アクティブ・レンジャー日記
九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。
ベッコウトンボ 激レアな生息地「鹿児島県 藺牟田池(いむたいけ)」
2023年06月05日
出水
みなさん、こんにちは。出水自然保護官事務所の岡本です。
今回ご紹介するのは絶滅危惧種のベッコウトンボと、ベッコウトンボの数少ない生息地である鹿児島県薩摩川内市の藺牟田池(いむたいけ)です。
まずベッコウトンボをご紹介します。体長は約4センチメートル、翅(はね)を広げた大きさは約7センチメートルです(※1)。翅には特徴である3個の褐色もようがはっきり見えます。体と翅の褐色は名前の由来となった「べっこう色」です。同じ色の枯れ草などに止まると風景に溶け込み見つけるのに苦労しました。止まった姿も良いのですが、私は元気よく軽やかに飛んでる姿が一番魅力的に感じました。
今回ご紹介するのは絶滅危惧種のベッコウトンボと、ベッコウトンボの数少ない生息地である鹿児島県薩摩川内市の藺牟田池(いむたいけ)です。
まずベッコウトンボをご紹介します。体長は約4センチメートル、翅(はね)を広げた大きさは約7センチメートルです(※1)。翅には特徴である3個の褐色もようがはっきり見えます。体と翅の褐色は名前の由来となった「べっこう色」です。同じ色の枯れ草などに止まると風景に溶け込み見つけるのに苦労しました。止まった姿も良いのですが、私は元気よく軽やかに飛んでる姿が一番魅力的に感じました。
ベッコウトンボの生息地は、抽水植物(ちゅうすいしょくぶつ:根は水底の土に有り、花・茎・葉など体の上部が水上に出た水生植物)がまばらに生育し、周辺に草地が広がる開放的な池や沼です。かつては宮城県・新潟県から鹿児島県(28都府県)に広く分布していましたが、生息環境の悪化などにより減少し、現存する場所においても減少傾向が続いています。人による各種の開発や改変行為に加え、水質悪化、植生変化が深刻に影響していますし、近年は干ばつや外来種の持ち込みなども深刻になっています。自然状態で安定的に生息が確認されているのは鹿児島県の藺牟田池など、ごく一部に限られています。絶滅危惧ⅠA類(CR)「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」に指定されています。(※2)
ベッコウトンボの生活史(ライフサイクル)は、1年で一生を終えます。成虫は4~6月に発生します(もっとも多く見られるは4月下旬から5月上旬)。メスは単独で打水産卵を行い、オスが上空で警護飛翔をすることが多いそうです。幼虫で越冬します。次世代につなぐため懸命に飛んでる姿に生命の力強さを感じましたし、人とベッコウトンボがともに生活できる環境をいつまでも残していきたいと思いました。
ベッコウトンボの生活史(ライフサイクル)は、1年で一生を終えます。成虫は4~6月に発生します(もっとも多く見られるは4月下旬から5月上旬)。メスは単独で打水産卵を行い、オスが上空で警護飛翔をすることが多いそうです。幼虫で越冬します。次世代につなぐため懸命に飛んでる姿に生命の力強さを感じましたし、人とベッコウトンボがともに生活できる環境をいつまでも残していきたいと思いました。
次に藺牟田池をご紹介します。
かつて藺草(いぐさ:畳の原料)の産地であり、湿地(牟田)が有ったことから藺牟田池と呼ばれるようになったと言われています。薩摩川内市の山中にある面積60ヘクタール、周囲約3.3キロメートル、ほぼ丸い形をしていて、火口部に水がたまってできた火口湖です。水面部の標高は296メートルで、周囲を標高400~500メートルの山々に囲まれ、池の北西部に泥炭層が堆積し低層湿原(地下水位が高く地表面に水が見える)になっています。最大水深約2.7メートル、平均水深約0.8メートルと浅く、流入河川はなく、流出河川は1本だけ東側から流れ出ています。比較的温暖な気候のこの地域では珍しい泥炭質の浮島が多く見られることから泥炭形成植物群落が国の天然記念物に指定されています。トンボ類の他に蝶類や、カモ類などの鳥類、両生類、魚類など多様な生物が生息しています。民家が少なくとても静かで、見る方向すべてに山が望める自然豊かな景観です。人だけでなく動物も心安まるとても良い環境ではないかと思います。
