アクティブ・レンジャー日記
ツルヒヨドリについて
2017年01月23日皆さん、はいさい(こんにちは)。
やんばる野生生物保護センターの藤田です。
本日は皆さんに沖縄県に定着している外来種、ツルヒヨドリについてお話しさせていただきます。
ツルヒヨドリ、という名前だけでは鳥の様にも思えますが、このツルヒヨドリは北アメリカと南アメリカの熱帯地域を原産とする、外来の植物です。ヒヨドリバナという日本在来の植物とよく似た花を付ける蔓性の植物であるため、この名前が付けられています。
沖縄県では1984年にうるま市の天願川河口付近で発見され、沖縄本島中部一帯で繁茂し、西表島にも侵入が確認され、急速に分布をひろげています。そのため、平成28年8月に特定外来生物として新規指定されました。
▲ツルヒヨドリ(遠景)
▲ツルヒヨドリ(近景)
このツルヒヨドリはやんばる地域にも侵入しており、大宜味村田嘉里の田嘉里川と、やんばる野生生物保護センターがある国頭村比地の比地川の川沿いで発生が確認されたため、地域住民のみなさんと一緒に防除活動に取組み始めました。
▲比地川沿いの、ツルヒヨドリが繁茂している場所。コンクリートからススキの生えている場所にかけてツルヒヨドリに覆われている。
また比地川では駆除の際に、山の一部にもツルヒヨドリの繁茂が確認されていたので、こちらでも防除を行いました。
▲ツルヒヨドリが枝の上に繁茂している林。画面中央付近、左上と右下の白っぽい花がツルヒヨドリのもの。
ツルヒヨドリはとても繁殖力が強く、放っておくと森一つを丸ごと覆ってしまう程にも増えてしまうおそれがあります。そうなれば、
在来の植物の生育だけでなく、生態系全般に悪影響が出る可能性があります。
また、農地に入れば農作物にも被害を及ぼすでしょう。
このため駆除が必要なのですが、その際にも注意が必要になります。というのも切り落としたツルから根が張って再生していってしまうためです。このため防除の時にツルが散らばったりするとかえって広げてしまうこともあり、駆除した後には散らばらない様に気をつけなくてはなりません。
ただ、ツルヒヨドリは特定外来生物にあたります。この特定外来生物は、飼育、栽培、保管や生きたままの運搬等が原則として禁止され、これらを行う場合は許可が必要になります。適切な方法で防除しないと、かえって広げてしまう可能性もあるため、駆除を検討される際はまずは、環境省へお問い合わせください。
もし、国頭村、大宜味村、東村の前述以外の地域でツルヒヨドリを見つけた場合は、やんばる野生生物保護センターにご連絡をお願いいたします。
それでは、やんばるより藤田でした。