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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

ベッコウウトンボの採卵に行ってきました。

2024年05月27日
出水 中島 楽喜
 はじめまして。今年度から出水のアクティブレンジャーになりました中島です。
4月28日にベッコウトンボを保護する会の皆さんとベッコウトンボの採卵に行ってきましたのでその様子をお伝えします。

ベッコウトンボとは


ベッコウトンボは未成熟の個体がベッコウのような色と模様であることで名付けられました。上の写真のベッコウトンボは未成熟個体です。成熟すると黒っぽい色になります。
人間の活動や外来種による捕食の影響で生息地が減少し、現在では絶滅危惧種IA類に指定されています。
↓成熟個体 黒褐色がしぶくてカッコイイ!

藺牟田池

休日は親子連れを中心に多くの人でにぎわう県立公園です。国内のベッコウトンボの最も安定した生息地で多くの種類のトンボを見ることのでき、ラムサール条約にも指定されている重要な湿地としての一面も持ちます。

なぜベッコウトンボの採卵をするのか

・藺牟田池にいるベッコウトンボの数を増やす。
・藺牟田池が乾いてしまう、自然災害が起きて撹乱が入るなどの可能性を考え、安全な場所で育てる。(生息域外保全)
以上二つが目的です。採卵した卵はふ化した後ビオトープで育て、次の年羽化したものから放流しています。
サムネイルのベッコウトンボは昨年採卵したものが羽化し、放流した個体です。

採卵の様子です。
成熟した雌を捕獲し産卵を促すため腹を水につけます。採卵したらリリースします。

これからの時期の見所

  ベッコウトンボのピークは過ぎてしまいましたが5/20時点では確認することができました。ハラビロトンボやチョウトンボが多く見られ、ほかにも複数種のトンボやチョウ、野鳥が観察できたので是非探しに行ってみてください。
生き物探しのほかにも生態資料館アクアイムや貸し自転車、貸しボートにピクニックなど藺牟田池には多くの楽しみ方があります。

チョウトンボ                     飛んでいる姿
                           チョウのようにヒラヒラと飛びます。
    

ハラビロトンボ                    リュウキュウベニイトトンボ
  
 

藺牟田池を利用する上での注意

・ベッコウトンボは原則、成虫、卵を問わず法律によって採取が禁止されています。調査・研究のため採取する際には環境省への申請が必要です。捕まえず観察するだけにしましょう。
・「浮島」と呼ばれる泥炭形成植物群落(下画像参照)は天然記念物に指定されています。立ち入らないようにしましょう。

・浮島付近では釣りやボートの立入りが制限されている場所があります。よく確認して遊びましょう。
・マムシやハチに気をつけ不用意にヤブの中に入らないようにしましょう。
・日陰が多くありません。また、アクアイムから離れると自販機などもないので熱中症に気をつけて探索しましょう。