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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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屋久島国立公園 屋久島

137件の記事があります。

2018年12月04日今年度の出前授業が終わりました 【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは。

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

先日、今年度最後の出前授業が終了しました。

今年は屋久島町立八幡小学校4年生に全5回、小瀬田小学校5年生に全3回、神山小学校4年生に全6回の授業を実施しました。

八幡小学校3回までの授業については下記バックナンバーをご覧ください。

http://kyushu.env.go.jp/blog/2018/07/post-492.html

 

最初に授業が終了したのは小瀬田小学校でした。

毎年小瀬田小は屋久島東部の田代海岸で授業を行っています。

 

田代海岸は屋久島国立公園になっており、屋久島町指定天然記念物の枕状溶岩やウバメガシなどの海岸林が見られ、ウミガメが産卵に訪れるなど、美しい自然海岸が残っています。

 

田代海岸での授業は1012日。

ビンゴゲームをしながら生き物を探したり、海の水の水質調査をしたり、貝殻採集をして自然と触れ合いました。

 

田代海岸で貝殻採集をする様子

▲貝殻採集の様子。

 

教室で貝の種判別をする様子

▲教室に戻って、拾った貝の種判別と標本作成。

図鑑や標本とにらめっこして採集した貝の名前を調べています。

 

田代海岸の生き物地図を作成する様子

▲最後は田代海岸の生き物地図を作成しました。

 

翌週の1019日は、八幡小の最終授業で西部地域に行ってきました。

世界自然遺産エリアである西部地域は、世界遺産になった理由の一つ、植生の垂直分布を見ることができます。

また、西部地域は屋久島で最もサルやシカが多く生息する場所で、観察に適した場所です。

一方で、シカが増えすぎていることから植生に影響が出ている場所でもあります。

 

西部地域で植生の垂直分布を観察する様子

▲まずは植生の垂直分布を見学。

海岸付近の亜熱帯性植物、目線の高さの山肌には照葉樹が広がり、標高が上がるにつれてスギやマツなどの針葉樹が現れ、山頂は厳しい気候条件から背の高い木は育たず、風衝低木林やササに置き換わります。

このように、標高に応じて異なる植生が分布することを植生の垂直分布と呼び、これが海岸から山頂まで途切れることなく残っている屋久島の生態系は、顕著な普遍的価値として世界に認めらています。

 

シカを観察する児童

▲シカを観察する児童。

 

シカを間近で観察する児童

▲シカが児童に大接近!そして突然児童の目の前で「フィーヨーッ!!」と大きな声で鳴きました。

これには皆驚き唖然...。

発情期真っ只中のオスジカが縄張りを主張したのでしょう。貴重な体験でした。

 

シカの糞を採集する児童

▲シカ糞とサル糞も採集。

 

沢で糞を洗う様子

▲沢で糞を洗って...

 

洗った糞の内容物を観察する様子

▲内容物を観察。

 

サル糞とシカ糞の内容物

▲サル糞(左)からは消化できていない葉や実の種子や皮が出てきました。

シカ糞(右)からは消化されて細かくなった葉の繊維が出てきました。

 

糞について考察する児童

▲なぜサルとシカの糞がこんなに違うのだろう?植物と動物の関係は?など、糞から様々な考察ができました。 

 

翌週の1026日には神山小の野外授業の第一回目があり、栗生塚崎海岸に行ってきました。

 

栗生塚崎海岸でビンゴゲームをする様子

▲ビンゴゲームをしながら生き物探し。

 

浜にあった生き物の足跡

▲浜には様々な生き物の足跡がありました。

 

海岸清掃の様子

▲レンジャーのお仕事体験として、海岸清掃をしてもらいました。

台風後ということもあって、浜にはたくさんのゴミが漂着していました。

わずか5分間で大量のゴミが集まりました(右)。

 

児童が作成した海岸の地図

▲教室に帰って海岸の生き物地図を作りました。どの班も個性的で、特に「すなはまっプ」はナイスなネーミングセンスで思わず笑ってしまいました!

