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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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西海国立公園

28件の記事があります。

2021年04月13日トビカズラの島 トコイ島へ(その2)【平戸・九十九島地域】

西海国立公園 溝口恵美

 こんにちは!佐世保自然保護官事務所の溝口です。

 前回グリーンワーカー事業でトコイ島のトビカズラ調査のお話しをしました。

 今回は、生きもの観察と海岸清掃についてお話しします。

 九十九島の会の皆さんは、海の植物や生きものが大好きな人の集まり。

 自然に海の生きもの観察も始まりました。

 まず初めに発見されたのは"ヒカリウミウシ"。

 行きたい方向がわからず、じたばた体をくねらせているように見えてとても可愛らしい!

2021.4.7トコイ島

 海がどんどん満ちてきていたので、クラゲやゴマハゼなどの生きものたちもすぐ近くで

観察でき、夢中になっていました。

2021.4.7トコイ島

▲ゴマハゼ(絶滅危惧種Ⅱ類に指定)

 全長2センチ程度で日本最小クラスの脊椎動物。

 そんな中、突然珍客が!!!

 アカエイです!

2021.4.7トコイ島

 集まってきている生きものを狙ってか,すぐ近くまで寄ってきて

優雅に泳ぐ姿を見せてくれました。

 最後に漂着物などの海岸清掃を行いました。

 ほとんどが燃えるゴミで、プラスチックや発泡スチロールなどの軽いものでしたが、

35口の54.97キログラムのゴミを30分程で集めました。

2021.4.7トコイ島 2021.4.7トコイ島

 

 九十九島の会が行う、当グリーンワーカー事業では、調査の後必ず海岸清掃作業を行います。

 九十九島の美しい海や多くの生きものたちを守るために、自分に出来ることは何か考え、

今後も環境保全活動に取り組んでいきたいと思います。

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2021年04月08日トビカズラの島 トコイ島(その1)【平戸・九十九島地域】

西海国立公園 溝口恵美

 こんにちは!佐世保自然保護官事務所の溝口です。

 皆さん、トビカズラという植物をご存じですか?

 4月から5月上旬に花を咲かせる植物で、濃い紫色の特徴的な形をしている、ツル性の植物です。2021.4.7トコイ島1

 実はこのトビカズラ、国内で4カ所のみで自生しているとされているのですが、

この貴重な花が、九十九島のトコイ島でも生育しているのです!!

 先日このトコイ島へ、グリーンワーカー事業として九十九島の会の皆さんとトビカズラの生育状況のモニタリングと海岸清掃へ行ってきました。

 昨年の台風の影響で、葉っぱがダメージを受け枯れている場所があるという情報があり、少し心配でもありましたので、現在の状況の確認も含めての調査になります。

▼瀬渡し船でトコイ島へ渡ります。

2021.4.7トコイ島2

▼トコイ島が見えてきました。

2021.4.7トコイ島3

▼よく見るとトビカズラの葉が茂っているように見えています。

 (赤い線で囲んでいる部分)

 お!!これは期待できるかも!!と胸を躍らせ、いざ上陸!

 海沿いと高い場所の二手に分かれ、調査開始!!私は、高い場所の調査に行きました。

 険しい森の中を15分ほど登ると、トビカズラが観測できるエリアに到着しました。

 見上げると、期待通りに葉もたくさん茂り、花も開花していました。

 台風の影響は一安心。

  

 海岸沿いでは、台風の影響を直に受けたためか、残念ながら開花の確認はできなかったようです。

 トビカズラは、日本にはいないフルーツバットのような蜜を食性としたコウモリなどによって受粉します。

 トコイ島では自然に受粉することはありません。人工授粉すると結実して、長い大きな実をつけます。

2021.4.7トコイ島7

▲人工授粉によって結実したトビカズラ

 九十九島トコイ島のトビカズラ。なぜここに自生しているのか詳しいことはわかっていないようです。

 そんなに珍しい植物、長崎県ではトビカズラは島に渡らないとみれないの??と思ったそこのあなた!!

