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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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屋久島国立公園

73件の記事があります。

2019年05月28日ヤクシマザルの仔ザルに出会いました 【屋久島地域】  

屋久島国立公園 池田 裕二

 5月13日、山へ向かう林道の途中で、胸のあたりに仔ザルを抱えたメスに出会いました。

 ヤクシマザルの出産シーズンは3月頃から5月頃、普通1回に1頭の仔を産みます。木々の新緑や、昆虫の活動期と重なるため、子育てには良い時期なのでしょう。

 この時期の母ザルは神経質になっているので、観察をする際はできるだけ距離を置き、刺激を与えないようにしましょう。

 カメラは望遠機能を使い、サルとの距離を十分とって撮影を行いました。

ヤクシマザル

▲仔を抱えるメス。

 屋久島ではサルに対し餌付けを禁止しています。そのおかげもあり、サルは人をあまり気にせず自然なふるまいを見せてくれます。餌付けをしてしまうと、人の持っている食べ物を奪うようになってしまうおそれがあります。

 人とサルとの良好な関係を崩さないためにも、マナーを守って動物観察をしましょう。

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2019年04月25日永田岳の登山道を整備しています 【屋久島地域】

屋久島国立公園 屋久島 池田 裕二

九州最高峰宮之浦岳に次いで2番目に高い山「永田岳」。(標高1,886m)

独特の荒々しい地形から人気の高い山です。

永田岳屋久島永田岳のローソク岩

▲晴れた日の永田岳             ▲永田歩道のフォトスポット「ローソク岩」

近年、永田岳周辺の登山道の荒廃が目立ってきているため、現在整備を行っています。

作業は6月14日まで予定しています。

登山をされる皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解くださいますようお願い申し上げます。

まずはヘリで荷揚げした場所の現場確認を実施しました。

屋久島の山間部は上昇気流が起きやすく、ヘリでの作業が難しいようです。無事に終わりますように。

ヘリで荷揚げした資材

▲ヘリで荷揚げをして、仮置き場に保管します。

洗掘した登山道

▲雨水で崩れた登山道。こうした場所に洗掘防止として石を詰めたカゴなどを設置します。

下山時に、ジネズミ(ヤクシマジネズミ)に出会いました。

ネズミではなくモグラに近い仲間です。よく見るとモグラ顔。

ジネズミ全体像

ジネズミ頭部アップ

▲ジネズミの眼はとても小さい。

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2019年03月12日屋久島パークボランティアでアメリカハマグルマ駆除 【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

3月9日(土)に、屋久島国立公園パークボランティアの会の平成30年度最後の活動となる、外来種アメリカハマグルマ駆除in栗生塚崎海岸を実施しました。

 

2015年にこの場所の駆除を開始して、今回で5回目となりました。

最初の活動(2015年)の様子はコチラ↓

http://kyushu.env.go.jp/blog/2015/12/post-130.html

 

駆除を開始した2015年の様子

▲駆除を開始した2015年の駆除活動の様子。

 

駆除を始めた頃は一面に繁茂しており軽トラックの荷台いっぱいにとれたアメリカハマグルマですが、数年にわたって駆除を続けたことで減少し、今回の活動ではゴミ袋1袋にも満たない量しかとれませんでした。

 

今回の駆除の様子

▲今回駆除したアメリカハマグルマ。数か所に少量ずつ点在する程度に勢力が衰えていました。

 

前回駆除した場所にはすでに在来植物が繁茂しており、再生しているアメリカハマグルマを探し出すのに苦労しました。

アメリカハマグルマは日当たりのよい場所を好みますが、在来植物がたくさん生えていれば、日陰となってアメリカハマグルマの成長を抑えてくれます。

大変ですが、できるだけ在来植物を残しながらアメリカハマグルマを根っこから抜き取るという作業を行いました。

 

駆除の様子

 

駆除の様子

▲アメリカハマグルマを探す様子。

 

抜き取ったアメリカハマグルマ

▲根から抜き取ったアメリカハマグルマ。

たくさん枝分かれしたり茎を長く伸ばして成長し、他の植物の生育場所を奪います。

 

集合写真

▲最終的に見つかったアメリカハマグルマはたったこれだけでした!根絶間近です。

 

引き続きモニタリングを継続し、再生したら抜きとりを行い、根絶を目指します。

 

平成30年度の屋久島国立公園パークボランティアの会の活動はこれで終了しました。

パークボランティアの皆さん、大変お疲れさまでした!

