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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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やんばる

44件の記事があります。

2019年09月25日屋我地のアジサシたち2019 Part2【やんばる地域】

やんばる アクティブレンジャー上開地

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。

何かと忙しくなってしまう夏が終わり、沖縄もミーニシ(新北風)と共に

アカハラダカの渡りが始まり、冬鳥のサシバがやって来る季節になってきました。

冬鳥の訪れと共に沖縄で繁殖を終えた夏鳥達も南の国へ戻っていきます。

沖縄のアジサシ達も、子育てを終えて、今頃は海の上を旅している頃でしょうか。

6月に、屋我地鳥獣保護区でのアジサシの保全活動の始まりを紹介してから間が開いてしまいました。

タイムリーに紹介出来なかった事がちょっと悔しいですが、今年の結果を紹介します。

(ぜひ前回の日記6/26"屋我地のアジサシたち"も合わせてお読み下さい。)

http://kyushu.env.go.jp/blog/2019/06/26/

【7月11日の調査】

前回の6月調査では、エリグロアジサシは早めに繁殖に入っていましたが、

ベニアジサシ達は梅雨明けを待っていた様子で、まだどこを繁殖岩礁に選ぶか分かりませんでした。

事前情報で、ベニアジサシが繁殖岩礁に降りた事と「今年の群はかなり大きい」と聞いていたので、

期待を胸に調査の船に乗り込みました。

 

  取材を受けながら、ベニアジサシの繁殖岩礁の近くまでくるとアジサシ達の声が賑やかに聞こえてきました。

みなさん、アジサシ達の姿が見えますでしょうか?

ベニアジサシの群

 

ベニアジサシの群2 

▲約300羽(繁殖個体では過去最高数)ものベニアジサシ達がコロニーを作っています。

(飛んでいる様子を、ウフギー自然館FBに掲載しています)

この群は、陸地から肉眼でも見えるぐらい大きくて、これまでの調査で過去最高の大きさです。

船を使った繁殖調査の他に定期的にアジサシパトロールを行っているのですが、

その時に区長さんが「昔はこれぐらいの群が他の岩礁にいくつも来ていたよ。」と言っていました。

なんてすごい時代でしょう。羨ましいです。

この日のベニアジサシの群も見とれてしまうぐらい美しかったです。

ですが、安心できる事ばかりではありませんでした。

群を眺めていると大きな鳥が急降下してきました。

ハヤブサ

▲ハヤブサです。

本来は沖縄では冬鳥ですが、時折繁殖に参加しない個体が夏もいることがあります。

鳥類を専門に捕食するので、アジサシの天敵です。

(ハヤブサは、ヤンバルクイナと同じ国内希少野生動植物種に指定されている絶滅危惧種です。)

急降下と共にあっという間に親鳥が捕まってしまいました。

この試練はアジサシ自身が乗り越えなくてはいけない事なので、私達は見守る事しか出来ません。

観察中、ずっとベニアジサシ達は警戒して飛び回っていました。

他の岩礁では、一足先に産卵に入っていたエリグロアジサシ達のヒナが船からでも分かるぐらいにすくすくと育っていました。

トゥイヌシ エリグロアジサシヒナ

▲羽地内海のトゥイヌシ。毎年エリグロアジサシが繁殖に使っています。

夫振岩 夫振岩エリグロアジサシヒナ

▲外海(源河川沖)の夫振岩。毎年釣り人の上陸が多く、なかなかアジサシたちが来てくれませんでしたが、

今年は20羽ものエリグロアジサシが繁殖に来てくれました。

このまま順調にいってくれる事を祈りながら7月の調査は終了しました。

【8月16日の調査】

シーズン最後の8月の調査で、無事に巣立った幼鳥がどれだけ見られるかが、

その年が成功か失敗かの判断基準になります。

先月のハヤブサの様子が気がかりですが調査に出発します。

 

