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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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屋久島国立公園

19件の記事があります。

2015年12月04日大展望!愛子岳【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 菊地

全国に寒波が到来した11月27日、屋久島も初冠雪を記録しました。

屋久島もいよいよ冬山シーズンに入り、気温もだいぶ下がってきています。

それでも海岸部には雪が降らないので、大がかりな冬支度をしなくていいのは屋久島のいいところです。

 

先日、12月1日に愛子岳へ巡視に行ってきました。

愛子岳は標高1235m、どこから見てもきれいな三角形に見える山容をしています。

その特徴的な姿は屋久島空港や船上からも見え、屋久島に訪れた人が真っ先に注目する山かもしれません。

山頂までの所要時間は往復7時間程度ですが、登山口は標高約200mのところ、山頂までの標高差は

1000m近く、しかも道中はほぼずっと登りという、低山ながらも決して楽な山ではありません。

また、小瀬田集落の岳参りの山でもあります。

▲空港付近から眺めた愛子岳

 

旅行で来ている人はあまり登らない山ですが、屋久島在住の人はよく登るようで、この日も計3名が登っていました。

登山道はピンクテープも多く、分かりやすいですし、標高100m毎に看板が立っているのでペース配分はしやすくなっています。

標高1000m付近にある水場は水量が安定しておらず、晴れが続くと飲み水としての利用は難しくなる

こともあるので、汗かきの人は飲み物を1ℓ程度持って行った方が安心かもしれません。

終盤の急登は苦しいですが、ここまでくればあと少し!

最後は6ヶ所あるロープ場で一気に高度をかせいで、愛子岳山頂です。

▲高度感は少なくても、ロープ場は慎重に     ▲1100mを越えると視界が開けます

 

山頂からは宮之浦岳、永田岳をはじめとする島中央部の山々や海岸部の集落、空港などが見え、360°の

大展望です。

しばし山頂からの眺めを堪能した後は、今回の巡視の目的の1つでもある看板の補修を行いました。

風雨にさらされる山頂の看板は防腐塗料が剥げ、文字も読み取りづらくなっていました。

ぼろぼろの看板もなんだか味があっていいですが、きれいな看板はやっぱり気持ちが良いものです。

▲愛子岳山頂からの展望

 

▲山頂の看板

 

今回ご紹介した愛子岳、実は登山口から山頂までの登山道全てが世界自然遺産地域に入っている山で、

屋久島の数ある低山の中でもそんな山は珍しいです。

世界自然遺産地域を歩いて大展望を見たい!という方は愛子岳にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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2015年10月07日縄文杉デッキの工事が始まりました【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 菊地

最近涼しくなって秋を感じる屋久島から菊地です。

今年は7月下旬まで雨が多く、夏があっという間に終わってしまったように感じました。

 

先月の大型連休の前半は天気もよく、多くの観光客が屋久島を訪れました。

特に縄文杉には20日に800名以上、21日に1000名以上の登山客が訪れ、ゴールデンウィークを超えるにぎわいを見せました。

ウィルソン株や縄文杉といった目玉スポットでは、山の中とは思えない行列ができましたが、どこよりも長い行列ができたのはトイレでした。

トロッコ道を歩き終えた場所にある大株歩道入口のトイレ、縄文杉までだとここが最後のトイレになります。

再び戻ってくるまでの4、5時間、トイレがないとなれば、みんなここでしておきたいと思うもので、21日は最長30分近くの待ち時間が発生しました。

▲21日の大株歩道入口トイレの様子        ▲大王杉先にある携帯トイレブース

 

縄文杉までのルート上には既設のトイレ以外にも携帯トイレのブースが設置してあります。

携帯トイレを持っていれば利用できますので、ぜひ活用して下さい。

 

さて、本題の縄文杉デッキなのですが、3年前に縄文杉の大枝に腐朽がみられて以来、落枝が懸念されてきました。

大枝直下にあるデッキの立入禁止、ケーブリング、デッキの片側撤去といった関係機関による対策が講じられてきて、いよいよ今月から新しいデッキを整備する工事が始まりました。

▲既存デッキ                  ▲新デッキ設置場所から見た縄文杉

 

工事期間中は登山道の一部区間が立入禁止となり、工事の進行状況にしたがい立入禁止区間の変更がありますのでご了承下さい。

じゃあ、縄文杉を見ることができないの?といえば、そんなことはありません!