 

さらに翌週の11月6日は神山小のふるさと先生授業でした。

ふるさと先生授業とは、地域が育む「かごしまの教育」県民週間中における学校自由参観日の授業の一つで、地域で活動している人を講師に招き、各学年特色ある授業を展開する神山小独自のものです。

毎年4年生のふるさと先生授業に呼んで頂いており、生き物どうしのつながりについて授業をしています。

 

ふるさと先生授業の様子

▲前回の授業で作成した栗生塚崎海岸の地図を使って、地図内の生き物とそのエサとなる生き物を糸でつなげるゲームをしました。つなげていくと、糸がとても複雑に絡み合っていきました。

児童は「ゴチャゴチャになっちゃったよ~。」「訳が分からない!」と嘆きましたが、これでいいのです!

これこそが生き物どうしのつながり。

全く関係ないと思う生き物も、実は複雑につながり関わり合っているのです。

 

最後は、ある生き物が地球からいなくなったと仮定してその生き物の糸を外してみました。

 

ふるさと先生授業の様子

▲糸を外す様子。

 

すると、糸は全部の生き物につながっており、全部の生き物がいなくなってしまいました。

「人間だけで生きていくことはできない。」「たくさんの生き物に支えられている。」「生き物はつながっているからどの生き物もいなくなってはいけない。」と学びました。

 

翌週の1113日には、神山小で西部地域の事前学習を行いました。

今年度から、西部地域の授業の前に、ヤクシカやヤクシマザルの生態、観察の仕方などの事前学習を取り入れることにしました。

 

教室でエゾシカとヤクシカの頭骨を見比べる様子

▲エゾシカとヤクシカの頭骨を持参して児童に見てもらいました。

並べると大きさの違いが歴然でみんな驚いていました!

 

サルとシカへの興味が沸々と湧いたところで、いよいよ最終授業!

1127日に西部地域に出かけました。

 

西部地域にいたサル

▲西部地域に入ってすぐにサルの群れに遭遇!

 

植生保護柵の見学

▲植生保護柵の中と外の林床植生の違いを観察していると...

 

柵の外から中をじっと見つめるシカ

▲柵内に入れる私たちが羨ましかったのか、シカ達が柵のまわりに集まってきて、じーっとこちらを見ていました。

 

そして教室に戻って班ごとに巨大な調査報告書を作成して発表しました。

  

発表の様子

▲発表の様子。

 

わずか1時間でどの班もしっかりまとめました。

児童のみなさんのまとめる力、表現力には大変驚かされました。

 

児童が作成した調査報告書

児童が作成した調査報告書

児童が作成した調査報告書

児童が作成した調査報告書

▲4つの班の調査報告書。

 

こうして今年度の出前授業は全て無事終了しました。

屋久島ならではの貴重な体験ができたと先生方にもおっしゃっていただきました。

こうした機会は屋久島の子ども達にとって重要だと改めて感じました。

来年度はどんな子ども達に会えるかな~

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2018年11月21日アサギマダラのマーキング会 【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

1111日(日)に、自然に親しむ集い~アサギマダラマーキング会~を開催しました。

 

みなさんは日本で唯一旅(長距離移動)をするチョウ、アサギマダラをご存知でしょうか?

 

アサギマダラの写真

▲アサギマダラ(写真:西川高司)

 

今の時期(秋)は本州から日本の南の地域や台湾などに向かって移動している個体を見ることができます。

南下する個体は、11月頃旅の途中で交尾し、幼虫のエサとなる草(食草)を見つけて卵を産みつけ、そして一生を終えます。

ふ化した幼虫は越冬し、春になると蛹化・羽化します。そして今度はこの個体が北に向かって旅を始めます。

目指すは本州の高原地帯などの涼しい所。

北上する個体は、6月頃本州のどこかで産卵し、夏前に一生を終えます。

その子どもは夏に蛹化・羽化し、8月下旬頃から南に向かって旅を始めます。

 

つまり、アサギマダラは世代交代しながら北上と南下の旅を繰り返しているのです。

 

なぜ旅をするのでしょうか?

ひとつは気温です。

暑さや寒さを逃れるために適温の地へ移動するといわれています。

次に吸蜜花です。

アサギマダラのオスは、ヒヨドリバナなど特定の花からしか蜜を吸いません。

ヒヨドリバナなどの花にはメスを誘うために欠かせないフェロモンの材料となる物質(ピロリジジン・アルカロイド)が含まれています。それらを求めて移動しているそうです。

 

ヒヨドリバナ

▲ヒヨドリバナ。

 

ときには2000kmも旅をするアサギマダラ。

この不思議な旅の実態は、1980年頃から行われている全国の有志によるマーキング調査によって解明されてきました。

アサギマダラは鱗粉が少なく、浅葱(あさぎ)色のまだら模様があるので、そこに油性ペンで文字を書くことができます。

その特性を生かして、捕獲地や捕獲日、捕獲した人の名前を羽に書いて放し、別の地点で再び捕獲された情報を集約して移動経路や時間などを調べます。これがマーキング調査です。

 

マーキングしたアサギマダラ

▲マーキングしたアサギマダラ。

捕獲地(屋久島)の「YAKU」、捕獲日「11/7」、捕獲者(水川)のイニシャル「MIZ」、通し番号「3」。

 

それでは、今回のマーキング会の様子をお伝えします!

