アクティブ・レンジャー日記
交通事故に遭ったカンムリワシを放鳥【石垣地域】
2017年10月03日八重山地域の週間天気予報は、おひさまマークが並び、まだまだ暑い日が続きそうです。
さて、8月下旬に交通事故に遭ったカンムリワシ(若鳥)が救護されました。幸い大きな外傷もなく、迅速な救護対応のおかげで順調に回復し、元気になったことから、9月に自然界へと放鳥することができましたので、お伝えしたいと思います。
近年、交通事故に遭ったカンムリワシは重傷個体が多く、元気に回復するまでに至らないケースや死亡した状態で発見されることが増えていました。今年の救護件数(石垣島)は、今回の放鳥個体で9件目となり、その内7件が交通事故、2件が衰弱という内訳となっています。交通事故に遭った個体を放鳥するのは、約1年半ぶりのため、うれしい限りです。
▲放鳥したカンムリワシ
今回放鳥したカンムリワシは、海沿いを走行していた車のフロントガラスに衝突して、軽い脳しんとうを起こしたところを救護されました。このように道路上を低空飛行しますし、生き物や轢死体などを食べようと道路上にしばしば出てくることも多いので、ドライバーのみなさんはお気をつけくださいね!
▲力強く羽ばたいていったカンムリワシ「渚」
放鳥した個体には、左脚に黒のNと刻印された足環を装着し、愛称はNの頭文字から「渚」と名付けられました。「渚」は少し臆病な性格で放鳥時はうずくまってなかなか飛び立っていかなかったですが、少し様子を見ていると立ち上がり、「ふたたび交通事故には遭わないでね!」と願い、元気よく大空へと飛び立っていきました。
<カンムリワシの救護連絡先>
○石垣島
環境省石垣自然保護官事務所 0980-82-4768
石垣市教育委員会文化財課 0980-83-7269
○西表島
西表野生生物保護センター 0980-85-5581
カンムリワシの救護情報はカンムリワシリサーチHPをご覧ください。
http://kanmuriwasi.web.fc2.com/
また、9月下旬に「西表石垣国立公園の生き物たち」と題して、今回放鳥したカンムリワシをはじめとする八重山諸島に生息する希少な生き物や外来生物の問題を紹介したパネル展示を行いました。場所は、八重山の島々をつなぐアクセス拠点となっている石垣島離島ターミナルの中央フロアーです。
離島ターミナルは、観光客だけでなく、地元住民の生活としても非常に多くの人々が行き交う場所のため、たくさんのみなさんに希少種の重要性や外来生物の問題について知ってもらう目的で実施しました。また、第2弾となるパネル展示も行いたいなと思いますので、その際は、ぜひお立ち寄りください。よろしくお願いします。
▲「西表石垣国立公園の生き物たち」パネル展示(石垣島離島ターミナル)