アクティブ・レンジャー日記
野鳥の宝庫・出水でバードウォッチングを始めよう!「身近な野鳥観察会」レポート
2017年09月27日 出水自然保護官事務所の本多です。
今回は出水自然保護官事務所主催「身近な野鳥観察会」(9月2日実施)の様子をお伝えします。
出水市はナベヅル・マナヅルだけではなく、それ以外にも多くの野鳥が観察できる場所として、国内外のバードウォッチャーに広く知られています。出水自然保護官事務所では、このような出水の魅力・価値を多くの人に発信するために、初心者を対象にした「身近な野鳥観察会」をクレインパーク(出水市ツル博物館)周辺にて開催しました。
観察会では、初心者でもわかりやすいように双眼鏡の使い方や、識別のコツ、簡単な渡り鳥の種類(留鳥、冬鳥、夏鳥)について以下の資料を使って説明しました。
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▲観察会の資料
自分が野鳥の観察をはじめた頃を思い出しながら観察のポイントを手帳サイズの小冊子にまとめました(左)。クレインパークからお借りした野鳥の下敷きは図鑑を持ち運ぶより軽くて便利でした。(右)。
▲(左・右)観察会の様子
当日は澄みきった青空と涼しい風に恵まれた一日となりました。
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野鳥観察のコツを説明後、野鳥観察に出発!!しかし、土曜日ということもあり、施設周辺の利用者が多かったため、しばらくは野鳥の姿を確認することができませんでした。「このまま野鳥が出てこなかったらどうしよう...」と、とても心配しましたが、川沿いや田んぼではサギ類をはじめ、様々な野鳥の姿を見ることができました。およそ90分の観察で15種もの野鳥を見ることができました。
野鳥を双眼鏡やフィールドスコープを使って観察すると、肉眼で見るときよりも拡大して見ることができ、まばたきの動きやくちばしの質感など、細部まで確認することができます。このような今まで気付くことのなかった野鳥の生命力あふれる姿を見て、参加者の皆さんもとても驚いていました。
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<観察会で見られた野鳥>
▲(左)セグロセキレイ
比較的よくみかける鳥ですが、実は日本固有種(※)です。海外のバードウォッチャーにとってセグロセキレイは日本で見たい野鳥の一つとなっているようです。
※日本固有種と言われていますが、一方でウスリー川南部と朝鮮半島では繁殖記録もあるそうです。
▲(右)カワウ(翼干し中)
写真は翼干しをしているところです。カワウは他の野鳥と比較して羽の油が少なく濡れやすいため、こまめに翼干しをして体を乾燥させていると言われています。
▲(左)セイタカシギ
セイタカシギは観察会の下見の際に確認しました。鮮やかなピンク色をした長い脚が特徴的で、種名の由来になっています。絶滅危惧Ⅱ類(環境省レッドリスト)に指定されています。
▲(右)スッポン(甲羅干し中)
野鳥ではありませんが、スッポンの甲羅干しの様子も観察することができました。しかもかなりの大型で、昔からこの周辺に生息していたことがうかがえます。よく見ると首・脚を伸ばし、口もあけたままになっています。かなり衝撃的な絵面です。少々間抜けに見えるこの姿も、太陽光を効率よく浴びるためのスッポンなりの知恵なのかもしれません。
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参加者へ実施したアンケートでは「白いサギにもコサギやダイサギ等、さまざまな種類がいることを初めて知った」、「ムクドリのようなよく知っている野鳥を改めて観察してみると新しい発見があり面白かった」、「フィールドスコープを使うと、まるで鳥が目の前にいるかのように大きく見え、迫力があった」等の感想を頂きました。また、中には「野鳥よりもスッポンの甲羅干しが印象に残った(可愛かった)」というユニークな感想もありました。
クレインパークは親子連れが週末に遊びに来るような身近な施設です。このような身近な場所で多数の野鳥をみることができ、改めて出水は人と野鳥との距離が近い、魅力的な場所だと思いました。ただ、こうした出水の魅力はバードウォッチャーなどの一部の人にしか知られていません。そのため今後も定期的に観察会等を開催し、アクティブレンジャーから見た出水の魅力や価値を発信し続けていきたいと思います。
9月に入り、野鳥の渡りが始まっており、出水では観察できる野鳥が日々変化しています。皆さんも、家の近くや外出先等で鳥を見かけたときは、ぜひ一度立ち止まって観察してみてください。「こんな場所にも鳥がいたのか!」、「今日は見たことない鳥が来ているなあ」等、日常に対する新しい発見や彩りが生まれるかもしれません。