このマーキング会は2015年から毎年開催しており、今回で4回目です。

2003年から15年間にわたって屋久島でアサギマダラのマーキング調査を続けていらっしゃる久保田義則さんを講師にお招きして、アサギマダラについてのレクチャーやマーキングの仕方を教わり、実際に野外でアサギマダラを捕獲してマーキングしました。

 

久保田氏によるレクチャーの様子

▲久保田氏によるレクチャー。アサギマダラの生態や外敵、マーキング方法などを、写真を交えてお話し頂きました。

普段なかなか見ることがないアサギマダラの卵や幼虫、蛹、外敵のスズメバチに食べられた幼虫や、幼虫に卵を産み付けるハエなどの写真を見た参加者からは、「ほ~!」「うゎ...」など驚きの声が聞かれました。

 

久保田氏が子どもたちにマーキングをして見せる様子

▲生きたアサギマダラにマーキングをしてみせる久保田氏と見入る子どもたち。

 

マーキング練習の様子

▲野外に出る前に1人1頭ずつマーキングを実践。

 

野外でアサギマダラを探す様子

▲いざ、本番!アサギマダラ探しに出発。

 

アサギマダラを捕獲してマーキングしている子ども

▲アサギマダラを捕獲してマーキングする子ども。

 

マーキングを終えて手のひらでアサギマダラを観察する子ども

▲うまく書けたかな?

 

マーキング専用台を持参した参加者

Myマーキング台を持参したベテラン参加者。

 

参加者全員最低1頭、多い人で4頭ほどマーキングすることが出来ました。

 

活動終盤、なんと参加者の男の子が和歌山で10/8にマーキングされたアサギマダラを再捕獲しました。

和歌山で精力的にマーキングをされている方の標識だったそうで、久保田氏はすぐに和歌山からの個体と分かったようです。

 

和歌山の標識個体に屋久島の標識を記入する子ども

▲和歌山でマーキングされたアサギマダラと捕獲した男の子。和歌山の標識が書かれた羽とは別の羽に新しい標識を書いて放しました。

 

この再捕獲&マーキングによって「約1か月で和歌山から屋久島まで移動した」という一つのデータになりました。

また、今回皆でマーキングした個体が屋久島以南で再捕獲されれば、またそれも貴重なデータになります。

こうした地道なマーキング調査が、まだまだ謎の多いアサギマダラの生態解明につながるのです。

今回はマーキング調査の醍醐味が味わえた会となりました。

 

久保田氏は、マーキング調査の楽しみは調査自体だけでなく、人とのつながりがあることだとおっしゃいます。

アサギマダラのマーキング調査は全国各地で行われており、メーリングリストなど情報交換の場があります。

アサギマダラを通して様々な人と関わることができるのも魅力の一つだそうです。

 

アサギマダラのマーキング調査は、マーキングして放すだけでは自分も他者も捕獲情報や移動情報を得ることが出来ません。

いつだれがどこで捕獲し、どんなマークを付けたかを他の調査者に知らせておかないと、再捕獲した人はマークだけ見ても詳細が全く分かりません。

マーキング情報や捕獲情報を他の調査者と共有することで初めて正確なデータとなります。

アサギマダラのマーキング調査についての情報交換はメーリングリストで行われています。

興味のある方は「アサギネット」や「アサギマダラの会」で検索してみてください。

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2018年11月07日パークボランティアでヤクスギランド清掃 【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

最近の屋久島は朝晩が冷え込むようになりましたが、晴れた日の日中は半袖で過ごせるような温かい気候が続いています。

温度差があり体調管理には十分気を付けたい時期です。

 

