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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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西海国立公園 五島

12件の記事があります。

2017年02月13日冬の五島は快適な居場所!「野鳥たちの住まい拝見」

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。1月22日(日曜)、福江島の内闇(うちやみ)ダムと繁敷(しげじき)ダムで開催された五島探鳥会「かわいい野鳥に会いに行こう」にスタッフとして参加しました。集合場所の福江みなと公園から貸切バスでいざ出発です。

 バスの中で観察マナーや野鳥の種類などを解説した冊子を参加者に配り、講師からオシドリのオスは繁殖期に羽が変わりメスと同じような外見になるがくちばしの色は年中赤みのある色をしているなど、野鳥の生態について説明がありました。

 野鳥が季節の変化に合わせて日本や外国に行ったり来たりすることを「渡り」といいますが、「渡り方」の違いで、夏鳥・冬鳥・留鳥・旅鳥に分類されます。この分類にどの鳥が属するかは地域によって異なり、本土で見られるコゲラ・エナガ・カケスは、五島での生息は確認されていません。走行中、バスの車窓からミヤマガラスの大群が見えました。五島のハシブトガラスやハシボソガラスは留鳥ですが、ミヤマガラスやかわいい鳴き声を出すコクマルガラスは冬鳥として渡ってきます。

左:車窓から見たミヤマガラスの大群

右:内闇ダムのマガモ

 最初の観察ポイントである内闇ダムは、笹嶽(389.1m)南麓に昭和44年作られた灌漑用ダムです。参加者の中には野鳥観察が初体験の方もあり、貸し出した双眼鏡の使い方から説明しました。堤防から観察しましたが、野鳥たちは人の気配を感じた途端大きな鳴き声を発して仲間に注意を呼び掛けると一斉に遠くの水面に飛び立ってしまいます。一方、ダム外周道路からは木陰になっているため、カモ類から気づかれにくく比較的近くから観察できました。講師の説明でヨシガモとマガモの見分け方がわかると、参加者は夢中になって双眼鏡を覗いていました。

左:双眼鏡や望遠鏡で堤防から野鳥観察

右:図鑑を使って野鳥の見分け方を説明

 移動先の繁敷ダムには周辺を取り囲むスギ・ヒノキの森林から育まれた水が流れ込み、ダムの下流はゲンジボタルの名所となるなど自然が数多く残る場所です。前日の天気予報では曇りでしたが、終始風が強くダムに到着した頃から雪まじりの雨が降り始めました。野鳥に気付かれないよう、そーっとバスから降りて野鳥観察に向かいます。

左:繁敷ダムで観察する参加者

右:人に気付いて飛び立つカモたち

 参加者たちは、双眼鏡や望遠鏡の先に野鳥を見つけると寒さを忘れて真剣に見入っていました。ふと見上げると、今か今かと春を待ち望んで少し咲き始めた桜の蕾を見ることが出来ました。

左:強風のためバスの車窓から観察している子供たち

右:繁敷ダムで記念撮影

 福江みなと公園へ戻り一旦解散しましたが、希望者のみ福江港からカモメ類を観察しました。五島にはユリカモメは少ないですが、セグロカモメやウミネコは多くの港で見かけます。

左:福江港でカモメ類を観察

右:数百羽の群れをなすカモメ類

 冬の五島は野鳥たちにとって快適な居場所です。みなさんも野鳥たちがダムや港でどんな暮らしをしているのか、住まいを見せてもらいに出かけませんか!

