アクティブ・レンジャー日記
出水はツルばかり注目されがちですが、実は・・。
2021年12月27日みなさんこんにちは。
出水自然保護官事務所の坂本です。
↑(左マナヅル 右ナベヅル)
今年もたくさんのツルが渡来してきています。
出水市では毎年一万羽を超えるナベヅル・マナヅルが越冬することから、日本一のツル渡来地です。このことを知っていた方は多いのではないでしょうか?しかし出水の野鳥は、ツルだけではありません。
日本で見られる野鳥は約600種で、出水で見られる野鳥は約300種と言われています。300種は多いですよね。県外の方がツルを見に来られた際にお伝えすると知られない方がほとんどです。私は1年かけて300種すべて確認or写真に収めようと思っているのですが、確認できた種数はまだ100種ほどです。野鳥は警戒心が強く、カメラを向けると飛んでいったり、物陰に隠れたりで、撮影が困難な鳥もいます...。出水・高尾野鳥獣保護区は海沿いに位置していて、潮見表を確認し、巡視の日を決めたり、時間帯をずらすなどして工夫しています。同じ場所でも、満潮時と干潮時では、それぞれ居る鳥が違い、満潮時は、カモやバンなど水に浮いている鳥が多く、干潮時にはサギやシギなど、とがった嘴で干潟の餌を探す鳥が多いと感じます。鳥と水辺の関係性はとても興味深いものがあります。
そんな出水では、2021年11月18日、国内53番目となるラムサール条約登録湿地として、「出水ツルの越冬地 (Izumi Wintering Habitat of Cranes)」が新たに登録されました。
ラムサール条約とは?環境省ホームページ↓
https://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/About_RamarConvention.html
出水市ホームページ↓
https://www.city.kagoshima-izumi.lg.jp/welcome/
■今回は、私が出水・高尾野鳥獣保護区で確認した野鳥を紹介させて頂きます。
クロツラヘラサギ ペリカン目/トキ科
世界的に数が少ない貴重な鳥。ヘラサギに似ているが目先まで黒い皮膚が露出する。田んぼや干潟の浅瀬で嘴を左右に振りながら歩き回り魚などを捕食する。
タゲリ チドリ目/チドリ科
長い冠羽があり、後頭から体の上面は緑や赤の光沢がある。猫のような声でなく。田に多い。
セイタカシギ チドリ目/セイタカシギ科
嘴は黒くて細長い。足は非常に長くて赤い。干潮時の干潟に多い。
ミサゴ タカ目/ミサゴ科
水面が穏やかな場所を好む。ホバリングして魚群を確認、急降下して魚を捕る。
魚を捕ることから、ウオタカ(魚鷹)とも言われる。
英名が「オスプレイ」。あの米軍のヘリコプター「オスプレイ」の名前の由来ともなった鳥です。
チョウゲンボウ ハヤブサ目/ハヤブサ科
ハヤブサ類にしてはひらひらした感じで飛ぶ。ときどき低空飛行をして、地上にいる昆虫類やネズミなどを捕る。
ハシブトガラス スズメ目/カラス科
ハシボソガラスと比べると体は若干大きく、嘴は黒くて太い。上嘴は大きく湾曲している。
雑食性で他のどの鳥よりも何でも食べる。
下の表は、12月9日に出水・高尾野鳥獣保護区内で確認した野鳥になります。
記録日時 2021年12月9日(木曜日)
記録者 アクティブレンジャー坂本
天候 晴れ
最高気温/最低気温 17℃/3℃
時間 10:00~15:00(休憩12:00~13:00)
全43種
皆さんも出水に来られる機会があれば、ツルだけでなく、他の野鳥も観察してみて下さい。
(野鳥ですので必ずいるわけではありませんのでご理解頂ければと思います。)
■野鳥観察のマナー
野鳥観察の際には、地域から理解を得て持続的に楽しむために、地域の方々や野鳥の生活に配慮しましょう。干拓地や農地等での野鳥撮影やバードウォッチングをする一部の来訪者によって、農地への無断での侵入、危険な脇見運転や路上駐車などが行われています。このような行為は干拓地での農作業だけでなく、居住者の通行にも支障が出ています。また野鳥に不用意に近づいたり、光を当てたりすると、野鳥をおびえさせ、野鳥本来の姿を見ることができなくなります。ルールやマナーを守ってバードウォッチングを楽しみましょう。