さて、11月1日(木)に屋久島国立公園パークボランティアの会でヤクスギランドの清掃を行いました。

会員8名、職員2名の計10名で、2班に分かれて2時間半ほど木道や手すりのコケ落としを行いました。

ヤクスギランドは年間降水量10000mmと、屋久島の中でも特に雨の多い場所です。

湿度が高い分木道や手すりにコケがつきやすく、コケがついた木道は滑りやすく危険です。

 

この日はまずパークボランティアでもあるヤクスギランドの職員の方から清掃場所や清掃方法についてレクチャーを受けました。

 

入口案内図でレクチャーをする様子

▲レクチャーの様子。ヤクスギランド入口の大きな案内図を使って場所を確認。

 

その後、2班に分かれて作業を開始しました。

 

▼A班の作業の様子。木道はデッキブラシ、手すりは金たわしを使ってゴシゴシ擦りました。 

木道と手すりを擦る様子

 

木道を金たわしで擦る様子

▲木道の細かなところはたわしでゴシゴシ。根気のいる作業です。

 

木道をデッキブラシで擦る様子

 

▼B班の作業の様子。

手すりを擦る様子

▲木目がはっきり見えるほど綺麗に手すりのコケを落としました。

 

橋を清掃する様子

 

何日も雨が降っておらず、木道や手すりはカラカラに乾いていました。

コケは濡れていた方が落ちやすいので、沢で何度も水を汲み、木道を濡らしては擦りを繰り返して綺麗にしました。

ハードな作業でしたが、ヤクスギランドを訪れたお客さんからは「ありがとう」「ご苦労様です」とお声をかけて頂き、疲れも吹っ飛びました。

 

集合写真

▲最後にみんなで、はい、ポーズ!大変お疲れ様でした!

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2018年11月06日宮之浦岳巡視 【屋久島地域】

屋久島国立公園 池田 裕二

 10月下旬に九州最高峰の宮之浦岳(標高1936m、日本百名山の1つ)へ巡視に行ってきました。今回の巡視の中での作業は、モニタリング定点撮影と、携帯トイレブースの簡易補修、台風等による登山道荒廃箇所の調査でした。

 モニタリング定点撮影とは山頂部や、展望所、湿地など特徴的な植生の見られる場所で実施している調査です。毎年同じ場所で撮りためたデータから植生や地形などの変化を見ていくことができるので、大切な作業です。

 翁岳の鞍部に設置された携帯トイレブースでは10月に屋久島を通過した台風24号により、トイレの固定用ワイヤ―が外れてしまったため、ハンマーで固定杭を打ちなおす作業を行いました。

 淀川登山口での朝の気温は約4度とかなり冷え込んでいましたが、日中は半袖シャツで過ごせるほどの陽気。寒すぎず、暑すぎず、快適な登山日和での作業となりました。

宮之浦岳方面から見た永田岳

▲宮之浦岳登山道から眺めた永田岳方面。

ヤクシマゴケの群落

▲投石岳付近のコケ群落はきれいに赤く発色していました。こんな紅葉もいいですね。(おそらくヤクシマゴケの群落)

登山道脇が崩れている場所

▲台風等の雨水による土壌流出箇所の調査。1回の大雨で1m近く掘れてしまうこともあります。

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2018年11月02日ヤクシカ、ヤクシマザルの恋のシーズン 【屋久島地域】

屋久島国立公園 池田 裕二

 屋久島も秋の気配が濃くなってきました。森では恋のシーズンを迎えたヤクシカ、ヤクシマザルたちが活発に動いている様子を見かけることができます。

 ヤクシカのオスは、メスやほかのオスに対して自分の居場所を主張したいのか、独特の鳴き声を発しています。百人一首にも一句ありますね「奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき」

 これは秋のオスシカの習性をうまく表しています。

繁殖期のヤクシカのオス

▲繁殖期のオスシカ。首の回りに泥が付着し、整髪料を塗ったかのようになっていることが繁殖期の印。

 いっぽうヤクシマザルはというと、オスもメスも顔やおしりなど、皮膚の赤味がグッと増してきます。体格のいい強いオスは短い尻尾を背中につくまで反り上げて、堂々とメスたちの前を歩いていきます。サルを1頭見つけたら、その周りに2、30頭ほどの群れでいることが多いようです。交互にグルーミング(毛づくろい/シラミ取り)をしている様子や、木の実などを採食している様子を見ることができます。

