ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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やんばる

52件の記事があります。

2021年07月01日今年もアジサシがやって来ました!

やんばる 石川伊智子

はじめまして!

やんばる自然保護官事務所の石川伊智子と申します。

今年の4月にアクティブレンジャーとしてやんばるに着任しました。

沖縄生まれ、沖縄育ちのうちなーんちゅです。

大好きな沖縄の豊かな自然を守るお手伝いができればと、このお仕事に着きました。

つい先日、奄美大島、徳之島、西表島とともに世界自然遺産登録の勧告を受け、ますます皆さんにやんばるの自然のおもしろさを知っていただける!とわくわくしています。

これから、たくさんの魅力を発信していきたいと思いますので、よろしくお願い致します。

さて、6月に入り、沖縄はすでに夏も真っ盛りというような気候になってきましたが、この時期に、はるばる海を越えて、沖縄にやってくる生き物がいます。

それが、海鳥の仲間、アジサシ類です。アジサシたちは、遠くオーストラリアから、約6,000kmもの長旅を経て、沖縄で繁殖を行います。

屋我地地区鳥獣保護区管理員さんの情報によると、今年は5月11日頃にエリグロアジサシ、5月30日頃にベニアジサシの飛来が確認されたとのこと。今年も順調に繁殖を行ってくれたら、9月頃に元気に旅立つ親子が見られるかもしれません。

(2020年アジサシについての調査と活動についてはこちらの記事にて→屋我地のアジサシ2020

岩礁に降り立つエリグロアジサシ

◀岩礁に降り立つエリグロアジサシ

環境省が毎年行っている活動として、繁殖岩礁へ上陸について、注意喚起を行う看板の設置があります。人が岩礁に近づいたり、上陸してしまうと、アジサシたちは子育てのために岩礁に降りられなくなったり、親鳥が卵を放棄してしまうことがあります。岩礁に看板を設置し、利用者への注意喚起を行うことは、それを防ぐための重要なミッションです。

この活動は、毎年、屋我地ひるぎ学園5年生の皆さんと一緒に行っているとのことで、私も楽しみにしていたのですが、昨年同様、コロナ感染拡大防止のために一緒に活動することはかなわず・・・。今回は、鳥獣保護区管理員さんと自然保護官、アクティブレンジャーで看板設置に行ってきました。

今回、行ってきたのは、羽地内海の鳥獣保護地区内にある「トゥイヌシ」「長崎」「ウトゥフイ」と呼ばれる岩礁です。

最初に訪れたのは、「トゥイヌシ」と「長崎」。「トゥイヌシ」は、沖縄の方言で「鳥の巣」という意味で、昔からこの地域の人々に、鳥が巣を作る岩礁として認識されてきた場所であることがわかります。こちらの2カ所は、干潮になると歩いて渡ることのできる岩礁です。

干潮時、干潟を歩いて岩礁へ渡る様子◀干潮時には歩いて渡ることができます。潮干狩りや磯歩きでうっかり近づいてしまうことがないよう、注意喚起の看板を設置します。

▼看板設置の様子

 白い看板には、以前、ひるぎ学園のみなさんに書いてもらったアジサシの挿絵が入っています。

岩礁に「鳥獣保護地区」の看板を設置する様子1岩礁に「鳥獣保護地区」の看板を設置する様子2看板を設置した岩礁 屋我地ひるぎ学園5年生の挿絵が入った「この島には立ち入らないでください」の看板  

その日は、全部で4つの岩礁にロープをかけて、看板を設置しました。

看板を設置し終わり、まだ産卵の始まっていない岩礁の上の状態を確認しようと、岩に登ったそのときっ・・・!

エリグロアジサシの飛来

▲第一陣飛来を目撃!?毎年5月中旬頃に飛来が確認されます。

ギュイーッ!ギュイーッ!と鳴きながら私たちの頭上すれすれを飛んできたのは、すでに沖縄に到着していた4羽のエリグロアジサシでした。私たちは、繁殖場所を選んでいたアジサシたちの邪魔をしてしまったようです。ごめん、ごめん、とすぐに退散。

警戒心の強いアジサシにとって、人間が近づいてしまうのはとてもストレスになります。これから9月までは、アジサシたちの繁殖の季節。皆さんも干潟で遊ぶ際は、鳥たちのこともすこーし気にして、遠くから見守ってあげてくださいね。岩礁には、くれぐれも近づいたり、登ったりしないように!

次に訪れたのは、「ウトゥフイ」と呼ばれる岩礁。こちらには、地元の漁師さんの協力の下、船で向かいます。船でしか近寄れない岩礁ですが、釣り人がよく利用する場所だそうです。こちらにも、釣り人に向けて看板を設置します。

ウトゥフイ岩礁に看板を設置する様子ウトゥフイ岩礁 看板設置後の様子

▲岩礁へ上陸するときに、目につきやすい場所へ看板を設置します。

看板の設置後は、岩礁の上の状況を確認しました。

岩の隙間には悲しいことに、人間の忘れ物がたくさん・・・。空き缶やプラスチックの弁当箱、釣り用のテグスなどのゴミです。2人でゴミ拾いをしましたが、わずか20分程度で45Lのゴミ袋がいっぱいになりました。

これらのゴミによって、誤飲や、テグスが足に絡まって壊死するといった事例も起こっており、アジサシにとっても大変脅威となります。

岩礁の上のゴミを拾う様子1岩礁の上のゴミを拾う様子2

▲岩礁上の狭い範囲ですが、45Lの袋がいっぱいになるほどのゴミがありました。

岩の隙間に挟まったゴミ


◀岩の隙間にもゴミが挟まっています。

▼空き缶、テグス、弁当の空き箱、釣り餌のパック・・・

岩礁で拾ったゴミ1 空き缶類岩礁で拾ったゴミ2 テグスや釣り針岩礁の上で拾ったゴミ3 弁当箱や釣り餌のパック

釣りをすること自体は、全く悪いことではありませんが、自然の中で遊ばせてもらっている以上、そこを利用する生き物や環境に対して、最低限の配慮をもって利用したいものです。

それは、アジサシの繁殖期に限らず、自然で遊ぶときには、いつでも心にとめておきましょう!

