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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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西海国立公園 五島

17件の記事があります。

2018年02月06日五島探鳥会 福江島に飛来した冬鳥に会いに行こう!

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。1月21日(日曜)、福江島の繁敷(しげじき)ダムと福江ダムで開催した五島探鳥会「かわいい野鳥に会いに行こう」にスタッフとして参加しました。五島では、300種以上の野鳥が確認されていますが、そのうち年間を通じて島に生息している留鳥は30種類弱で、多くは季節的に見られる渡り鳥です。渡り方の違いで分類される冬鳥は、秋になると日本に飛来して冬を過ごし、春になると子育てのために中国やロシア方面に渡っていきます。五島探鳥会は、冬鳥が見られる時期にふれあい事業として毎年開催しているイベントです。

 集合場所の福江みなと公園から貸切バスでいざ出発です。バスの中で参加者に冊子を配って観察マナーや野鳥の種類などを説明し、車窓から見る景色と鳥を観察しながら最初の観察ポイントである繁敷ダムに向かいます。

 繁敷ダムでは、マガモ、ヨシガモ、コガモ、オシドリなど7種類の野鳥を確認することができましたが、人が近づくとさぁーっと遠ざかっていくためなかなかじっくり観察することができません。バスでダムの反対側へ移動し、長崎県の県民鳥でもあるオシドリが木陰に隠れている様子を望遠鏡で確認できましたが、残念ながらかなり遠くにいたため写真に収めることはできませんでした。

左:繁敷ダムで観察する参加者

右:人に気づいて一斉に移動する野鳥たち

 移動先の福江ダムは、周りに家屋が立ち並ぶ市内中心部に近い場所にありますが、ダムが小さいことから、比較的至近距離で鳥の生態観察ができます。当日は寒気の合間の穏やかな昼前の時間帯で、カワウ、カワセミ、珍しいアメリカコガモなど多くの鳥を確認することができました。福江ダムで参加者を一番喜ばせたのがカワセミの捕食シーンです。冬空に鮮やかなコバルトブルーの体と長いくちばしが特徴のカワセミが木の枝にとまり水中の獲物を探していました。次の瞬間、水中に飛び込み一瞬で長いくちばしを使って捕え、またもとの枝にもどり食事する一瞬の早業を参加者と一緒に見物することができました。

左:オレンジ色の浮に立つカワウ3羽(右端は生まれて約1年の幼鳥)

右:木の枝にとまり、じっと水面を眺め獲物を探すカワセミ(写真中央)

繁敷ダムでの記念撮影

 今回の参加者へのアンケートでは、「今まで気づかなかった野鳥の見方を教えてもらい楽しみが増えた」「たくさんのカモ類や珍しい鳥を見ることができて良かった」などの感想をいただきました。

 望遠鏡で野鳥の姿を確認した瞬間、その美しさや動作に感動して寒さも忘れて見入ってしまうかもしれません。みなさんも野鳥たちがダムや港でどんな暮らしをしているのか、自分の住んでいる町に飛来した冬鳥に会いに出かけませんか!

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2017年08月28日五島の夏休み企画パートⅡ:ぼくたちわたしたち「福江川探索隊」

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。7月30日(日曜) 、大円寺公園近くを流れる福江川で開催した「福江川探索隊」にスタッフとして参加しました。川でのふれあい事業は昨年度にはない企画のため、子供たちに興味を持ってもらえるのか心配でしたが、広報誌へ掲載してすぐ問合せが殺到し数日で定員に達しました。残念ながら前日数組の家族のキャンセルがありましたが、スタッフによるSNS等での呼びかけで急遽当日参加可能としたところ、ほぼ予定していた人数で開催することができました。

 福江川は、福江島の東部に位置する笹岳(標高390m)の南側斜面を水源とし、内闇ダム、福江ダムを経て東へと蛇行しながら流れ、福江港へと注ぐ2級河川です。福江島では3番目に長い川(延長8.1km)で今回の観察場所はその下流域にあたります。

左)安全確保のため草刈り

右) 福江川について説明するスタッフ

 開催に先立ち参加者の安全確保のため通路周辺の草刈りを行いました。参加者に集合してもらい、スタッフから福江川の特徴と注意事項を説明し、階段を下りて観察場所へ移動します。

