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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

冬の五島は快適な居場所!「野鳥たちの住まい拝見」

2017年02月13日
五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。1月22日(日曜)、福江島の内闇(うちやみ)ダムと繁敷(しげじき)ダムで開催された五島探鳥会「かわいい野鳥に会いに行こう」にスタッフとして参加しました。集合場所の福江みなと公園から貸切バスでいざ出発です。

 バスの中で観察マナーや野鳥の種類などを解説した冊子を参加者に配り、講師からオシドリのオスは繁殖期に羽が変わりメスと同じような外見になるがくちばしの色は年中赤みのある色をしているなど、野鳥の生態について説明がありました。

 野鳥が季節の変化に合わせて日本や外国に行ったり来たりすることを「渡り」といいますが、「渡り方」の違いで、夏鳥・冬鳥・留鳥・旅鳥に分類されます。この分類にどの鳥が属するかは地域によって異なり、本土で見られるコゲラ・エナガ・カケスは、五島での生息は確認されていません。走行中、バスの車窓からミヤマガラスの大群が見えました。五島のハシブトガラスやハシボソガラスは留鳥ですが、ミヤマガラスやかわいい鳴き声を出すコクマルガラスは冬鳥として渡ってきます。

左:車窓から見たミヤマガラスの大群

右:内闇ダムのマガモ

 最初の観察ポイントである内闇ダムは、笹嶽(389.1m)南麓に昭和44年作られた灌漑用ダムです。参加者の中には野鳥観察が初体験の方もあり、貸し出した双眼鏡の使い方から説明しました。堤防から観察しましたが、野鳥たちは人の気配を感じた途端大きな鳴き声を発して仲間に注意を呼び掛けると一斉に遠くの水面に飛び立ってしまいます。一方、ダム外周道路からは木陰になっているため、カモ類から気づかれにくく比較的近くから観察できました。講師の説明でヨシガモとマガモの見分け方がわかると、参加者は夢中になって双眼鏡を覗いていました。

左:双眼鏡や望遠鏡で堤防から野鳥観察

右:図鑑を使って野鳥の見分け方を説明

 移動先の繁敷ダムには周辺を取り囲むスギ・ヒノキの森林から育まれた水が流れ込み、ダムの下流はゲンジボタルの名所となるなど自然が数多く残る場所です。前日の天気予報では曇りでしたが、終始風が強くダムに到着した頃から雪まじりの雨が降り始めました。野鳥に気付かれないよう、そーっとバスから降りて野鳥観察に向かいます。

左:繁敷ダムで観察する参加者

右:人に気付いて飛び立つカモたち

 参加者たちは、双眼鏡や望遠鏡の先に野鳥を見つけると寒さを忘れて真剣に見入っていました。ふと見上げると、今か今かと春を待ち望んで少し咲き始めた桜の蕾を見ることが出来ました。

左:強風のためバスの車窓から観察している子供たち

右:繁敷ダムで記念撮影

 福江みなと公園へ戻り一旦解散しましたが、希望者のみ福江港からカモメ類を観察しました。五島にはユリカモメは少ないですが、セグロカモメやウミネコは多くの港で見かけます。

左:福江港でカモメ類を観察

右:数百羽の群れをなすカモメ類

 冬の五島は野鳥たちにとって快適な居場所です。みなさんも野鳥たちがダムや港でどんな暮らしをしているのか、住まいを見せてもらいに出かけませんか!