 実は佐世保には手軽に観察できる場所が、あります!!

 自生ではないですが、九十九島ビジターセンターの対岸にある長尾半島でも楽しむことができるのです。

2021.4.7トコイ島8 2021.4.7トコイ島9

 5月上旬まではトビカズラの花や独特な香りを楽しむことができると思いますので、

是非足をお運びください。

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2021年03月25日あれから1ヶ月以上たった上段の野の今。【平戸・九十九島地域】

西海国立公園 溝口恵美

 こんにちは!佐世保自然保護官事務所の溝口です。

 突然ですが、まず初めにこちらの画像をご覧ください。

2021.3.24上段の野

 これは、今年の2月14日に平戸の上段の野の野焼き作業後の草原です。

 (野焼き作業については、こちらをクリックしてご覧ください。)

   http://kyushu.env.go.jp/blog/2021/02/post-704.html

さあ!あれから1ヶ月以上たった今、上段の野はどんな姿になっているでしょうか!?

3・2・1

ジャジャーン!!!!!

2021.3.24上段の野

 一面真っ黒こげになった草原も、今は新たな命が芽生え始め、緑が蘇ってきています。

 たった1ヶ月少しで、芽を出し花を咲かせていた植物をご紹介します。

 2021.3.23上段の野

▲スミレ                ▲キジムシロ

2021.3.23上段の野 2021.3.23上段の野

▲アザミ                ▲ホタルカズラ

2021.3.23上段の野 2021.3.23上段の野

▲ヒメハギ               ▲カタバミ

 可愛らしい小さな植物を確認できました。その中でも、興味深い植物を見つけました。

▼ナツトウダイという植物です。

2021.3.23上段の野

全体的に緑色をしているので、初めはこの花の開花に全く気付くことが出来ませんでしたが、

ハエのような虫が止まっていたので、気付くことがしきました。(ん?ハエって蜜吸うのかな。。。)

しかも、面白い花の形、成長の仕方をしているのです!

▼花を近くで見てみると、このような形をしています。

 中央にあるのが花の役割を果たすところです。それぞれの部位を説明すると、

1苞(ほう):これは葉のようにみえて、実は葉ではありません。花を包んでいたもので、

       がくのような、葉が変形した部分をいいます。

2蜜線:中央の手裏剣のような部分で、これにハエが寄ってきていたと思われます。

3おしべ:花粉を作る部位。

4めしべ:受粉する部位。

5子房:受粉が成功すると、種子を作る部位ができます。

▼全体像もまた面白い

2021.3.23上段の野

 地面に近いところから説明すると、

Ⅰ:まず茎にたがいちがいに葉をつけます。(互生)

Ⅱ:次に、茎囲むようにぐるっと5枚の葉をつけます。(輪生)

Ⅲ:輪生した葉の中央から5又に分かれて茎を出します。

Ⅳ:そして、上記で説明した花の部分がでてきます。

Ⅴ:それにまた2又に分かれて茎を出し、同じように花をつけます。

 とっても面白いですよね!

 周りをよく見ると、たくさんのナツトウダイが生育していました。

 ナツトウダイは、九州から北海道までの広い地域で見ることが出来るそうです。

 春はまだ始まったばかり。この後も次々といろんな花を観察できそうです。

 これから先も、上段の野の観察を続け、季節による変化をたのしみたいと思います。

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2021年03月15日春の訪れを知らせてくれる生きもの【平戸・九十九島地域】