まとめになりますが、私たちがお願いしたいことは2つです。

  1. アジサシが繁殖に使っている間(5~9月)は岩礁に近づかないこと。

  2. 持ってきた物は必ず持ち帰ること。

今年も続々とアジサシが渡ってきています!

6,000kmの長旅を終え、さらに子育てという大仕事を成し遂げる鳥たちに、安心して過ごしてもらえるよう、私たちは距離をとりつつ、温かく見守っていきましょう!

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2021年03月27日やんばる国立公園でよく見かける工作物は...?【やんばる地域】

やんばる 大嶋優希

はじめまして。

ご挨拶が遅くなりましたが、R28月からやんばる自然保護官事務所のアクティブレンジャーに着任しました、大嶋優希です。

出身は栃木県で、大学と大学院では、やんばる地域の森林について研究していました。R34月からは移住歴7年目に突入します。これからはアクティブレンジャーとして、地域の皆さんと一緒にやんばる地域を支えていけるよう日々努力していきますので、どうぞよろしくお願いします!

私の主な担当業務は国立公園関係なのですが、

先日、国立公園内の巡視(パトロール)をしていたら、こんなものを見つけました。

▲与那覇岳頂上付近に設置されていた工作物

与那覇岳を訪れた記念やルートの目印に付けられたものでしょうか...

実は、やんばる国立公園の巡視中に見かける工作物で一番多いのは、このようなビニールテープです。

本来であれば、国立公園内でこのような工作物を設置するには自然公園法に基づいた許可を受ける必要がありますが、まだまだ自然公園法が浸透していないのか、このような許可を得ていない工作物はなかなか減りません。

物を残していく前に、その場に残していったものが、5年後、10年後どうなるのか、周囲の風致景観にどのような影響を及ぼすのか考えてみてください。特に、ビニールテープのような自然に分解されない物は、ずっとこの土地にゴミとして残り、いつか動物が間違えて食べてしまう可能性もあります。

やんばるの動植物と人間が良い関係でありながら、この素晴らしい自然をこれからもずっと残していけるよう、訪れた際は物を残さず楽しんでいってくださいね。

魅力が沢山なこの土地で、みなさんが来てくれるのをお待ちしています。

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2021年03月22日屋我地のアジサシ2020

やんばる 佐藤 裕樹

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの佐藤です。

7月から屋我地(国指定鳥獣保護区)のアジサシ類を担当することとなりました。

海鳥の美しく洗練された形と優雅でダイナミックな飛翔には心を奪われるものがありますね。

遅くなってしまいましたが、2020年のアジサシについて調査と活動のご報告です。

今シーズンの幕開けは5月10日頃でした。

その時の記事はこちら→ http://kyushu.env.go.jp/blog/2020/05/2020.html

○アジサシ類の調査報告

屋我地のアジサシ類調査は6、7、8月に1回ずつ、計3回実施しています。

その時の調査結果です。

過去5年の記録と比較してみました。

・6ー8月調査の結果

エリグロアジサシの調査結果


エリグロアジサシの調査結果です。

2020年は合計でのべ72巣(6月15巣、7月57巣)を確認しました。直近5年の中では最も多くの巣が確認され、記録のあるなかでも7月にこれだけの巣が確認されたのは過去最高です。そのうち、7月にヒナを1羽、幼鳥を11羽、8月にヒナを1羽、幼鳥を9羽、確認することができました。確認した巣に比べてヒナや幼鳥の確認数が少なくなったのは、調査の時に波が高く、アジサシたちが繁殖している岩礁を細かく確認できなかったことが要因と思われます。実際はもう少し、巣の数も多いかもしれません。また、例年は8月に古宇利大橋の周辺で長旅に備える親子が確認されますが、今年は確認されませんでした。鳥獣保護区管理員さんの熱心な観察により、子育ては順調に進んでいたことを確認していますので、こちらが把握していない場所にいたのかもしれません。

ベニアジサシの調査結果です。

2020年は屋我地鳥獣保護区内での繁殖は確認されませんでした。6月に成鳥が数羽いたものの、昨年に繁殖が確認された岩礁も含め他に姿はありませんでした。しかし8月の調査では、鳥獣保護区の近くにある養殖用の生簀周辺に約180羽のアジサシの仲間が忽然と現れました。なんと!そのうち120羽ほどはベニアジサシの成鳥と幼鳥でした。どうやら屋我地ではないどこか周辺で、繁殖をしていたようです!

2020年のアジサシたちの繁殖結果をまとめると...

●エリグロアジサシ 

 過去最高の営巣数を確認しました。繁殖も順調に進んでいたため、それなりの数の幼鳥が巣だったと思われます。

●ベニアジサシ

 屋我地での繁殖は残念ながらありませんでした。ただし8月に親子が確認されたことから、周辺での繁殖が考えられました。

2020年はエリグロアジサシの巣立ちした幼鳥たちを把握することはできませんでしたが、

営巣数や観察の結果から、それなりに成功をおさめたのではないかと考えています。

その要因を考えてみると2つのことがあげられます。

1)繁殖岩礁への人の上陸がなかった

 過去には多くの巣が確認され繁殖が順調でも、たった一度の上陸によって全滅してしまう例がありました。釣りやマリンレジャーをする方の協力あっての成果です。感謝いたします。今後ともご協力をよろしくお願いいたします!