 川の流れは緩やかで、小さな子供でも安心して歩けるぐらいの水深です。遠くから見るとどこに生きものがいるのか分かりませんでしたが、じっくりと見ているといろんな生きものが見えてきました。我を忘れて魚を追っかけていた参加者も、魚のすばしっこさにはなかなか勝てなかったようです。

左) 子供はずぶ濡れになりながら魚を追いかけるのに夢中

右) 大人は繁みをかき分けてナマズを探索中

 網の使い方にも慣れいろんな生きものを採集できたので、川から上がってスタッフから生きものの名前や特徴について説明をしました。中でも一番大きかったのは、テナガエビ。バケツの中でひと際目立っています。お父さんたちは、50cmほどの白色のナマズやコイ、カワムツを見つけたものの、残念ながら逃げられてしまったそうです。

左)参加者全員で見つけた川の生きものたち

右)水槽に一匹ずつ入れて生きものを紹介

 見つけた生きものの名前がわかったところで、どの生きものが川のどのあたりにいたのか?「生きものマップ」をつくってもらいました。スジエビ・テナガエビ・メダカ・フナ・ヨシノボリ・イシマキガイ・アメンボ等12種類の生きものを見つけましたが、見つけた場所を子供たちもしっかりと覚えていて、生きものの姿を描いたシールをすぐに貼ってくれました。

 今回観察した場所は五島市の中心部に近く、この辺りには生息していないと思っていたメダカを見つけることができました。ボランティアによる毎年の福江川の清掃活動等の取り組みもあり、福江川の環境が少しずつ改善しているかもしれません。

左)生きものマップの作製

右)観察した生物を放流する参加者

 今回の講座がとても楽しかったようで、「次はいつ?」と聞いてくる子供もいました。観察地の下流域周辺は五島市の人口が集中する市街地が広がり、商業施設、学校、官庁などがありますが、川の中にはヒメガマやヨシなどの植生がみられ、川辺にはコサギやハクセキレイ、カワセミなど水辺の鳥の生息地となっており、環境学習の場としては最適な場所です。

 あなたも探索隊のメンバーになって川の中にどんな生きものが暮らしているのか、冷たい水の心地よさを感じながら石の裏や砂の中を探ってみませんか!

福江川探索隊の記念写真

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2017年08月10日五島の夏休み企画パートⅠ:鐙瀬溶岩海岸の生きものさがし

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。7月23日(日曜)は早朝からクリーン五島に参加し、約60名のボランティアの方々とともに鐙瀬溶岩海岸の漂着ゴミを回収しました。波が押し寄せる入江の岩場近くにはペットボトルや漁具などの漂流物が溜まっていました。

 今回のふれあい事業は干潮の時間帯に実施するため、同日昼頃からの開催です。初めて参加する人が大半を占め、島外から転勤で五島市に来たばかりという家族連れもいました。鐙瀬ビジターセンターで溶岩海岸の成り立ちや注意事項を説明し、綺麗になったタイドプール(潮だまり)へいざ出発です。

左)溶岩海岸の漂着ゴミ回収

右)ビジターセンターから網を片手に出発

 まず初めに、スタッフからタイドプールにいる生きものの見つけ方のコツを教わります。いきなり海水の中に入ってしまうと生きものが驚いて逃げてしまう可能性があるため、まずはじっと観察します。暫くすると、目が慣れてきて魚が泳いでいたり、カニが動いていたりするのが見えてきます。次第にコツを掴んだのかエビやカニ、大きなニセクロナマコなどを網ですくえるようになりました。

左)生きものの動きをじっと観察

右) 大ものゲット!   

 初めて見る生きものは子供たちにとって少し怖いようでスタッフが手に持って見せても近づこうとしませんが、誰か1人が触ると次々と集まってきました。今日の一番人気は、ニセクロナマコのです。触ると「気持ち悪い」と言いつつも、次の瞬間「ぷにぷにしている!」「なんか白いものを出した!」といってはしゃいでいました。

左)ウニの感触を確かめる

右) 大人も生きものさがしに夢中

 採集した生きものを水槽に入れ、ビジターセンター内でスタッフから名前や特徴を説明しました。子供たちは水槽に入れた生きものを見ながらスケッチしたり、直接触ったりしていました。