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2016年11月30日九州特産物リレー11月 ~「椿」東の大島、西の五島~

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。毎月リレー形式で「その土地ならではの特産物」に関する日記を掲載していますが、11月の五島編では椿を紹介します。「東の大島・西の五島」といわれるほど五島列島は日本有数の椿の産地で、各地に椿の自生林や植林が多くみられます。椿の原始林は久賀島(ひさかじま)東岸の長浜にあり、広さ約1ヘクタールの長崎県指定天然記念物です。椿は長崎県の県木、新上五島町の町木・花、五島市の花木で、和名をヤブツバキといいます。花が散った後、椿実(五島ではカタシと呼びます)は9月初旬ごろまで成熟するため、1本の木に数個の口割れの実が出始める中旬過ぎから至る所で収穫風景を見かけます。


左:濃紅色が特徴のヤブツバキ

右:口割れした椿実に詰まった種

 かつて集落ごとにあった小さな製油所は機械等による効率化で集約され、現在 福江島には4つの製油所があります。製油所では圧搾機で搾油しますが、家庭にある器具でも手軽に椿油を作ることができます。修学旅行生や観光客等を対象とした椿油作り体験教室に私もスタッフとして参加しました。参加者は種を細かく砕くのにかなり時間を要しましたが、いくつかの工程を経た油が完成間際一気に白く変わった瞬間、ウォーッと歓喜の声があがりました!耐熱容器に注ぐ一番搾りのツバキ油は、黄金の雫のようにキラキラ輝いていました。この日の夕食は、五島の新鮮な魚介と椿油を使ったパエリアです。

  

初めて椿油作りを体験する子ども達。搾りたての椿油は炒ったナッツのような香りがしました。

 椿油は、昔から頭髪用・燈用・食用・石鹸原料・艶出し用・刃物錆止等さまざまな用途に使われてきました。椿油は、善玉コレステロールを減らすことなく悪玉コレステロールを減らす作用があるオレイン酸の含有量が85%とオリーブオイルを大きく上回ります。椿油を使った製品のうち、当地では遣唐使の時代に大陸から伝わったといわれる「五島手延べうどん」がお薦めです。五島手延べうどんは、五島列島特産の椿油で生地を延ばし島の良質な海塩を使い潮風による自然乾燥を行いますが、細く手延べしてもコシが強くつやがありのびないのが特徴です。上海テレビ祭のドキュメンタリー最高賞のマグノリア賞を受賞した「五島のトラさん」でも製造工程が紹介されたので、ご存知の方もいるかもしれませんね。


左:様々な用途に使われる椿製品

右:細くてコシのある五島手延べうどん

 西海国立公園鬼岳の中腹に位置する五島椿園には約3000本(約270種)のツバキが植林されているため、様々なツバキを花期に応じて長期にわたり鑑賞できます。椿の蜜を吸いにやってくるメジロも見られ、自然の豊かさを間近で感じることができます。ヤブツバキの中でも傑出して愛好家に好まれているのが、「玉之浦」という椿の種類です。玉之浦町の山中で発見されたこの椿は、ヤブツバキの突然変異で花弁に純白の縁取りがあり、深紅の花が満開の時期に潮風に吹かれて咲くさまは何ともいえない美しさがあります。以前は、幻の椿とまで言われてきましたが、今日では挿し木や接ぎ木でかなり普及するようになっています。

  


左:白く清楚な五島の銘花「久賀白(ひさかしろ)」

右:濃紅色に白覆輪のコントラストが美しい「玉之浦」

 ヨーロッパの教会ではバラの花が飾られますが、五島では教会のステンドグラス等に椿の花・葉・実があしらわれており、古くから島の人にとって生活や信仰の上で身近な植物だったことを教えてくれます。これからだんだんと気温が下がり冬らしい季節になってきますが、そんなときに凜とした赤い花を咲かせる椿を見ると、背筋がピンと伸びます。みなさんも、ツバキを五感で楽しんでみませんか!

 12月の特産物リレーは、屋久島の水川さん、野生生物課の古賀さんにバトンタッチです!

