アクティブ・レンジャー日記
第5回 国頭村森林公園外来種駆除イベント【やんばる地域】
2020年03月06日やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。
3月になり、やんばるの森を眺めると新緑がもこもこと広がってきています。
そんな春の兆しが始まる2月に、国頭村森林公園で第5回外来種駆除イベントを行いました。
2017年11月に開催した第1回目の様子もぜひご覧下さい。
(http://kyushu.env.go.jp/blog/2017/12/post-396.html)
外来種駆除は、完全に排除出来るまで計画的に継続する事が大切です。
誰もがやんばるの森の雰囲気を味わえる森林公園が外来種だらけになってしまうと、
本来のやんばるの生き物たちが暮らしにくくなり、ただの緑の公園になってしまいます。
やんばるの生き物について楽しく学びながら、外来種をしっかりと取り除く事がこのイベントの目標です。
イベントの最初は森林公園休養施設のロッジに集まり、九州大学の荒谷先生からカブトムシやクワガタのお話を聞きました。
ペットショップやホームセンターで売られている"国産カブトムシ"は、本州に生息するカブトムシを大量に養殖したものです。
オキナワカブトは、それらのカブトムシとは遺伝的に離れている沖縄だけに住むカブトムシです。クワガタも同じです。
同じ沖縄県内でも生き物たちは島ごとに違う遺伝的グループになっているので、皆さんも買ってきたり、違う地域から捕まえた生き物は、絶対に野外に逃がさないようにしてください。
沖縄だけでなく琉球列島には島それぞれに希少な生き物が多く生息しています。
自然の生き物は観察したら元の場所に戻してあげましょう。
"外来種を増やさない"努力が大切ですが、沖縄では既に外来種の"タイワンカブト"がサトウキビ畑などを中心に定着しています。
オキナワカブトの幼虫とそっくりなので、その見分け方も実物の幼虫を見ながら勉強しました。
左の明るい茶色顔がタイワンカブト 右がオキナワカブト
森林公園内で、左のタイワンカブトの幼虫を見つけたら取り除きます。
さぁ、しっかり勉強した後は野外活動です。
これは3年ほど前から設置している、野生のカブトムシが産卵できる様に作ったフレークです。
自然分解されて木枠が朽ちて中のフレークも少なくなってきたのでみんなで補修・充填します。
充填するフレークの中に外来種がいたら大変です。
皆で掘って中の生き物を観察しました。
中からオキナワカブトムシの幼虫がごろごろ。
2チームに分かれての作業でしたが、もう一方のチームではタイワンカブトの幼虫が1匹混じっていたようで、しっかり見分けることが出来ました。
その他にも、外来種"ミナミヤスデ""ヤンバルトサカヤスデ"が混じっていました。
この2つも沖縄全体に広がり、森林公園にも生息していますが、見分ける勉強もかねて取り除きました。
見つけた生き物を仕分けて、フレークを充填。最後にオキナワカブトの幼虫を中に戻します。
しばらく観察するとあっというまに潜って行きました。
午前の部が終わり、さぁ、お昼の後はアメリカハマグルマ...と戻って来たら、北西からどんよりとした雲が!と思ったとたんに大雨が降ってきました。
この日、前線が南下して全国的に雨が降る予報でしたが、外れること無く見事に降ってきました。
午後からのアメリカハマグルマ駆除は残念ながら中止となりました。
ですが、イベントは今後も継続していく予定ですので、ぜひ皆さんもいつか参加してみてください。
外来種を防ぐポイントは・・
「入れない・捨てない・拡げない」です!
普段の生活の中にこの3つを取り入れましょう。
より詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
パンフレット)やんばる地域で対策が必要な外来植物
http://www.ufugi-yambaru.com/shiryou/documents/H30yambarugairaisyokubutu.pdf
環境省HP)外来種問題について
https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/
生態系被害防止外来種リスト
https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/files/05_rist_zentai_c.pdf
春も間近のやんばるの森にエゴノキの花が落ちてまるで絨毯のようです。
花びらの枚数には個性があって、4枚から、最高8枚まで見つけたことがあります。
9枚を見つけた方はぜひ教えて下さい。