アクティブ・レンジャー日記
スノーケル練習会と海の危険生物【石垣地域】
2013年07月10日
石垣
ここ数日、石垣は本当に良く晴れています。観光でいらしている方々は「これぞ八重山!」と喜んでいるのではないでしょうか。ですが、現在台風7号が接近中です。みなさまどうぞご注意を。
さて、夏まっしぐらとなる6月29日(土)、真栄里海岸にて職員とパークボランティア(PV)でスノーケルの練習会を行いました。石垣自然保護官事務所では毎年2度、「海の自然教室」と題してスノーケルを使った観察会を開催しています。この観察会を企画する私たち、そしてお手伝いいただくボランティアさんに求められるのが安全管理の知識と技術です。事故を未然に防ぐよう努め、事故が発生してしまった場合は冷静で早急な対応が求められます。職員は毎年1度の救命講習を受講していますが、すべてをマスターすることはなかなか難しいものです。そこで今回は過去に受けた講習内容を振り返り、特に重要な初期対応の練習会を行いました。
参加者は職員3名、PV2名の計5名。復習も兼ねて進行を行う私にはちょうど良い人数です。2名のボランティアさんは、日頃から海に出かけることがあり、友人に石垣の海を案内することもあるために参加してくださいました。
初めに行った講習は、要救助者がパニックに陥った状態で浮き輪やレスキューチューブを用いて救助する方法です。相手が溺れてパニックになっている場合、慌てて近寄るとつかみかかられ、二人とも溺れてしまう可能性があります。そのため救助の際はまずは浮き輪を渡して落ち着かせます。要救助者が落ち着いたら、状態を確認しながら岸へ戻ります。浮き輪を使った救助訓練の後は、救助者の状態を確認しながらの泳ぎ方や海岸から引き上げて人工呼吸を行う際の注意点など、一連の流れを確認しました。
写真1.レスキューチューブを使った救助訓練
写真2.練習の様子を参加者に見てもらい、改善点などを話し合いました。
今回の練習会では参加者同士で積極的に確認し合い、もう一度練習するなど少人数ならではの意見交換が行われ、充実した時間となりました。私自身も今回の練習会を企画し、事前に練習することで技術をきちんと身につけることができました。
ここで無事に練習会終われば良かったのですが、最後にハプニングが発生してしまいました。こちらもご報告します。
私たちが主催する観察会や練習会では遠くに行きすぎないよう、目印のためにブイを浮かべています。練習後にブイを撤去し、そのまま潮の流れに乗って海岸に戻っていると、不意に頬から唇にかけて電流を流されたような激痛が走りました。何が起こったのかとよく目を凝らすと、小さく透明な浮き袋と鮮やかなブルーの触手。カツオノエボシ(※)です。この日は満潮で風が強かったため、外洋から流れてきたようです。
何が起こったか理解した途端、恥ずかしながら軽くパニックに陥りマスクを外してしまいました。既に足の付く場所だったので立ち上がり冷静さを取り戻しましたが、これが足の付かない場所だったら、落ち着きを取り戻せなかったら・・・考えるとゾッとします。救助の練習をしたその日に私が要救助者になるところでした。ウェットスーツを着ていたことで過信していたのかもしれません。反省です。
写真3.打ち上げられたカツオノエボシ。指のサイズと見比べて小さいことがわかります。(過去の職員が撮影)
海には危険な生物もたくさんいます。6月から9月までは沖縄県より「ハブクラゲ注意報」が発令されるなど注意が呼びかけてられていますが、毎年必ず被害者が出ています。
これから私は、この経験を生かしてとしても皆さんに注意を強く呼びかけたいと思います。一人では海に行かず、危険生物の対処法について知識を身に付けましょう。野外へ出かける際はできるだけ肌の露出は控えましょう。海や山へ出かける際には注意事項を確認し、予防措置を取りましょう。小さな過信が大きな事故へ繋がらないよう、楽しいレジャーをお楽しみください。
※カツオノエボシ
全長10cm~30cm程度。透明または青白い浮き袋を持ち、浮き袋からは長い触手が伸びている。自身に泳力はなく、海面を漂いながら風や潮の流れに乗って移動する。浮き袋は風を受ける帆の役割を持つが、しぼませて海中へ沈むこともある。肉食で、触手に触れてショック死した小魚などを食べる。人が刺された場合、電流が走ったような痛みに襲われる。2度目以降に刺されるとアナフィラキシーショックを起こす場合があり、まれに死亡するケースもある(日本での死亡例はない)。