左)スタッフから見つけた生きものたちの説明

右) 水槽の生きものをスケッチ

溶岩海岸で記念撮影

 初めは、生きものたちに近づけなかった参加者も、手で触ることで感触の違いが確認でき、どこに暮らしているか、貝の中に隠れていたやどかりも動いた瞬間に気づけるようになっていました。また、これまで海の生きものとふれあうことのなかったという家族連れも、子供と一緒にタイドプールに入り楽しい体験ができたと喜んでいました。

 タイドプールを日々観察しているスタッフの話によると、その日の天候や気温、潮の満ち引きにより生息している生きものがその都度変わるようで、アメフラシが連結して動いている様子を観察できた日もあったそうです!鐙瀬溶岩海岸のように自然豊かな環境では、いろんな生きものと出会える機会もたくさんあるようです。

 次はどんな生きものに出会えるのでしょうか? 皆さんも溶岩海岸の生きものたちを探しにきませんか!

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2017年05月26日リベンジ!父ヶ岳登山

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。ふれあい事業として毎年実施している父ヶ岳(ててがたけ:標高461m)登山に、今年もスタッフとして参加しました。昨年は午後から下り坂との天気予報で中腹から引き返して山頂まで行けなかったので、今年こそは!とリベンジを誓う参加者が約半数を占めていました。

 開催の数日前、登山ルートを確認しながら、参加者が安全に通行できるよう頂上までの登山道で倒木処理を行い、併せて当日参加者へ紹介できるよう自然や生物の事前調査を行いました。旧七嶽神社へ向かう石段から父ヶ岳山頂付近にかけて、花崗岩をよく見かけますが、これはマグマが深いところで固まった岩です。

左)登山道の倒木処理

右)長石(チョウセキ)と石英(セキエイ)の白い粒が目立つ花崗岩(カコウガン)

実施予定日の2日前、五島列島では全国ニュースで伝えられるほどの豪雨となり心配しましたが、前日と当日は天候に恵まれ実施することができました。参加者には豪雨の影響による土砂崩れ等でこれ以上の登山は危険と判断した場合は引き返すことを了解いただき出発しました。

左)七嶽神社での開会式

右)七嶽神社旧社殿へ向かう林道

 旧七嶽神社へ向かう石段を上り急峻な登山道を過ぎると、日差しを遮るほどの樹木に囲まれているため、時折吹く風は少し寒いぐらいです。登山道わきには、アリドオシやフイリシハイスミレなど確認できました。

左)蟻を通すほどの細いとげがあることから名付けられたアリドオシ

右)葉の裏が紫で、葉に斑が入ったフイリシハイスミレ

 父ヶ岳登山道はいくつかの峰を超えるため、下ったり登ったりを何回か繰り返します。登山道には、ヤマタニシなどの貝類も観察でき、参加者は海の生物と思われる貝類が山に生息していることに驚いていました。

左)参加者へ山に生息する生物を紹介

右)見た目はカタツムリだが、殻口部に蓋があるヤマタニシ

 父ヶ岳山頂からは、南西に「玉之浦湾と島山島」、北西に「頓泊・高浜の海水浴場と嵯峨島」という五島列島の代表的な国立公園区域を眼下に見渡すことができます。山頂付近は、雑木の繁茂が著しく、眺望に支障があり、次回の登山では事前に何らかの対策が必要と感じました。

左)玉之浦湾(中央)、島山島(後方)

右)頓泊(左)・高浜(右)の海水浴場と嵯峨島(中央後方)

 今回参加者の中には、友人に誘われ初めて登山した人もいて、予定した所要時間を超え急峻な登山道も大変だったと思いますが、全員無事下山することができました。

 参加者から「山に個人で登るのは不安だが、こうした機会があり本当に良かった」「疲れたが、天候に恵まれて達成感もあった」等とうれしい言葉をいただきました。皆さんも、イベントを活用して、未知なる山へチャレンジしませんか!