 動物観察の楽しい季節です。特に島の西側、西部地域と言われるエリアではシカとサルに遭遇しやすく、おすすめの場所です。

 そんな動物たちにストレスを与えないよう観察するために、屋久島ではいくつかのルールを定めています。

ルールその1★絶対にエサをあげない※

 サルやシカは野生動物。「ちょっとミカンをあげるくらい、いいでしょ・・・かわいいし。」そんな軽い気持ちが彼らの野生の本来の姿を壊すことになってしまいます。

野生動物にエサをあげてはいけない2つの主な理由

◆行動への影響

 人の食べ物の味を覚えた動物は、餌をもらうために人に近づき、時には食べ物を奪うために人に襲い掛かることもあります。

◆健康への影響

 自然のものを食べて生きる野生動物にとって人の食べ物は有害になる場合があります。

※「屋久島町猿の餌付け等禁止条例」により。違反者は5万円以下の過料となっています。

ルールその2★近づきすぎない

 観察や写真撮影をしようと、つい近づきたくなるものですが、野生動物は人との距離を保ちたいものなのです。近づきすぎると、逃げたり威嚇行動をとる可能性もあります。野生動物にはできるだけストレスを与えないことが大切です。目安として10m、車2台分以上は離れて観察しましょう。

 とくにサルの場合、人の持っている風邪などの病気がサルにうつってしまう可能性があります。くしゃみやせきなどでサルに病気をうつさないためにも、一定の距離をおいて観察しましょう。

ルールその3★車での観察はきちんと停車してから

 西部林道や、山間部へ通じる道路などでは他の車の通行の邪魔にならないように駐停車して観察をしましょう。動物たちの横を通り過ぎる際は徐行し、驚かさないように気を付けましょう。

 また、わき見運転は大変危険です。屋久島ではレンタカーが側溝へ脱輪するケースや、岩や樹への衝突事故が後を絶ちません。観察をする際は車を安全な場所へ停止させてください。

ルールその4★サルの目を見ない

 サルは目線をとても気にする動物です。サルの目をじっと見ることは、サルを興奮させ、威嚇や攻撃行動を引き起こすきっかけとなります。絶対にやめましょう。

ルールその5★大きな声を出さず、ゆっくり動く

 どちらもサルやシカを驚かさないためです。道端でグルーミングや採食をしてリラックスしているようでも、人間の行動はしっかり観察されています。特に人の子供がはしゃいで騒ぐことをサルはとても嫌います。小さなお子様連れの方はとくにサルの観察時にご注意ください。

 屋久島は動物観察にとても良い状態を保っている奇跡の島です。この状態を維持するためにも観察ルールを必ず守りましょう。

 こうした観察ルールをまとめた「屋久島西部地域ルールガイド」冊子を、観光協会の窓口などで入手できますので、動物観察にお出かけの際はぜひご利用ください。

屋久島西部地域ルールガイド

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2018年11月01日パークボランティアで口永良部島へ!【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

運動会シーズンも終わり、少し落ち着く頃でしょうか。

私の住む集落の運動会は10月21日にありました。

3年ぶりの好天で、皆思いっきりグランドを走って楽しみました。

 

運動会の様子

▲原集落の運動会の様子。後ろにそびえるのはモッチョム岳。

 

さて、翌日の22日から一泊二日で、屋久島国立公園パークボランティアの会で口永良部島に行ってきました。

昨年に続き、「GGG国立・国定公園支援事業」の助成を受けて海岸清掃を実施しました。

 

口永良部島全景の写真

▲口永良部島。島全域が屋久島国立公園です。

 

今年の台風24号で屋久島はかなりのダメージを受けました。

口永良部島はどうでしょうか...。

島に到着後、早速岩屋泊(いわやどまり)に向かい、清掃を開始しました。

台風による高波の影響か、波打ち際ではなくより奥の植生帯の中にゴミが打ち上げられていました。

ゴミの多くはウキ。足場が悪いうえにウキは大きくて重たいので、一人ひとり作業していては日が暮れてしまいます。

そこで、集積場所まで一列になり、バケツリレーでウキを回収することにしました。

 

バケツリレーでゴミを回収する様子

▲バケツリレーならぬウキリレーの様子。短い距離は二列縦隊でリレー!あっという間に回収することができました。

 

清掃前と後の海岸の様子

▲ウキを回収する前と後の様子。

 

今回の活動では、海岸清掃の他に口永良部島八景の標識も補修しました。

 

標識補修の様子

▲岩屋泊の八景標識の補修の様子。

 