西海国立公園 溝口恵美

 こんにちは!佐世保自然保護官事務所の溝口です。

 春の訪れ告げる鳥たちがさえづり、過ごしやすい季節となってきました。

事務所のある合同庁舎に新しく植えられたソメイヨシノの花が開花しています。

たくさんの刺激を受けてきたのか、他のソメイヨシノよりも開花が早く、一足早く春を楽しませてくれています。

2021.3.12クラゲ4

▲合同庁舎横のソメイヨシノ

 他にも、春の訪れを感じる出来事がありました。

 皆さん、ミズクラゲという生きものをご存じですか?春に出現するクラゲで日本近海でも最も普通に観察できるクラゲです。

 ミズクラゲと言えば、四つ葉のクローバーみたいな傘模様があり白く、たゆん・たわんとのんびり遊泳する姿がとても可愛らしく思えます。

2021.3.12クラゲ

▲ミズクラゲ

 そのミズクラゲが、九十九島パールシーリゾート内のヨットハーバーのある港に、たくさん漂っているのを発見しました。あまりにもたくさんの数に驚き、夢中になってシャッターを切りました。

2021.3.12クラゲ2

▲ビジターセンターのスタッフがたくさん出現しているミズクラゲ

を防水カメラで水中から撮影しようとする様子

 九十九島の海(特にパールシーリゾート周辺の海)は、リアス式の入り組んだ地形で、対流が緩やかなこともあり、100種類以上のクラゲが出現しやすい環境にあるといいます。

遊泳力がほぼないクラゲは、流されて九十九島の海に集まってくるのです。

 ここで少しミズクラゲについてお話しします。

クラゲの生態はとても面白く、皆さんがよく見ているクラゲは成長の段階で大人になった姿なのです。

2021.3.12クラゲ3

▲ミズクラゲの成長による変化「生活史」

 ミズクラゲは12月頃にエフィラ(クラゲの赤ちゃん)から成長し、春先の3月下旬頃には大人の姿となり九十九島の海でも出現するようになります。5月頃には30センチ程まで成長し、メスは卵を持ちその後、不思議なことにぱたっと姿を見せなくなります。パールシーの水族館のクラゲ担当の方に伺いましたが、その後の行く末はわかっていないそうです。しかし、また春がやってくると少し小さめのミズクラゲが九十九島の海に現れるのです。まさに春の訪れを知らせてくれる生きものですね。

 私はまだ、ミズクラゲしか観察できていませんが、九十九島の海では今まさに多くのクラゲを観察できる時期だそうなので、発見したらまたお知らせしたいと思います。是非、ご自身でも足をお運びいただき、様々なクラゲをさがしてみませんか?

 

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2021年02月19日上段の野の野焼き作業を手伝ってきました!【平戸・九十九島地域】

西海国立公園 溝口恵美

 こんにちは!佐世保自然保護官事務所の溝口です。

 平戸島の南にある上段の野では、毎年2月に地元の方々により野焼き作業が行われています。今年は2月14日(日)にパークボランティアの皆さんとお手伝いを行ってきました。

 上段の野の野焼きは、元々は放牧地の管理として行われていました。しかし、放牧の利用がなくなった今では草原性の植物の維持や、地元の方々の繋がりを保つ、地域の一大イベントとして今も続けられています。

2021.2.14野焼き3 2021.2.14野焼き4
  作業説明を聞くパークボランティアの皆さん          野焼き前の上段の野

 次々に火入れが行われ、初めはどんどん燃え移っていく炎と煙に圧倒されましたが、地元の方の指示に従い、火が周囲に延焼するのを防ぐため、クロキやトベラなどの枝を利用した火消し棒で、周りをたたきながら火を消す作業のお手伝いをさせていただきました。

 

         火入れ作業                   燃え広がる炎

2021.2.14野焼き5                      火消しの様子                  

 どんどん燃え広がっていく中、空を見上げると数羽のトビが何かを探すように上空を旋回しています。火に追い詰められた虫や小動物を狙っているのでしょうか、急降下していく姿を何度も目撃しました。

 2021.2.14野焼き6

    急降下しようとするトビ                 避難したバッタ

 今回の野焼き作業には、約80名の方が参加されお天気にも恵まれ、スムーズに作業が進んで行きました。

 一面焼け野原になったこの場所にも、暖かくなるにつれ、草原性の美しい花が季節ごとに見られるようになるそうです。

2021.2.14野焼き7                  焼け野原となった上段の野

 今回初めて野焼き作業を体験させていただき、人の手が加わることで維持されていく自然環境があり、植物や生きものが多く存在することを学びました。

 今後もこのような作業のお手伝いは続けていきたいと思います。

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2021年01月22日シカ調査に同行してきました!【平戸・九十九島地域】