スダジイの前で集合写真

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2017年04月13日九州自然歩道でつながる豊かな自然と文化の島、奈留島

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。328(火曜)、奈留島において公園区域周辺部の現状及び九州自然歩道の活用状況の把握のため現地調査を行いました。奈留島に国立公園はありませんが、久賀島と若松島の中間に位置し、他の島々と九州自然歩道のルートでつながっています。奈留島は五島列島の主要な7つの島の一つで、島内各所で豊かな自然と文化に触れることができます。

 福江港から北東に位置する奈留港へフェリーで45分程の所要時間です。この地で一番初めに出迎えてくれたのは、春に訪れる鳥、ヤツガシラです!ヤツガシラは3月頃になると東南アジアから中国北東方面へ移動する渡り鳥で、五島ではこの時期よく見かける鳥ですが、本土では滅多に見ることができないそうです。また海岸の堤防では、2羽のイソシギが縄張り争いか求愛行動と思われる奇妙な行動をしていました。一定区間を何度も行ったり来たりして、追いかける鳥が前の鳥を飛び越えて方向転換していました。

  

左)雌雄同色のヤツガシラ

右)奇妙な行動をする2羽のイソシギ

 奈留島の北西部には、大串池塚海岸のビーチロック (五島市指定天然記念物)と雛ノ浦のハマジンチョウ群落(長崎県指定天然記念物)があります。一般に熱帯から亜熱帯地方に多く見られるビーチロックは、干潮時のみ広範囲にわたって見ることができ、砂や礫が可溶性の珪酸と炭酸石灰質物で固くセメント化され幾層にも固まったものですが、九州では沖縄以外では珍しく当地はほぼ北限に近いものと言われています。ビーチロックの近隣には長さ80メートルにわたり自生する雛ノ浦のハマジンチョウ群落があります。ハマジンチョウは1月から3月ごろまで咲く亜熱帯性の常緑低木で、通常波静かな入り江の奥の海岸に生育します。ここは満潮時には株本に海水が入る海跡湖のため、湖岸にハマジンチョウ以外にもハマボウなどの塩湿地植物が自生しています。

左)干潮時以外は海水に浸かるビーチロック  

右)海跡湖の湖岸に咲くハマジンチョウの花

 大串湾をはさんで雛ノ浦の対岸には、国指定重要文化財 江上天主堂があります。江上天主堂は日本教会建築の父・鉄川与助によって大正7(1918)建てられ、外見はクリーム色の板張り壁・水色の窓枠と可愛らしい教会です。現在は「奈留島の江上集落」を潜伏キリシタン関連遺産の構成資産としてユネスコの世界遺産登録に向け教会の修復中です。

可愛らしい外見の江上天主堂

 さらに九州自然歩道に沿って島の西側を南下すると、道路の海沿いに宿輪の淡水貝化石含有層(五島市指定天然記念物)があります。約2000万年前には大陸と陸続きの際に巨大な淡水湖であったことを地形的に確認できる場所です。

左)宿輪の淡水貝化石含有層

右)淡水に生息する巻貝(タニシ科)や二枚貝(イシガイ科)の化石

 奈留島の中央部には、中世期に山城があったことから城岳(標高189m)と呼ばれる山があり、その展望台から複雑な奈留島の地形や周りの島々を見渡すことができます。

左)城岳展望台から眼下に望む、奈留港、手前が前島、右上が末津島

右)一人の生徒の手紙がきっかけで愛唱歌が生まれた「奈留高校」

 奈留島の南部には千畳敷と呼ばれる広く平坦な岩礁があります。山手から望む千畳敷とその後方の舅ケ島、紺碧の海とのコントラストが美しく、近づくと様々な形をした大きな岩に驚かされます。

左)奈留の千畳敷

右)人の背丈の何倍もある大きな岩

 奈留港からフェリーで福江港へ向かう途中、前島と末津島の間に道が現れるトンボロ(砂嘴)という珍しい地形を干潮時のみ確認することもできます。トンボロは奈留瀬戸の激しい潮の流れで小石が堆積してできたもので、その規模は幅10m長さ400mあります。

奈留島は、同じ五島市の福江島とは異なり山間部が多く、農地があまり見られないなど新上五島町と似た地形だと感じました。今五島市は長崎県や関係市町とともにユネスコの世界遺産登録に向け奔走していますが、その先に目指すジオパークの候補地もこの島から出るかもしれませんね!