2)繁殖のタイミングと台風の襲来がうまくズレた

 屋我地で繁殖するアジサシたちですが、台風による高波で岩礁ごと波をかぶってしまい失敗するケースもありました。今シーズンは長雨による影響はあったかもしれませんが、台風が直撃しなかったことが幸いしました。

○アジサシ類に関する活動

また今年は新型コロナウイルス感染症のため、例年通りの活動が制限されるなか、県内での感染が落ち着いたタイミングで、感染症対策に留意しながらひるぎ学園5年生のみなさんとアジサシ観察会を行いました。

あと2ヶ月もすれば、屋我地にアジサシたちが戻ってきます。

次のシーズンはどうなるでしょうか。

今シーズンは屋我地周辺でベニアジサシが繁殖している可能性もみられたことから、

アジサシの群れを見た!、○○島の周辺で見たなど情報がありましたら、ぜひご一報ください。

そして彼らアジサシたちが安心して繁殖していけるように、

みなさんのご協力をお願いいたします。

アジサシたちの飛来を楽しみに待ちましょう!

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2020年05月30日2020年もアジサシがやって来ました!【やんばる地域】

やんばる アクティブレンジャー上開地

こんにちは。
やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。

すーまんぼーすー(梅雨)真っ只中のやんばる。晴天と大雨が日替わりでやってきてます。
梅雨入りのやんばるの森◄雨の日のやんばるの森

そして、私の日記でこの時期と言えば...!そう、今年もアジサシ達がやって来ました!
(過去のアジサシ飛来状況についてはコチラ

屋我地鳥獣保護区管理員さんの情報によると、

今年は5月10日頃から屋我地島周辺にエリグロアジサシが飛来しているそうです。

 

いつもならアジサシの飛来が確認される5月中旬に、

屋我地ひるぎ学園5年生たちと一緒に上陸注意の看板を繁殖岩礁に設置するのですが、

残念ながら今はまだコロナ対策の一環でみんなと一緒に活動が出来ません。

 

そのため今回は、伊藤保護官と佐藤AR、鳥獣保護区管理員さん、私の4人で注意看板の設置に行ってきました。
 

この日、設置したのは羽地内海の特別保護地区内の岩礁4つ。

 

1ヶ所目は、いつもエリグロアジサシが利用する、トゥイヌシの呼ばれる岩礁です。
産卵はまだ始まっていないので、まずは岩礁の上の状況を確認します。
 


写真に写っている軍手はおそらく釣り人の忘れ物です。

昨年のアジサシの繁殖が終わった後に釣り人が利用していたようです。

残念ながら他にもたくさんの忘れ物がありました。

 

  
針付きの釣り糸、針外し


 たばこの吸い殻とハサミ

 
岩礁上の確認をしたら、ロープと看板を設置します。

 

 

 

釣りをする事はまったく悪いことではありません。
私達がお願いしたいことは2つだけです。
●アジサシが繁殖に使っている間は、その岩礁に近づかない(5月~9月)
●いつでもどこでもどんな物でも忘れ物をしない


次は長崎と呼ばれている岩礁3つ。
5年前から、ほぼ毎年繁殖に利用されるようになった岩礁です。
 


ご覧の通り、干潮になると潮が引いて簡単に歩いて行ける場所なので
アジサシを知らずに近づいてしまった時に気付いてもらえるよう看板を設置します。
 

  

今回はひるぎ学園のみんなと設置出来なかったので、少々さみしい紹介になりました...。

 

でも、今年の繁殖がうまくいくように気持ちは充分にこもっています。

 

南西諸島に住む人なら、きっと近くの海の上を飛ぶアジサシたちが見られるはずです。

鳥獣保護区かどうかにかかわらず、子育ての為に帰省してくるアジサシたちと

人にも優しい海の利用を心がけてみませんか。

おさらいですが、守って欲しいことはこの2つ。
●アジサシが繁殖に使っている間は、その岩礁に近づかない(5月~9月)。
●いつでもどこでもどんな物でも忘れ物をしない

今年もみなさんの暖かい見守りをどうぞよろしくお願いいたします。

★アジサシについてもっと知りたい方は★

○ウフギー自然館HP 各種資料

・沖縄のアジサシ ・アジサシが繁殖に来ています

○名護市広報"市民の広場"2020年6月号でアジサシについて紹介してくれました!

今月の1枚 「ソナレムグラの開花」
ソナレムグラ
梅雨時期が開花の真っ盛りの海岸植物。

誰にも踏まれないような場所では綺麗な群生を作ります。

アジサシだけでなく、足元の植物にもほんのチョットの気遣いを!
(作業中に撮った1枚。ピントがズレています...。)

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2020年05月06日やんばる地区アクティブレンジャー募集中です。【やんばる地域】

やんばる アクティブレンジャー上開地

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。

令和2年4月20日から5月29日まで、沖縄奄美自然保護官事務所HPにてやんばる地区のアクティブレンジャーを1名募集しています。(雇用条件などの詳細はHPの募集要項(コチラ)をご覧ください。)

実はこの募集、私の後任にあたります。

私の勤務は今年の7月末までとなり、着任してから94ヵ月の間に様々なかたちで仕事に関わり、楽しかったり、考えさせられたり、困ったりと色んな事がありました。

業務内容については、これまでもアクティブレンジャー日記でノグチゲラやアジサシ、お散歩観察会などについて少しずつ掲載してきましたが、今回は他の業務の様子を紹介します。

過去の日記も合わせてぜひご覧ください。(私も先ほど読み返してとても懐かしかったです。)

 

さて、アクティブレンジャーとは「保護官補佐」ですので、

基本的には環境省が決めた方針に従って、自然保護官が動かしていく業務の"補佐"をしていきます。

その年ごと、時期によって多少の事情は異なりますが、はじめの頃の印象はパソコン仕事が想像よりかなり多いなと思いました。もちろん野外での調査、巡視、希少種の救護などで動きまわる事が多い時期も