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2016年11月16日九州百名山~七ッ岳登山にチャレンジしよう!~

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。10月30日(日曜)、ふれあい事業として毎年実施している七ッ岳(ななつだけ431.1m)登山に私もスタッフとして参加しました。開催の数日前、安全確認のため登山ルートを事前調査し、台風等の影響による倒木等の処理を行いました。

左:登山道を遮る倒木の処理

右:登山道の急峻な岩場

 九州百名山に選定されている七ッ岳は、7つの岩峰が連なる鋸歯状の山で、荒川方面から七嶽神社へ向かう九州自然歩道からもその美しい姿を見ることができます。標高はあまり高くないものの山頂に近づくにつれアップダウンが多い登山道には急峻な岩場もあります。そのため、出発地の七嶽神社で参加者に対し、岩場での基本姿勢である三点支持等自然保護官から注意事項を説明しました。


左:荒川方面から望む七ッ岳

右:出発前の注意点事項説明

 旧七嶽神社奥殿へ続く参道は、石段を登るほどに間隔や奥行が狭くなるため1段1段足元を確かめながら進みます。父ヶ岳登山道との分岐点から七ッ岳山頂方向へ暫く登ると左右が樹林に覆われた比較的歩きやすい道が続きます。単調な道ですが、地面や岩肌をよく見ると見逃してしまいそうなくらい小さなシダ類・ラン類等の葉が見つかることもあります。今では九州百名山に選ばれたこともあり登山者も多くなりましたが、昔はミサゴの巣を山頂に近い岩壁で確認できたそうです。


左:旧七嶽神社奥殿への石段

右:登山道で見かけたウンゼンカンアオイ

 七ッ岳は、岩場登りや稜線歩きが中腹あたりから続きます。ここ最近少しずつ朝晩の気温が下がるものの日中は秋らしい清々しい日差しも射すため、登り道では羽織っていた上着を一枚脱いだり、袖をまくったりと衣類で調整しながら進みます。樹林に覆われた登山道から急に木々に隠れていた前方が開け、目指す山頂方向や玉之浦湾を見渡すことができ、参加者の中には初めて見る景色に歓喜の声をあげていました。


左:樹林に覆われた登山道を進む参加者

右:山頂付近より望む玉之浦湾

 七ッ岳山頂からは、東に福江島の米どころ山内盆地、西に五島列島の代表的な国立公園区域である玉之浦湾の大パノラマを眼下に見渡すことができます。

 参加者の方から、枝の幹半分がまるで白いペンキが剥げかけたように何かが白く付着した不思議な枝を拾ったと見せてもらいました。おそらくカビか地衣類が枝についたものと思いますが、ご存知の方はいらっしゃいますか。


左:山頂での昼食は最高!

右:白い何かが付着した枝

 下山後に参加者に行ったアンケートでは、「登山に興味はあるが1人では不安なので、このイベントに参加して七ッ岳の魅力を体験できて良かった。」等の声を聞くことができました。山に花が咲き始める春ごろ、一味違う景色を楽しめるかもしれません。みなさんも「七ッ岳登山」にチャレンジしませんか!

七ッ岳山頂で記念撮影(後方は山内盆地)

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2016年10月20日自然が生み出した神秘の島「嵯峨島」

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。9月下旬、福江島の西4キロ沖合に浮かぶ嵯峨島(さがのしま)の巡視を行いました。嵯峨島は、男岳(おだけ150.4m)と女岳(めだけ129.3m)両火山の噴火活動によって形成されたひょうたんを縦に割って伏せたような形で、島全域が公園区域に指定され、うち西海岸地区は五島列島地域で唯一特別保護地区に指定されています。1987年から運行していた先代「嵯峨島丸」から2012年に交代した高速旅客船「さがのしま丸」は、島内住民(人口143名、小中学校の生徒数9名:8/31現在)の大切な交通手段として、また生活物資の運般として活躍しています。釣の名所として県外まで知られる島ということもあり、船内に数人の釣り客を見かけました。

  

左:福江島から望む嵯峨島(右 男岳、左 女岳)

右:福江島と嵯峨島を結ぶ高速旅客船「さがのしま丸」

  

