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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

サンゴのモニタリング調査に同行しました【石垣地域】

2022年11月25日
石垣 江川博子
みなさん、こんにちは。11月に入り、石垣島は涼しくなってきましたが、晴れの日はまだ半袖で過ごせる気温です。曇りの日も多くなり、過ごしやすい時期です。さて、わたしは先日サンゴのモニタリング調査に同行してきました。毎年、石西礁湖内の決まった31地点で行っている調査です。今年の5月にサンゴ群集モニタリング調査のための事前準備についての記事を書きましたが、その後の様子についてお伝えします。モニタリング調査の項目はいくつかありますが、今回はサンゴ幼生定着量調査についてスポットを当ててご紹介します。
 

サンゴ幼生定着量調査

サンゴの一斉産卵がはじまる前に「定着板」というサンゴの赤ちゃんがくっつきやすい板を調査地点に設置してから、約3~4ヶ月後にその「定着板」を引き上げて今年生まれのサンゴ赤ちゃんがどれほど付いているのかを調べます。
 
こちらが定着板です。板のまわりに様々な生物が付着していました。

定着板を回収していきます。

すると、何かを見つけたようです。

どこにサンゴの赤ちゃんが付いているかわかるでしょうか?

拡大してみます。

3~4ミリほどのサイズですが、いくつかイソギンチャクのようなポリプ(サンゴの1個体)の穴が確認できます。

▲ 定着板についていた今年生まれのサンゴ。くぼみの様な所にポリプがすんでいる。

一方、こちらはとてもわかりやすいです。小さな枝サンゴですね。

定着板が割れないよう丁寧にカゴの中に入れていきます。同時に水温計も回収します。

▲ 定着板回収の様子。ネットに入っているのは作業に使うペンチと水温計。

こうして1地点につき5個のコンクリートブロックに各6枚、計30枚をカゴに入れて持ち帰ります。31地点にすると930枚にもなる定着板を詳細に調べていきます。上の写真のように小さなサンゴの赤ちゃんを海の中で数えるのは大変なため、陸上に持ち帰り顕微鏡を使って種類と数を記録します。
 
この調査は、人間で言えば出生数調査にあたり、石西礁湖のサンゴ群集の将来を予測するするために大切な調査項目のひとつです。今年の夏は台風の接近が遅れて海水温が高いままだったことが原因で、八重山諸島周辺のサンゴに大規模な白化現象が起こりました。こうした大規模な白化現象が起こる環境でも2~3歳令までのサンゴでは白化が起こりにくいことが調査の結果わかってきています。様々な世代が混在していることで、大規模白化をしのいでこれから先も生き延びる個体が出てきます。新しい世代が生まれているかどうか、毎年動向を追うことでサンゴの回復力を予測することができます。
 

番外編

定着板の間には小さなすき間があります。サンゴの赤ちゃんが影になるような場所を好んで着底すると言われており、様々な環境を作り出すために複数の板を縦横にすき間ができるように並べて設置しています。


▲ ボルトをはさみこむことで板を浮かせている

今回の定着板回収の際にすき間からかわいいサイズの貝やヒトデが出てきました。

ちょっとしたすき間でも様々な生き物が利用しているようです。