アクティブ・レンジャー日記
サンゴのモニタリング調査【石垣地域】
2021年09月21日アクティブレンジャー日記をご覧の皆さん、こんにちは。
石垣自然保護官事務所の田村彰帆です。
石垣自然保護官事務所では例年、西表島と石垣島の間にある日本一大きなサンゴ礁「石西礁湖(せきせいしょうこ)」にてサンゴのモニタリング調査を行っています。
いくつかある調査項目のうち、「一年生稚サンゴ加入量」の調査に同行したのでその様子を紹介します。
調査日は風も波もないべた凪で、湖の様な海でした。
▲調査中の海の様子
一年生稚サンゴ加入量とは、昨年生まれたサンゴが、幼生になって新しくサンゴ礁に加わり成長している数のことです。
20mm未満のサンゴを1~2齢と考え一年生と呼びます。
調査するサンゴは、調査地点ごとに加入した範囲や傾向が分かりやすいように、ミドリイシ属(放卵放精型)とハナヤサイサンゴ科(幼生保育型)の産卵の仕方が対照的な2種類のサンゴで行います。
ミドリイシ属のサンゴは、ほとんどが卵で放出された後、幼生で海を漂い、潮の流れに乗って広い範囲に分散します。一方、ハナヤサイサンゴ科のサンゴは、多くが親サンゴから幼生で放出され数時間でサンゴ礁に加わり、狭い範囲に分散します。
▲サンゴの産卵の仕方
調査では、50cm×50cm の枠を10か所に置き、目視で枠内に存在する1齢の稚サンゴ群体を探し、群体数を計測します。
稚サンゴの加入量を調べることで、前年と比べ、その調査地点のサンゴが回復するかが分かります。
▲一年生稚サンゴ加入量調査
サンゴ礁のモニタリング調査はほかにも、その年にどれだけサンゴが産卵したか、その年のサンゴの白化の傾向など、同じ場所の変化を追うことで、サンゴ礁の今、現状を知ることができます。
サンゴを守るには、知ることが大切です。
調査中、こんなものを発見しました。
潜水して確認してみると...サンゴに縄が絡まってしまっていました。
サンゴは生き物です。縄が絡まるとサンゴは成長できず、波や潮流などで縄が揺れ動き続けることで、サンゴが折れ、傷つきます。
サンゴが破壊されると、サンゴを住みかとする生物にも影響を与えてしまいます。
海洋のゴミは様々な場所から流れ出て、海面で漂流し、海岸に漂着、海底に残ってしまったものです。
海に流れ出るごみを減らす、海岸清掃活動など、サンゴを守るために自分ができることを考えてみることもサンゴの保全にはとても大切です。
八重山周辺の気になるサンゴの情報等がありましたら、
下記センターまで、是非お寄せ下さい。よろしくお願いします。
<環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター>
住所:沖縄県石垣市八島町2-27
TEL: 0980-82-4902 Mail:coremoc(a)sirius.ocn.ne.jp ※(a)を@に変えて送信下さい