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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

新城島インドクジャク銃器駆除【石垣地域】

2013年08月06日
石垣
最近の石垣は、毎日暑い日が続き、雨が降らないので農作物や水不足が心配になります。みなさん熱中症にも十分ご注意下さい。

さて、八重山諸島では、リゾート施設、小学校などから飼育個体が逃げ出したものと考えられるインドクジャクが野生化しており、現在、小浜島・黒島・石垣島・新城島・与那国島で繁殖しています。
インドクジャクは、キジ科の鳥でインドやスリランカなどに自然分布しています。トカゲ類や昆虫のほか、植物の芽・種子・果実を主に採食し、農作物に被害を与えることから、外来生物法の特定外来生物に準じる対策が必要な外来生物として、要注意外来生物に選定されています。

インドクジャクのオス

今回、八重山猟友会の皆さんや新城公民館の方にご協力いただき、新城島で猟犬や銃器を用いて、インドクジャクの駆除作業を実施しました。

駆除作業前の様子

新城島は竹富町にある島で、上地島と下地島の2つの島を総称しています。下地島にはインドクジャクは生息していませんが、上地島には、1969年にリゾート関連企業が宿泊施設で観賞用として飼育していた飼育個体が逃げ出し、野生化していました。その後、平成18年から23年に掛けて129羽を駆除し、現在は5個体以下まで減少していると考えられ、根絶が近い状況となっています。上地島は面積1.76平方キロメートルと小さな島ですが、集落以外の多くの場所は木や草がうっそうと生い茂っています。さらに、クジャクは木の上や草陰にジーと隠れて気づかれないようにしているため、1個体を見つけ出すことも一苦労です。
今回の駆除作業では、目撃情報の多い島内西側を重点的に朝から夕方まで捜索しましたが、1個体を発見するも、逃げられてしまい駆除することが出来ませんでした。これまで銃器駆除以外に捕獲罠を設置して捕獲を試みていますが、警戒心が強い個体が残っているため、罠に掛かる個体が少なくなっているのが現状です。島内にいる個体は、残り数羽と思われるため、再び増える前に駆除を実施していきたいと考えています。

新城島(上地島)内の様子

外来生物は、小さな島の中であっても一度繁殖してしまうと、駆除し、根絶するのに膨大な費用と労力を要します。生き物を飼育しているみなさんは、外来生物法の被害予防三原則である「入れない、捨てない、広げない」を心にとめ、責任を持って生き物を大切に飼育していただきたいと思います。今回の駆除作業に同行して、改めて外来生物を根絶することの難しさを痛感した一日となりました。