西海国立公園 溝口恵美

 はじめまして。

 11月末より佐世保自然保護官事務所のアクティブ・レンジャーとして着任しました溝口と申します。

これから魅力ある西海国立公園(平戸・九十九島地区)での活動をたくさん発信していきたいと思います。

 1月13日(水)に、九十九島ビジターセンターが来年度から実施するシカ調査の勉強会に同行しました。

現在、県北にもシカの生息範囲が拡大しているという情報があり、影響が生じていないか確認するため生息状況や動向を把握する調査を行っていくとのことで、この日は勉強会として長崎県鳥獣保護管理員および平戸市鳥獣被害対策実施隊員の方に説明をうけました。

2021.1.13シカ調査-1



目立つよう蛍光色の服を着用      

2021.1.13シカ調査-2

 土砂崩れによる足場の悪い斜面をひたすら進む

 調査していくに当たり、どういった場所でシカが生活しているのか、移動をしているのかを知る必要があるため、小関氏に様々な痕跡の見つけ方を教えていただきました。このエリアに住むシカはアオキという植物を好むらしく、食痕はアオキばかり。ヌタ場にはしっかり足跡も!他にも角を研いだ木の幹の傷跡、大量の糞など様々な痕跡が確認できました。

2021.1.13シカ調査-3 2021.1.13シカ調査-4

  葉っぱが全て食べられてしまったアオキ      中央に鹿の足跡

2021.1.13シカ調査-5 2021.1.13シカ調査-6

         角の研ぎ跡                シカの糞

 今回の勉強会で、ビジターのスタッフも今後行う調査へ向けてのスキルアップができたと思います。

 来年度からのシカ調査にも是非同行させていただき、自然環境に対する意識を向上させ、自分自身のスキルアップに繋げて行きたいです。

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2020年02月12日上段の野における野焼き作業 【平戸・九十九島地域】

西海国立公園 岡山桂

 こんにちは!

 佐世保自然保護官事務所の岡山です。

 2月2日(日)、パークボランティア会員や九十九島ビジターセンター職員の計8名で朝9時から始まった上段の野での野焼き作業のサポートに参加しました。平戸島内の代表的な草原である川内峠、佐志岳、上段の野の3ヶ所では毎年この時期に野焼きが行われており、今年は3ヶ所同日に行われました。上段の野の野焼きは、以前放牧のために行われていましたが、草原の利用がなくなった現在では、地域住民同士のつながりや、草原景観、草原性植物の維持などを目的に野焼きが行われています。

 私たちは地元の方の指示に従い、火入れ作業員の後を追いながらクロキの枝の火消し棒で飛び火や残り火を消す役割を担いました。

左:火消し棒(クロキの枝) / 右:火を見守る様子

 火が入ると草に紛れていたノウサギが驚いて逃げ出し、猛スピードで林の中へ消えていきました。まさに「脱兎の如く」という表現の通りの素早さで、撮影を試みるも画面内に収めるのがやっとでした。

逃げ出すノウサギ

 火から逃げ出すのは虫たちも同じで、炎が近づくと安全な所へ避難していきます。野焼きの影響を理解しているのか、どこからともなく集まった数十羽のトビたちが空から狙いを定めます。

左:焼き終えた場所へ避難したバッタの仲間 / 右:虫や小動物を狙うトビ

 作業当日は天候に恵まれ日程通りに行うことができましたが、直前に2週間近く続いた雨の影響もあり、一部の草はまだ湿っていました。そのため、燃え残った部分は地元の住民のみで午後から再度焼き直すこととなり、他地区から援助に来た方々と私たちは一足先に解散しました。

山頂付近より 左:野焼き前 / 右:野焼き途中

 

 今は焼け野原となった上段の野も暖かくなるにつれまた草原風景を取り戻します。季節ごとにフデリンドウやワレモコウなど美しい花も見られ、秋には九十九島ビジターセンターが開催する自然観察会もあります。利用のため長年に渡り手入れされていた環境には、里山林や水田と同様、人の手が入るからこそ生息環境が維持されている生物も多く存在するため、今後もこういった作業のサポートを続けていきたいと思います。

 

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2019年12月06日オキナワキノボリトカゲ調査 【平戸・九十九島地域】

西海国立公園 佐世保 岡山桂

 こんにちは!