▲7月にベニアジサシで賑わっていた岩礁にアジサシの気配がほとんどありません。

岩礁の上空には小魚を持ったまま旋回するベニアジサシが4羽ほどいました。

岩礁のカラス 

▲見ていると、カラスが2羽、岩礁に降りてうろうろ何かを探しまわっています。

 草むらに入った後、何かを持って飛び立ちました。

▲巣立ち直前のヒナです。

カラス1羽がヒナを持ち去った後も、もう1羽のカラスがずっと執拗に岩礁の上で

残りのヒナを探していました。

おそらく、7月にハヤブサに襲われる前の300羽のコロニーだったら

カラスを追い払う事が出来たはずですが、今年は運悪くハヤブサに襲われて

親鳥が減ってきた所をカラスに襲われてしまったのだと思います。非常に悲しい瞬間でした。

その後も屋我地島を一周して調査を続けたところ、古宇利大橋の橋桁で休む幼鳥たちが見られました。

幼鳥ベニとエリグロ

▲一番左がベニアジサシ、右2羽はエリグロアジサシの幼鳥。

今年は幼鳥がベニアジサシで10羽、エリグロアジサシで25羽確認出来ました。

この数は、センターの調査の中では2番目に多い数です。

なので、本来は喜べる結果ですが、7月のベニアジサシ300羽が順調に繁殖していれば、もっと多くの幼鳥がいたはず...、と思うと残念でなりません。

他にも、羽地内海のトゥイヌシでは釣り人が上陸したり、カラスに食べられたヒナと思われる死体も見られました。

 

▲左が岩礁の上に乗ったサンゴの岩。右はヒナの骨や羽軸です。

このサイズの岩が岩礁に乗るほどの荒波は起きていません。おそらく人が乗せたのだと思います。

右の写真はペレットといって、消化出来ない骨や羽などをフクロウやカラスがはき出した物です。

岩礁の上なのでおそらくカラスだと思われます。

巣立ちの結果はまずまず良かったと思えど、まだまだ安心できる状況ではありません。

アジサシ達はとても長生きする事が分かっています。

(過去の標識調査でベニアジサシ,エリグロアジサシともに最長23年11か月)

しかし、1回の繁殖期に巣立たせられるヒナの数は1羽か2羽ほどです。

巣立ち後の幼鳥がその後繁殖に参加できるまでの生存率は、

他の鳥類を参考にするときっと半分以下でしょう。

7月に見た美しいアジサシたちの群が、

屋我地島含め他の繁殖地でも当たり前の様に見られるように、

もっともっと多くの人に知ってもらえるようになって欲しいと思います。

ぜひ、皆さんも出来る事から御協力いただけると嬉しいです。

「昔も今も沖縄は綺麗だねー。」を目指して一緒によろしくお願いします。

来年もたくさんのアジサシたちが来てくれますように...。

★アジサシについてもっと知りたい方は★

○ウフギー自然館HP 各種資料

・沖縄のアジサシ ・アジサシが繁殖に来ています

http://www.ufugi-yambaru.com/shiryou/panfu.html

○名護市広報"市民の広場"2019年6月号でもアジサシについて紹介してくれました!

http://www.city.nago.okinawa.jp/municipal/2018071300163/file_contents/shiminnohiroba201906all.pdf

今月の1枚「アジサシグッズはいかがでしょうか?」

今年、試作してみたアジサシの缶バッチ。

知り合いの方に差し上げたら早速お子さんが付けてくれました。

皆さんも何かデザインに悩んだら、ぜひ"アジサシ"をモチーフにして、生活の中にアジサシを取り入れてみませんか?

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2019年06月26日6月のお散歩観察会 【やんばる地域】

やんばる アクティブレンジャー上開地

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。

今日は梅雨入りさなかの6月の観察会の様子の紹介です。

森のお散歩観察会チラシ

▲チラシ作成時の私の予想では、今頃は梅雨明けだったのですが外れました...。

6月の長尾橋の眺め

▲梅雨明けの予想は外れましたが、清々しい良いお天気でした! 

 

イダジイ未熟

▲長尾橋から双眼鏡でイタジイの樹幹を眺めると来年熟す予定の若いシイノミが膨らみ始めていました。

-ヒメニシキキマワリモドキ?.