 

最後に...

この日活動に向かう途中、なんとツルを発見しました!(私は屋久島で初めて見ました。)

北帰行(出水→シベリア方面への渡り)のシーズンなので、逆方向の屋久島にいて大変驚きました。

 

屋久島の町営牧場に飛来したナベヅル

 

出水自然保護官事務所の本多アクティブ・レンジャーに聞いたところ、ナベヅルの成鳥でした。

屋久島への飛来はあまり無いそうで、もしかすると強風にあおられる等して群れからはぐれた個体が、たまたま屋久島へ飛来したのかもしれないとのことでした。

見たところ外傷は見当たらず、問題なく飛べるのではとのことだったので安心しました。

無事に群れに戻ってシベリアまで飛んでいけますように!

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2019年03月11日希少な野生植物アオイガワラビを追え!【屋久島地域】

屋久島国立公園 池田 裕二

 「種の保存法」で国内希少野生動植物種※に指定されているシダ植物、アオイガワラビの自生地調査を行いました。巨木の残る照葉樹林内で、イスノキやスダジイなどが多く生えています。

アオイガワラビ

▲アオイガワラビ

 アオイガワラビ(青毬蕨)は、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠA類に指定されている大変貴重な植物で、国内では屋久島にしか自生していません。絶滅危惧ⅠA類というランクは、イリオモテヤマネコやツシマヤマネコと同ランクで、希少な生物に当てはめられます。近年、アオイガワラビの減少率は著しく、100年後の絶滅可能性は100%とされています。

 ワラビと名がありますが山菜として食べることもできるワラビと近い仲間ではなく、容姿が似ていることからそう名付けられたのでしょう。イガという名の通り、葉柄には棘状の鱗片がついているのが特徴です。

 ヤクシカやヤクシマザルなどから身を守るためか、屋久島にはトゲのある植物が多く自生しています。アオイガワラビのトゲは野生動物たちが嫌うほどには鋭く発達していないため、防衛効果のほどはあまりないのかもしれません。

 また、屋久島の林床に生える植物には野生動物が嫌う化学成分を含む植物が多く、苦みや辛み、毒などで動物に食べられないよう身を守っています。屋久島で多くみられるナチシダやコバノシイカグマ、ホソバカナワラビなどはシカが食べることなく、きれいに育っています。よほど不味いのでしょう。植物の生存戦略は面白いですね。アオイガワラビは個体数が減少傾向とのことで、動物が嫌う化学成分が比較的少ないのかもしれませんね。

 通常の巡視では出会うことは稀なアオイガワラビ、今回の調査でその特徴を詳しく観察することができました。シダの同定(種を判別すること)は経験がものをいうので、図鑑を見ただけではわからないことが多いのです。アオイガワラビにはオニヒカゲワラビとの交雑種「ウスゲアオイガワラビ」が存在するそうです。絶滅危惧種を現場でパッと見分けることのできることも、レンジャーやアクティブレンジャーにとって大事なスキルです。

 アオイガワラビはその希少性から、自生地の一部では柵を設置して保護しています。

 絶滅危惧種、希少生物を保護することは生物多様性※の観点から、とても重要なことです。屋久島で見られるような独自の生態系や、今ある自然環境を大切に守っていくことが私たちの未来にとっても必要なことなのです。

アオイガワラビの葉の裏

▲アオイガワラビの羽片の裏側、ソーラスもシダの同定には重要ポイント。

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※昨年9月に国内希少野生動植物種ヤクシマソウについての記事を掲載しました。

こちらもどうぞご覧ください。

【参考:希少な野生植物ヤクシマソウを追え!】

http://c-kyushu.env.go.jp/blog/2018/09/05/

※生物多様性については屋久島国立公園だよりにも掲載しています。

詳しくはこちらをどうぞご覧ください。

https://www.env.go.jp/park/yakushima/ywhcc/np/np_tayori1807.pdf

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2018年12月04日今年度の出前授業が終わりました 【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは。