 嵯峨島漁港を北方向へ進むと、海沿いにアコウの木があります。アコウはクワ科の亜熱帯性植物で日本では紀伊半島以南に分布していますが、火山の噴出物が堆積して縞模様になった凝灰岩の崖にアコウの気根が複雑な文様を描いて張り付き垂れている様子は火山島・嵯峨島ならではの特異な景観です。

  

左:五島列島を代表する巨樹アコウ

右:凝灰岩の崖に張り付くアコウの気根

  

 嵯峨島教会を経由し、カラスバトの奇妙な鳴き声を聞きながら曲がりくねった道を歩き男岳山頂へ向かいます。木々の隙間から海を眺めながら歩く登山道では、生い茂る草木や花に思わず目を奪われてしまいます。

  

左:大正7(1918)年に建てられた木造の嵯峨島教会

右:潮風が当たる道沿いに寄り添うように咲くツルボ

  

 男岳山頂に近づくにつれ人があまり通らない登山道なのか、落ちていた枝で蜘蛛の巣を払いながら進みました。男岳山頂からは女岳側の島の全景や福江島・島山島などを望むことができます。流刑地であった嵯峨島の男岳には、罪人をこもに巻いて突き落として処刑したことから「だっこがし」と呼ばれる断崖があります。頂上から傾斜が急な長い階段を下ると「千畳敷」が広がっていました!思わず一気に駆け下りたくなるほどの絶景です。

  

左:男岳山頂付近から望む女岳と島山島(左奥)

右:海にせり出す千畳敷と急峻な男岳断崖

  

 男岳と女岳の接合部に位置する「千畳敷」は、北西風による荒波で凝灰岩が浸蝕された平らな岩場に断崖の奇岩や海蝕洞を見ることができます。目の前に広がる自然が織りなす造形美のスケールに圧倒されます。

  

左:天に向かってそびえ立つ断崖の奇岩

右:波浪による浸蝕で形成された海蝕洞

  

 千畳敷から南へ延びた遊歩道は、男岳の登山道とは異なり、緩やかに続く登り坂で女岳へと向かいます。女岳山頂から北東方向に男岳や漁港周辺、遠くは姫島、三井楽半島を望むことができます。嵯峨島で見つけたハマトラノオは日本固有の希少種で、青空に向かって咲く可憐な花に心が癒されます。

  

左:女岳山頂より望む男岳、後方の姫島と三井楽半島

右:海沿いに自生するハマトラノオ

  

 1日がかりで嵯峨島を歩き、かつて流人、平家の落人、潜伏キリシタンが住んでいたといわれる島の歴史と「日本の秘境百選」に選ばれた豊かな自然を体感できました。自然が生み出した神秘の島「嵯峨島」へみなさんも出かけてみませんか!

  

火山の内部構造を知ることができる女岳火口

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2016年09月28日森林と緑の大切さを学ぶ「森林(もり)のつどい」

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。9月17日(土曜)、五島椿園で開催された「森林(もり)のつどい」にスタッフとして参加しました。この日は朝から大きな雨雲が鬼岳上空にあり、時折強い風が吹く中でのスタートです。開会式の後、五島市各地区の緑の少年団やこども園の代表者による五島市の花木でもある椿の記念植樹を行いました。ショベルやスコップで苗木の根元に土を寄せ、大きく育つよう願いを込めたっぷりの水をあげました。

  

左:鬼岳中腹の五島椿園で行われた開会式

右:シャベルで椿の苗木に土を寄せる参加者

  

 この後、参加者約60名が6グループに分かれて森林クイズラリーと森林学習講座を行いました。まだ風は強いものの空を見上げると少し晴れ間も見え、スタッフの表情も少し和らいでいました。森林クイズラリーは、子供には難しい問題もあるため、保護者も一緒に挑戦です。問題用紙は木にぶら下がっていたり木陰に隠れていたりと、どこに隠れているのか探すだけでも探検気分になれます。

