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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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2019年09月25日屋我地のアジサシたち2019 Part2【やんばる地域】

やんばる アクティブレンジャー上開地

こんにちは。

やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。

何かと忙しくなってしまう夏が終わり、沖縄もミーニシ(新北風)と共に

アカハラダカの渡りが始まり、冬鳥のサシバがやって来る季節になってきました。

冬鳥の訪れと共に沖縄で繁殖を終えた夏鳥達も南の国へ戻っていきます。

沖縄のアジサシ達も、子育てを終えて、今頃は海の上を旅している頃でしょうか。

6月に、屋我地鳥獣保護区でのアジサシの保全活動の始まりを紹介してから間が開いてしまいました。

タイムリーに紹介出来なかった事がちょっと悔しいですが、今年の結果を紹介します。

(ぜひ前回の日記6/26"屋我地のアジサシたち"も合わせてお読み下さい。)

http://kyushu.env.go.jp/blog/2019/06/26/

【7月11日の調査】

前回の6月調査では、エリグロアジサシは早めに繁殖に入っていましたが、

ベニアジサシ達は梅雨明けを待っていた様子で、まだどこを繁殖岩礁に選ぶか分かりませんでした。

事前情報で、ベニアジサシが繁殖岩礁に降りた事と「今年の群はかなり大きい」と聞いていたので、

期待を胸に調査の船に乗り込みました。

 

  取材を受けながら、ベニアジサシの繁殖岩礁の近くまでくるとアジサシ達の声が賑やかに聞こえてきました。

みなさん、アジサシ達の姿が見えますでしょうか?

ベニアジサシの群

 

ベニアジサシの群2 

▲約300羽(繁殖個体では過去最高数)ものベニアジサシ達がコロニーを作っています。

(飛んでいる様子を、ウフギー自然館FBに掲載しています)

この群は、陸地から肉眼でも見えるぐらい大きくて、これまでの調査で過去最高の大きさです。

船を使った繁殖調査の他に定期的にアジサシパトロールを行っているのですが、

その時に区長さんが「昔はこれぐらいの群が他の岩礁にいくつも来ていたよ。」と言っていました。

なんてすごい時代でしょう。羨ましいです。

この日のベニアジサシの群も見とれてしまうぐらい美しかったです。

ですが、安心できる事ばかりではありませんでした。

群を眺めていると大きな鳥が急降下してきました。

ハヤブサ

▲ハヤブサです。

本来は沖縄では冬鳥ですが、時折繁殖に参加しない個体が夏もいることがあります。

鳥類を専門に捕食するので、アジサシの天敵です。

(ハヤブサは、ヤンバルクイナと同じ国内希少野生動植物種に指定されている絶滅危惧種です。)

急降下と共にあっという間に親鳥が捕まってしまいました。

この試練はアジサシ自身が乗り越えなくてはいけない事なので、私達は見守る事しか出来ません。

観察中、ずっとベニアジサシ達は警戒して飛び回っていました。

他の岩礁では、一足先に産卵に入っていたエリグロアジサシ達のヒナが船からでも分かるぐらいにすくすくと育っていました。

トゥイヌシ エリグロアジサシヒナ

▲羽地内海のトゥイヌシ。毎年エリグロアジサシが繁殖に使っています。

夫振岩 夫振岩エリグロアジサシヒナ

▲外海(源河川沖)の夫振岩。毎年釣り人の上陸が多く、なかなかアジサシたちが来てくれませんでしたが、

今年は20羽ものエリグロアジサシが繁殖に来てくれました。

このまま順調にいってくれる事を祈りながら7月の調査は終了しました。

【8月16日の調査】

シーズン最後の8月の調査で、無事に巣立った幼鳥がどれだけ見られるかが、

その年が成功か失敗かの判断基準になります。

先月のハヤブサの様子が気がかりですが調査に出発します。

 

▲7月にベニアジサシで賑わっていた岩礁にアジサシの気配がほとんどありません。

岩礁の上空には小魚を持ったまま旋回するベニアジサシが4羽ほどいました。

岩礁のカラス 

▲見ていると、カラスが2羽、岩礁に降りてうろうろ何かを探しまわっています。

 草むらに入った後、何かを持って飛び立ちました。

▲巣立ち直前のヒナです。

カラス1羽がヒナを持ち去った後も、もう1羽のカラスがずっと執拗に岩礁の上で

残りのヒナを探していました。

おそらく、7月にハヤブサに襲われる前の300羽のコロニーだったら

カラスを追い払う事が出来たはずですが、今年は運悪くハヤブサに襲われて

親鳥が減ってきた所をカラスに襲われてしまったのだと思います。非常に悲しい瞬間でした。

その後も屋我地島を一周して調査を続けたところ、古宇利大橋の橋桁で休む幼鳥たちが見られました。

幼鳥ベニとエリグロ

▲一番左がベニアジサシ、右2羽はエリグロアジサシの幼鳥。

今年は幼鳥がベニアジサシで10羽、エリグロアジサシで25羽確認出来ました。

この数は、センターの調査の中では2番目に多い数です。

なので、本来は喜べる結果ですが、7月のベニアジサシ300羽が順調に繁殖していれば、もっと多くの幼鳥がいたはず...、と思うと残念でなりません。

他にも、羽地内海のトゥイヌシでは釣り人が上陸したり、カラスに食べられたヒナと思われる死体も見られました。

 

▲左が岩礁の上に乗ったサンゴの岩。右はヒナの骨や羽軸です。

このサイズの岩が岩礁に乗るほどの荒波は起きていません。おそらく人が乗せたのだと思います。

右の写真はペレットといって、消化出来ない骨や羽などをフクロウやカラスがはき出した物です。

岩礁の上なのでおそらくカラスだと思われます。

巣立ちの結果はまずまず良かったと思えど、まだまだ安心できる状況ではありません。

アジサシ達はとても長生きする事が分かっています。

(過去の標識調査でベニアジサシ,エリグロアジサシともに最長23年11か月)

しかし、1回の繁殖期に巣立たせられるヒナの数は1羽か2羽ほどです。

巣立ち後の幼鳥がその後繁殖に参加できるまでの生存率は、

他の鳥類を参考にするときっと半分以下でしょう。

7月に見た美しいアジサシたちの群が、

屋我地島含め他の繁殖地でも当たり前の様に見られるように、

もっともっと多くの人に知ってもらえるようになって欲しいと思います。

ぜひ、皆さんも出来る事から御協力いただけると嬉しいです。

「昔も今も沖縄は綺麗だねー。」を目指して一緒によろしくお願いします。

来年もたくさんのアジサシたちが来てくれますように...。

★アジサシについてもっと知りたい方は★

○ウフギー自然館HP 各種資料

・沖縄のアジサシ ・アジサシが繁殖に来ています

http://www.ufugi-yambaru.com/shiryou/panfu.html

○名護市広報"市民の広場"2019年6月号でもアジサシについて紹介してくれました!

http://www.city.nago.okinawa.jp/municipal/2018071300163/file_contents/shiminnohiroba201906all.pdf

今月の1枚「アジサシグッズはいかがでしょうか?」

今年、試作してみたアジサシの缶バッチ。

知り合いの方に差し上げたら早速お子さんが付けてくれました。

皆さんも何かデザインに悩んだら、ぜひ"アジサシ"をモチーフにして、生活の中にアジサシを取り入れてみませんか?

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