かつて藺草(いぐさ:畳の原料)の産地であり、湿地(牟田)が有ったことから藺牟田池と呼ばれるようになったと言われています。薩摩川内市の山中にある面積60ヘクタール、周囲約3.3キロメートル、ほぼ丸い形をしていて、火口部に水がたまってできた火口湖です。水面部の標高は296メートルで、周囲を標高400~500メートルの山々に囲まれ、池の北西部に泥炭層が堆積し低層湿原(地下水位が高く地表面に水が見える)になっています。最大水深約2.7メートル、平均水深約0.8メートルと浅く、流入河川はなく、流出河川は1本だけ東側から流れ出ています。比較的温暖な気候のこの地域では珍しい泥炭質の浮島が多く見られることから泥炭形成植物群落が国の天然記念物に指定されています。トンボ類の他に蝶類や、カモ類などの鳥類、両生類、魚類など多様な生物が生息しています。民家が少なくとても静かで、見る方向すべてに山が望める自然豊かな景観です。人だけでなく動物も心安まるとても良い環境ではないかと思います。
ベッコウトンボの保護活動をご紹介します。
藺牟田池を代表する生き物はトンボです。産卵と羽化に適した環境が整った藺牟田池にはベッコウトンボ、オオヤマトンボ、マイコアカネ、ベニトンボ、チョウトンボなどの多くの種類のトンボが生息しています。藺牟田池は、絶滅の危機に瀕しているベッコウトンボの生息地保護区に指定され、ラムサール条約湿地に登録(※3)されています。地元の小学校や住民、市民団体、薩摩川内市などが保護活動を実施されています。ベッコウトンボなど希少動植物を保存・保護していくための普及啓発活動の拠点として湖畔に生態系保存資料施設「アクアイム」(※4)が設置されており、来訪者の方々へ情報を提供されています。池の西側にはベッコウトンボの生息環境維持と、環境学習の場としてビオトープ(生き物の生息空間)が造成されています。
藺牟田池を代表する生き物はトンボです。産卵と羽化に適した環境が整った藺牟田池にはベッコウトンボ、オオヤマトンボ、マイコアカネ、ベニトンボ、チョウトンボなどの多くの種類のトンボが生息しています。藺牟田池は、絶滅の危機に瀕しているベッコウトンボの生息地保護区に指定され、ラムサール条約湿地に登録(※3)されています。地元の小学校や住民、市民団体、薩摩川内市などが保護活動を実施されています。ベッコウトンボなど希少動植物を保存・保護していくための普及啓発活動の拠点として湖畔に生態系保存資料施設「アクアイム」(※4)が設置されており、来訪者の方々へ情報を提供されています。池の西側にはベッコウトンボの生息環境維持と、環境学習の場としてビオトープ(生き物の生息空間)が造成されています。
湖畔には展望地やキャンプ場などが整備され、ランニング、トレイル・登山、キャンプ、手こぎボートなどのレジャーを楽しめるのと合わせ、湖面利用のゾーニングや外来魚回収ボックスなどで環境保全の両立が図られるようになっています。レジャーや景色などを楽しむ際に、ベッコウトンボ生息地保護区およびラムサール条約湿地の豊かな自然を体感していただける場所となっています。藺牟田池の自然に親しみを持っていただけると、とても嬉しく思います。
(※1)ベッコウトンボの詳細は環境省ホームページでご確認できます。ベッコウトンボ|自然環境・生物多様性|環境省
(※2)絶滅危惧種の詳細は環境省ホームページでご確認できます。レッドリスト・レッドデータブック|自然環境・生物多様性|環境省
(※3)ラムサール条約湿地の詳細は環境省ホームページでご確認できます。ラムサール条約湿地とは|環境省
English) RAMSAR SITES in JAPAN , Ministry of the Environment Government of Japan
(※4)アクアイムに関しては右記リンクからご確認できます。(詳しい情報は、リンク先に記載の連絡先まで直接お問い合わせをお願いします。)生態系保存資料施設「アクアイム」
ご参考:過去のアクティブレンジャー日記はこちらです。 アクティブレンジャー日記「藺牟田池 ベッコウトンボ頭数調査」
(※2)絶滅危惧種の詳細は環境省ホームページでご確認できます。レッドリスト・レッドデータブック|自然環境・生物多様性|環境省
(※3)ラムサール条約湿地の詳細は環境省ホームページでご確認できます。ラムサール条約湿地とは|環境省
English) RAMSAR SITES in JAPAN , Ministry of the Environment Government of Japan
(※4)アクアイムに関しては右記リンクからご確認できます。(詳しい情報は、リンク先に記載の連絡先まで直接お問い合わせをお願いします。)生態系保存資料施設「アクアイム」
ご参考:過去のアクティブレンジャー日記はこちらです。 アクティブレンジャー日記「藺牟田池 ベッコウトンボ頭数調査」
<おまけ>
以上