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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

鶴荘学園の生徒たちに出前授業を行いました 【出水地域】

2018年08月01日
出水

 こんにちは!出水自然保護官事務所の本多です。

 今回は出水市の義務教育学校である鶴荘(かくしょう)学園の依頼により実施した職場体験学習(出前授業)の様子をお伝えします。

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鶴荘学園は、2017年4月に以前の荘小学校と以前の荘中学校が統合して発足した

小中一貫の「義務教育学校」です。学校独自の科目である「ツル科」や、

ツル羽数調査など、ツルに特化した学習・活動に取り組んでいます。

※羽数調査は出水市立高尾野中学校と合同で行っています。

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 今回の出前授業は、ツルとの関りが深く豊富な知識をもつ鶴荘学園の生徒たちが対象であることから、出水自然保護官事務所の専門的な業務である高病原性鳥インフルエンザ対策を中心に紹介することにしました。また、生徒の皆さんに実際の現場を見てもらいたいと考え、出水の鳥インフルエンザ対策の拠点であるツル保護センターで行いました。

<授業の様子>

鳥インフルエンザに関わる対応やその他環境省の業務を紹介  高病原性鳥インフルエンザに関わる対応やその他環境省の業務を紹介 

▲高病原性鳥インフルエンザに関わる対応やその他環境省の業務を紹介

 授業では、「そもそも鳥インフルエンザってなに?」「環境省や出水自然保護官事務所ではどんなことをしているの?」という観点から、まず、鳥インフルエンザウイルスとは何か?や社会に与える影響、環境省で行っている野鳥の高病原性鳥インフルエンザ対策、鳥インフルエンザが発生した時に現場で実施する死亡野鳥パトロールについて解説しました。また、業務の話題以外にも、レンジャー/アクティブレンジャーのお仕事のやりがいや大変なところ等を紹介しました。

鳥インフルエンザ簡易検査の手順を紹介 ナベヅルのぬいぐるみ

▲鳥インフルエンザ簡易検査の手順を解説(左)/ナベヅルのぬいぐるみ(右)

 次に、保護センター内の各施設を見学しました。

 ツルの治療等を行う処置室では、鳥インフルエンザ簡易検査の方法・手順を検査キットやナベヅルのぬいぐるみを用いてデモンストレーションしました。

飼育ゲージの見学翼が折れて飛べなくなったマナヅル

▲飼育ゲージの見学(左)/現在保護飼育されているマナヅル。翼が折れて飛べなくなった個体です。(右)

 他にも、翼が折れて飛べなくなったツルを保護する飼育ケージや、簡易検査で高病原性鳥インフルエンザ陽性と診断されたツルを隔離する隔離室、死亡野鳥パトロールで回収した死亡野鳥を簡易検査まで一時保存する冷蔵庫等を紹介しました。

 鶴荘学園の生徒の皆さんからは「鳥インフルエンザが1件でも発生すれば、野鳥パトロール等の多くの対応に追われると知り、大変なお仕事だと思った」、「レンジャーの方の『(一般の方々に対して発する)一言の責任が重い仕事』という言葉に共感した」、「検査の方法など初めて知ることがとても多く、今後のツル学習に活かしたい」等の感想を頂きました。

 出水では地元の方をはじめ、様々な関係者がツルの保護や鳥インフルエンザ対策のため尽力してくださっています。この出前授業をきっかけにツル保護に携わる人々、レンジャー/アクティブレンジャーのお仕事に関心を持ってもらえればと思います。