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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

今年も実施しました「世界湿地の日」名蔵アンパル自然観察会【石垣地域

2014年03月03日
石垣
みなさん「世界湿地の日(World Wetlands Day)」をご存じでしょうか?『ラムサール条約:特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約』が1971年2月2日にイランのラムサールという都市で結ばれました。世界湿地の日は、同条約や湿地の大切さを一般のみなさんに知っていただこうと世界各地でイベントなどが催される日です。石垣自然保護官事務所では、この日にちなんで2月16日(日)に今年も『「世界湿地の日」名蔵アンパル自然観察会』を実施しましたのでご紹介します。

「世界湿地の日」では毎年、ラムサール事務局からテーマが定められます。2014年のテーマは「湿地と農業」ということで、それに関連した観察会を行いました。アンパルの自然を守る会のみなさんを講師にお迎えし、西表石垣国立公園パークボランティアのみなさんにスタッフ協力いただきました。アンパルの自然を守る会のみなさんには、サトウキビ畑などから流れ出る赤土が海へ流出してしまう原因を実験やパネルを使いながら解説していただいたほか、お子さんや大人も夢中になって砂の中に隠れているカニや貝などを探し、見つけた生き物の生活スタイルの違いなどを解説してもらったり、なかなか入ることのない「マングローブ林内の不思議」と題して、現在起こっているマングローブ林の変化とその原因を説明していただきました。このように内容盛りだくさんで充実した観察会を実施することができました。

写真:小さなケースに水を流して、赤土流出実験する様子

赤土流出実験は、小さなケースに赤土と芝生を張り詰め石垣島で多くある「サトウキビ畑」を再現し、耕した畑と芝が根を張っている畑で大雨が降った場合、どのくらい赤土が海へと流れるのかをわかりやすく比較する実験を行いました。今まで赤土問題について知らなかった子供たちや大人も石垣島で起こっている現状に関心を持たれた様子でした。

写真:干潟の生き物探し

干潟の生き物探しは、参加者に数分間自由に干潟の生き物を探してもらい、見つけた生き物などの名称や生態などを解説いただきました。当日は気温も暖かく晴れたので、たくさんのカニが出現していました。見つけた主なカニ類は、ミナミコメツキガニ、オキナワハクセンシオマネキ、リュウキュウコメツキガニでした。貝類では、アラスジケマンガイ、コゲツノブエ、カヤノミカニモリなどが見つかりました。子供たちは、カニにすごく興味を持ち、探すのに夢中でその場から離れないお子さんたちもいて、毎回お子さんはカニの虜になってしまいます。

写真:昔と現在のマングローブ林内の変化を解説する様子

マングローブ林内では、昔と現在のマングローブ林がどう変化し、なぜ変化しているのかを解説いただきました。なかなか入ることのないマングローブ林を見学して、参加者のみなさんには実際に名蔵アンパルで起こっているマングローブの立ち枯れや倒木の現状を知っていただく良い機会となりました。私も勉強になった一日になりました。

毎年2月に名蔵アンパル観察会を行っていますが、今回も親子連れで参加されるリピーターの方もいたり、参加者から「このような観察会をまたやってほしい」という声も聞かれました。これからも今回のような参加者が楽しく自然とふれあえる観察会を実施して、自然へ関心をもってくれるお子さんたちが今後も増えるといいなと感じました。