前島(左)と末津島(右)を繋ぐトンボロ

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2017年02月13日冬の五島は快適な居場所!「野鳥たちの住まい拝見」

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。1月22日(日曜)、福江島の内闇(うちやみ)ダムと繁敷(しげじき)ダムで開催された五島探鳥会「かわいい野鳥に会いに行こう」にスタッフとして参加しました。集合場所の福江みなと公園から貸切バスでいざ出発です。

 バスの中で観察マナーや野鳥の種類などを解説した冊子を参加者に配り、講師からオシドリのオスは繁殖期に羽が変わりメスと同じような外見になるがくちばしの色は年中赤みのある色をしているなど、野鳥の生態について説明がありました。

 野鳥が季節の変化に合わせて日本や外国に行ったり来たりすることを「渡り」といいますが、「渡り方」の違いで、夏鳥・冬鳥・留鳥・旅鳥に分類されます。この分類にどの鳥が属するかは地域によって異なり、本土で見られるコゲラ・エナガ・カケスは、五島での生息は確認されていません。走行中、バスの車窓からミヤマガラスの大群が見えました。五島のハシブトガラスやハシボソガラスは留鳥ですが、ミヤマガラスやかわいい鳴き声を出すコクマルガラスは冬鳥として渡ってきます。

左:車窓から見たミヤマガラスの大群

右:内闇ダムのマガモ

 最初の観察ポイントである内闇ダムは、笹嶽(389.1m)南麓に昭和44年作られた灌漑用ダムです。参加者の中には野鳥観察が初体験の方もあり、貸し出した双眼鏡の使い方から説明しました。堤防から観察しましたが、野鳥たちは人の気配を感じた途端大きな鳴き声を発して仲間に注意を呼び掛けると一斉に遠くの水面に飛び立ってしまいます。一方、ダム外周道路からは木陰になっているため、カモ類から気づかれにくく比較的近くから観察できました。講師の説明でヨシガモとマガモの見分け方がわかると、参加者は夢中になって双眼鏡を覗いていました。

左:双眼鏡や望遠鏡で堤防から野鳥観察

右:図鑑を使って野鳥の見分け方を説明

 移動先の繁敷ダムには周辺を取り囲むスギ・ヒノキの森林から育まれた水が流れ込み、ダムの下流はゲンジボタルの名所となるなど自然が数多く残る場所です。前日の天気予報では曇りでしたが、終始風が強くダムに到着した頃から雪まじりの雨が降り始めました。野鳥に気付かれないよう、そーっとバスから降りて野鳥観察に向かいます。

左:繁敷ダムで観察する参加者

右:人に気付いて飛び立つカモたち

 参加者たちは、双眼鏡や望遠鏡の先に野鳥を見つけると寒さを忘れて真剣に見入っていました。ふと見上げると、今か今かと春を待ち望んで少し咲き始めた桜の蕾を見ることが出来ました。

左:強風のためバスの車窓から観察している子供たち

右:繁敷ダムで記念撮影

 福江みなと公園へ戻り一旦解散しましたが、希望者のみ福江港からカモメ類を観察しました。五島にはユリカモメは少ないですが、セグロカモメやウミネコは多くの港で見かけます。

左:福江港でカモメ類を観察

右:数百羽の群れをなすカモメ類

 冬の五島は野鳥たちにとって快適な居場所です。みなさんも野鳥たちがダムや港でどんな暮らしをしているのか、住まいを見せてもらいに出かけませんか!

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2016年11月30日九州特産物リレー11月 ~「椿」東の大島、西の五島~

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。毎月リレー形式で「その土地ならではの特産物」に関する日記を掲載していますが、11月の五島編では椿を紹介します。「東の大島・西の五島」といわれるほど五島列島は日本有数の椿の産地で、各地に椿の自生林や植林が多くみられます。椿の原始林は久賀島(ひさかじま)東岸の長浜にあり、広さ約1ヘクタールの長崎県指定天然記念物です。椿は長崎県の県木、新上五島町の町木・花、五島市の花木で、和名をヤブツバキといいます。花が散った後、椿実(五島ではカタシと呼びます)は9月初旬ごろまで成熟するため、1本の木に数個の口割れの実が出始める中旬過ぎから至る所で収穫風景を見かけます。


左:濃紅色が特徴のヤブツバキ

右:口割れした椿実に詰まった種

 かつて集落ごとにあった小さな製油所は機械等による効率化で集約され、現在 福江島には4つの製油所があります。製油所では圧搾機で搾油しますが、家庭にある器具でも手軽に椿油を作ることができます。修学旅行生や観光客等を対象とした椿油作り体験教室に私もスタッフとして参加しました。参加者は種を細かく砕くのにかなり時間を要しましたが、いくつかの工程を経た油が完成間際一気に白く変わった瞬間、ウォーッと歓喜の声があがりました!耐熱容器に注ぐ一番搾りのツバキ油は、黄金の雫のようにキラキラ輝いていました。この日の夕食は、五島の新鮮な魚介と椿油を使ったパエリアです。