▲多分、ヒメニシキキマワリモドキ?

一見真っ黒に見えますが光を当てると背中が七色に光ってキレイです。

この日の観察会では、幼虫をたくさん見つけることが出来ました。

 

ジャコウアゲハ

▲ジャコウアゲハの幼虫(食草リュウキュウウマノスズクサ。毒草です。)

ホリシャシャチホコ(食草エゴノキ).

▲ホリシャシャチホコの幼虫(食草エゴノキ)

初めて見る幼虫で調べるのが大変でした!鮮やかな黄緑色が美しいですね。

そして一番面白い顔と模様をしていたのがこの子です。

アオバセセリ(食草ヤンバルアワブキ).

▲アオバセセリの幼虫(食草ヤンバルアワブキ)

 

黄色と黒の縞々に水色の玉模様。そしてなにより、赤い顔が可愛らしいですね。

この赤い顔は、テントウムシに擬態していると言われているんだそうです。

そう言われてみると、ナナホシテントウに見えてくるような...。

 

このアオバセセリの幼虫、図鑑で初めて見た時からずっと会いたかった幼虫でした。

 

観察会の後、仕事が終わってから友人と別の道を散策したのですが、道沿いのヤンバルアワブキにもついてないかなーと思いながら歩いていると...。

アオバセセリの幼虫

▲ヤンバルアワブキの幼木の葉が巻かれています。

なんだかあやしい...。

中を覗いてみましょう。

 

巣の中

▲いました!赤い顔の幼虫が!

 

アオバセセリの巣

▲よーく探すと大中小、さまざまなサイズの巣があって中に幼虫たちが入っていました。

今までもヤンバルアワブキは何度も見てきたのに気がつかなかったとは...。

今年が当たり年なのかも知れませんが、今まで気がつかなかったのはチョット悔しいです。

何気なく見ている景色の中にも、常に新しい発見があるんだなと改めて感じた観察会でした。

みなさんも一緒にお散歩に行きませんか?

観察会のお申し込みなど詳細はウフギー自然館HPをご覧下さい。

http://www.ufugi-yambaru.com/news/event31.html#event190714

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2019年06月26日屋我地のアジサシたち2019【やんばる地域】

やんばる アクティブレンジャー上開地

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。

全国的に梅雨の時期に入ってきましたね。

うちなーぐちでは梅雨のことを"すーまんぼーすー"と言うそうです。

沖縄の梅雨明けはもうすぐなのですが、6月後半になって大雨が続いています。

この雨が終わったらいよいよ梅雨明けでしょうか...?

さて、やんばるの梅雨入りは、毎年必ず紹介している"アジサシ"の時期でもあります。

今年の屋我地島(国指定鳥獣保護区)での初確認は、エリグロアジサシが5月9日、ベニアジサシが5月19日でした。

沖縄の梅雨入りが5月16日という発表がありましたので、アジサシ達が梅雨入りと共にやって来るというのが良くわかりますね。

今年もアジサシたちの子育てを守るべく、飛来状況を調査したり、ひるぎ学園の5年生と一緒に看板設置をしたりと活動が始まっています。

昨年のような悲しい結果にならないように、多くの人にアジサシについて知ってもらいたいと思います。

(詳しくは2018年08月17日の日記をご覧下さい)

今年の活動と6月のアジサシたちの様子を紹介します。

5月23日、ひるぎ学園5年生の教室で屋我地島のアジサシについてお話した後、

干潟を歩いてアジサシが繁殖しそうな岩礁へ看板設置を行いました。

教室で授業 取材を受ける子供達

▲教室でアジサシについてお話した後、子供達は取材を受けながら看板設置を行いました。

看板設置 看板 

▲今年も気持ちのこもったイラストで力作揃いです。

そして、6月10日は調査員さんたちと一緒に、船からのアジサシの飛来状況調査を行いました。

青フラグエリ

▲青いフラグを付けたエリグロアジサシ

青いフラグは過去に沖縄でバンディングされた証です。

これまでのバンディング調査で17年前から屋我地島に飛来している個体も確認されています。

 

ベニ群採餌

▲ベニアジサシたちは、梅雨明け頃に産卵を始めることが多く、この日はほとんどの個体が海上で採餌をしていました。

 

エリグロ繁殖 

▲エリグロアジサシは産卵が始まっています。

昨年エリグロアジサシが繁殖していた岩礁に今年も来ていました。昨年は失敗におわってしまったので今年は成功して欲しいです!