 佐世保自然保護官事務所の岡山です。

 

 長崎県北部の松浦市で平成29年7月にオキナワキノボリトカゲの生息が確認されました。オキナワキノボリトカゲは沖縄県と奄美諸島のみに生息する日本の固有種で、環境省のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。物資の運搬時に紛れていたものやペットとして飼っていたものなど、人間の手が加わった何らかの原因によって松浦市へ入ったものがそのまま定着してしまっているようです。一般的によく知られる「外来種」という言葉は、人間によって国外から持ち込まれた生物のことを指しますが、松浦市でのオキナワキノボリトカゲのように人間によって国内の別の地域から持ち込まれた生物のことを「国内外来種」と呼びます。宮崎日南市や鹿児島県指宿市では、20年程前から定着が確認されているそうです。

 国内外来種であるこのトカゲが在来種にどのような影響を及ぼすか、生息域はどこまで拡大しているのかなどを調査するため、長崎女子短期大学の松尾教授の指導のもと九十九島動植物園「森きらら」のスタッフを中心に平成29年度からヒアリング調査を行ってきました。昨年度からは私や長崎県と松浦市の職員なども加わり捕獲調査を開始しました。オキナワキノボリトカゲの研究をされている兵庫県立大学の太田教授の意見も交え、毎月2回の調査日を設けて季節の変化によるトカゲの行動の変化なども調べています。

左:松浦市で確認されたオスのオキナワキノボリトカゲ / 右:調査の様子

 

 オキナワキノボリトカゲは全長200~300mm、頭胴長(頭の先から尾の根元までの長さ)60~85mm程度の、尾長が長い樹上性のトカゲで、食性は昆虫などの小動物です。少なくとも原産地では冬眠はしないようです。オスの成体は日中、木の枝上の見通しのよい場所から縄張りを見張っており、幼体やメスの成体は木の根元付近の低い場所にいるとのことです。また、オスの成体は鮮やかな黄緑色をしているため、地味な茶色の幼体やメスの成体と比べ簡単に見つけることができます。ただ、周囲の明るさに合わせて多少は体色の明暗を変えることができるので黄緑色と茶色の混じった成体も多く、現状、私たちでは雌雄の判別が難しいため、専門家に判別の基準を確認しているところです。

左:メスの幼体と思われる個体 / 右:雌雄の判別が難しい体色の個体

9月9日(月)には朝昼晩計3回調査を行いました。調査にあたっては、釣り竿の先に輪にしたテグスを付けて釣り上げたり、直接手で捕獲したりしました。昼の調査の後、松浦市役所の会議室で、捕獲したトカゲの胃内容物の吐き戻しや形態観察をしました。吐き戻しはトカゲの口へ生理食塩水などを注入し、注入したものと一緒に胃の中のものを吐き出させるという作業ですが、技術が必要な作業であるため、この日はうまくいきませんでした。形態観察では、個体ごとに異なる特徴と共通した特徴を肉眼で観察し、それらが性別や成長段階による差なのか、あるいはただの個体差なのかを考察しました。こちらも併せて専門家に確認を取ってみようと考えています。

左:胃内容物の吐き戻し作業 / 右:形態観察

 

夜の調査では懐中電灯で枝先を照らすと寝ているオキナワキノボリトカゲが5個体確認できました。一見、起きているように見えても光に反応せず、顔の前で私が手を動かしてもピクリとも動きませんでした。

枝先で寝ている個体(まぶたはあるはずなのに目を開いたまま寝ている!?)