 森林学習講座では、日本の森林は日本全体の62%の広さがありますが、五島市の森林率は60%、そのうちヒノキはスギの3倍以上あると学びました。人が植樹した森林を何もしないで放っておくと元気に生育ができないなど、身近にある自然とどう触れ合えばよいか、気付くきっかけになれたのではないでしょうか。

  

保護者に相談しながら問題を解く子供たち

  

 次は、椿の実から採れる椿油絞り体験です。炒った椿の実を臼と杵を使って細かく粉砕したものを沸騰したお湯に入れ、浮き上がった油分を熱で水と油に分離させ完成させます。日頃使うことのない臼と杵による作業は子供たちにとっては大変でしたが、細かく粉砕しようと頑張りました。

  

 

左:重い杵で少しずつ丁寧に椿の実を粉砕

右:お湯の上に油分が浮き上がる工程を真剣に見入る参加者

  

 椿油が完成する合間、子どもたちは、森林組合の方などが事前に用意した自然の素材を使って工作を行いました。木材の土台にそれぞれの感性で椿の枝や実、貝殻等を手に取り、世界に一つだけのオリジナル作品を目指して、大人も子供も作業に夢中になっていました。

  

左:初めて使う電気ペンを片手に奮闘

右:フォトフレームに貝殻や木の枝など貼り付け

  

 お昼は五島牛を使った肉うどんとおにぎりが用意され、心もお腹も満たされました。食事を終えた子供たちは、段ボールを持って、芝生の斜面を草スキーの要領で何度も滑っては駆け上っていました。雨が降る前に片付けまで終えたのも、子供たちの晴れてほしいと願う気持ちが雨雲が来る時間を遅らせたのかもしれません。

  

 冬から春にかけて咲く椿。今は開花時期ではない為、どの木かわからない子供もいました。今回は天候の都合で椿の実の収穫体験ができませんでしたが、実際に植わっている木々とふれあう時間があったらいいなと感じました。毎年恒例となった「森林(もり)のつどい」、来年は皆さんも参加してみませんか?

  

参加者全員で記念撮影

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2016年08月04日夏休みは五島の海で遊ぼう! 「溶岩海岸の生きものさがし」

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。7月31日(日曜)の午前中、鐙瀬(あぶんぜ)溶岩海岸で開催された「溶岩海岸の生きものさがし」にスタッフとして参加しました。溶岩海岸へと続く遊歩道には直径1cmほどの穴がいくつも空いています。これは、ニイニイゼミの幼虫が土の中から出てきた穴で、近くの樹木に小さくて丸い抜け殻が残されていました。

  

左:ニイニイゼミの幼虫が土の中から出てきた穴

右:全身に泥をかぶっているニイニイゼミの抜け殻

  

 鐙瀬溶岩海岸は鬼岳噴火による溶岩流の上に海が進出して形成された海岸で、黒い岩肌は奇石・怪石の変化に富み、7kmにわたって続いています。対馬暖流の影響で海岸一帯が年間の平均気温17度の温暖な無霜地帯で、暖地性の植物が繁茂しています。海岸の南側には赤島・黄島・黒島を見渡すことができ、足元に目を向けると小さく可憐なネコノシタやノヒメユリ等が咲いていました。

  

H28.4現在、3島とも有人島

  

左:ザラザラとした葉の触感から名づけられたネコノシタ(別名:ハマグルマ)

右:九州・沖縄に自生し、夏に赤橙色の花を下向きに咲かせるノヒメユリ

  

 タイドプール(潮だまり)とは、溶岩海岸などの岩礁海岸や干潟の潮間帯において、干潮時に溶岩などのくぼみに海水が取り残されてたまったところを呼びます。鐙瀬溶岩海岸には大小様々なタイドプールがありますが、今回は遊歩道から比較的容易に行くことができ、子供でも安心して楽しめる場所で活動しました。講師からナマコが敵に攻撃されたときに放出する白いネバネバとした糸状の内臓組織(キュビエ器官)の説明を受けると、生命の不思議さに参加者はびっくりしている様子でした。

