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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

市民の森で自然観察!(後編) 昆虫採集&自然のフォトフレームづくり【出水地域】

2020年09月16日
出水

出水自然保護官事務所の本多です。

今夏も、出水市青年の家よりご依頼を頂き、同所の主催事業である「わんぱくトライアル」及び「ファミリーキャンプ」において自然観察活動を実施致しました。こちらの様子を前編と後編に分けて紹介致します。

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今回は後編として、8月23日(日)に実施した、ファミリーキャンプにおける自然観察活動の様子をお伝えします。

ファミリーキャンプは、飯ごう炊飯やテントでの宿泊を通じて、家族の絆を深めてもらうイベントです。

出水自然保護官事務所では、わんぱくトライアルと同様に2日目の午前中に自然観察活動のお時間を頂き、①昆虫採集と②自然のクラフトづくりの二つを実施しました。

❚ ①昆虫採集 a.m.7:00~8:00

会場近くの林(市民の森)で昆虫採集を行いました。前日の夜に2種類のトラップ(バナナトラップ、落とし穴トラップ)を仕掛けておき、当日朝、それらを回収しながら捕まえた昆虫を観察しました。

 

▲ バナナトラップの設置・回収

前日の夜、ジッパー付き容器にバナナ、芋焼酎、砂糖、ドライイーストを入れて発酵させたものを、クヌギの幹に直接塗りつけました。翌朝、参加者の皆さんと一緒にトラップの様子を見てみたところ、発酵臭に誘引されたクロゴキブリを発見しました。今回は残念ながら、カブトムシやクワガタムシ等の人気種は見当たりませんでした。

 

▲ 落とし穴トラップ(ベイトトラップ)の設置

地面に小さな穴を掘り、そこへ餌を入れたプラスチックコップをはめ込みました。プラスチックコップは表面が滑らかであるため、餌のにおいに誘引されたターゲットが一度コップの中に落ちてしまうと、自力で這い上がることが困難になる...という仕掛けです。

餌の違いによって集まる昆虫にも差が生じるのではないかと考え、トマト、りんご、バナナ、にぼし、かつおぶし、魚肉ソーセージの6種の餌を使用しました。設置後、ポイントを俯瞰して眺めてみると、まるで繁華街の薄暗い路地裏のような、いかにも胡散臭い雰囲気が漂っていました。

 

▲ 落とし穴トラップで捕まえた昆虫

翌朝、昨夜の胡散臭さとは裏腹に、トラップの中にはアリ、チャバネゴキブリ、サツマゴキブリ等、地面を移動することに長けた昆虫が多数入っていました。また、トマトとかつおぶしのコップにはセンチコガネ(左の写真)が入っており、そのメタリックな輝きから、子供たちの熱視線と関心を集めていました。

※なお、自然観察活動プログラムの終了後、トラップを処分する際に中身を確認したところ、本番よりも多くの昆虫が入っていました。特に昆虫からの人気が高かったのはトマトとかつおぶしで、トマトにはカブトムシ、ヒラタクワガタ等の発酵臭を好む昆虫が入っており、かつおぶしにはマイマイカブリ(右の写真:肉食性の強い昆虫)が入っていました。餌が異なると、捕まえられる昆虫も異なるようです。

 

▲ その他、昆虫の解説

アブラゼミの雌雄の見分け方について紹介したり、落ちていた大型のヒラタクワガタ雄の頭部を観察したりしました。また、アクティブレンジャーがクレインパーク周辺や市民の森で事前に捕まえておいた昆虫(カブトムシ、コクワガタ、ノコギリクワガタ、ニジゴミムシダマシ)を持参し、それぞれの生態について解説しました。

❚ ②自然クラフト(森と海のフォトフレームづくり)a.m.9:30~11:00

昆虫採集の後、自然クラフトとして森と海の素材を使ったフォトフレームづくりを行いました。

 

▲ 使用した森と海の素材

フォトフレームと、森の素材(出水市内でとれたフウ、ジュズダマ、ヤシャブシの実等)は青年の家にご用意いただきました。海の素材はアクティブレンジャーが個人の趣味で集めた貝殻やシーグラス、流木(すべて北薩地域で拾ったもの)などを用意しました。

 

 

▲ フォトフレームづくりの様子と完成した作品(一部)

フォトフレームづくりでは、子供たちが率先して素材を選んだり、保護者の方々へ(まるで映画監督のように)「指示」を出したりする姿が印象に残りました。完成作品は、キャンプ中に撮影した家族の集合写真を入れる思い出のフォトフレームとしてそのままお持ち帰り頂きました。

今回のフォトフレームづくりのように、その地域内で採れた素材のみを使用したクラフトづくりは、「身近にこのような魅力的な自然があったのか!」と、地域の自然の魅力や価値を捉えなおす良いきっかけになると思いました。今後も、様々な企画を通じて、出水の自然の魅力を再発見するお手伝いができればと考えています。

▲ ご参加いただいた子供たちとの記念写真

青年の家の皆様、参加者の皆様、ありがとうございました。