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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

4年ぶりに竹富島の種子取祭奉納芸能が行われました!【石垣地区】

2023年12月18日
石垣 関森梓
くやーならー!
石垣自然保護官事務所の関森です。
 
西表石垣国立公園である竹富島にて種子(たね)(どり)(さい)が行われました。
種子取祭とは一年の五穀豊穣を願う祭りです。
600年以上の伝統があり、重要無形民俗文化財にも指定されています。
祭りは10日間行われ、7日目の(かのえ)(とら)と8日目の(かの)(とう)に奉納芸能が行われます。
新型コロナウイルスの影響もあり、奉納芸能は4年ぶりに行われました。
 
2日間で行われた芸能は約50点。その中でも4つの芸能と世乞い(ユークイ)についてご紹介します。

奉納芸能

棒術

庭の芸能はこの棒術から始まります。棒術はお祓いの意味を持ち、お清めの役割があるそうです。
2日目の棒術では殺陣の立ち回りの際にナギナタが折れてしまうハプニングがありました。とても力強い演目で、歓声があがる場面もありました。
 
棒術の写真①
▲棒術①
棒術の写真②
▲棒術②

ジッチュ

ジッチュは庭で行われる奉納芸能です。
今から約400年前、人頭税(にんとうぜい)が実施され、島民はその重税に苦しんでいました。そんな重税の中で毎年年貢を納め、10人の子どもを育てた百姓がいました。その百姓は琉球国王に表彰され拝謁(はいえつ)することになりました。その喜びを表した踊りがジッチュです。
その百姓は貧しく、子どもたちの着物が片袖しかなかったことから片袖を抜いて踊ります。
ジッチュの写真
▲ジッチュ①
ジッチュの写真
▲ジッチュ②

弥勒(みるく)

弥勒は舞台で行われる、豊作を願う芸能です。
黒島や波照間島など、八重山地方のお祭りでなじみのあるミルク神が登場します。五穀豊穣の神として考えられ、優しいふっくらとした顔をしています。
子どもたちもミルク神とともに登場し、賑やかな舞台でした。
弥勒の写真
▲弥勒

鍛冶工(カザグ)

農家にとって鉄の農具はとても重宝されました。そんな鉄の農具をつくる様子を表現しているのがこの「鍛冶工狂言」です。
観客の笑いを誘う場面もありとても楽しい狂言でした。
鍛冶工(の写真
▲鍛冶工
種子取祭は、豊作を祈り、農具を作り、種をまき…というようなストーリーで進んでいきます。数多く奉納される芸能のうち、今回は4点をご紹介いたしました。

世乞い(ユークイ)

1日目の奉納芸能が終わると、世乞いに出発します。世乞いは島の家々を巡り豊作を祈る行事で、夜通し行われます。「世(ユー)」とは五穀豊穣や幸せを意味します。
私たちも、習わしである白いはちまきを巻いて世乞い唄を歌いました。祈願の後にはご神酒である泡盛や、ピンダコと呼ばれるニンニクとタコをいただきました。
島民の方と豊作の祈願を行うことができ、とても貴重な経験でした。
世乞いの写真
▲世乞いの様子
世乞いの写真
▲ピンダコと世乞い唄
いつもは多くの観光客で賑わう竹富島ですが、この日は島民の方々の活気と喜びにあふれていました。また、祭を通して、その文化を継承している人々がいるということに改めて気づかされた人もいるのではないでしょうか。
魅力あふれる竹富島は、島民の方が守ってきた自然や歴史、文化の賜です。来島される際は、竹富島の美しい景色だけではなく、歴史や文化も同時に堪能してください。