  

足元を確かめながら溶岩海岸を進む参加者

  

 

左:講師から生きものの生態について説明

右:網や箱メガネで水中の生きものを観察

  

溶岩海岸で記念撮影

  

 1時間ほどタイドプールで活動した後、ビジターセンターへ移動します。水槽で一時持ち帰った生きものを観察しながら、スタッフが事前に用意した鐙瀬溶岩海岸の成り立ちや生きものに関するクイズに挑戦です。

  

左:生きものを観察しながらクイズに挑戦

右:実際に触って貝を観察

  

  

溶岩海岸で見つけた生きものたち

  

 参加者は小学校低学年の子供さんが多く、夏休みの宿題に役立てようと楽しみながら学んでいました。島に住みながらも、身近にある自然の豊かさを知らなかったという保護者の声も聞けたので、自然に親しむきっかけになったのではと感じました。皆さんも鐙瀬溶岩海岸の生きものたちを探しにきませんか!

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2016年07月26日高浜海水浴場 海開き祈願祭と清掃活動

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。7月16日(土曜)の午前中、高浜海水浴場で開催された海開き祈願祭と清掃活動に参加しました。祈願祭の後、消防署による海水浴で波にさらわれる主な原因である離岸流に関する説明と水難救助の実技指導を受けました。心肺蘇生法やAEDの使い方は過去にも受講した経験がありますが、実際そのような場面に遭遇した時、冷静に対応できるか多少不安です。そのためにも、定期的にこのような指導を受け体で覚えることも大切なのではと思いました。

  

 

左:シーズン中の安全を祈願する参加者

右:消防署による心肺蘇生法の実技指導

  

 最後に、50名を超える参加者全員で清掃活動を行ないました。広い砂浜には漁網や流木などの漂着ゴミが多く、全員で手分けして回収していきます。地元の小学生も慣れた手つきで作業を進めています。1年生のときから毎年清掃活動にきているよ!と元気に話す子供たちの笑顔を見ると、高浜海水浴場が美しい環境を保てる理由が自ずと分かります。

  

  

 回収して搬出したゴミの総量は軽トラック3台分になりました。きれいになった砂浜を背景に参加した皆さんと記念写真を撮りました。

 

 

左:ボランティアグループ「万葉の風」の皆さん

右:毎年参加している地元の浜窄小学校の生徒さん

  

 砂浜の背後にはハマオモトの自生群が広がり、白い花が、海と空の青色に映えていました。また、ハイビスカスの仲間で秋の花といわれる淡紅色のサキシマフヨウが早くも咲き始めていました。

  

  

左:種が波に乗って遠くまで運ばれて育つハマオモト

右:夏の日差しに負けないほど、大きな花を咲かせるサキシマフヨウ

  

 高浜海水浴場は、西海国立公園内にあり遠浅の白い貝殻が砂になったビーチで、「日本の渚百選」や「快水浴場百選」に選ばれています。波打ち際から水色・青色・藍色と変わる海の色は、息をのむほどの美しさです。海水浴の期間は、8月28日(日曜)までです。五島の海で夏休みの思い出をつくりませんか!