  

初めて椿油作りを体験する子ども達。搾りたての椿油は炒ったナッツのような香りがしました。

 椿油は、昔から頭髪用・燈用・食用・石鹸原料・艶出し用・刃物錆止等さまざまな用途に使われてきました。椿油は、善玉コレステロールを減らすことなく悪玉コレステロールを減らす作用があるオレイン酸の含有量が85%とオリーブオイルを大きく上回ります。椿油を使った製品のうち、当地では遣唐使の時代に大陸から伝わったといわれる「五島手延べうどん」がお薦めです。五島手延べうどんは、五島列島特産の椿油で生地を延ばし島の良質な海塩を使い潮風による自然乾燥を行いますが、細く手延べしてもコシが強くつやがありのびないのが特徴です。上海テレビ祭のドキュメンタリー最高賞のマグノリア賞を受賞した「五島のトラさん」でも製造工程が紹介されたので、ご存知の方もいるかもしれませんね。


左:様々な用途に使われる椿製品

右:細くてコシのある五島手延べうどん

 西海国立公園鬼岳の中腹に位置する五島椿園には約3000本(約270種)のツバキが植林されているため、様々なツバキを花期に応じて長期にわたり鑑賞できます。椿の蜜を吸いにやってくるメジロも見られ、自然の豊かさを間近で感じることができます。ヤブツバキの中でも傑出して愛好家に好まれているのが、「玉之浦」という椿の種類です。玉之浦町の山中で発見されたこの椿は、ヤブツバキの突然変異で花弁に純白の縁取りがあり、深紅の花が満開の時期に潮風に吹かれて咲くさまは何ともいえない美しさがあります。以前は、幻の椿とまで言われてきましたが、今日では挿し木や接ぎ木でかなり普及するようになっています。

  


左:白く清楚な五島の銘花「久賀白(ひさかしろ)」

右:濃紅色に白覆輪のコントラストが美しい「玉之浦」

 ヨーロッパの教会ではバラの花が飾られますが、五島では教会のステンドグラス等に椿の花・葉・実があしらわれており、古くから島の人にとって生活や信仰の上で身近な植物だったことを教えてくれます。これからだんだんと気温が下がり冬らしい季節になってきますが、そんなときに凜とした赤い花を咲かせる椿を見ると、背筋がピンと伸びます。みなさんも、ツバキを五感で楽しんでみませんか!

 12月の特産物リレーは、屋久島の水川さん、野生生物課の古賀さんにバトンタッチです!

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2016年11月16日九州百名山~七ッ岳登山にチャレンジしよう!~

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。10月30日(日曜)、ふれあい事業として毎年実施している七ッ岳(ななつだけ431.1m)登山に私もスタッフとして参加しました。開催の数日前、安全確認のため登山ルートを事前調査し、台風等の影響による倒木等の処理を行いました。

左:登山道を遮る倒木の処理

右:登山道の急峻な岩場

 九州百名山に選定されている七ッ岳は、7つの岩峰が連なる鋸歯状の山で、荒川方面から七嶽神社へ向かう九州自然歩道からもその美しい姿を見ることができます。標高はあまり高くないものの山頂に近づくにつれアップダウンが多い登山道には急峻な岩場もあります。そのため、出発地の七嶽神社で参加者に対し、岩場での基本姿勢である三点支持等自然保護官から注意事項を説明しました。


左:荒川方面から望む七ッ岳

右:出発前の注意点事項説明

 旧七嶽神社奥殿へ続く参道は、石段を登るほどに間隔や奥行が狭くなるため1段1段足元を確かめながら進みます。父ヶ岳登山道との分岐点から七ッ岳山頂方向へ暫く登ると左右が樹林に覆われた比較的歩きやすい道が続きます。単調な道ですが、地面や岩肌をよく見ると見逃してしまいそうなくらい小さなシダ類・ラン類等の葉が見つかることもあります。今では九州百名山に選ばれたこともあり登山者も多くなりましたが、昔はミサゴの巣を山頂に近い岩壁で確認できたそうです。