ありますが、その後は報告や記録簿を作ります。

これまでの業務内容についてお伝えしたい内容はたくさんありますが、

9年間もあると延々と終わりませんので...。長く続けてきたこと、印象に残った事などを選んでみました。

 

●野生業務

○ノグチゲラ

 野生生物業務は、主に国内希少種に指定され保護増殖事業計画が策定されている種を中心に動いていきます。ノグチゲラの業務では、調査状況の確認や不測の事態が起きた場合などに、調査に同行したりしました。(調査自体は経験豊富な調査員さんが行います。)

 不測の事態については、2011年の日記で紹介していますので、読んでみてください。

◀プレイバック調査の様子

主な調査は、繁殖状況調査、プレイバック調査など。

年によって違う調査を行う事もあります。

 

 

 

◀傷病個体の放鳥

ノグチゲラは窓ガラス衝突やロードキルで死亡したり、

ケガをして見つかることが多々あります。

救護の場合、専門の獣医師の治療を受け、回復できれば放鳥となりますが、野生復帰出来る個体はごくわずかです。

事故は未然に防ぐことがとても大事です。

 

○特定外来生物ツルヒヨドリ等外来植物

 外来生物法により特定外来生物に指定された種は、飼育・栽培・運搬・売買等の事項が禁止されます。

やんばるの代表的な特定外来生物といえばマングースですが、2016年に新規指定されたツルヒヨドリも、残念ながらやんばる3村で侵入が確認されています。

 

ツルヒヨドリは成長速度がとても速く、小さな茎の欠片からも再生するような植物です。

そのため、環境省だけでなく、地権者や地元行政機関とも連携しながら対応し、これ以上拡げないように皆で気をつけることが大切です。

業務では、環境省で行った駆除状況を確認したり、巡視の際に新たにツルヒヨドリが生えていないか、広がっていないか等を確認して、早期発見・対策につなげるように心がけています。

 

◀地域の人と一緒に廻ったツルヒヨドリ分布調査

ミカン畑の周りの自然林を覆いつくすように

拡がっていました。

 


▲ツルヒヨドリはこんなに小さな茎の欠片からも再生し、数年であっというまに木を飲み込むほどに拡り、

他の植物が生えなくなってしまいます。こうならないように、一人一人の意識が大切です。

●普及啓発

○館内の展示、ミニ企画展

2011年にリニューアル1周年記念企画展の様子を少し書いていますが、昔は連休向けのミニ企画展を作っていました。

その時に作ったクイズが、今でも館内のセルフガイドの役割を持って活用されていています。長く活用されていて、とても嬉しいです。

クイズはとても人気で、センター来館の常連さんやインターン生に考えてもらったクイズもあります。この新しいクイズを楽しみに来館する子もいました。

過去に作ったクイズは6種類。

いつかセンターに遊びに来たときに挑戦してみてください。

◀教員の先生出題クイズの表面

他にも、

・やんばるクイズ1

・やんばるクイズ2

・初級クイズ

・常連の男の子出題クイズ

・大学インターン生出題クイズ

があります!

 

 

他には、センターの身近な生き物の生態展示が人気でした。

やんばるにはたくさんの希少種が暮らしていますが、かれらの暮らしを支えているのは、その餌資源となる在来の小動物や植物たちです。

いわゆる、「普通」と言われる影の小さな主役達を紹介出来てとても楽しかったです。

昆虫標本 

▲館内展示の昆虫標本

 センターの周りは集落、森、川が近い環境にあるので、年間を通して本当に色んな生き物が姿を現します。そして、寿命を終えて力尽き、綺麗な姿で落ちている虫たちもよく見かけます。

それらを1つ1つ整理していけば立派な標本のできあがりです。

私の名前でラベルがつている標本は全て死んだ状態で見つかたり、寿命を終えた虫たちです。

残念なことではありますが、やんばるの道路では蝶のロードキルも非常に多いので、

春先はたくさん路上に落ちています。鳥だけでなく、虫に対しても安全運転が大切です。

標本・剥製は作って終わりでは無く、定期的に防虫剤と乾燥剤を入れ替えて劣化を抑えるのも仕事の一つです。

 

○地元小学校での出前授業や読み聞かせ

 地元小学校向けに、やんばるの自然についての授業を行っていました。

センターに一番近い奥間小学校では"めだかの学校"というボランティアの読み聞かせグループがあり、私が着任する前から"ウフギー自然館"も一緒に活動していて、9年間ずっと参加させてもらっていました。

月に1回、朝の15分間でやんばるの生き物や自然に関する話を絵本を使ったり実物を使ったり、いろいろ工夫して子供たちの反応を見るのがとても楽しかったです。

 

◀読み聞かせの様子

最初の頃は協議会職員さんと一緒に2人一組でやっていました。この写真の時のテーマは"ゴキブリ"。沖縄市郷土博物館の企画展「レッテルを貼られたムシたち」の本を使って、家のゴキブリ、森のゴキブリの話をした後、私が森の"サツマゴキブリ"を見せると、きゃ~の声だけでなく、"意外にかわいい"という子もいました。 

 

 

いかがでしたでしょうか。

やはり長くなってしまいましたが、やんばるに興味のある人はぜひご応募ください。

再度のご案内になりますが

詳細は、沖縄奄美自然保護官事務所のホームページコチラをご覧ください。

締め切り 529日(金)必着

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2020年04月26日よんなー(ゆっくり)よんなー(ゆっくり)運転は誰が為に?