翌日は西之湯周辺の海岸清掃を実施しました。

口永良部島の魅力の一つは島内4箇所に湧き出る温泉です。

その一つである西之湯が、今回の台風で消失しました。

 

西之湯の様子

▲西之湯の様子。

 

消失前の西之湯

▲消失前の西之湯。

 

西之湯周辺の海岸には、大量の発泡スチロールが漂着していました。

発泡スチロールの大きな白い塊はとにかく目立ち景観を損ねていたので、これもバケツリレー戦法で回収することにしました。

 

バケツリレーでゴミを回収する様子

▲発泡スチロールリレーの様子。急峻な岩場に一列に並んで慎重に発泡スチロールを渡していきました。

 

清掃前と後の様子

▲白い無数の塊が無くなったのがわかるでしょうか。

 

清掃前と後の様子

▲もちろん、発泡スチロール以外の漂着ゴミも回収しました。

 

会員9名+職員3名で、2日間で回収したゴミの量は、なんと1トン用フレコンバック23袋!

たくさんの漂着ゴミを回収できたことは良かったですが、産廃処理費の予算を大幅にオーバーしてしまいました。

 

回収したゴミ

▲ゴミが入ったフレコンバック。

 

島にゴミ処理施設はなく、産業廃棄物は鹿児島本土に搬出しなくてはなりません。

回収しても次から次へとゴミは漂着し、回収すればするだけ処分費用がかかってしまう...。

良い解決策はないものかと頭を抱えます。

 

また、活動前日に3年ぶりに新岳がごく小規模な噴火をしました。

活動中も噴火は続き、風向きによっては車に降灰したり、火山ガスの臭いがしたりしましたが、島の方は冷静でした。日々の備えがあるからこそ、いつも通りの暮らしができているのだと感じました。

 

新岳噴火の様子

▲噴火の様子。昼夜問わず噴火していましたが、島の人は落ち着いていつも通りの生活をしていました。

 

今回は、口永良部島の火山とともに生きる島民の力強さを感じるとともに、離島のゴミ問題の深刻さを痛感する活動となりました。

 

集合写真①。

集合写真②。

▲最後にみんなで、はい、チーズ!お疲れ様でした。

※口永良部島では8月29日10時00分に噴火警戒レベル4(避難準備)から3(入山規制)に引き下げられており、現在も噴火警戒レベル3(入山規制)が継続されております。(平成30年11月4日16時00分

※ 詳細は、気象庁HP等をご覧下さい。

○気象庁HP(口永良部島の噴火警戒レベルを3(入山規制)へ引下げ、平成30年8月29日10時00分発表)http://www.jma.go.jp/jma/press/1808/29b/kuchinoerabu180829.html 

○口永良部島の活動状況

http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/activity_info/509.html

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2018年10月18日屋久島と台風 【屋久島地域】

屋久島国立公園 池田 裕二

 屋久島は九州南部に位置し、台風の進路上にあるといっても過言ではありません。そのため台風の通過は毎年必ずあるものとして身構えておく必要があります。

 台風による強い風雨により、倒木や土砂崩れ等の発生があるため、台風通過後には環境省が管理する登山道や設備等の点検を行っています。

 とくに標高の高い山間部では低地の市街地に比べてより強い風が吹き、倒木、落枝等が発生しやすいため、設備の損壊が心配です。山間部に設置したトイレや縄文杉の展望デッキなど重要な設備があり、台風通過後は安全第一でできるだけ早く状況を見に行き、通常使用に問題が無いか確認を行います。破損した場合は修理にかかる手続きを早急にしなければいけません。場合によっては現地で危険木等の除去作業も行います。

 今回は台風24号の影響が大きく、大きな倒木が多かった印象を受けました。島の低地で風速40m級の風が吹いたので、山の上は瞬間的にもっと強い風が吹いたのかと推察されます。

台風での倒木

台風後の倒木

 ▲登山道をふさぐ倒木。

 台風は被害をもたらすこともありますが、自然のサイクルの中でしっかりと役に立っていることもあります。例えば、森林内の下層植生が乏しい屋久島の山では、強風によって千切れた木の葉は地表で食べ物を探すヤクシカにとって良い食料になることがあります。ヤクシカは食べることのできる樹種の葉を探して歩き回っています。

