれたようです。


 外の世界から八重山を見てみると、たくさんの魅力に溢れている素晴らしい場所だと感じることができます。しかし、その場所に住んでいる人々には「ずっとそこにあるもの」として、価値を認識されずにいることがあります。なぜこの島に憧れてやってくる人がいるのか、どんな魅力があるのかを学校の中で学習することにより、より多くの児童達に住んでいる場所の素晴らしさ、面白さを知り、誇りに思えるふるさとになるよう、これからも力を注いでいこうと思います。