やんばる 佐藤 裕樹

よんなー(ゆっくり)よんなー(ゆっくり)運転は誰が為に?【やんばる地域】

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの佐藤です。

新型コロナウイルスの影響で我慢の日々が続きますね。

けれども自然の営みはいつも通り。

森の色が黄緑から少しずつ深くなりアカショウビンの声が響くようになりました。

みなさんにもぜひ、やんばるの森を体感してほしい!ところですが、今は我慢。

この事態が落ち着いたら、またやんばるの森を楽しみにいらしてくださいね。

さて、うりずんの季節も進みヤンバルクイナも子育てに一生懸命な時期。

道路脇でヒナを連れたり、食べものを探したりする姿が頻繁に確認される頃です。

愛らしいヒナや忙しそうに餌運びをする親鳥の姿に心和みますが、

ヤンバルクイナの交通事故が多く確認される時期でもあります。

【やんばる地域における野生動物交通事故確認情報】

 2020年4月25日現在 *交通事故の確認情報は年単位で集計しています

 ヤンバルクイナ 5件(交通事故防止重点区間内 1件)

 ケナガネズミ  0件

ヤンバルクイナの交通事故数確認情報。ヤンバルクイナは4月25日現在、5件の交通事故が確認されています。

昨年、2019年は同時期に9件(速報値)の交通事故が確認されています。

一見、昨年より交通事故が減っているように見えますが、

この確認数の考え方については以前の記事にありますので、ぜひご覧ください。

http://kyushu.env.go.jp/blog/2018/07/post-488.html

以前の記事にも書いていますが、交通事故が多く確認されるのは4月-9月で全体の80%~90%にもなります。

これから9月までの約半年、やんばる地域を通行されるみなさん!時速制限を守って、安全運転をどうぞお願いします。

ただ「安全運転!」と言われても、法定速度で走ることは大前提として、闇雲に気を張り詰めて運転をするのは運転者にとってとても大変ですよね。

そこで近年、特にヤンバルクイナとの交通事故が確認されている場所を図に示してみました。

やんばる地域を通行する際に参考にしてください。

安全運転マップ。2017年~2019年に確認された交通事故情報をもとに特に注意が必要なエリアを示しています。

図.ヤンバルクイナの交通事故が確認されているエリア

この地図は、2017~2019年のヤンバルクイナの交通事故データを用いて作成したものです。赤の色が濃いほど交通事故が確認されているエリア=「ヤンバルクイナの交通事故が起きやすいところ」になります。この結果から、県道2号線や県道70号線が特に注意が必要なエリアだと分かります。

ここで野生動物と交通事故を起こさないための心構えを。

●時間に余裕を持ち、よんな~(ゆっくり)(ゆっくり)よんな~(ゆっくり)(ゆっくり)運転をする

●道はヒトだけでなくヤンバルクイナをはじめ、さまざまな生きものが利用する場である

●「○○がいるかもしれない!」と常に心の片隅にとめておく

●安全運転は生きものたちだけでなく「あなた自身」「大切な人」の命を守ります!

こんな気持ちで運転するのがよいのかもしれません。

みなさんの生きものたちへの理解と、

ちょっとした配慮をどうぞよろしくお願いいたします!

【もし傷ついたり死んでしまったヤンバルクイナなどを見つけたら...】

・環境省やんばる野生生物保護センター(0980-50-1025)

・NPO法人動物たちの病院 沖縄(090-6857-8917

 までご連絡ください!

また、発見した時には以下についても教えていただけるととても助かります。

・見つけた個体の状態(怪我をしている、ぐったりしている、車でぶつかってしまったなど)

・見つけた場所(目印となる施設や建造物、道路名、kp(キロポスト)をお伝えいただくと迅速な対応につながります。)

県道70号線を横断するヤンバルクイナ

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2020年04月18日おうちで作ろう!紙パックでアジサシモビール【やんばる地域】

やんばる アクティブレンジャー上開地

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。

今、世界中が新型コロナウイルス感染拡大防止のための様々な対策をとっているところですが、

その対策の"休校""自宅待機"に合わせて多くの企業・団体が自宅で楽しめるコンテンツを公開しているのをご存じですか?

北海道博物館が企画した「おうちミュージアム」では、全国の60近いミュージアムが参加していて、おうちで楽しく学べるコンテンツがたくさん紹介されています。

(「おうちミュージアム」についてはコチラ

 

やんばる野生生物保護センターは現時点では参加していませんが、ホームページにおうちでも楽しめるパンフレットやワークブックを載せているのでぜひご覧下さい。

今日は、北海道博物館の企画に刺激を受けた私から「紙パックで作るアジサシモビール」を紹介したいと思います!

「紙パックで作るアジサシモビール」は、他の鳥のモビールの作り方を参考にアジサシ版にアレンジして、昨年の羽地ダムこいのぼり祭りのブースで紹介したものです。

アジサシだけでなく、海ゴミについても考えるきっかけにして欲しかったので、準備するものの中には海で拾える人工物も使えるようになっています。

このページをご覧のみなさんもぜひ作ってみてください!

アジサシモビールの作り方

【材料】

1.紙パック1本(1ℓがちょうど良いよ)

2.糸3本(全部で1mぐらい)

 (海ゴミになっている釣り糸や漁網をほどいて使ってみよう)

3.おもり(漂着ゴミの漁具や浮きを探してみよう)

4.吊すためのハンガーや針金

【使う道具】

ハサミ、ペンチ、ペン(黒と赤)、穴を開ける道具、

セロハンテープ(メンディングテープの方が綺麗に仕上がります。)

 

 

準備する物はこちら。(写真に針金とペンと穴を開ける道具を入れ忘れました...。)

糸は釣り糸や漁網、重りは小さな浮きを拾ってきました。

残念な事でもありますが、海に行くとたくさん拾えます。

図を参考に、紙パックにアジサシの胴体と翼の形を書いて切り取っていきます。

ポイントは、左右対称になっているかどうかです。

パーツが3つ切り取れたら、白が表になるように

並べてみましょう。

これだけでもすでにアジサシっぽいです。

 

  