左:旧七嶽神社奥殿への石段

右:登山道で見かけたウンゼンカンアオイ

 七ッ岳は、岩場登りや稜線歩きが中腹あたりから続きます。ここ最近少しずつ朝晩の気温が下がるものの日中は秋らしい清々しい日差しも射すため、登り道では羽織っていた上着を一枚脱いだり、袖をまくったりと衣類で調整しながら進みます。樹林に覆われた登山道から急に木々に隠れていた前方が開け、目指す山頂方向や玉之浦湾を見渡すことができ、参加者の中には初めて見る景色に歓喜の声をあげていました。


左:樹林に覆われた登山道を進む参加者

右:山頂付近より望む玉之浦湾

 七ッ岳山頂からは、東に福江島の米どころ山内盆地、西に五島列島の代表的な国立公園区域である玉之浦湾の大パノラマを眼下に見渡すことができます。

 参加者の方から、枝の幹半分がまるで白いペンキが剥げかけたように何かが白く付着した不思議な枝を拾ったと見せてもらいました。おそらくカビか地衣類が枝についたものと思いますが、ご存知の方はいらっしゃいますか。


左:山頂での昼食は最高!

右:白い何かが付着した枝

 下山後に参加者に行ったアンケートでは、「登山に興味はあるが1人では不安なので、このイベントに参加して七ッ岳の魅力を体験できて良かった。」等の声を聞くことができました。山に花が咲き始める春ごろ、一味違う景色を楽しめるかもしれません。みなさんも「七ッ岳登山」にチャレンジしませんか!

七ッ岳山頂で記念撮影(後方は山内盆地)

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2016年10月20日自然が生み出した神秘の島「嵯峨島」

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。9月下旬、福江島の西4キロ沖合に浮かぶ嵯峨島(さがのしま)の巡視を行いました。嵯峨島は、男岳(おだけ150.4m)と女岳(めだけ129.3m)両火山の噴火活動によって形成されたひょうたんを縦に割って伏せたような形で、島全域が公園区域に指定され、うち西海岸地区は五島列島地域で唯一特別保護地区に指定されています。1987年から運行していた先代「嵯峨島丸」から2012年に交代した高速旅客船「さがのしま丸」は、島内住民(人口143名、小中学校の生徒数9名:8/31現在)の大切な交通手段として、また生活物資の運般として活躍しています。釣の名所として県外まで知られる島ということもあり、船内に数人の釣り客を見かけました。

  

左:福江島から望む嵯峨島(右 男岳、左 女岳)

右:福江島と嵯峨島を結ぶ高速旅客船「さがのしま丸」

  

 嵯峨島漁港を北方向へ進むと、海沿いにアコウの木があります。アコウはクワ科の亜熱帯性植物で日本では紀伊半島以南に分布していますが、火山の噴出物が堆積して縞模様になった凝灰岩の崖にアコウの気根が複雑な文様を描いて張り付き垂れている様子は火山島・嵯峨島ならではの特異な景観です。

  

左:五島列島を代表する巨樹アコウ

右:凝灰岩の崖に張り付くアコウの気根

  

 嵯峨島教会を経由し、カラスバトの奇妙な鳴き声を聞きながら曲がりくねった道を歩き男岳山頂へ向かいます。木々の隙間から海を眺めながら歩く登山道では、生い茂る草木や花に思わず目を奪われてしまいます。

  

左:大正7(1918)年に建てられた木造の嵯峨島教会

右:潮風が当たる道沿いに寄り添うように咲くツルボ

  

 男岳山頂に近づくにつれ人があまり通らない登山道なのか、落ちていた枝で蜘蛛の巣を払いながら進みました。男岳山頂からは女岳側の島の全景や福江島・島山島などを望むことができます。流刑地であった嵯峨島の男岳には、罪人をこもに巻いて突き落として処刑したことから「だっこがし」と呼ばれる断崖があります。頂上から傾斜が急な長い階段を下ると「千畳敷」が広がっていました!思わず一気に駆け下りたくなるほどの絶景です。

  

左:男岳山頂付近から望む女岳と島山島(左奥)

右:海にせり出す千畳敷と急峻な男岳断崖

  

