アクティブ・レンジャー日記
やんばる地区アクティブレンジャー募集中です。【やんばる地域】
2020年05月06日こんにちは。
やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。
令和2年4月20日から5月29日まで、沖縄奄美自然保護官事務所HPにてやんばる地区のアクティブレンジャーを1名募集しています。(雇用条件などの詳細はHPの募集要項(コチラ)をご覧ください。)
実はこの募集、私の後任にあたります。
私の勤務は今年の7月末までとなり、着任してから9年4ヵ月の間に様々なかたちで仕事に関わり、楽しかったり、考えさせられたり、困ったりと色んな事がありました。
業務内容については、これまでもアクティブレンジャー日記でノグチゲラやアジサシ、お散歩観察会などについて少しずつ掲載してきましたが、今回は他の業務の様子を紹介します。
過去の日記も合わせてぜひご覧ください。(私も先ほど読み返してとても懐かしかったです。)
さて、アクティブレンジャーとは「保護官補佐」ですので、
基本的には環境省が決めた方針に従って、自然保護官が動かしていく業務の"補佐"をしていきます。
その年ごと、時期によって多少の事情は異なりますが、はじめの頃の印象はパソコン仕事が想像よりかなり多いなと思いました。もちろん野外での調査、巡視、希少種の救護などで動きまわる事が多い時期も
ありますが、その後は報告や記録簿を作ります。
これまでの業務内容についてお伝えしたい内容はたくさんありますが、
9年間もあると延々と終わりませんので...。長く続けてきたこと、印象に残った事などを選んでみました。
●野生業務
○ノグチゲラ
野生生物業務は、主に国内希少種に指定され保護増殖事業計画が策定されている種を中心に動いていきます。ノグチゲラの業務では、調査状況の確認や不測の事態が起きた場合などに、調査に同行したりしました。(調査自体は経験豊富な調査員さんが行います。)
不測の事態については、2011年の日記で紹介していますので、読んでみてください。
◀プレイバック調査の様子
主な調査は、繁殖状況調査、プレイバック調査など。
年によって違う調査を行う事もあります。
◀傷病個体の放鳥
ノグチゲラは窓ガラス衝突やロードキルで死亡したり、
ケガをして見つかることが多々あります。
救護の場合、専門の獣医師の治療を受け、回復できれば放鳥となりますが、野生復帰出来る個体はごくわずかです。
事故は未然に防ぐことがとても大事です。
○特定外来生物ツルヒヨドリ等外来植物
外来生物法により特定外来生物に指定された種は、飼育・栽培・運搬・売買等の事項が禁止されます。
やんばるの代表的な特定外来生物といえばマングースですが、2016年に新規指定されたツルヒヨドリも、残念ながらやんばる3村で侵入が確認されています。
ツルヒヨドリは成長速度がとても速く、小さな茎の欠片からも再生するような植物です。
そのため、環境省だけでなく、地権者や地元行政機関とも連携しながら対応し、これ以上拡げないように皆で気をつけることが大切です。
業務では、環境省で行った駆除状況を確認したり、巡視の際に新たにツルヒヨドリが生えていないか、広がっていないか等を確認して、早期発見・対策につなげるように心がけています。
◀地域の人と一緒に廻ったツルヒヨドリ分布調査
ミカン畑の周りの自然林を覆いつくすように
拡がっていました。
▲ツルヒヨドリはこんなに小さな茎の欠片からも再生し、数年であっというまに木を飲み込むほどに拡り、
他の植物が生えなくなってしまいます。こうならないように、一人一人の意識が大切です。
●普及啓発
○館内の展示、ミニ企画展
2011年にリニューアル1周年記念企画展の様子を少し書いていますが、昔は連休向けのミニ企画展を作っていました。
その時に作ったクイズが、今でも館内のセルフガイドの役割を持って活用されていています。長く活用されていて、とても嬉しいです。
クイズはとても人気で、センター来館の常連さんやインターン生に考えてもらったクイズもあります。この新しいクイズを楽しみに来館する子もいました。
過去に作ったクイズは6種類。
いつかセンターに遊びに来たときに挑戦してみてください。
◀教員の先生出題クイズの表面
他にも、
・やんばるクイズ1
・やんばるクイズ2
・初級クイズ
・常連の男の子出題クイズ
・大学インターン生出題クイズ
があります!
他には、センターの身近な生き物の生態展示が人気でした。
やんばるにはたくさんの希少種が暮らしていますが、かれらの暮らしを支えているのは、その餌資源となる在来の小動物や植物たちです。
いわゆる、「普通」と言われる影の小さな主役達を紹介出来てとても楽しかったです。
▲館内展示の昆虫標本
センターの周りは集落、森、川が近い環境にあるので、年間を通して本当に色んな生き物が姿を現します。そして、寿命を終えて力尽き、綺麗な姿で落ちている虫たちもよく見かけます。
それらを1つ1つ整理していけば立派な標本のできあがりです。
私の名前でラベルがつている標本は全て死んだ状態で見つかたり、寿命を終えた虫たちです。
残念なことではありますが、やんばるの道路では蝶のロードキルも非常に多いので、
春先はたくさん路上に落ちています。鳥だけでなく、虫に対しても安全運転が大切です。
標本・剥製は作って終わりでは無く、定期的に防虫剤と乾燥剤を入れ替えて劣化を抑えるのも仕事の一つです。
○地元小学校での出前授業や読み聞かせ
地元小学校向けに、やんばるの自然についての授業を行っていました。
センターに一番近い奥間小学校では"めだかの学校"というボランティアの読み聞かせグループがあり、私が着任する前から"ウフギー自然館"も一緒に活動していて、9年間ずっと参加させてもらっていました。
月に1回、朝の15分間でやんばるの生き物や自然に関する話を絵本を使ったり実物を使ったり、いろいろ工夫して子供たちの反応を見るのがとても楽しかったです。
◀読み聞かせの様子
最初の頃は協議会職員さんと一緒に2人一組でやっていました。この写真の時のテーマは"ゴキブリ"。沖縄市郷土博物館の企画展「レッテルを貼られたムシたち」の本を使って、家のゴキブリ、森のゴキブリの話をした後、私が森の"サツマゴキブリ"を見せると、きゃ~の声だけでなく、"意外にかわいい"という子もいました。
いかがでしたでしょうか。
やはり長くなってしまいましたが、やんばるに興味のある人はぜひご応募ください。
再度のご案内になりますが
詳細は、沖縄奄美自然保護官事務所のホームページ(コチラ)をご覧ください。
締め切り 5月29日(金)必着