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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

永田岳山頂から

2023年01月27日
屋久島 中本合海
こんにちは。屋久島自然保護官事務所の中本です。
2022年12月上旬、1泊2日で永田岳まで行ってきました!
今回の巡視では登山道、避難小屋、携帯トイレブースなど施設の確認、定点モニタリングを行いました。
そのときに出逢えた景色を皆さんにご紹介します。
 
1日目は淀川登山口から始まり、宮之浦岳と永田岳を超えた先にある鹿之沢避難小屋を目指します。
前日までに作成した登山計画通り、早朝5時前に淀川登山口を出発し
真っ暗な山道をヘッドライトで照らしながらひとり歩いていきます。
暗闇を2時間近く歩いた頃、だんだんと空が明るくなってきました。
この日は快晴で、朝日が横から森を照らしていました。

朝の森は空気が澄んでいて美しく、足取りが軽くなります。
朝の森
定点モニタリングと巡視を行いながら、暗くなる前に鹿之沢小屋に到着。
鹿之沢小屋
※鹿之沢小屋からは道が3方向あります。明るいうちに翌日の出発口を確認しておきましょう。
 
屋久島は九州の南に位置していますが、宮之浦岳は九州で最も高く標高が1,936mあります。
山頂部では里の気温より12度ほど低く北海道の札幌並の気温になり、冬の寒い日には山が雪で覆われ吹雪くこともあるほど。
今回は天候に恵まれ、雪が降ることはありませんでした。
それでも夜は霧が立ちこめ、朝は小屋の前の木道が凍るほど。
小屋の中でも冷凍庫の中にいるような寒さで夜は2時間も眠ることができず、重量軽減のために装備を削りすぎたことを猛省しました。

 
2日目、日が昇る前に小屋を出発し再び永田岳を目指します。
凍った岩肌を歩かなければならないところもあるので、アイゼンを履いて転ばないよう注意しながら進みます。
履いて脱いで時に四つん這いで...これが地味に体力削られます。
夜明け
だんだん空が明るくなってきました。いそげ~
そしてようやく山頂へ。

なんとか間に合い、宮之浦岳に昇る朝日を拝むことができました!
九州最高峰宮之浦岳に昇る朝日
この日は珍しく無風。
風がピタッととまり、空気は冷たく、音の無いつんとした世界が広がっていました。
非日常の空間に疲れを忘れます。
深い青の空に宇宙を感じるAR
天空の城?
感動を誰かと共有したい気持ちと、この空間にたった1人という興奮がいったりきたり。
遠くの山々
朝食は極限まで圧縮されたパン。
しかし山頂で食べると格別においしいのです。
本当に素晴らしい時間でした。

名残惜しい気持ちをぐっとこらえ、7時間ほどかけ淀川登山口まで戻ります。
巨大霜柱
年輪模様みたいに凍った水溜り
2022年を締めくくる印象的な巡視となりました。
1年間、山で大きな怪我や事故が無かったことに感謝です。
そして2023年も、はや1ヶ月が過ぎようとしています。
まだまだ寒い日が続きますが、皆さん体調に気をつけながら頑張っていきましょう~!
 
屋久島の山は天候が急変しやすく、冬季は雪山になることもあります。
十分な装備とゆとりのある行動計画を立て、安全な登山を心がけましょう。