 男岳と女岳の接合部に位置する「千畳敷」は、北西風による荒波で凝灰岩が浸蝕された平らな岩場に断崖の奇岩や海蝕洞を見ることができます。目の前に広がる自然が織りなす造形美のスケールに圧倒されます。

  

左:天に向かってそびえ立つ断崖の奇岩

右:波浪による浸蝕で形成された海蝕洞

  

 千畳敷から南へ延びた遊歩道は、男岳の登山道とは異なり、緩やかに続く登り坂で女岳へと向かいます。女岳山頂から北東方向に男岳や漁港周辺、遠くは姫島、三井楽半島を望むことができます。嵯峨島で見つけたハマトラノオは日本固有の希少種で、青空に向かって咲く可憐な花に心が癒されます。

  

左:女岳山頂より望む男岳、後方の姫島と三井楽半島

右:海沿いに自生するハマトラノオ

  

 1日がかりで嵯峨島を歩き、かつて流人、平家の落人、潜伏キリシタンが住んでいたといわれる島の歴史と「日本の秘境百選」に選ばれた豊かな自然を体感できました。自然が生み出した神秘の島「嵯峨島」へみなさんも出かけてみませんか!

  

火山の内部構造を知ることができる女岳火口

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2016年09月28日森林と緑の大切さを学ぶ「森林(もり)のつどい」

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。9月17日(土曜)、五島椿園で開催された「森林(もり)のつどい」にスタッフとして参加しました。この日は朝から大きな雨雲が鬼岳上空にあり、時折強い風が吹く中でのスタートです。開会式の後、五島市各地区の緑の少年団やこども園の代表者による五島市の花木でもある椿の記念植樹を行いました。ショベルやスコップで苗木の根元に土を寄せ、大きく育つよう願いを込めたっぷりの水をあげました。

  

左:鬼岳中腹の五島椿園で行われた開会式

右:シャベルで椿の苗木に土を寄せる参加者

  

 この後、参加者約60名が6グループに分かれて森林クイズラリーと森林学習講座を行いました。まだ風は強いものの空を見上げると少し晴れ間も見え、スタッフの表情も少し和らいでいました。森林クイズラリーは、子供には難しい問題もあるため、保護者も一緒に挑戦です。問題用紙は木にぶら下がっていたり木陰に隠れていたりと、どこに隠れているのか探すだけでも探検気分になれます。

 森林学習講座では、日本の森林は日本全体の62%の広さがありますが、五島市の森林率は60%、そのうちヒノキはスギの3倍以上あると学びました。人が植樹した森林を何もしないで放っておくと元気に生育ができないなど、身近にある自然とどう触れ合えばよいか、気付くきっかけになれたのではないでしょうか。

  

保護者に相談しながら問題を解く子供たち

  

 次は、椿の実から採れる椿油絞り体験です。炒った椿の実を臼と杵を使って細かく粉砕したものを沸騰したお湯に入れ、浮き上がった油分を熱で水と油に分離させ完成させます。日頃使うことのない臼と杵による作業は子供たちにとっては大変でしたが、細かく粉砕しようと頑張りました。

  

 

左:重い杵で少しずつ丁寧に椿の実を粉砕

右:お湯の上に油分が浮き上がる工程を真剣に見入る参加者

  

 椿油が完成する合間、子どもたちは、森林組合の方などが事前に用意した自然の素材を使って工作を行いました。木材の土台にそれぞれの感性で椿の枝や実、貝殻等を手に取り、世界に一つだけのオリジナル作品を目指して、大人も子供も作業に夢中になっていました。

  

左:初めて使う電気ペンを片手に奮闘

右:フォトフレームに貝殻や木の枝など貼り付け

  

 お昼は五島牛を使った肉うどんとおにぎりが用意され、心もお腹も満たされました。食事を終えた子供たちは、段ボールを持って、芝生の斜面を草スキーの要領で何度も滑っては駆け上っていました。雨が降る前に片付けまで終えたのも、子供たちの晴れてほしいと願う気持ちが雨雲が来る時間を遅らせたのかもしれません。

  

 冬から春にかけて咲く椿。今は開花時期ではない為、どの木かわからない子供もいました。今回は天候の都合で椿の実の収穫体験ができませんでしたが、実際に植わっている木々とふれあう時間があったらいいなと感じました。毎年恒例となった「森林(もり)のつどい」、来年は皆さんも参加してみませんか?

  

参加者全員で記念撮影

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