 また、立ち枯れした木や弱った木が台風で倒されることにより、森の中に光が入り、次の世代の木々が育つことで森が更新されていきます。枯れて地面に落ちた木は森の中で虫や菌などによって分解され、再び森の養分となって循環します。

 河川に溜まった落ち葉や腐葉土は大雨の影響で海へと一気に流されます。これらもいずれ分解され、海にすむ生き物たちの栄養源となるのです。

 台風は人の生活にとって脅威ですが、屋久島の自然は台風とともにあり、厳しい自然に耐えながらバランスを保っているのですね。

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2018年09月05日希少な野生植物ヤクシマソウを追え! 【屋久島地域】

屋久島国立公園 池田 裕二

 国内希少野生動植物種という名称をご存知でしょうか。

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 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)に基づき、国内に生息・生育する絶滅のおそれのある野生生物のうち、人為的な影響により減少が見られる種等を環境省が「国内希少野生動植物種」に指定しています。

 また、新種、初確認種(日本に生息していることが初めて確認された種)、再発見種(絶滅したと思われていた種が見つかった場合)のうち、特にその保存を緊急に図る必要があると認められる種を「緊急指定種」に指定しています。

 平成30年2月現在、国内希少野生動植物種として、鳥類39種、哺乳類9種、爬虫類7種、両生類11種、魚類4種、昆虫類44種、陸産貝類19種、甲殻類4種、植物122種の全259種が指定されています。また、緊急指定種として爬虫類1種が指定されています。

 詳細URLはこちら▼

 http://www.env.go.jp/nature/kisho/domestic/index.html

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 平成30年1月には屋久島の植物4種が新たに国内希少野生動植物種に指定されました。4種とはタブガワヤツシロラン、ヤクシマヤツシロラン、ヤクシマヒゴタイ、ヤクシマソウです。いずれも島内での生育地は限られています。

 先日、ヤクシマソウ生育調査のため、森に入りました。ヤクシマソウはホンゴウソウ科という聞きなれない植物の仲間です。地上からの高さは数cm。花や実のひとつひとつの大きさは直径約1mm、花茎は細く髪の毛のような細さです。全体的に赤紫色をしており、薄暗い林床では見つけることが難しく、地面をじっと見つめながら探します。葉緑素を持たず、光合成をしない植物で、土の中の菌に寄生して栄養をとって生きるという、とても変わった生態です。

 菌に寄生するヤクシマソウが自生しているということは、その環境が、私たちの目には見えない豊かな菌類の生育地とも言えます。枯れ葉や枯れ木が何百年もの間、菌類に分解され循環を繰り返している古い森にこうした生態系が形作られています。

 このような環境はいまや貴重となっており、なおかつ生育地やその周囲の伐採など開発の危機に瀕していることが多いのです。ヤクシマソウは2016年に新種として記録されたものですが、その希少性によってわずか2年ほどで国内希少野生植物種に指定されました。

ヤクシマソウ

▲ヤクシマソウ。あまりに小さく、そして不思議な形に職員一同驚きを隠せませんでした。

林床のヤクシマソウ

▲落ち葉の中からひょっこり。

 ヤクシマソウは屋久島でもごく限られた地域でしか見つかっておらず、株数も多くはありません。今回の調査は湿度の高い林内で地面にしゃがみ込みながら、およそ3時間の探索を行いました。汗だくになりながらも努力の甲斐あって全員がヤクシマソウを見つけることができました。みな調査に夢中になり、見つけるたびに「あった!あった!」と歓喜の声をあげていました。ヤマビルやマダニ、マムシなどに遭遇しなかったのも幸いでした。

 まだまだ詳しい研究が期待されるヤクシマソウ、環境変化に弱いとされ、生育地そのものを保護していくことが大切です。

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2018年08月13日自然に親しむ集い~夏休み自由研究!川の水と生き物調査隊~ 【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

8月5日(日)、自然に親しむ集いを実施しました。

自然に親しむ集いは、屋久島自然保護官事務所と屋久島町と(公財)屋久島環境文化財団研修センターが共催で年3回実施している屋久島町民対象の自然観察会です。

平成30年度第1回目は当事務所が主催で、昨年大変好評だった川の水と生き物調査を実施しました。

今年もキャンセル待ちが出るほど多数の応募がありました。

 

当日は良く晴れた真夏日で、絶好の川日和でした。

昨年同様小瀬田にある男川で、15名の参加者と活動しました。

今回は屋久島国立公園パークボランティアの方にも活動補助をお願いし、スタッフとして参加頂きました。

 

最初のレクチャーをする様子

▲最初のレクチャー。川と私たちの生活は密接に関わっていることを説明しました。

 

川の上流へ移動する様子

▲いよいよ川へ出発!まずは上流へ移動。冷たくてとっても気持ちいい!