これまでどおり、既存のデッキからは縄文杉を見ることができますし、すぐ近くの水場も利用できます。

1995年に既存のデッキが作られてから20年、新デッキが完成すれば、これまでとは違ったアングルから縄文杉を眺められるようになり、縄文杉の印象も新しいものになるのではないかと思います。

工事期間中、登山者の皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。

 

縄文杉デッキ工事のお知らせポスター

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2015年08月05日真夏の宮之浦岳【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 菊地

7月31日、屋久島最高峰の宮之浦岳へ巡視に行ってきました。

この日は朝から快晴、長い梅雨と台風後で久しぶりの宮之浦岳とあって、気合いを入れて登山にのぞみました。

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この時期、屋久島の山岳部ではいろいろな花が咲いています。

▲ヤクシマニガナ        ▲ヤクシマコオトギリ      ▲ヤクシマショウマ

  (固有種)            (固有変種)          (固有変種)

▲ヤクシマママコナ       ▲イッスンキンカ        ▲ヒメコナスビ

  (固有種)            (固有変種)          (固有変種)

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屋久島のみに生育する固有種、種は同じでも屋久島の環境にあわせて形態を変化させた固有変種、その数をあわせると90種類以上にもなります。

屋久島の高地で報告されている固有変種の多くは、他地域に比べて小型化(矮小化)しており、花崗岩からなる栄養の乏しい土壌、強風、積雪といった環境に適応するためと考えられています。

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花だけではなく、いろいろな動物にも出会うことができました。

▲ヤクシカの親子        ▲ヤクシマザル         ▲ニホンヒキガエル

▲ツマグロヒョウモン      ▲ヒョウモンエダシャク     ▲ミヤマカラスアゲハ

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大雨と台風で荒れていないか心配だった登山道は、目立った異常もなく、一安心でした。

雄大な景観とあわせて、動植物もたくさん見られるこの時期の登山はとても楽しいものですが、

標高1600mを越えてくると日差しを遮るものがなく、暑さと日射が容赦なく襲ってきます。

熱中症や脱水症にもなりやすいので、こまめな水分補給を心がけ、休憩する際はできるだけ日陰を選ぶと良いでしょう。

水分だけでなくミネラルや糖分も補給できるようにスポーツドリンクの粉末、日焼け対策に帽子やサングラスを準備し、日焼け止めも塗って登山にのぞんで下さい。

楽しい登山にするため、万全の準備を忘れずに!

▲翁岳周辺                   ▲平石岩屋周辺

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2015年08月03日登山者カウンターのデータを回収しました【屋久島地域】

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 菊地

先月の3連休に降った大雨や先週の台風は、屋久島の道路や登山道など様々な場所に被害を及ぼしました。

屋久島の主要山岳部への登山口までの道路がおよそ1週間通行止めになり、観光で訪れた方にも大きな影響を与えました。

現在、通行止めは解除されており、荒川登山口までのシャトルバスは通常運行、淀川登山口、ヤクスギランドまでも車が通れるようになっています。

しかし、世界自然遺産地域である西部林道の一部が通行止め、屋久島南部の林道が通行止めになっていますので、屋久島旅行を考えている方は事前の情報収集をおすすめします。

▲西部林道の通行止め

詳しくは⇒鹿児島県熊毛郡屋久島事務所 総務企画課 0997-46ー2211 建設課 0997ー46-2213

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7月の最終週は天気もよく、通行止めも解除されたので、環境省で設置している登山者カウンターの様子を見に行ってきました。

登山者カウンターの前を人が通ると人数がカウントされ記録されていきます。

登山者数の動向を把握する為、屋久島の山岳部には5地点、計10基の登山者カウンターが設置してあります。

何人の登山者がそのルートを利用するか、とても基本的なことですが、トイレや山小屋などの施設を作り、維持管理をする際には重要な参考データになります。

登山道で登山者カウンターを見かけても、何度も無駄に往復したり、前で立ち止まったりせず、登山を続けてもらえればと思います。

▲縄文杉へのルートに設置している登山者カウンター▲登山者カウンター
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屋久島自然保護官事務所では、登山者カウンターから得られたデータをもとに縄文杉快適登山日カレンダーを作成しています。

夏休みに入り、観光のトップシーズンが始まり、人気コースの登山道やトイレなどで混雑が考えられます。

屋久島旅行をお考えの方はぜひ参考にして下さい。

▲縄文杉快適登山日カレンダー

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2015年06月09日世界環境デー in いなか浜【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 菊地

みなさんは6月5日が何の日だったかご存じでしょうか?

