アクティブ・レンジャー日記
ツルと人との共生のあり方を探る!ツル越冬地マイカー規制の社会実験【出水地域】
2018年03月07日出水自然保護官事務所のアクティブレンジャー、本多です。
今回は、ツル越冬地のマイカー規制の社会実験についてお伝えします。
出水は地元による長年の保護活動のおかげもあり、毎年1万羽以上のツルが飛来する国内最大のツル越冬地として知られるようになりました。しかし一方で高病原性鳥インフルエンザのリスク、一部の来訪者の迷惑駐車・農地への侵入など、現場では様々な問題が生じています。
このような問題解決の一手段として、環境省ではツル越冬地のマイカー規制の社会実験を地元のボランティアや関係機関の協力のもと実施しました。越冬地の一部へのマイカー乗り入れを制限し、来訪者の方々にクレインパークいずみ(ツル博物館)への駐車をお願いしました。クレインパークいずみからは、ツル観察センター行のガイド付きシャトルバスを往復で運行し、普段とは異なるスタイルのツル観光・観察を体験して頂きました。合計33人の運営ボランティア、41人のツルガイド博士(後述)にご協力頂き、また567人の方々にシャトルバスにご乗車頂きました。ご協力・ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
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<社会実験当日の様子>
▲越冬地の数か所に交通誘導ポイントを設け、来訪者の方々にクレインパークいずみへの移動とシャトルバスの利用をお願いしました。多くの方が快く協力してくださいました。
▲シャトルバス乗降時には消毒マット(写真:緑色のマット)を踏んで頂き、鳥インフルエンザの防疫にご協力いただきました。
▲ツル観察センターへ向かうシャトルバスの車内では、地元の専門家とツルガイド博士(※)の子供たちによるツルの生態や越冬地の解説を行いました。子供たちの中には手作りの資料やマナヅルの可愛い被り物(!)を持ってきてくださった方もいました。オリジナリティーに溢れたガイドは乗客の皆さんからも好評でした。
▲クレインパークいずみでは地元の特産品・ハンドメイド雑貨の出店や高校生たちが独自で開発したスイーツの販売が行われ、館内では押し花カレンダー作りの体験イベントが催されました。お土産を買う方、軽食を楽しむ方、家族で押し花カレンダー作りに参加される方など、多くの人で賑わっていました。
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ツルと人とのより良い共生は非常に難しい問題です。この実現のためには様々な人の意見や提案が欠かせません。今後も越冬地のマイカー規制の社会実験等を通じて皆さんの声に耳を傾けていきたいと考えています。
また今回の社会実験では様々な方にご協力頂きました。特に運営ボランティアの皆さま、ツル博士ガイドの子供たち、出水市および関係者の皆さま、そしてシャトルバス利用にご協力いただいた来訪者の皆さま、本当にありがとうございました。
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(※)ツルガイド博士は、出水市内の小・中学生で構成され、主に冬休み期間中に来訪者の方々へツルの解説を行うボランティア組織です。現在、合計153名がツルガイド博士に登録されているそうです。