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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

石西礁湖サンゴ群集モニタリング調査に同行しました!

2025年05月15日
石垣 梅岡真弓
みなさんこんにちは!石垣自然保護官事務所の梅岡です。

石垣島と西表島の間には、日本最大規模のサンゴ礁が発達する海域である【石西礁湖】があり、西表石垣国立公園に指定されています。石西礁湖サンゴ群集モニタリング調査において、石西礁湖の中でさらに優れた自然風景を保護するために区域分けされた、海域公園地区のエリアである小浜島・加屋真島・浜島(幻の島)の北側から竹富島の北西にかけて広がるサンゴ礁域へダイビングで同行しました。
定着版設置作業
定着板の設置作業
 
サンゴセンターでは、サンゴの幼生定着量を調査するため、毎年サンゴの産卵前に石西礁湖の31地点へ「定着板」と、水温測定用の「データロガー」を設置しています。1日でそのうち5地点の設置作業と、学識経験者にご協力いただき稚サンゴの加入調査を行います。

学識経験者が調査をしている様子
 
6月と9月には、50m✕50mを遊泳してサンゴを観察し、サンゴの生育状況や生育環境への影響及び季節的な変化を把握するスポットチェック調査を行い、8月には1m×1mの正方形の枠を30㎡に並べ、枠の中のサンゴ類の経年変化を把握するコドラート調査を行います。これらの調査も同じ31地点で行っています。
およそ2歳齢の稚サンゴ稚サンゴが成長している様子
    およそ2歳齢の稚サンゴ              稚サンゴが成長している様子
 
昨年の大規模白化現象の影響を受けて、12月に緊急スポットチェック調査を行いました。その結果、日平均水温が30度を超えた日が90日あり、最高水温が31.9度を記録するなどの影響により、平均被度が13.7%に低下していることがわかりました。しかし、白化率の低かったポイントは、今回の調査で健全なサンゴ群体が多く、およそ2歳齢~3歳齢のサンゴも見られました。

白化現象の影響でサンゴの成熟度が良くないと学識経験者より伺いましたが、今年のサンゴの産卵で多くのサンゴがまた新しい命を花咲かせてくれる事を願っています。
 
ハナガサミドリイシの卵をチェック
ハナガサミドリイシの卵をチェック
 
調査2日目は潮通しが良く卓状サンゴの多いポイントへ。大規模白化の影響で長年かけて大きく成長したサンゴが岩になってしまった姿をみると、私達が何か手を差し伸べる手段はないか考えさせられます。石西礁湖には約360種類のサンゴが生息しています。海も陸も生物多様性を未来に残せるようにこれからも調査を続けていきます。
大規模白化の影響があった4mの卓状ミドリイシ健全な卓状ミドリイシ
完全白化した約4mの卓状ミドリイシ         健全な卓状ミドリイシ