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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

衰弱したカンムリワシ『ひらり』を放鳥【石垣地域】

2023年12月22日
石垣 アクティブレンジャー 仲本
最近の石垣地域は、雨模様の日が続き、肌寒くなってきました。これからどんどん寒くなりますので、体調を崩さないよう気をつけていきましょう。
 
今回は、令和5年(2023年)9月29日に石垣島北部の海岸近くの農道で、今年巣立ちしたと思われるカンムリワシの幼鳥が衰弱していたところを地元の農家さんが発見され、保護しました。
救護時の様子の写真
▲救護時の様子
動物病院で診察した結果、通常800gぐらいの体重が搬送時は半分の体重400gと著しく痩せていた他、右脚の踵と脚首に当たる箇所に傷がありました。
右脚首のケガ(救護時)の写真
▲右脚首のケガ(救護時)
回復した右脚首のケガ(放鳥前)の写真
▲回復した右脚首のケガ(放鳥前)
動物病院での治療後、11 月から石垣市内の沖縄県傷病野生鳥獣保護飼養ボランティア施設(やいま村ゲージ)で約1か月間リハビリを行っていただき、飛翔状況や体重も回復し、野生復帰が可能と判断されたため、12月5日に地域の皆さんにも見守られながら放鳥することができました。
 
発見者の方に放鳥に立ち会って頂き、愛称を『ひらり』と命名して頂きました。左脚に「6」の数字が刻印されたシルバーのカラーリングを装着しています。
 
自然界で『ひらり』を目撃した際は、幼鳥のため警戒心があまりないので目撃しても近づきすぎず、遠くから温かく見守ってほしいと思います。
 
もしカンムリワシの足環個体の撮影に成功した場合は、撮影した画像を添付の上、撮影場所、日時をぜひカンムリワシ・リサーチの以下のメールアドレスまでご連絡お願いします。
 
<連絡先> 
カンムリワシ・リサーチ宛て
yonnayonna470(a)gmail.com
※(a)を@に置き換えてお送りください。
 
重要な生存確認の情報として記録させていただきますので、ご協力をお願いします。
威嚇する『ひらり』(リハビリゲージ中)の写真
▲威嚇する『ひらり』(リハビリゲージ中)
なかなか飛び立たない『ひらり』(放鳥時)の写真
▲なかなか飛び立たない『ひらり』(放鳥時)
今年もカンムリワシの交通事故が多発しています。石垣島での令和5年(2023年)の救護件数は8件で、交通事故件数は7件となっています。そのうち、6件(2023年12月現在)が交通事故によって死亡しています。昨年の1年間の交通事故件数は10件でした。
 
12月~3月は求愛期や繁殖期を迎え、カンムリワシはエサを求めて活発的になり、よく道路上に出現するため交通事故も増加する傾向にあります。特に夜間や早朝に自動車やバイクを運転する際は、野生動物が道路上に急に飛び出してくることもありますので、カンムリワシをはじめ、野生動物に気を付けて安全運転を努めてもらいたいと思います。


カンムリワシ交通事故多発する地点には、道路脇に移動式看板を設置していますので、よんなー(ゆっくり)ドライブをお願いします。
カンムリワシ交通事故防止移動式看板(島内8箇所に設置)の写真
▲カンムリワシ交通事故防止移動式看板(島内8箇所に設置)
交通事故の場合は、事故当事者による通報が救護を迅速にして、命を救える可能性が高まります。万が一交通事故を起こしてしまった場合でも、故意でない限りは罪に問われることはありませんので、以下の連絡先までどうぞご一報お願いします。皆さんからの連絡が、その後の対策を講じる上でも極めて重要となりますので、ご協力くださいますようお願いします。
 
<カンムリワシの救護連絡先>
○石垣島
環境省石垣自然保護官事務所  ℡:0980-82-4768
石垣市教育委員会文化財課   ℡:0980-83-7269
○西表島
西表野生生物保護センター   ℡:0980-85-5581

カンムリワシの救護情報は、カンムリワシ・リサーチのホームページをご覧ください。
カンムリワシリサーチ (kanmuriwasi.wixsite.com)