43年前の1972年6月5日から2週間にわたり、スウェーデンで国連人間環境会議が開催されました。

この会議は、国境を越えて問題となっている酸性雨や大気汚染によって、森や湖に被害が出ていたスウェーデンが国際協力の必要性を訴えたことをきっかけに開催されました。

そして、日本の提案により、この会議を記念する毎年6月5日を「世界環境デー」とする決定がなされました。

日本ではこの日を「環境の日」と定め、全国各地で様々な行事が行われています。

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屋久島でも、「世界環境デー」にあわせて6日の土曜日に、永田いなか浜の清掃活動が行われました。

この清掃活動は屋久島内外の企業が多数共催しており、屋久島国立公園パークボランティアの会も共催団体として、毎年参加しています。

いなか浜はウミガメの産卵地として有名で、ウミガメが産卵しやすいように海岸を清掃しようと、総勢174名が集まりました。

▲開会式の様子                 ▲永田いなか浜を清掃する参加者

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パークボランティアの会員は11名が参加し、海岸のゴミを拾いました。

浜にはウキや発泡スチロール、ペットボトルのゴミが多く、中国や韓国から流れてきたと思われるものも多く見られました。

作業終了間際には大きな漁網が見つかり、周りの皆で力を合わせて道路沿いまで引き上げました。

4月中旬にも海岸清掃を行っているのですが、わずか1ヶ月半のうちにかなりの量のゴミが流れてきているようです。

1時間と短い時間でしたが、沢山のゴミが集まり、浜はとても綺麗になりました。

パークボランティアの皆さん、暑い中お疲れ様でした。

▲短時間でも多くのゴミが集まった        ▲ウキや漁網を回収している様子

▲大きな漁網はかなりの重量           ▲なんとか運び上げた漁網と記念撮影

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2015年06月05日宮之浦集落岳参り【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 菊地

5月27日、宮之浦集落の岳参りに同行させて頂きました。

岳参りとは山岳信仰の一つで、屋久島では約500年前から伝わる集落行事です。

しかし、屋久島の岳参りは戦時中に一度途絶え、それからおよそ60年間にわたって行われてきませんでした。

そんな中、永田集落が岳参りを復活させたことがきっかけとなり、現在ではほとんどの集落で岳参りが復活しています。

宮之浦集落では、宮之浦岳参り伝承会が2005年に復活させ、春と秋の年2回、屋久島最高峰の宮之浦岳に登り、集落の安寧を祈願しています。

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岳参りのやり方は各集落によって大きく異なるのですが、宮之浦集落での岳参りの流れを簡単にご紹介します。

早朝、神社で参拝したのち、砂浜へ向かいます。

砂浜に下りたらサカキの枝葉でお祓いをし、山の神様へ届ける砂を竹の筒に入れて持っていきます。

淀川登山口に移動、準備をし、宮之浦岳へ向けて登山開始です。

▲まだ誰も踏んでいない一番砂を採る       ▲宮之浦岳へ向けて登山中
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宮之浦岳の祠に到着したら、祠に塩、米、焼酎、お賽銭を供え、砂浜から持ってきた砂をまき、お参りをします。

お参りは二人の所願(ところがん)という代表が中心になって行い、一人がこれまでかけていた願を解き、一人がこれから先の願を掛け、山の神様である一品法寿大権現(いっぽんほうじゅだいごんげん)、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)に家内安全、豊漁豊作などを祈ります。

▲ヤクシマシャクナゲ              ▲宮之浦岳の祠に参拝

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お参りが終わったら、早速下山しますが、この時シャクナゲの蕾のついた枝を持ち帰ります。

これは、砂浜の砂つまり里のものを山に届け、山のものであるシャクナゲを里に届ける、里と山との繋がり、そして命の循環を表しています。

また、シャクナゲには精霊が宿るとされ、神々の力を頂くという意味合いがあります。

下山して宮之浦の集落に戻ると、婦人会の方々がぼたもちを準備して待っていてくれています。

これは、神の世界に行って取り付いた魑魅魍魎や神様を落とし、俗世間へ帰ってくるという意味合いをもつ慣わしで、まち迎えといいます。

最後に神社へシャクナゲの枝を届けて、岳参りは終了です。

▲宮之浦の集落に戻ってまち迎え         ▲神社へシャクナゲを届けて終了

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今回の岳参りでは、所願の一人を女性が務めたこと、法華宗の僧侶が同行してお経を奉納したこと、二つの新しい風が吹き込まれました。

女性が所願を務めるのは岳参り史上初の試みで、お経を奉納するのは日増上人以来となる500年ぶりになります。

参加者数は岳参りが復活してからは最多となる総勢18名で、集落の行事として浸透してきているように感じました。

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島民の山に対する畏怖、畏敬や感謝の念を忘れまいとする強い気持ちがあったからこそ、長年途絶えていた岳参りを復活できたのだと思います。

近年は登山自体がレジャーやスポーツにも近くなり、登山者の多様化が進んでいるように感じます。

登山の魅力を知る人が増えることや山と人との繋がりが増えることは決して悪いことではありませんが、そういった気持ちを完全に忘れて山に入ってしまうことは、軽装登山による事故や遭難、山中でのし尿やゴミの放置に繋がってしまうのではないかと思います。

今回、岳参りに参加させて頂いて、島民の山に対する思いを感じるとともに、自分もまたその気持ちを忘れてはいけないと改めて考えさせられました。

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2015年04月21日九州いきものリレー ① ~屋久島の海の幸~ 【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 菊地

みなさん、こんにちは!