次に胴体の白が表になるように山折りにして、翼を打ち下ろした形に当て、テープでとめます。

この次に翼を上げた形でとめます。 

 

 

反対側も同じです。翼がぴったり重なるようにとめましょう。

 

 

今日はやんばる自然体験活動協議会の職員の比嘉さんと一緒に作っています。

ますますアジサシっぽくなってきました。

 

 

  

次に、糸を通す穴を開けます。

翼をそろえて、両翼貫通するように横並びに2つ開けて下さい。 

 

お腹にも2つ穴を開けます。位置のポイントは、翼の穴の真下になるようにです。

次は糸の準備です。 1mの糸を3等分に切って下さい。

漁網 漁網をほどく 

漁網を使う場合は、繊維をほぐして使います。3本用意して下さいね。

しばる  

1本目の糸を翼の上から下、下から上へと通してなるべく糸の端っこで固結びします。

2本目も反対側の翼に同じように縛ります。 

 

 

通した糸を持つとこんな感じです。

 

  

次に3本目の糸をお腹に通します。

結び目がお腹の真下に来るようにした方がバランスが良いので写真を参考に工夫してみて下さい。

 

 ベニアジサシの顔を描く エリグロアジサシの顔を描く 

次はアジサシの顔を描きます。

私はベニアジサシ、比嘉さんはエリグロアジサシにしました。

この2種類は屋我地島ややんばる地域の岩礁で繁殖しているので良く見かけます。

他にもコアジサシや色んなアジサシの種類がいるので図鑑で調べてみましょう。

  

  

そして重りをお腹の糸に縛ります。翼の糸の端は輪っかを作るように縛って下さい。 

 

 

 

翼の糸の輪っかを準備した針金に引っかけます。

今回はちょうど捨てられる予定の針金ハンガーがあったのでそれを使いました。

針金の形は引っかける場所に合わせて加工しましょう。

これが出来たら完成です。

 

 

 

  完成

じゃーん! 2羽のアジサシが悠々と飛んでいます。

 

このアジサシ、なんとお腹の重りを上下させると翼がパタパタと動きます。

 

 

うまく動かないときは、翼の先にクリップなど重さをつけてあげるとスムーズに動きます。

嘴を細くしたり、尾羽を伸ばしたり、アレンジ次第でもっと可愛くなりますので、是非皆さんも作ってみて下さいね。

やんばる野生生物保護センターでは4月16日と17日に、アカショウビンとサンコウチョウの声が聞こえてきました。

5月のゴールデンウィークを過ぎた頃にはアジサシたちが続々と生まれ故郷の沖縄の海へ戻って来ます。

その頃に、コロナの影響がいったいどんな事になっているか分かりませんが、これ以上の最悪な展開を防ぐめにも、今はみんなで出来る事を1つ1つやっていきましょう。

お家にアジサシを飾って、海に思いをはせてみてはいかがでしょうか。

エリグロアジサシの繁殖岩礁

 

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2020年03月06日第5回 国頭村森林公園外来種駆除イベント【やんばる地域】

やんばる アクティブレンジャー上開地

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。

3月になり、やんばるの森を眺めると新緑がもこもこと広がってきています。

そんな春の兆しが始まる2月に、国頭村森林公園で第5回外来種駆除イベントを行いました。

201711月に開催した第1回目の様子もぜひご覧下さい。

http://kyushu.env.go.jp/blog/2017/12/post-396.html

 

外来種駆除は、完全に排除出来るまで計画的に継続する事が大切です。

 

誰もがやんばるの森の雰囲気を味わえる森林公園が外来種だらけになってしまうと、

本来のやんばるの生き物たちが暮らしにくくなり、ただの緑の公園になってしまいます。

 

やんばるの生き物について楽しく学びながら、外来種をしっかりと取り除く事がこのイベントの目標です。

 

カブトムシやクワガタのお話

イベントの最初は森林公園休養施設のロッジに集まり、九州大学の荒谷先生からカブトムシやクワガタのお話を聞きました。

ペットショップやホームセンターで売られている"国産カブトムシ"は、本州に生息するカブトムシを大量に養殖したものです。

オキナワカブトは、それらのカブトムシとは遺伝的に離れている沖縄だけに住むカブトムシです。クワガタも同じです。

同じ沖縄県内でも生き物たちは島ごとに違う遺伝的グループになっているので、皆さんも買ってきたり、違う地域から捕まえた生き物は、絶対に野外に逃がさないようにしてください。

沖縄だけでなく琉球列島には島それぞれに希少な生き物が多く生息しています。

自然の生き物は観察したら元の場所に戻してあげましょう。

"外来種を増やさない"努力が大切ですが、沖縄では既に外来種の"タイワンカブト"がサトウキビ畑などを中心に定着しています。

オキナワカブトの幼虫とそっくりなので、その見分け方も実物の幼虫を見ながら勉強しました。

タイワンカブトの顔 オキナワカブトの顔

左の明るい茶色顔がタイワンカブト       右がオキナワカブト

 

森林公園内で、左のタイワンカブトの幼虫を見つけたら取り除きます。

さぁ、しっかり勉強した後は野外活動です。

カブトムシフレーク置き場

 

これは3年ほど前から設置している、野生のカブトムシが産卵できる様に作ったフレークです。

自然分解されて木枠が朽ちて中のフレークも少なくなってきたのでみんなで補修・充填します。

 


 

充填するフレークの中に外来種がいたら大変です。

皆で掘って中の生き物を観察しました。

 

 

中からオキナワカブトムシの幼虫がごろごろ。

2チームに分かれての作業でしたが、もう一方のチームではタイワンカブトの幼虫が1匹混じっていたようで、しっかり見分けることが出来ました。

 

外来種ミナミヤスデ 

その他にも、外来種"ミナミヤスデ""ヤンバルトサカヤスデ"が混じっていました。

この2つも沖縄全体に広がり、森林公園にも生息していますが、見分ける勉強もかねて取り除きました。

  

見つけた生き物を仕分けて、フレークを充填。最後にオキナワカブトの幼虫を中に戻します。

しばらく観察するとあっというまに潜って行きました。

 

 

 

午前の部が終わり、さぁ、お昼の後はアメリカハマグルマ...と戻って来たら、北西からどんよりとした雲が!と思ったとたんに大雨が降ってきました。

この日、前線が南下して全国的に雨が降る予報でしたが、外れること無く見事に降ってきました。

午後からのアメリカハマグルマ駆除は残念ながら中止となりました。

 

ですが、イベントは今後も継続していく予定ですので、ぜひ皆さんもいつか参加してみてください。

 

外来種を防ぐポイントは・・

「入れない・捨てない・拡げない」です!