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

先日、今年度最後の出前授業が終了しました。

今年は屋久島町立八幡小学校4年生に全5回、小瀬田小学校5年生に全3回、神山小学校4年生に全6回の授業を実施しました。

八幡小学校3回までの授業については下記バックナンバーをご覧ください。

http://kyushu.env.go.jp/blog/2018/07/post-492.html

 

最初に授業が終了したのは小瀬田小学校でした。

毎年小瀬田小は屋久島東部の田代海岸で授業を行っています。

 

田代海岸は屋久島国立公園になっており、屋久島町指定天然記念物の枕状溶岩やウバメガシなどの海岸林が見られ、ウミガメが産卵に訪れるなど、美しい自然海岸が残っています。

 

田代海岸での授業は1012日。

ビンゴゲームをしながら生き物を探したり、海の水の水質調査をしたり、貝殻採集をして自然と触れ合いました。

 

田代海岸で貝殻採集をする様子

▲貝殻採集の様子。

 

教室で貝の種判別をする様子

▲教室に戻って、拾った貝の種判別と標本作成。

図鑑や標本とにらめっこして採集した貝の名前を調べています。

 

田代海岸の生き物地図を作成する様子

▲最後は田代海岸の生き物地図を作成しました。

 

翌週の1019日は、八幡小の最終授業で西部地域に行ってきました。

世界自然遺産エリアである西部地域は、世界遺産になった理由の一つ、植生の垂直分布を見ることができます。

また、西部地域は屋久島で最もサルやシカが多く生息する場所で、観察に適した場所です。

一方で、シカが増えすぎていることから植生に影響が出ている場所でもあります。

 

西部地域で植生の垂直分布を観察する様子

▲まずは植生の垂直分布を見学。

海岸付近の亜熱帯性植物、目線の高さの山肌には照葉樹が広がり、標高が上がるにつれてスギやマツなどの針葉樹が現れ、山頂は厳しい気候条件から背の高い木は育たず、風衝低木林やササに置き換わります。

このように、標高に応じて異なる植生が分布することを植生の垂直分布と呼び、これが海岸から山頂まで途切れることなく残っている屋久島の生態系は、顕著な普遍的価値として世界に認めらています。

 

シカを観察する児童

▲シカを観察する児童。

 

シカを間近で観察する児童

▲シカが児童に大接近!そして突然児童の目の前で「フィーヨーッ!!」と大きな声で鳴きました。

これには皆驚き唖然...。

発情期真っ只中のオスジカが縄張りを主張したのでしょう。貴重な体験でした。

 

シカの糞を採集する児童

▲シカ糞とサル糞も採集。

 

沢で糞を洗う様子

▲沢で糞を洗って...

 

洗った糞の内容物を観察する様子

▲内容物を観察。

 

サル糞とシカ糞の内容物

▲サル糞(左)からは消化できていない葉や実の種子や皮が出てきました。

シカ糞(右)からは消化されて細かくなった葉の繊維が出てきました。

 

糞について考察する児童

▲なぜサルとシカの糞がこんなに違うのだろう?植物と動物の関係は?など、糞から様々な考察ができました。 

 

翌週の1026日には神山小の野外授業の第一回目があり、栗生塚崎海岸に行ってきました。

 

栗生塚崎海岸でビンゴゲームをする様子

▲ビンゴゲームをしながら生き物探し。

 

浜にあった生き物の足跡

▲浜には様々な生き物の足跡がありました。

 

海岸清掃の様子

▲レンジャーのお仕事体験として、海岸清掃をしてもらいました。

台風後ということもあって、浜にはたくさんのゴミが漂着していました。

わずか5分間で大量のゴミが集まりました(右)。

 

児童が作成した海岸の地図

▲教室に帰って海岸の生き物地図を作りました。どの班も個性的で、特に「すなはまっプ」はナイスなネーミングセンスで思わず笑ってしまいました!