 看板設置 

▲昨年、釣り人が登ってしまいベニアジサシが繁殖失敗してしまった岩礁。

今年はエリグロアジサシが営巣していたので、ここにも上陸注意の看板を設置しました。

 

 

▲釣り人が多い岩礁で、巣の側に釣り糸が捨てられていました。

 

▲鳥獣保護区の起点になるオトフ岩。

ここでもエリグロアジサシが営巣していたので看板を設置しました。

上陸してみると、釣り人が残したお弁当ゴミ、ビール缶、釣り糸がたくさん落ちていました。

 

マナーを守って釣りをする人はたくさんいらっしゃると思うのですが、ごく一部の人がゴミを捨ててしまったり、たった1人がアジサシの繁殖岩礁に登ってしまうだけで、全てが台無しになってしまいます。

今年はどんな結果になるのか...。

心配ばかりが膨らみますが、多くの人にご協力いただきながら今年も活動していきたいと思います。

1人1人の心がけで、「昔も今も沖縄は綺麗だねー。」と言えるようにがんばりましょう。

アジサシたちの繁殖が成功しますように...。

アジサシについてもっと知りたい方は、

ウフギー自然館HPに掲載していますパンフレットを是非ごらんください。

○ウフギー自然館HP 各種資料

・沖縄のアジサシ ・アジサシが繁殖に来ています

http://www.ufugi-yambaru.com/shiryou/panfu.html

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2019年04月25日4月のお散歩観察会 【やんばる地域】

やんばる アクティブレンジャー上開地

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。

前回のお散歩観察会特別編に引き続き、通常編もとっても楽しい観察会だったので、

その様子を紹介します。

4

センター集合

▲大雨が降った朝一番、8時半にウフギー自然館に集合です。

湿度たっぷりな朝でした。真ん中の紫の上着が私です。

長尾橋

▲降ったりやんだり、小雨の中をいつもの観察場所の橋を渡ってみると...。

虹

▲こんなに間近で虹が見られました!

虹観察

消えてしまう前にみんなで鑑賞&撮影会...。

見つけて10分ほどで虹は消えてしまいました。

その後は定例の1分間の鳴き声調査をしました。

この日は、やんばる固有の鳥3種のアカヒゲ、ノグチゲラ、ヤンバルクイナが頻繁に鳴いていました。

鳴き声を聴いた後は、舗装路をテクテクあるいて道沿いの生き物を観察します。

雨の日の樹幹

 

 

イイギリ花

冬に真っ赤なブドウのような実をつける"イイギリ"。

新緑と一緒に蕾が出てきて、4月には満開になります。

花びらが緑なので見た目は地味ですが、花らしい良い香りがします。

ヤクシマドクガ

春先に森でよく出会う"ヤクシマドクガ"の幼虫。

頭の横の毛が長―く伸びているのでまるでツインテールの髪型みたいです。

可愛くて私の好きな毛虫の1つです。

名前が"毒蛾"だし、今にもかぶれそう...。と思われるかもですが、実は毒が無い毛虫です。

手に乗せる

なので、手のひらの上を歩かせても大丈夫です。私もよく手に乗せて観察します。

※それでも肌が弱い体質の人は毛を強く触るとかぶれることもあるので、自分の体質をしっかり見極めましょう。

マツカレハ

一方、こちらは触ってはいけない"マツカレハ"。

下が頭になっているんですが、ちょうど水滴が付いている部分の青い毛が毒毛です。

刺激すると、この毒毛をすりつけるように頭を振ってきます。

仕草は可愛いですが、間違っても触らないように注意です!

他にも集水マスをのぞくとヒメハブがいたり、

集水マスにいるヒメハブ

巨大なオオハシリグモがいたり...

