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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

海の自然教室2022【石垣地域】

2022年10月21日
田村彰帆
アクティブレンジャー日記をご覧の皆様、こんにちは。
石垣自然保護官事務所の田村です。
 
西表石垣国立公園は、今年で指定から50年(石垣地域編入から15年)を迎えました。
国立公園の島々と海域には、美しい自然とそこに息づく多様な生き物、その恩恵のもとでの生活と文化があり、島の魅力を求めて多くの人々が訪れます。そんな島の50年の魅力をもう一度見つめ、また、これからも新しく見つかるようにという想いを込めて、様々なイベントを行っています。
西表石垣国立公園50周年を記念して「海の自然教室2022」と題したスノーケル観察会を石垣島の“真栄里海岸”と“米原海岸”で開催しましたのでご紹介します。

海の自然教室2022in真栄里

真栄里海岸はサンゴセンターから歩いてすぐの街に近い海です。しかし、海の中を覗くとユビエダハマサンゴの大群集が広がり、非常に多様な生き物がみられる場所です。
当日、参加者は保護者も含めて11名(家族2組、小学生4名、中学生2名)となりました。
サンゴセンターで、まずはアイスブレイクと事前レクチャーを行い、真栄里海岸に移動し、実際にスノーケルでサンゴや魚の観察を行いました。
移動
▲サンゴセンターから徒歩で移動
海岸
▲海岸の様子

サンゴ礁の出会い系カードゲーム

緊張をほぐすためにスタッフも一緒になって行ったのは「食う×食われる」や「共生関係」「見た目が全く違う成魚と幼魚」などサンゴ礁の中で出会う生き物イラストとセリフが描かれた、2枚でひとつのイラストになる絵合わせゲームです。サンゴ礁には、サンゴ、魚、イソギンチャクなど、多くの生き物が生息していて、生き物たちは生きていくために自分以外の生き物とつながりを持っています。
参加者とスタッフが一斉にサンゴ礁の中で相手を探しました!
無事に全員が出会うことができ、サンゴ礁の生態系を学ぶことができました。
カードゲーム
▲どんな関係性があったかな?(オニヒトデとサンゴのカード)
カードゲーム
▲関係性を発表してもらいました!

事前レクチャー

事前レクチャーでは実際に海の中を見る前に、真栄里の海のお話、サンゴの生態や白化現象、海の危険生物を学んでもらいました。

真栄里海岸のお話

サンゴに脅威を与えている要因は、海水温の上昇による大規模な白化や大型の台風などの地球問題規模の環境問題もありますが、私たちの暮らしの近くにも多く存在しています。
例えば、街に住む私たちの生活からでる生活排水は、海へ流れ込み、少なからず影響を及ぼしています。海が汚れてしまうと、自然はバランスを壊し、サンゴ礁生態系も弱らせます。
料理で使った油や食べ残しをそのまま流したり、洗剤を無駄に多く使わないなど、普段の生活の中でもサンゴに影響与えているかも?という意識が大切です。

海の危険生物

クラゲやイソギンチャクなど、毒を持つ生き物を紹介していただきました。実はサンゴもクラゲやイソギンチャクと同じ刺胞(しほう)動物の仲間です。
レクチャーの最後に、「海で遊ぶ時は『お邪魔します!』の気持ちで遊びましょう」とメッセージを伝えていただきました。
レクチャー
▲レクチャーの様子

スノーケル観察会スタート!

この観察会は初めての人も多いので、まずは水に慣れ、スノーケル器材の正しい使い方から練習します。
ウエットスーツを着ていれば、力を抜いて浮くことで沈まないということを体感してもらうところからスタートです。
まずは足の付く場所でマスクの付け方、スノーケルでの咥え方や呼吸の仕方、スノーケル水が入ってしまった時の水の抜き方、フィンの付け方、サンゴを傷つけない泳ぎ方を講師から教わり十分に自信がついたところでもっと深い場所までチームごとに泳いでいきます。
スノーケル練習
▲呼吸できるかな?
観察の様子
▲アオヒトデ発見!
海の中
▲サンゴがいっぱい!
休憩
▲マイクロアトールで休憩!

まとめin真栄里

参加してくれた小学生から「海のすてきをみんなにも見て欲しい!」「不思議な世界があった。また潜りたい。」と声があり、街のすぐそばにサンゴがいることを知る良い機会になりました。
サンゴの白化やサンゴにかかるゴミなども実際に自分の目で見たことで、ゴミを拾うなど、1人1人の小さな行動もサンゴを守ることにつながるということを知っていただけたら嬉しいです。
集合写真
▲海の自然教室2022in真栄里
様子
▲海の中の様子

海の自然教室2022in米原

米原海岸は、西表石垣国立公園に指定されています。また、気軽にサンゴや熱帯魚を楽しめることから多くの人が訪れる観光スポットです。
当日、参加者は保護者も含めて11名(小学生7名、大人4名)となりました。
米原公民館で、真栄里と同じようにサンゴ礁の出会い系カードゲームのアイスブレイクを行い、サンゴのこと、そして、米原海岸のことを事前レクチャーとして学んでから米原海岸に移動し、実際にスノーケルでサンゴや魚の観察を行いました。

事前レクチャー

サンゴの体の特徴や成長・繫殖の様子、白化現象の仕組み、さらにサンゴに脅威を与えている環境問題等を分かりやすくパネルシアターで説明していただきました。
米原海岸は海の中の国立公園です。砂浜からすぐ近くに様々なサンゴ礁生態系が見られる環境があり、多くの観光客が訪れていますが、多くの人が手軽に訪れるあまりに、踏みつけによるサンゴの損傷など、不適切な利用も目立っています。自然環境の保全や持続的な利用を進めるために「米原海岸利用ルール」というルールがあります。
野生の生き物を捕らないで!サンゴを踏まないで!野生の生き物に餌を与えないで!といった生き物を守るルールの他に、ウエットスーツやライフジャケットを着用して遊びましょう!といった自分の身を守るためのルールもあります。参加者の小学生たちも海に入りたい気持ちを抑え、しっかり話を聞いてくれました。
パネルシアター
▲パネルシアターの様子
レクチャー
▲利用ルールの説明
様子
▲スノーケル器材

海の中では?

真栄里と同じく水慣れやスノーケル器材の使い方をマスターし、海の中ではサンゴや魚を観察しながら、
チームごとに見つけた生き物でビンゴゲームをしながら観察会を行いました。
ビンゴカードには、「まるいもの」「しましま(黒と白)」のようにキーワードイラストが書かれています。
海の中をどんどん泳いでいくと、白とオレンジの3本線のカクレクマノミを見つけました!
両チームとも無事ビンゴ達成し、どんな生き物がいたか、どんな生き物のキーワードだったか、チームごとに発表してもらいました。
白ビンゴ
▲白チームビンゴ開始!
赤ビンゴ
▲赤チームも出発!
クマノミ
▲見つけた行き物
ふりかえり
▲結果発表!

まとめin米原

参加者から「とてもサンゴと魚がすてきだったのできれいなサンゴと魚を大切に残していきたいです。」「親がスノーケルを教えることができなかったので良い体験をしました」と声があり、今回のスノーケル観察会を通して、国立公園の海の中を知り、豊かなサンゴの海を守るため、自分には何ができるか考える良い機会になったと思います。
集合写真
▲海の自然教室2022in米原
様子
▲スノーケルの様子
ご参加ありがとうございました!

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