 

流速を測定する様子

▲流速を計りました。

ウキに300㎝のヒモをつけて流します。

ウキを水に浮かべた瞬間からヒモがピンと張るまで流れた時間を計測すると、流速が計算できます。

今回は6秒だったので、300㎝÷6秒=50/秒(速さはふつう)でした。

 

生き物採集の様子

▲待ちに待った生き物採集!最初の20分間は石の裏にいる指標生物を集中して探しました。

大人も子供も夢中になって、あっという間に採集時間が終わりました。

 

次は採集した生き物とパックテストを使って水質調査です。

調査隊ということで、子供達は調査表にしっかりデータを記入していきます。

 

調査表を記入する参加者の様子

 

調査表を記入する様子

▲調査表にデータを記入する様子。

 

採集した生き物を観察する様子

▲採集した生き物を観察し、指標生物を調べます。

 

採集したテナガエビ

▲大きなテナガエビもいました。

 

指標生物による水質判定

▲調査表に指標生物の数を記入して、水質を判定。

結果は「きれいな水」であることが分かりました。

 

パックテストも使って水質を調べてみました。

 

パックテストの様子

▲亜硝酸態窒素を判定する様子。色は全く付かず、「きれいな水」であることが分かりました。

 

川の調査方法や指標生物を初めて知る人がほとんどでしたが、皆とても楽しんでくれたようです。

川や生き物に触れる良い機会になったのではないでしょうか。

 

この夏は異常な暑さです。皆さんも涼しい川へ遊びに行ってはいかがですか(^^)

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2018年08月13日教職員向けESD研修! 【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

8月1日、夏休み真っ只中の屋久島町立八幡小学校にて教職員のESD研修会が行われ、そこで講話する機会を頂きました。

 

教育のプロの方々を前にどんなことを話すべきか大変悩みましたが、意外と学校現場では環境教育に取り組んでいても「ESD(持続可能な開発のための教育)」の視点が不足していたり、そもそもESDについて詳しく知らないという先生も多いようだったので、ESDとは何かという基本的なことからESDの取り組み方、かつ、今後ESDを進めるうえで参考になればと、屋久島の自然環境や課題、屋久島自然保護官事務所が実施している環境教育等について話しました。

また、SDGs(持続可能な開発目標)についても説明し、SDGsを見据えたESDの取り組みを提案させて頂きました。(残念ながらSDGsを知っている先生はいませんでした。)

 

職員室で教員を前に話す様子

ESD研修会の様子。パワーポイントと配布資料を用いてお話しました。

 

少しでも先生方の参考になる話を...と張り切って準備した発表用パワーポイントは約70枚。(削って、削って、この枚数...)

1時間以上の発表となってしまいましたが、先生方は最後まで熱心に耳を傾けてくださいました。

話が終わってからは、「もう少し詳しく聞いていい?」「○○は世界自然遺産地域?」「とても興味深かった」「大変参考になった」など、嬉しいお言葉を沢山頂きました。

校長先生からは「他の学校にも有意義な研修ができたと報告・宣伝しておきます!」と言って頂きました。

 

学校でESD推進を目指す一方、ESDについて教職員が学ぶ機会が少ないそうです。

まずは校内の教職員でESDについて理解を深めようと、八幡小学校の校長先生が企画した研修会でした。

今回貴重な機会をくださった八幡小学校の先生方に感謝致します。 

 

ESDでは、これまでの「知識伝達型」の受動的な学びのスタイルではなく、グループ活動などの協働的な活動や体験活動を取り入れて児童の主体的な学びを引き出す工夫が求められます。

「本物」に出会い、五感を使って体験し、発見する、気づく。といった学習過程で、私たちの出前授業が活かせると思っています。

今後も学校と連携しながら、持続可能な社会づくりに貢献できればと思います。

 

ESDについて詳しく知りたい方はコチラ↓(環境省HP

https://edu.env.go.jp/whatesd.html

 

SDGsについて詳しくは知りたい方はコチラ↓(環境省HP

https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h29/html/hj17010101.html

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