 

さらに翌週の11月6日は神山小のふるさと先生授業でした。

ふるさと先生授業とは、地域が育む「かごしまの教育」県民週間中における学校自由参観日の授業の一つで、地域で活動している人を講師に招き、各学年特色ある授業を展開する神山小独自のものです。

毎年4年生のふるさと先生授業に呼んで頂いており、生き物どうしのつながりについて授業をしています。

 

ふるさと先生授業の様子

▲前回の授業で作成した栗生塚崎海岸の地図を使って、地図内の生き物とそのエサとなる生き物を糸でつなげるゲームをしました。つなげていくと、糸がとても複雑に絡み合っていきました。

児童は「ゴチャゴチャになっちゃったよ~。」「訳が分からない!」と嘆きましたが、これでいいのです!

これこそが生き物どうしのつながり。

全く関係ないと思う生き物も、実は複雑につながり関わり合っているのです。

 

最後は、ある生き物が地球からいなくなったと仮定してその生き物の糸を外してみました。

 

ふるさと先生授業の様子

▲糸を外す様子。

 

すると、糸は全部の生き物につながっており、全部の生き物がいなくなってしまいました。

「人間だけで生きていくことはできない。」「たくさんの生き物に支えられている。」「生き物はつながっているからどの生き物もいなくなってはいけない。」と学びました。

 

翌週の1113日には、神山小で西部地域の事前学習を行いました。

今年度から、西部地域の授業の前に、ヤクシカやヤクシマザルの生態、観察の仕方などの事前学習を取り入れることにしました。

 

教室でエゾシカとヤクシカの頭骨を見比べる様子

▲エゾシカとヤクシカの頭骨を持参して児童に見てもらいました。

並べると大きさの違いが歴然でみんな驚いていました!

 

サルとシカへの興味が沸々と湧いたところで、いよいよ最終授業!

1127日に西部地域に出かけました。

 

西部地域にいたサル

▲西部地域に入ってすぐにサルの群れに遭遇!

 

植生保護柵の見学

▲植生保護柵の中と外の林床植生の違いを観察していると...

 

柵の外から中をじっと見つめるシカ

▲柵内に入れる私たちが羨ましかったのか、シカ達が柵のまわりに集まってきて、じーっとこちらを見ていました。

 

そして教室に戻って班ごとに巨大な調査報告書を作成して発表しました。

  

発表の様子

▲発表の様子。

 

わずか1時間でどの班もしっかりまとめました。

児童のみなさんのまとめる力、表現力には大変驚かされました。

 

児童が作成した調査報告書

児童が作成した調査報告書

児童が作成した調査報告書

児童が作成した調査報告書

▲4つの班の調査報告書。

 

こうして今年度の出前授業は全て無事終了しました。

屋久島ならではの貴重な体験ができたと先生方にもおっしゃっていただきました。

こうした機会は屋久島の子ども達にとって重要だと改めて感じました。

来年度はどんな子ども達に会えるかな~

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2018年11月21日アサギマダラのマーキング会 【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

1111日(日)に、自然に親しむ集い~アサギマダラマーキング会~を開催しました。

 

みなさんは日本で唯一旅(長距離移動)をするチョウ、アサギマダラをご存知でしょうか?

 

アサギマダラの写真

▲アサギマダラ(写真:西川高司)

 

今の時期(秋)は本州から日本の南の地域や台湾などに向かって移動している個体を見ることができます。

南下する個体は、11月頃旅の途中で交尾し、幼虫のエサとなる草(食草)を見つけて卵を産みつけ、そして一生を終えます。

ふ化した幼虫は越冬し、春になると蛹化・羽化します。そして今度はこの個体が北に向かって旅を始めます。

目指すは本州の高原地帯などの涼しい所。

北上する個体は、6月頃本州のどこかで産卵し、夏前に一生を終えます。

その子どもは夏に蛹化・羽化し、8月下旬頃から南に向かって旅を始めます。

 

つまり、アサギマダラは世代交代しながら北上と南下の旅を繰り返しているのです。

 

なぜ旅をするのでしょうか?