普段の生活の中にこの3つを取り入れましょう。

より詳しく知りたい方は下記をご覧ください。

パンフレット)やんばる地域で対策が必要な外来植物

http://www.ufugi-yambaru.com/shiryou/documents/H30yambarugairaisyokubutu.pdf

環境省HP)外来種問題について

https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/

     生態系被害防止外来種リスト

https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/files/05_rist_zentai_c.pdf

今月の一枚「エゴノキの花」

春も間近のやんばるの森にエゴノキの花が落ちてまるで絨毯のようです。

花びらの枚数には個性があって、4枚から、最高8枚まで見つけたことがあります。

9枚を見つけた方はぜひ教えて下さい。

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2019年09月25日屋我地のアジサシたち2019 Part2【やんばる地域】

やんばる アクティブレンジャー上開地

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。

何かと忙しくなってしまう夏が終わり、沖縄もミーニシ(新北風)と共に

アカハラダカの渡りが始まり、冬鳥のサシバがやって来る季節になってきました。

冬鳥の訪れと共に沖縄で繁殖を終えた夏鳥達も南の国へ戻っていきます。

沖縄のアジサシ達も、子育てを終えて、今頃は海の上を旅している頃でしょうか。

6月に、屋我地鳥獣保護区でのアジサシの保全活動の始まりを紹介してから間が開いてしまいました。

タイムリーに紹介出来なかった事がちょっと悔しいですが、今年の結果を紹介します。

(ぜひ前回の日記6/26"屋我地のアジサシたち"も合わせてお読み下さい。)

http://kyushu.env.go.jp/blog/2019/06/26/

【7月11日の調査】

前回の6月調査では、エリグロアジサシは早めに繁殖に入っていましたが、

ベニアジサシ達は梅雨明けを待っていた様子で、まだどこを繁殖岩礁に選ぶか分かりませんでした。

事前情報で、ベニアジサシが繁殖岩礁に降りた事と「今年の群はかなり大きい」と聞いていたので、

期待を胸に調査の船に乗り込みました。

 

  取材を受けながら、ベニアジサシの繁殖岩礁の近くまでくるとアジサシ達の声が賑やかに聞こえてきました。

みなさん、アジサシ達の姿が見えますでしょうか?

ベニアジサシの群

 

ベニアジサシの群2 

▲約300羽(繁殖個体では過去最高数)ものベニアジサシ達がコロニーを作っています。

(飛んでいる様子を、ウフギー自然館FBに掲載しています)

この群は、陸地から肉眼でも見えるぐらい大きくて、これまでの調査で過去最高の大きさです。

船を使った繁殖調査の他に定期的にアジサシパトロールを行っているのですが、

その時に区長さんが「昔はこれぐらいの群が他の岩礁にいくつも来ていたよ。」と言っていました。

なんてすごい時代でしょう。羨ましいです。

この日のベニアジサシの群も見とれてしまうぐらい美しかったです。

ですが、安心できる事ばかりではありませんでした。

群を眺めていると大きな鳥が急降下してきました。

ハヤブサ

▲ハヤブサです。

本来は沖縄では冬鳥ですが、時折繁殖に参加しない個体が夏もいることがあります。

鳥類を専門に捕食するので、アジサシの天敵です。

(ハヤブサは、ヤンバルクイナと同じ国内希少野生動植物種に指定されている絶滅危惧種です。)

急降下と共にあっという間に親鳥が捕まってしまいました。

この試練はアジサシ自身が乗り越えなくてはいけない事なので、私達は見守る事しか出来ません。

観察中、ずっとベニアジサシ達は警戒して飛び回っていました。

他の岩礁では、一足先に産卵に入っていたエリグロアジサシ達のヒナが船からでも分かるぐらいにすくすくと育っていました。

トゥイヌシ エリグロアジサシヒナ

▲羽地内海のトゥイヌシ。毎年エリグロアジサシが繁殖に使っています。

夫振岩 夫振岩エリグロアジサシヒナ

▲外海(源河川沖)の夫振岩。毎年釣り人の上陸が多く、なかなかアジサシたちが来てくれませんでしたが、

今年は20羽ものエリグロアジサシが繁殖に来てくれました。

このまま順調にいってくれる事を祈りながら7月の調査は終了しました。

【8月16日の調査】

シーズン最後の8月の調査で、無事に巣立った幼鳥がどれだけ見られるかが、

その年が成功か失敗かの判断基準になります。

先月のハヤブサの様子が気がかりですが調査に出発します。

 