オオハシリグモ

◀巣を張らないクモで日本一大きいといわれるクモ。

この子は、私が見てきた中でも最大サイズでカッコいいです!

写真で伝わらないのが残念...。

 

 

 

 

 

 

ヤンバルキヌランが小さな花を咲かせていたり...。

ヤンバルキヌラン

たくさんの動植物に出会いました。

 

その中で、私の一押しはこの子です。

イチモンジカメノコハムシ

"イチモンジカメノコハムシ"の幼虫。

本体は下の白っぽい部分で、上のトゲトゲした部分は、自分の脱皮殻やウンチなんだそうです。

なぜそんな物を乗せているんでしょうか?

 

イチモンジサルハムシ横 

横から見るとこんな感じ。(参加者の人が撮ってくれました。指は私。)

右が頭、左がお尻です。 ちょっとつついてみましょう。

 

「えいっえいっ...」

 

前倒し横倒し

 

おお......。

分かりますか?お尻の茶色いトゲトゲを盾にして身を守っているんです。

本や図鑑で読んで知っていましたが、実際に動いているのを見るのとでは、感動が大違い!けっこう力強く押し返してきます。

この子の食草はムラサキシキブで、道沿いの小さな幼木に5匹も付いていました。

ここは一般の人も車で通れる林道ですが、車を降りてちょこっと歩くだけでいろいろな生き物と出会えます。

他にも見つけた生き物はいるのですが、長くなってしまうので今日はこの辺でおしまいにします。

みなさんも身近な場所でよーく観察してみたら、面白い出会いがきっとありますよ。

今週の1枚「キカイキセルガイモドキ」

キカイキセルガイモドキ

ソフトクリームのような形のカタツムリの仲間。

雨の日に海沿いの石灰岩地を歩いていたらたくさん出てきていました。

晴れだけじゃなくて雨の日のお散歩も良いですね。

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2019年04月09日野鳥の旅は命懸け 【やんばる地域】

やんばる アクティブレンジャー上開地

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。

春は旅立ちの季節。

沖縄の冬鳥達も、繁殖のために北へ移動していく時期になりました。

毎月開催「森のお散歩観察会」ですが、

4月7日は春の特別編として辺戸岬から旅立つ渡り鳥の群れを観察してきました!

(※一部写真を参加者の西尾さんからお借りしました。写真右下にクレジット有り)

 

0407観察会チラシ

1観察会日和

▲晴天の辺戸岬 観察日和です!

リーフ

▲海をのぞくと、リーフがはっきりと見えて綺麗でした。

ヒヨドリの群れ

▲到着早々、早速渡りの群れを発見。

さて皆さん、この鳥の種類は何でしょう?

沖縄の冬鳥といえば、"サシバ" "シロハラ"が代表的ですよね。

ですが、この群れの正体はこの鳥です↓

 

ヒヨドリ

そう、"ヒヨドリ"です。

 

「"ヒヨドリ"って1年中いるんじゃないの!?」

とお思いの人もいるのではないでしょうか。

それも正解です。

日本全国に生息している"ヒヨドリ"ですが、実は北から南までの地域で8亜種に分けられています(日本鳥類目録第7版より)。

やんばるで1年中見られるのは、沖縄島を中心に生息する亜種"リュウキュウヒヨドリ"。

ですが冬になると、北海道や内地の冬の環境が厳しい地域から、亜種"ヒヨドリ"(北海道から九州(屋久島)にかけて生息)の一部が群れとなって沖縄にやって来ます。

実は、そういった生態をしているのはヒヨドリだけでなく、メジロやウグイスなども同じように冬にやって来る内地の個体がいます。

4月頃になると、沖縄で暖かい冬を過ごした鳥たちが繁殖地へ向けて旅立つ様子が見られるようになります。

ですが、野鳥にとって長距離の渡りは様々な危険を伴います。

群下へ

▲上空を飛ぶ群れが一気に急降下を始めました。何が起きたのでしょうか。

群れの中のハヤブサ

▲海面スレスレを飛ぶヒヨドリたち。その中にひときわ大きな鳥が混じっているのが見えますか?