ひとつは気温です。

暑さや寒さを逃れるために適温の地へ移動するといわれています。

次に吸蜜花です。

アサギマダラのオスは、ヒヨドリバナなど特定の花からしか蜜を吸いません。

ヒヨドリバナなどの花にはメスを誘うために欠かせないフェロモンの材料となる物質(ピロリジジン・アルカロイド)が含まれています。それらを求めて移動しているそうです。

 

ヒヨドリバナ

▲ヒヨドリバナ。

 

ときには2000kmも旅をするアサギマダラ。

この不思議な旅の実態は、1980年頃から行われている全国の有志によるマーキング調査によって解明されてきました。

アサギマダラは鱗粉が少なく、浅葱(あさぎ)色のまだら模様があるので、そこに油性ペンで文字を書くことができます。

その特性を生かして、捕獲地や捕獲日、捕獲した人の名前を羽に書いて放し、別の地点で再び捕獲された情報を集約して移動経路や時間などを調べます。これがマーキング調査です。

 

マーキングしたアサギマダラ

▲マーキングしたアサギマダラ。

捕獲地(屋久島)の「YAKU」、捕獲日「11/7」、捕獲者(水川)のイニシャル「MIZ」、通し番号「3」。

 

それでは、今回のマーキング会の様子をお伝えします!

このマーキング会は2015年から毎年開催しており、今回で4回目です。

2003年から15年間にわたって屋久島でアサギマダラのマーキング調査を続けていらっしゃる久保田義則さんを講師にお招きして、アサギマダラについてのレクチャーやマーキングの仕方を教わり、実際に野外でアサギマダラを捕獲してマーキングしました。

 

久保田氏によるレクチャーの様子

▲久保田氏によるレクチャー。アサギマダラの生態や外敵、マーキング方法などを、写真を交えてお話し頂きました。

普段なかなか見ることがないアサギマダラの卵や幼虫、蛹、外敵のスズメバチに食べられた幼虫や、幼虫に卵を産み付けるハエなどの写真を見た参加者からは、「ほ~!」「うゎ...」など驚きの声が聞かれました。

 

久保田氏が子どもたちにマーキングをして見せる様子

▲生きたアサギマダラにマーキングをしてみせる久保田氏と見入る子どもたち。

 

マーキング練習の様子

▲野外に出る前に1人1頭ずつマーキングを実践。

 

野外でアサギマダラを探す様子

▲いざ、本番!アサギマダラ探しに出発。

 

アサギマダラを捕獲してマーキングしている子ども

▲アサギマダラを捕獲してマーキングする子ども。

 

マーキングを終えて手のひらでアサギマダラを観察する子ども

▲うまく書けたかな?

 

マーキング専用台を持参した参加者

Myマーキング台を持参したベテラン参加者。

 

参加者全員最低1頭、多い人で4頭ほどマーキングすることが出来ました。

 

活動終盤、なんと参加者の男の子が和歌山で10/8にマーキングされたアサギマダラを再捕獲しました。

和歌山で精力的にマーキングをされている方の標識だったそうで、久保田氏はすぐに和歌山からの個体と分かったようです。

 

和歌山の標識個体に屋久島の標識を記入する子ども

▲和歌山でマーキングされたアサギマダラと捕獲した男の子。和歌山の標識が書かれた羽とは別の羽に新しい標識を書いて放しました。

 

この再捕獲&マーキングによって「約1か月で和歌山から屋久島まで移動した」という一つのデータになりました。

また、今回皆でマーキングした個体が屋久島以南で再捕獲されれば、またそれも貴重なデータになります。

こうした地道なマーキング調査が、まだまだ謎の多いアサギマダラの生態解明につながるのです。

今回はマーキング調査の醍醐味が味わえた会となりました。

 

久保田氏は、マーキング調査の楽しみは調査自体だけでなく、人とのつながりがあることだとおっしゃいます。

アサギマダラのマーキング調査は全国各地で行われており、メーリングリストなど情報交換の場があります。

アサギマダラを通して様々な人と関わることができるのも魅力の一つだそうです。

 