 11月12日(火)の調査では、寒くなってトカゲの活動が鈍くなってきたためか、これまで比較的容易に確認できたオスの成体は見つけることができませんでした。しかし、これまでほとんど確認できなかった幼体を4個体も捕獲することができました。頭胴長30mm程度の生まれて間もないような個体だったため、越冬のためにエサ探しを粘っていたのかもしれません。

 先の調査で幼体を確認できたことからも、確実にこの地域で定着しているということが分かります。現在は、胃から出てきた昆虫の残骸から何を食べているのか専門家に調べてもらっており、これからの季節は越冬方法なども調べていきたいと考えています。現状では爆発的に増える可能性はほぼないとされていますが、生態系への被害が顕著に現れてからでは手遅れになってしまうため、定期的な調査を今後とも続けていきたいと思います。

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2019年09月30日パークボランティア研修「相ノ島調査」

西海国立公園 岡山桂

 こんにちは!

 佐世保自然保護官事務所の岡山です。

 8月3日-8月4日、パークボランティア研修のスタッフとして平戸市宮ノ浦港からチャーター船を利用して20数名の参加者と「相ノ島(新上五島町)調査・研修」に行ってきました。相ノ島は花崗岩がマグマによって持ち上げられてできた島であり、五島列島中通島の東に位置し、宮ノ浦港からは33kmほど離れた場所にあります。無人島の相ノ島ですが昔はヤギの放牧も行っていたそうで、現在も船着き場や神社が残っています。

左:相ノ島全景 / 右:御手洗神社

 写真の植物はモロコシソウとハマボッス。前者は海が近い山の木陰などに生え、黄色い花を咲かせます。後者は海岸などに生え、白い花を咲かせます。葉の付き方が互生と対生で異なっている点など、見た目では似ているようには感じないのですが、調べてみると実は両種ともオカトラノオ属に含まれており、近縁種であることがわかりました。

左:モロコシソウ / 右:ハマボッス

 1日目の夜、宿泊先の赤尾郷の公民館で五島有川小学校元教諭の吉居氏から、坂本龍馬ゆかりの慰霊碑についてのお話がありました。司馬遼太郎著『竜馬がゆく』には、坂本龍馬が結成した亀山社中の船「ワイル・ウエフ号」が五島の塩屋崎で暴風により沈没し、死者11名、生存者3名の事故があり、亡くなった同志の慰霊碑を建てるため龍馬が五島列島を訪れたという旨の記載があります。五島には塩屋崎という地名はないため、吉居氏を含む3名の教諭たちは潮合崎のことではないかと推測し、現地で偶然出会った老人から事故当時の様子が歌われた俗謡を聴き、ついには江ノ浜にて石碑を見つけることができたという小説のような体験を聞くことができました。吉居氏は最後に、「身近なところにも必ず何らかの研究に足る素材があるのではないか。それらに興味を示し、研究を続けたい。」と話を締めました。

左:坂本龍馬が建てた慰霊碑(新上五島町観光商工課提供) / 右:中通島地図

 翌日は、自然や歴史・文化などいくつかの班に分かれて上五島を調査することになり、私は自然観察班に参加しました。中通島の向山では、植物以外にも普段なかなか見られない動物などを見ることができました。

 林道で休憩しているとヒナカマキリという小さなカマキリがいました。本種は日本で最も小さいカマキリで、成虫でも20mm程度しかありません。秋に成虫になるので写真の個体はまだ大人になりきれていない高校生くらいといったところのようです。本州、四国、九州などに生息しているため分布域は狭くはないのですが、小さい上に落ち葉などに紛れているので見つけにくく、今回は運良く見つけることができました。