▲7月にベニアジサシで賑わっていた岩礁にアジサシの気配がほとんどありません。

岩礁の上空には小魚を持ったまま旋回するベニアジサシが4羽ほどいました。

岩礁のカラス 

▲見ていると、カラスが2羽、岩礁に降りてうろうろ何かを探しまわっています。

 草むらに入った後、何かを持って飛び立ちました。

▲巣立ち直前のヒナです。

カラス1羽がヒナを持ち去った後も、もう1羽のカラスがずっと執拗に岩礁の上で

残りのヒナを探していました。

おそらく、7月にハヤブサに襲われる前の300羽のコロニーだったら

カラスを追い払う事が出来たはずですが、今年は運悪くハヤブサに襲われて

親鳥が減ってきた所をカラスに襲われてしまったのだと思います。非常に悲しい瞬間でした。

その後も屋我地島を一周して調査を続けたところ、古宇利大橋の橋桁で休む幼鳥たちが見られました。

幼鳥ベニとエリグロ

▲一番左がベニアジサシ、右2羽はエリグロアジサシの幼鳥。

今年は幼鳥がベニアジサシで10羽、エリグロアジサシで25羽確認出来ました。

この数は、センターの調査の中では2番目に多い数です。

なので、本来は喜べる結果ですが、7月のベニアジサシ300羽が順調に繁殖していれば、もっと多くの幼鳥がいたはず...、と思うと残念でなりません。

他にも、羽地内海のトゥイヌシでは釣り人が上陸したり、カラスに食べられたヒナと思われる死体も見られました。

 

▲左が岩礁の上に乗ったサンゴの岩。右はヒナの骨や羽軸です。

このサイズの岩が岩礁に乗るほどの荒波は起きていません。おそらく人が乗せたのだと思います。

右の写真はペレットといって、消化出来ない骨や羽などをフクロウやカラスがはき出した物です。

岩礁の上なのでおそらくカラスだと思われます。

巣立ちの結果はまずまず良かったと思えど、まだまだ安心できる状況ではありません。

アジサシ達はとても長生きする事が分かっています。

(過去の標識調査でベニアジサシ,エリグロアジサシともに最長23年11か月)

しかし、1回の繁殖期に巣立たせられるヒナの数は1羽か2羽ほどです。

巣立ち後の幼鳥がその後繁殖に参加できるまでの生存率は、

他の鳥類を参考にするときっと半分以下でしょう。

7月に見た美しいアジサシたちの群が、

屋我地島含め他の繁殖地でも当たり前の様に見られるように、

もっともっと多くの人に知ってもらえるようになって欲しいと思います。

ぜひ、皆さんも出来る事から御協力いただけると嬉しいです。

「昔も今も沖縄は綺麗だねー。」を目指して一緒によろしくお願いします。

来年もたくさんのアジサシたちが来てくれますように...。

★アジサシについてもっと知りたい方は★

○ウフギー自然館HP 各種資料

・沖縄のアジサシ ・アジサシが繁殖に来ています

http://www.ufugi-yambaru.com/shiryou/panfu.html

○名護市広報"市民の広場"2019年6月号でもアジサシについて紹介してくれました!

http://www.city.nago.okinawa.jp/municipal/2018071300163/file_contents/shiminnohiroba201906all.pdf

今月の1枚「アジサシグッズはいかがでしょうか?」

今年、試作してみたアジサシの缶バッチ。

知り合いの方に差し上げたら早速お子さんが付けてくれました。

皆さんも何かデザインに悩んだら、ぜひ"アジサシ"をモチーフにして、生活の中にアジサシを取り入れてみませんか?

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2019年06月26日6月のお散歩観察会 【やんばる地域】

やんばる アクティブレンジャー上開地

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。

今日は梅雨入りさなかの6月の観察会の様子の紹介です。

森のお散歩観察会チラシ

▲チラシ作成時の私の予想では、今頃は梅雨明けだったのですが外れました...。

6月の長尾橋の眺め

▲梅雨明けの予想は外れましたが、清々しい良いお天気でした! 

 

イダジイ未熟

▲長尾橋から双眼鏡でイタジイの樹幹を眺めると来年熟す予定の若いシイノミが膨らみ始めていました。

-ヒメニシキキマワリモドキ?.

▲多分、ヒメニシキキマワリモドキ?

一見真っ黒に見えますが光を当てると背中が七色に光ってキレイです。

この日の観察会では、幼虫をたくさん見つけることが出来ました。

 

ジャコウアゲハ

▲ジャコウアゲハの幼虫(食草リュウキュウウマノスズクサ。毒草です。)

ホリシャシャチホコ(食草エゴノキ).

▲ホリシャシャチホコの幼虫(食草エゴノキ)

初めて見る幼虫で調べるのが大変でした!鮮やかな黄緑色が美しいですね。

そして一番面白い顔と模様をしていたのがこの子です。

アオバセセリ(食草ヤンバルアワブキ).

▲アオバセセリの幼虫(食草ヤンバルアワブキ)

 

黄色と黒の縞々に水色の玉模様。そしてなにより、赤い顔が可愛らしいですね。

この赤い顔は、テントウムシに擬態していると言われているんだそうです。

そう言われてみると、ナナホシテントウに見えてくるような...。

 

このアオバセセリの幼虫、図鑑で初めて見た時からずっと会いたかった幼虫でした。

 

観察会の後、仕事が終わってから友人と別の道を散策したのですが、道沿いのヤンバルアワブキにもついてないかなーと思いながら歩いていると...。

アオバセセリの幼虫

▲ヤンバルアワブキの幼木の葉が巻かれています。

なんだかあやしい...。

中を覗いてみましょう。

 

巣の中

▲いました!赤い顔の幼虫が!

 

アオバセセリの巣

▲よーく探すと大中小、さまざまなサイズの巣があって中に幼虫たちが入っていました。

今までもヤンバルアワブキは何度も見てきたのに気がつかなかったとは...。

今年が当たり年なのかも知れませんが、今まで気がつかなかったのはチョット悔しいです。

何気なく見ている景色の中にも、常に新しい発見があるんだなと改めて感じた観察会でした。

みなさんも一緒にお散歩に行きませんか?

観察会のお申し込みなど詳細はウフギー自然館HPをご覧下さい。

http://www.ufugi-yambaru.com/news/event31.html#event190714

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