"ハヤブサ"です。

(沖縄では冬鳥。環境省の種の保存法で、ヤンバルクイナと同じ国内希少種に指定されています、)

野鳥の中で世界最速の飛翔スピードを持つハヤブサは、上空から獲物を蹴り落とすように襲うので、ヒヨドリたちは海面スレスレを飛んで逃げます。

1羽はぐれる

▲何度も群れが攪乱されるうちに、1羽が群れから外れてしまいました。

そして...

ハヤブサ狩り

▲その次の瞬間、あっというまにハヤブサがヒヨドリを捕らえました。

まるで、シマウマを襲うライオンのような弱肉強食の世界が、私たちの身近で繰り広げられているのです。

この日、このヒヨドリの群れはハヤブサ3羽に度々襲われ、9時前から見ていましたが11時頃に観察会を解散するまで、北へ旅立つ事はありませんでした。

ヒヨドリたちは、天敵に襲われるリスクを減らす為に、大きな群れで渡りをすると考えられます。この日、最後に撮った群れの写真を数えてみたら200羽以上の群れでした。

ハヤブサなどの天敵から身を守るのは、自分で乗り越えなければならない試練です。

ですが、沖縄を含む、琉球列島はこういった渡り鳥たちが体力を付けるための中継地点になって、小さな島のちょっとした緑地が実は重要だったりします。

みなさんの地域の緑地にも、いつもと違う鳥たちが来ているかも知れません。

春のお散歩で新しい出会いを探しに、観察に出かけてみてはいかがでしょうか。

今月の一枚「満開のハマボッス」

満開のハマボッス

日本は北海道から沖縄県、東南アジア、太平洋諸島まで広く分布する海岸植物で、各地域で遺伝的な特徴を持っているそうです。

開発されていない場所では、群落になっていてこの時期とっても美しいです。

どうか持ち去らないで、その場所で大切にみてあげてください。

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2019年03月28日やんばる国立公園で工作物発見...。【やんばる地域】

やんばる アクティブレンジャー上開地

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。

児童、学生の皆さんは楽しい春休みですね。本州だとお花見真っ盛りの時期でしょうか。

沖縄の桜はヒカンザクラなので2月には満開です。

桜も終わり、やんばるの森では一足早く春の陽気で鮮やかな新緑を向かえています。

やんばるの新緑

 

春は山の散策も楽しい季節。

 

調査や、国立公園の現場確認も気持ち穏やかに歩きます。

ですが、山道を歩いていると見慣れない物が設置されていました。

工作物

▲与那覇岳頂上付近の工作物

 

調べてみると、どうやらオリエンテーリングのチェックポイントに使われる物のようです。

周りを見ても、どんな団体がいつから付けているかは書かれていませんでした。

(写っている札は、設置に対する注意札です。)

 

実はこのオレンジ色の工作物、今少なくともやんばる国立公園内に5つ見つかっています。

  

ボウジムイ工作物大国林道工作物 

 

 

 

 

 

▲大宜味村ボウジムイ       ▲国頭村大国林道

  与那覇岳登山道沢工作物大国林道大国橋工作物

 

 

 

 

▲与那覇岳登山道中の沢     ▲国頭村大国林道 大国橋

 

国立公園の規則を定める自然公園法では、人の行為によって景色や生き物の生息地が悪化しないように、一定のルールが決められています。

特に厳正に守られているのが、特別保護地区に指定されている場所です。

 

工作物が設置されていた与那覇岳の頂上の周り一帯も、この特別保護地区になっていて、

ここではたき火等も禁止なのですが、3月の巡視で頂上の三角点でたき火の跡が見つかりました。

 

頂上たき火跡  空の手巻きたばこ缶

 

 

 

 

 

 

 

▲与那覇岳三角点のたき火跡    ▲その側には手巻きたばこの空き缶がありました。

 

自然の中でのアクティビティはとても楽しい事ですが、多くの人が同じ行為をしてしまうと、やんばるらしい森の雰囲気を壊してしまい、他の来訪者の人が楽しめなくなってしまうかも知れません。