ヒナカマキリ

 さらに林道を歩いていると、斜面に白っぽいキノコが生えていました。もしかして、と思い掘ってみると思った通り、ツクツクボウシタケでした。一般的に冬虫夏草と呼ばれるものの一種である本種は、名前の通りツクツクボウシを宿主とする菌類です。国内では東北南部以南で広く確認されていますが、知らないと見逃してしまうので私も実際に見るのは初めてでした。調べるために持ち帰った後、九十九島ビジターセンターに提供し、生体展示コーナーで紹介してもらうことになりました。

左:ツクツクボウシタケ / 右:ビジターセンターでの展示の様子

 今回の研修では平戸・九十九島地区での調査では見られなかったものや気づかなかったことを発見することができました。参加者も、普段の活動地域とは離れた島での研修ということで、動植物や歴史、地質など様々な分野について多くの発見があったようで充実した研修になりました。

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2019年06月25日安満岳・鯛ノ鼻ガイドウォーク 【平戸・九十九島地域】

西海国立公園 佐世保 岡山桂

 こんにちは!

 佐世保自然保護官事務所の岡山です。

 5月25日(土)、九十九島ビジターセンターのイベントスタッフとして「安満岳・鯛ノ鼻ガイドウォーク」に参加しました。このイベントは、平戸地域の主要な公園区域である安満岳から鯛ノ鼻までを歩き、その自然や文化とのふれあいを目的とするものです。

左:安満岳山頂まで続く石の参道 / 右:西禅寺庭園跡

 

 平戸島最高峰の安満岳(536m)は山の上半部に広がるアカガシ主体の原生林と、山頂周辺の輝石安山岩から成る残丘(メサ地形)が特徴です。山頂へ続く石の参道を横に下っていくと楊柳山西禅寺跡があり、明治時代の廃仏毀釈で廃寺となりましたが、現在も残っている庭園に往時の隆盛が偲ばれます。山頂付近にある白山比賣(はくさんひめ)神社の裏手には潜伏キリシタンが祈りを捧げたとされる「安満岳の奥の院様」と呼ばれる石のほこらと薩摩塔があります。

 このように、安満岳は仏教、神道、キリスト教の3つの信仰の地として神聖な山とされ、昨年7月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つ「平戸の聖地と集落(春日集落と安満岳)」として、世界文化遺産に登録されました。

「安満岳の奥の院様」と呼ばれる石のほこらと薩摩塔 

安満岳山頂から望む春日集落の棚田

 山頂の岩場からは春日集落の棚田が見え、講師の解説と共に眺望を楽しみました。

左:コガクウツギとイシガケチョウ / 右:金色に光るシロダモ

 安満岳から鯛ノ鼻へ続く道端にはコガクウツギがたくさん咲いていました。コガクウツギはアジサイに近い種で、めしべとおしべのある生殖用の花とは別に「装飾花」と呼ばれる虫を呼ぶためだけの飾りの花(正確には花ではなく「がく」)を持っています。花を観察しているとタイミング良く翅の模様が特徴的なイシガケチョウが止まり、思わずシャッターを切りました。

 他にも、葉の裏が金色に光るシロダモの新芽や、フワフワして触り心地が良いヤブムラサキなど、道路沿いの草木を五感を使って楽しみました。

 鯛ノ鼻の展望所は昨年秋に改修工事が完了し、以前より前へ突き出た形となったため、平戸島北に位置する生月島全体が見えるようになりました。数日前に降った雨が幸いしたのか、この日はなんと生月島右後方に対馬まで見えていました!後日、みんなにこのことを話してもなかなか信じてもらえなかった程、平戸島から120km離れた対馬が見えるのは珍しいことだったようです。写真では小さすぎて写っていないのが残念です。

左:鯛ノ鼻から望む生月島 / 右:サルノコシカケの幼菌が付いたアカガシ

  

 古くから信仰の山として親しまれ、国有林や国立公園区域として守られてきたアカガシ主体の原生林を持つ安満岳ですが、アカガシの中にはサルノコシカケというキノコの幼菌が付いたものもありました。特別な原因があるのかはわかりませんが、これは木が弱っている証拠であり、こういった木が増えていけば森の風景も少しずつ変わっていくのかもしれません。

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