アサギマダラのマーキング調査は、マーキングして放すだけでは自分も他者も捕獲情報や移動情報を得ることが出来ません。

いつだれがどこで捕獲し、どんなマークを付けたかを他の調査者に知らせておかないと、再捕獲した人はマークだけ見ても詳細が全く分かりません。

マーキング情報や捕獲情報を他の調査者と共有することで初めて正確なデータとなります。

アサギマダラのマーキング調査についての情報交換はメーリングリストで行われています。

興味のある方は「アサギネット」や「アサギマダラの会」で検索してみてください。

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2018年11月07日パークボランティアでヤクスギランド清掃 【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

最近の屋久島は朝晩が冷え込むようになりましたが、晴れた日の日中は半袖で過ごせるような温かい気候が続いています。

温度差があり体調管理には十分気を付けたい時期です。

 

さて、11月1日(木)に屋久島国立公園パークボランティアの会でヤクスギランドの清掃を行いました。

会員8名、職員2名の計10名で、2班に分かれて2時間半ほど木道や手すりのコケ落としを行いました。

ヤクスギランドは年間降水量10000mmと、屋久島の中でも特に雨の多い場所です。

湿度が高い分木道や手すりにコケがつきやすく、コケがついた木道は滑りやすく危険です。

 

この日はまずパークボランティアでもあるヤクスギランドの職員の方から清掃場所や清掃方法についてレクチャーを受けました。

 

入口案内図でレクチャーをする様子

▲レクチャーの様子。ヤクスギランド入口の大きな案内図を使って場所を確認。

 

その後、2班に分かれて作業を開始しました。

 

▼A班の作業の様子。木道はデッキブラシ、手すりは金たわしを使ってゴシゴシ擦りました。 

木道と手すりを擦る様子

 

木道を金たわしで擦る様子

▲木道の細かなところはたわしでゴシゴシ。根気のいる作業です。

 

木道をデッキブラシで擦る様子

 

▼B班の作業の様子。

手すりを擦る様子

▲木目がはっきり見えるほど綺麗に手すりのコケを落としました。

 

橋を清掃する様子

 

何日も雨が降っておらず、木道や手すりはカラカラに乾いていました。

コケは濡れていた方が落ちやすいので、沢で何度も水を汲み、木道を濡らしては擦りを繰り返して綺麗にしました。

ハードな作業でしたが、ヤクスギランドを訪れたお客さんからは「ありがとう」「ご苦労様です」とお声をかけて頂き、疲れも吹っ飛びました。

 

集合写真

▲最後にみんなで、はい、ポーズ!大変お疲れ様でした!

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2018年11月06日宮之浦岳巡視 【屋久島地域】

屋久島国立公園 池田 裕二

 10月下旬に九州最高峰の宮之浦岳(標高1936m、日本百名山の1つ)へ巡視に行ってきました。今回の巡視の中での作業は、モニタリング定点撮影と、携帯トイレブースの簡易補修、台風等による登山道荒廃箇所の調査でした。

 モニタリング定点撮影とは山頂部や、展望所、湿地など特徴的な植生の見られる場所で実施している調査です。毎年同じ場所で撮りためたデータから植生や地形などの変化を見ていくことができるので、大切な作業です。

 翁岳の鞍部に設置された携帯トイレブースでは10月に屋久島を通過した台風24号により、トイレの固定用ワイヤ―が外れてしまったため、ハンマーで固定杭を打ちなおす作業を行いました。

 淀川登山口での朝の気温は約4度とかなり冷え込んでいましたが、日中は半袖シャツで過ごせるほどの陽気。寒すぎず、暑すぎず、快適な登山日和での作業となりました。

宮之浦岳方面から見た永田岳

▲宮之浦岳登山道から眺めた永田岳方面。

ヤクシマゴケの群落

▲投石岳付近のコケ群落はきれいに赤く発色していました。こんな紅葉もいいですね。(おそらくヤクシマゴケの群落)

登山道脇が崩れている場所

▲台風等の雨水による土壌流出箇所の調査。1回の大雨で1m近く掘れてしまうこともあります。

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2018年11月02日ヤクシカ、ヤクシマザルの恋のシーズン 【屋久島地域】