どんな人がいつ訪れてもやんばるらしい環境を楽しめるように守るのが国立公園のルールです。

他にも各市町村や地域ごとに、決められたルールがあります。

 

看板

▲与那覇岳の登山道中の看板。ここから上は踏査圧によって道が削られている場所があり、立ち入り制限の協力をお願いしています。 

 

やんばる3村ルールブック表紙

詳しくは、やんばる3村森林ツーリズム部会HPへ

https://www.yambaru-mori.jp/rule-of-forest/

 

 

国立公園は、日本を代表する自然や景観が地域の人にも大切にされている場所が指定されます。

やんばる国立公園は2年前に誕生したばかり。

ルールについて、まだまだうまく伝えられていない部分もたくさんあります。

自然の良さだけじゃなく、ルールについても分かりやすく伝えていくのが、アクティブレンジャー含め、環境省職員の役割だと思っています。

そしてこの記事を読んでいる皆さんの協力も不可欠です。

もし、どこかの国立公園で設置者の分からない工作物がありましたら、その地域の環境省事務所に情報をお寄せ下さい。

ぜひぜひ、みなさまのご協力をよろしくお願いいたします。

○国立公園内で、工作物を設置したり動植物の採取等をする場合は、事前にご相談ください。

許可が必要な場合は、最低でも1か月の期間が必要になります。

全国の国立公園に窓口の環境省事務所がありますのでお問い合わせ下さい。

やんばる国立公園は「やんばる自然保護官事務所(やんばる野生生物保護センター内)」(ウフギー自然館HP)まで!

 

今月の一枚「咲き始めたユウコクラン」

ユウコクラン全体アジアの亜熱帯地域で見られるラン。

今年は当たり年なのか、林道の道沿いや森の林床をよく見てみると沢山の株から花茎が立ち上がっていました。

見頃はまだまだこれからですが、下の方から咲き始めています。

語源は、夕刻の時のような色合いという説と、幽谷のような霧が立ちこめるような場所で見られる事から来ているそうです。近縁種にコクラン(黒蘭)もあります。

私は夕刻の語源が好きです!

綺麗な植物ですが、どうか持ち去らないで森の中で楽しんで見て下さい。 

ユウコクラン花

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2018年08月17日今年のアジサシの様子は......【やんばる地域】

やんばる アクティブレンジャー上開地

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。

夏休みももう終わってしまいますね。。

沖縄では6月から8月上旬にかけて、5つの台風が接近、通過していきました。

やんばるの様子をみていると、過去の台風よりも勢力が少し弱いものでしたが、

強い風が吹いたり1日でたくさんの雨が降りました。

この季節は、様々な生きものたちが繁殖期の真っ最中です。

毎年AR日記で紹介している海鳥のアジサシたちも、天気の影響を強く受けます。

〈過去の日記はこちら〉

2017062日 20160915日 20160601 ・20130620

今年のアジサシたちの繁殖はどうだったのでしょうか...。

屋我地鳥獣保護区での活動とアジサシたちの様子を紹介します。

看板設置注意看板

 

 

▲5月中旬、今年もひるぎ学園5年生のみんなとアジサシが繁殖しそうな岩礁に注意喚起の看板を設置しました。

アジサシの繁殖失敗の原因の一つに、実は私たち人間の行動が関わっています。

例えば、釣りやレジャーで繁殖している岩礁に登ってしまうと親鳥が子育てをやめてしまったり、ヒナや卵が夏の強い日差しで死んでしまいます。

他にも、人間が岩礁に残したゴミが天敵のカラスが寄りつく原因にもなってしまうので、

アジサシを知らない人が間違って登らないための注意看板です。

6月ベニアジサシ繁殖岩礁

◀6月中旬の調査。

今年のベニアジサシの繁殖岩礁は、鳥獣保護区から少し離れた場所に決めたようです。エリグロアジサシも一緒に抱卵している親鳥もみられました。 

 

 

7月ベニアジサシ繁殖岩礁 

◀7月中旬の調査。台風が過ぎ去った後も、順調に繁殖が進んでいてヒナに小魚を運ぶ様子も見られていました。潮風の影響なのか、芝が茶色になっています。

 

 

 

7月エリグロアジサシ繁殖岩礁 

◀鳥獣保護区内のエリグロアジサシの繁殖岩礁も順調でした。

この写真は前回(7/20)の日記の

「今月の1枚」です。

ヒナと卵の数をクイズにしていたのですが、皆さん分かりましたか?