  

高浜海水浴場(手前)と嵯峨島(中央奥)

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2016年07月14日御岳山頂から見渡す360度の自然美

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。7月上旬、福江島南西部に位置する御岳(おんたけ)へ現地調査に行ってきました。

 登山口に入った瞬間、「ウィーンウィーン」と集団で鳴くヒメハルゼミの合唱に圧倒されます。御岳は標高177mと高い山が少ない五島列島の中でも低い山で、登山口から5分程で山頂と白鳥神社への分岐点です。山頂へはここから1km、反時計回りに螺旋状の遊歩道を20分程歩きますが、平坦で山に登っている感覚がしません。

 

左:御岳登山口の案内板

右:御岳分岐点(御岳展望所1.0km、白鳥神社1.4km)

 道の両側は、木々が生い茂り時折涼しい風が吹きわたります。道脇のアオノクマタケランがちょうど見ごろで、薄暗い林の中で白い小さい花が映えていました。山頂が近づくと、自生しているソテツが目立ち、日差しが肌に突き刺さるようです。

 

左:アオノクマタケラン。ランという名称がつくがラン科ではなく、ショウガ科

右:山頂付近に自生するソテツ

 山頂の展望所からは、周囲に視界を遮るものは全くなく360度玉之浦地区を見渡すことができます。この展望所は、明治初期から末期にかけてブリ等を捕獲する際の「見張り所」として使われていました。山頂から北側の白鳥神社までは、自然豊かな西海国立公園第1種特別地域に指定されています。

 

左:展望所に立つと足がすくみましたが、目を見張る自然美がそこにありました!

右:展望所から南東方向を望む、波静かな玉之浦湾の湾奥

展望所から北方向を望む、島山島(中央)と嵯峨島(左奥)

 山頂から分岐点まで戻り、さらに40分程白鳥神社に向けて海沿いの林の中を歩きます。こちらは歩く人が少ないのか、遊歩道が雑草に被われて方向が分かりにくい箇所がありました。湿気がある道には近づくとサーッと巣穴や木陰に逃げていくアカテガニをたくさん見かけました。他にも、アキノタムラソウがかわいい薄紫色の花を咲かせていました。

 

左:夏の大潮の夜、集団で産卵するアカテガニ

右:7月から11月頃まで咲くアキノタムラソウ

 海岸線近くの大鳥居を通り抜け石段を上ると、白鳥神社の社殿に到着です。

 社叢林は、スダジイを主木とする自然林がよく保存されており、長崎県の天然記念物に指定されています。毎年9月中旬には白鳥神社例大祭があり、夜には五島神楽(国指定 重要無形民俗文化財)が行われるそうです。神社の石段に座り、周囲の社叢林と目の前の青く波静かな玉之浦湾を眺めていると疲れがふきとびます。

 

左:玉之浦湾に面した白鳥神社の社叢林

右:日本武尊(ヤマトタケルノミコト)を祭神とする白鳥神社の社殿

 御岳は、大瀬崎の展望所からも見ることができます。螺旋状の遊歩道は樹木にかくれ、玉之浦湾に浮かぶように周りの自然に溶け込んでいる姿が何とも言えずうれしい気持ちになります。

 みなさんも御岳の遊歩道を歩いてみませんか?

大瀬崎の展望所から眺める御岳と七ッ岳、父ヶ岳

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2016年07月01日自然の恵みを楽しもう!「ヤマモモジャムづくり」

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。6月26日(日曜)鎧瀬ビジターセンターで開催された「ヤマモモジャムづくり」にスタッフとして参加しました。この時期になると、道路沿いや公園が赤い絨毯のようになっている光景を目にしたことはありませんか?きっと、ヤマモモです。見上げるとそこに常緑高木の赤い実があるかもしれません。幹は直立し、高さ25m程に生長する木もあるそうです!

 

左:ヤマモモの木。もこもこっとした枝振りが特徴のため、慣れると遠方からも確認できます。

右:生でも食べられる甘酸っぱいヤマモモの実

 参加者も収穫体験から実施するほうがより楽しめると思いますが、雑菌処理等に時間がかかるため、今回は事前にスタッフで準備しました。西海国立公園に位置する七嶽神社へ向かう登山道入口や玉之浦湾に面した自然林で収穫作業を行いました。

 