屋久島国立公園 池田 裕二

 屋久島も秋の気配が濃くなってきました。森では恋のシーズンを迎えたヤクシカ、ヤクシマザルたちが活発に動いている様子を見かけることができます。

 ヤクシカのオスは、メスやほかのオスに対して自分の居場所を主張したいのか、独特の鳴き声を発しています。百人一首にも一句ありますね「奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき」

 これは秋のオスシカの習性をうまく表しています。

繁殖期のヤクシカのオス

▲繁殖期のオスシカ。首の回りに泥が付着し、整髪料を塗ったかのようになっていることが繁殖期の印。

 いっぽうヤクシマザルはというと、オスもメスも顔やおしりなど、皮膚の赤味がグッと増してきます。体格のいい強いオスは短い尻尾を背中につくまで反り上げて、堂々とメスたちの前を歩いていきます。サルを1頭見つけたら、その周りに2、30頭ほどの群れでいることが多いようです。交互にグルーミング(毛づくろい/シラミ取り)をしている様子や、木の実などを採食している様子を見ることができます。

 動物観察の楽しい季節です。特に島の西側、西部地域と言われるエリアではシカとサルに遭遇しやすく、おすすめの場所です。

 そんな動物たちにストレスを与えないよう観察するために、屋久島ではいくつかのルールを定めています。

ルールその1★絶対にエサをあげない※

 サルやシカは野生動物。「ちょっとミカンをあげるくらい、いいでしょ・・・かわいいし。」そんな軽い気持ちが彼らの野生の本来の姿を壊すことになってしまいます。

野生動物にエサをあげてはいけない2つの主な理由

◆行動への影響

 人の食べ物の味を覚えた動物は、餌をもらうために人に近づき、時には食べ物を奪うために人に襲い掛かることもあります。

◆健康への影響

 自然のものを食べて生きる野生動物にとって人の食べ物は有害になる場合があります。

※「屋久島町猿の餌付け等禁止条例」により。違反者は5万円以下の過料となっています。

ルールその2★近づきすぎない

 観察や写真撮影をしようと、つい近づきたくなるものですが、野生動物は人との距離を保ちたいものなのです。近づきすぎると、逃げたり威嚇行動をとる可能性もあります。野生動物にはできるだけストレスを与えないことが大切です。目安として10m、車2台分以上は離れて観察しましょう。

 とくにサルの場合、人の持っている風邪などの病気がサルにうつってしまう可能性があります。くしゃみやせきなどでサルに病気をうつさないためにも、一定の距離をおいて観察しましょう。

ルールその3★車での観察はきちんと停車してから

 西部林道や、山間部へ通じる道路などでは他の車の通行の邪魔にならないように駐停車して観察をしましょう。動物たちの横を通り過ぎる際は徐行し、驚かさないように気を付けましょう。

 また、わき見運転は大変危険です。屋久島ではレンタカーが側溝へ脱輪するケースや、岩や樹への衝突事故が後を絶ちません。観察をする際は車を安全な場所へ停止させてください。

ルールその4★サルの目を見ない

 サルは目線をとても気にする動物です。サルの目をじっと見ることは、サルを興奮させ、威嚇や攻撃行動を引き起こすきっかけとなります。絶対にやめましょう。

ルールその5★大きな声を出さず、ゆっくり動く

 どちらもサルやシカを驚かさないためです。道端でグルーミングや採食をしてリラックスしているようでも、人間の行動はしっかり観察されています。特に人の子供がはしゃいで騒ぐことをサルはとても嫌います。小さなお子様連れの方はとくにサルの観察時にご注意ください。

 屋久島は動物観察にとても良い状態を保っている奇跡の島です。この状態を維持するためにも観察ルールを必ず守りましょう。

 こうした観察ルールをまとめた「屋久島西部地域ルールガイド」冊子を、観光協会の窓口などで入手できますので、動物観察にお出かけの際はぜひご利用ください。

屋久島西部地域ルールガイド

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2018年11月01日パークボランティアで口永良部島へ!【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

運動会シーズンも終わり、少し落ち着く頃でしょうか。

私の住む集落の運動会は10月21日にありました。

3年ぶりの好天で、皆思いっきりグランドを走って楽しみました。

 