答えは、ヒナ3羽、卵1個です。 

 

  

↓左○が卵、右○3つがヒナです。見事に岩礁の模様に溶け込んでいますね。

※写真をクリックすると大きい写真が開きます。

 

アジサシクイズ答え

 

さぁ次の8月の調査では、きっと沢山の巣立った幼鳥が見られるはず!っと、楽しみに船に乗り込みました。

 

ところが......

 

 

8月上旬ベニアジサシ繁殖岩礁 

◀8月上旬の繁殖岩礁。アジサシたちは全ていなくなっていました。

(黄色いロープは注意喚起の看板を付けるためのものです。)

 

いったい何が起きたのでしょうか。

7月末までは、アジサシの群れが岩礁にいるのが遠くからでも見えていました。

前回の調査からこの日までは台風や悪天候になることは無かったので、

もしかしたら、人が近づいてしまったのか、カラスに襲われてしまったのかも知れません。

 

実はこの岩礁は、長時間釣りをするためのパイプが固定されていて、釣り糸のゴミも多い岩礁です。

釣り糸に絡まって死んでいる親鳥も見つかっていて、その側には孵化したばかりのヒナも死んでいました。

 

今年の屋我地周辺でのアジサシの繁殖は、とても残念ですが失敗に終わりました。

かろうじて、別の岩礁1箇所のみで10羽ほどのエリグロアジサシが子育てを続けています。

ですが、ここも釣り人が多い岩礁で、釣り糸が絡まった親鳥が見られています。

 

釣り糸 

◀釣り糸が絡まったエリグロアジサシ。

透明な糸がアジサシの体に巻き付いています。

※写真をクリックすると、大きな写真が開きます。

 

岩礁上の釣り糸 

◀繁殖岩礁を調査すると、たくさんの釣り糸が見つかりました。

 

 

 

 

ベニアジサシやエリグロアジサシは、国内では主に琉球列島で繁殖する夏の渡り鳥なのですが、

全国的に年々数を減らし、今では絶滅危惧種になってしまいました。

その原因を作っているのが、私たち人間の海に対するマナーの悪さです。

人生の先輩方である、おじぃ、おばぁは「昔の海は綺麗だったよー。」と私たちに教えてくれます。

将来私たちが、同じ世代になったときに、「昔も今も綺麗だねー。」と言えるように、

11人が協力できることを発信していきたいと思います。

来年は、アジサシたちの繁殖が成功しますように...。

アジサシについてもっと知りたい方は、

ウフギー自然館HPに掲載してるパンフレットを是非ごらんください。

○ウフギー自然館HP 各種資料

・沖縄のアジサシ ・アジサシが繁殖に来ています

http://www.ufugi-yambaru.com/shiryou/panfu.html

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2018年07月25日お散歩観察会ダイジェスト~秋・冬・春編~【やんばる地域】

やんばる アクティブレンジャー上開地

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。

いよいよ楽しい夏休み!みなさんはどんな予定を立てていますか?

去年の夏の終わりに、お散歩観察会「春・夏」ダイジェストを紹介してからあっというまに1年がたちました。この一年も毎月定員御礼で楽しくお散歩観察会を開催しています。

今日は、昨年のダイジェスト後の秋~春にかけてのお散歩観察会の様子を紹介します。

9月のやんばるの森 

◀9月のやんばるの森。

 まだまだ夏の雰囲気満載です。

 

  

 

9月シイノミ

 

イタジイの枝にはもうすぐ弾けそうなシイノミがいっぱい!

 

 

 

積もった落ち葉から白い絨毯のようにキノコが! 

◀積もった落ち葉から白い絨毯のようにキノコが!