左:完熟した実だけを選び、つぶさないよう、1個ずつ収穫

右:野生のヤマモモは、指先ほどの大きさです。

 高い枝に実るヤマモモを上向き姿勢で摘み取るため、休憩を取り周囲を見渡すと美しい自然に出会えます。今の時期は、ネムノキが心を躍らせます。


根元が白く先端が淡い虹色のグラデーションが可愛らしいネムノキの花

 収穫した実はまず真水で埃やゴミを洗い、次に実の中に潜んでいる虫を取り出すため塩水に一晩漬けます。塩分を抜くために何度か水洗いした後、傷んでいる果実がないか選別します。ここまでが下準備です。

 
左:何度も水洗いするスタッフ

右:木べらで裏ごしをし、種を取り出す参加者

 9名の参加者は、主婦の方が多く手作りに興味がある方ばかりでしたが、年齢層も幅広くジャム作りに手慣れた人もいればスタッフに1つ1つ手順を確認しながら進める参加者など様々でした。今回のような講座や、自然の中で活動するイベントがあれば参加したいという声を聞くことができました。
   

 
左:スタッフのアドバイスを受けながら和やかな雰囲気のヤマモモジャムづくり

右:自分好みの砂糖を加えた「ヤマモモジャム」の完成

 完成した瓶詰のジャムと大量に残ったヤマモモの実を持ち帰っていただき、参加者に喜ばれました。私も、自宅でヤマモモをジャムにしてみました。1個ずつ種を取り除く作業に手間がかかりましたが、野趣あふれる風味豊かな香りが家じゅうに広がり、美味しかったです。地元の方の話によると、ヤマモモはヤマモモ酒にすることが多いそうですが、コンポート(シロップ煮)にするのもおススメとのことです。果期は6月から7月頃までのようですので、皆さんも自然の恵みを楽しみませんか!

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2016年06月21日父ヶ岳・七ッ岳登山道に、簡易ルート標識を設置しました。

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。公園区域において定期的に管内巡視を行っていますが、実際に標識に沿って登山道を歩いてみると、この先どう進めばよいか戸惑う箇所がいくつかありました。そこで、利用者の利便性や安全確保のため父ヶ岳と七ッ岳の登山道にラミネートで作成した簡易ルート標識を設置しました。また、標識間を誘導するため、数箇所にピンクのテープを木に貼り付けました。

父ヶ岳)左:分かりづらい山頂手前の登り坂   右:曲がり角等木にピンク色のテープを貼付。


七ッ岳)左:分岐点で、迷いそうな箇所     右:植物の生長で登山道が見えにくい箇所

 七ッ岳登山口から七ッ岳第1峰への道のりは急峻な岩場が多く、直射日光による暑さ対策として、水分補給や帽子・タオルなどが必要です。一方、七ッ岳第4峰から七嶽神社への道のりは林の中を時折風が吹き抜けて、少し肌寒いほどの涼しさです。

  •  父ヶ岳と七ッ岳の山頂からは、五島列島の自然や島々が一望できます。特に七ッ岳第4峰からの眺望は圧巻で、この日は、空高くツバメが風に乗り気持ちよさそうに飛んでいました。

  • 七ッ岳から眼下に広がる玉之浦湾と島山島(写真後方)

    •  登山道ではかわいらしい草花との出会いもたくさんありました。この時期でしか見られない「シライトソウ」が足元に!草丈15cm程に白い小さな花が印象的です。また岩場には、少しつぼみが膨らんだ「ケイビラン」を見つけ、登った甲斐がありました!!

     

    )気づかず通り過ぎそうなほど小さな花「シライトソウ」。

    )重なり合った曲がった葉が鶏の尾に似ていることから名づけられた「ケイビラン」。

    •  七ッ岳には何度か登頂していますが、季節ごとに自然の移り変わりを間近に感じることができるため、飽きることはありません。次はどんな自然と出会えるのでしょうか?今から楽しみです!


    七ッ岳第4峰(手前)と、父ヶ岳(後方)

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