運動会の様子

▲原集落の運動会の様子。後ろにそびえるのはモッチョム岳。

 

さて、翌日の22日から一泊二日で、屋久島国立公園パークボランティアの会で口永良部島に行ってきました。

昨年に続き、「GGG国立・国定公園支援事業」の助成を受けて海岸清掃を実施しました。

 

口永良部島全景の写真

▲口永良部島。島全域が屋久島国立公園です。

 

今年の台風24号で屋久島はかなりのダメージを受けました。

口永良部島はどうでしょうか...。

島に到着後、早速岩屋泊(いわやどまり)に向かい、清掃を開始しました。

台風による高波の影響か、波打ち際ではなくより奥の植生帯の中にゴミが打ち上げられていました。

ゴミの多くはウキ。足場が悪いうえにウキは大きくて重たいので、一人ひとり作業していては日が暮れてしまいます。

そこで、集積場所まで一列になり、バケツリレーでウキを回収することにしました。

 

バケツリレーでゴミを回収する様子

▲バケツリレーならぬウキリレーの様子。短い距離は二列縦隊でリレー!あっという間に回収することができました。

 

清掃前と後の海岸の様子

▲ウキを回収する前と後の様子。

 

今回の活動では、海岸清掃の他に口永良部島八景の標識も補修しました。

 

標識補修の様子

▲岩屋泊の八景標識の補修の様子。

 

翌日は西之湯周辺の海岸清掃を実施しました。

口永良部島の魅力の一つは島内4箇所に湧き出る温泉です。

その一つである西之湯が、今回の台風で消失しました。

 

西之湯の様子

▲西之湯の様子。

 

消失前の西之湯

▲消失前の西之湯。

 

西之湯周辺の海岸には、大量の発泡スチロールが漂着していました。

発泡スチロールの大きな白い塊はとにかく目立ち景観を損ねていたので、これもバケツリレー戦法で回収することにしました。

 

バケツリレーでゴミを回収する様子

▲発泡スチロールリレーの様子。急峻な岩場に一列に並んで慎重に発泡スチロールを渡していきました。

 

清掃前と後の様子

▲白い無数の塊が無くなったのがわかるでしょうか。

 

清掃前と後の様子

▲もちろん、発泡スチロール以外の漂着ゴミも回収しました。

 

会員9名+職員3名で、2日間で回収したゴミの量は、なんと1トン用フレコンバック23袋!

たくさんの漂着ゴミを回収できたことは良かったですが、産廃処理費の予算を大幅にオーバーしてしまいました。

 

回収したゴミ

▲ゴミが入ったフレコンバック。

 

島にゴミ処理施設はなく、産業廃棄物は鹿児島本土に搬出しなくてはなりません。

回収しても次から次へとゴミは漂着し、回収すればするだけ処分費用がかかってしまう...。

良い解決策はないものかと頭を抱えます。

 

また、活動前日に3年ぶりに新岳がごく小規模な噴火をしました。

活動中も噴火は続き、風向きによっては車に降灰したり、火山ガスの臭いがしたりしましたが、島の方は冷静でした。日々の備えがあるからこそ、いつも通りの暮らしができているのだと感じました。

 

新岳噴火の様子

▲噴火の様子。昼夜問わず噴火していましたが、島の人は落ち着いていつも通りの生活をしていました。

 

今回は、口永良部島の火山とともに生きる島民の力強さを感じるとともに、離島のゴミ問題の深刻さを痛感する活動となりました。

 

集合写真①。

集合写真②。

▲最後にみんなで、はい、チーズ!お疲れ様でした。

※口永良部島では8月29日10時00分に噴火警戒レベル4(避難準備)から3(入山規制)に引き下げられており、現在も噴火警戒レベル3(入山規制)が継続されております。(平成30年11月4日16時00分

※ 詳細は、気象庁HP等をご覧下さい。

○気象庁HP(口永良部島の噴火警戒レベルを3(入山規制)へ引下げ、平成30年8月29日10時00分発表)http://www.jma.go.jp/jma/press/1808/29b/kuchinoerabu180829.html 

○口永良部島の活動状況

http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/activity_info/509.html

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