海岸で打ち上げられている個体を発見しても、しばらくは刺胞が残っているためいたずらしないこと。刺された場合は、海水で触手を落とし、氷水で冷やすこと。ハブクラゲの対処法とは異なり、酢を使用してはいけません!(一部沖縄県HPより抜粋)
さて、夏まっしぐらとなる6月29日(土)、真栄里海岸にて職員とパークボランティア(PV)でスノーケルの練習会を行いました。石垣自然保護官事務所では毎年2度、「海の自然教室」と題してスノーケルを使った観察会を開催しています。この観察会を企画する私たち、そしてお手伝いいただくボランティアさんに求められるのが安全管理の知識と技術です。事故を未然に防ぐよう努め、事故が発生してしまった場合は冷静で早急な対応が求められます。職員は毎年1度の救命講習を受講していますが、すべてをマスターすることはなかなか難しいものです。そこで今回は過去に受けた講習内容を振り返り、特に重要な初期対応の練習会を行いました。
参加者は職員3名、PV2名の計5名。復習も兼ねて進行を行う私にはちょうど良い人数です。2名のボランティアさんは、日頃から海に出かけることがあり、友人に石垣の海を案内することもあるために参加してくださいました。
初めに行った講習は、要救助者がパニックに陥った状態で浮き輪やレスキューチューブを用いて救助する方法です。相手が溺れてパニックになっている場合、慌てて近寄るとつかみかかられ、二人とも溺れてしまう可能性があります。そのため救助の際はまずは浮き輪を渡して落ち着かせます。要救助者が落ち着いたら、状態を確認しながら岸へ戻ります。浮き輪を使った救助訓練の後は、救助者の状態を確認しながらの泳ぎ方や海岸から引き上げて人工呼吸を行う際の注意点など、一連の流れを確認しました。
写真1.レスキューチューブを使った救助訓練
写真2.練習の様子を参加者に見てもらい、改善点などを話し合いました。
今回の練習会では参加者同士で積極的に確認し合い、もう一度練習するなど少人数ならではの意見交換が行われ、充実した時間となりました。私自身も今回の練習会を企画し、事前に練習することで技術をきちんと身につけることができました。
ここで無事に練習会終われば良かったのですが、最後にハプニングが発生してしまいました。こちらもご報告します。
私たちが主催する観察会や練習会では遠くに行きすぎないよう、目印のためにブイを浮かべています。練習後にブイを撤去し、そのまま潮の流れに乗って海岸に戻っていると、不意に頬から唇にかけて電流を流されたような激痛が走りました。何が起こったのかとよく目を凝らすと、小さく透明な浮き袋と鮮やかなブルーの触手。カツオノエボシ(※)です。この日は満潮で風が強かったため、外洋から流れてきたようです。
何が起こったか理解した途端、恥ずかしながら軽くパニックに陥りマスクを外してしまいました。既に足の付く場所だったので立ち上がり冷静さを取り戻しましたが、これが足の付かない場所だったら、落ち着きを取り戻せなかったら・・・考えるとゾッとします。救助の練習をしたその日に私が要救助者になるところでした。ウェットスーツを着ていたことで過信していたのかもしれません。反省です。
写真3.打ち上げられたカツオノエボシ。指のサイズと見比べて小さいことがわかります。(過去の職員が撮影)
海には危険な生物もたくさんいます。6月から9月までは沖縄県より「ハブクラゲ注意報」が発令されるなど注意が呼びかけてられていますが、毎年必ず被害者が出ています。
これから私は、この経験を生かしてとしても皆さんに注意を強く呼びかけたいと思います。一人では海に行かず、危険生物の対処法について知識を身に付けましょう。野外へ出かける際はできるだけ肌の露出は控えましょう。海や山へ出かける際には注意事項を確認し、予防措置を取りましょう。小さな過信が大きな事故へ繋がらないよう、楽しいレジャーをお楽しみください。
※カツオノエボシ
全長10cm~30cm程度。透明または青白い浮き袋を持ち、浮き袋からは長い触手が伸びている。自身に泳力はなく、海面を漂いながら風や潮の流れに乗って移動する。浮き袋は風を受ける帆の役割を持つが、しぼませて海中へ沈むこともある。肉食で、触手に触れてショック死した小魚などを食べる。人が刺された場合、電流が走ったような痛みに襲われる。2度目以降に刺されるとアナフィラキシーショックを起こす場合があり、まれに死亡するケースもある(日本での死亡例はない)。
海岸で打ち上げられている個体を発見しても、しばらくは刺胞が残っているためいたずらしないこと。刺された場合は、海水で触手を落とし、氷水で冷やすこと。ハブクラゲの対処法とは異なり、酢を使用してはいけません!(一部沖縄県HPより抜粋)