屋久島アクティブレンジャーの菊地です。

あっという間に1年間が過ぎ、今年度から2年目になります。

世界自然遺産である屋久島の自然を守る一員として仕事ができることに誇りを持って、2年目もよりいっそう頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

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さて、みなさんは日本全国で何種類の生物がみられるかご存じですか?

その数、9万種類以上の生物が確認されており、まだ名前のついていない生物や未知の新種を含めると30万種を超えると推定されています。

私たちが住んでいる九州地方にも沢山の種類の生物がみられ、日頃よく目にする生物から、特定の環境や地域でしかみられない生物まで様々です。

それぞれの生物について詳しく調べてみると、地域毎に呼び名が違ったり、人間の生活と深い関わりがあったりと、新たな発見や生物をとおして地域の魅力や暮らしが見えてくるかもしれません。

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そこで今年度、九州いきものリレーと題して、九州地方に勤務する10人のアクティブレンジャーが各地域でみられる生物を毎月リレー形式でご紹介します。

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第1回となる今回、ご紹介する生物はこちらです!

イボアナゴ【ミミガイ科 分布:伊豆大島、紀伊半島以南】

                 ▲殻には5、6個の穴があり、内側は真珠のように美しい

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アワビを小さくしたような巻貝で、大きな足で岩の穴にくっついて生息しています。

主に海藻を食べ、食事の時にだけ穴の中から出てきて、食事が終わればまた元の穴に戻っていきます。

                 ▲夜に活動することが多い            ▲顔には少し愛嬌があり、きもかわいい

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屋久島では、イボアナゴをはじめ、磯の魚介類を総称して"いそもん"と呼ぶことが多く、昔から春の大潮の干潮時には磯に出て、いそもん採りをする習慣があります。

いそもんの中でもイボアナゴは特に人気の貝ですが、採るのには少しコツがいります。

まず、イボアナゴの貝殻は周囲の岩と同化して見つけにくいうえに、穴の奥にいることが多い為、怪しい穴はひとつひとつ覗いていかなくてはなりません。

▲このような岩場の穴は要チェック        ▲穴がイボアナゴにとっての家

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そして、見つけたとしても岩にピッタリと強力に張り付いている為、素手で採ることはほぼ不可能です。

そこで"くし"といわれる専用の道具を使い、イボアナゴを岩から剥がして、引っ張り出します。

この"くし"は片側がかぎ状で、片側がマイナスドライバーのようになっているものがほとんどで、売っていることもありますが、自分で鉄の棒を曲げて作る人もいます。

場所も大事で、楽に行ける場所は先客に採られてしまい、小さなイボアナゴしか残っていない場合があります。

イボアナゴを求めて、断崖絶壁を降りたり、遠くの瀬まで泳いでいったり、命がけのいそもん採りをする猛者もいます。

▲年季の入った"くし"を持つ地元民        ▲身はまさに小型のアワビ

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そこまでしてイボアナゴを採る理由...それは、美味しいから。

焼いて醤油をたらす、バター焼き、味噌漬け、煮付け、などなど様々な調理法で美味しく頂け、居酒屋でもメニューに載っていることが多いです。

今月の大潮でも、沢山の人がいそもん採りに出かけたことでしょう。

屋久島に来た際は地元に愛される海の幸、イボアナゴをぜひ食べてみて下さい。

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次回はくじゅうの田中さん、よろしくお願いします!

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2015年01月05日屋久島も、冬真っ盛り!【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川

明けましておめでとうございます!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

本年もどうぞよろしくお願いいたします!

 

年が明け、屋久島も冬真っ盛り。事務所では毎日薪ストーブにせっせと薪をくべています!

屋久島は日本の南に位置しているため、海岸近くや里地は亜熱帯性の植物が生育する暖かな気候で、雪が降ることはほとんどありません。

一方で、屋久島には九州の1位から8位までの高い山があり、2000m級の山々の頂上付近は札幌と同じような気候で、冬は積雪します。

 

12月3日の巡視では標高1500m付近から積雪がみられました!

新高塚小屋(標高1500m)の屋根と周囲のデッキに積もった雪(2014年12月撮影)

↑新高塚小屋(標高1500m)の屋根と周囲のデッキに積もった雪。

 

縄文杉や宮之浦岳の登山口に続く道路も、積雪や凍結で通行止めになる日が増え、山へのアクセスが難しくなってきています。

海も荒れる日が多く、フェリーや高速船が欠航になることがあるので、屋久島にお越しの際は、天候や交通情報をしっかりチェックして余裕のある日程を組んできてくださいね!

また、この時期に登山を計画されている方は、上の写真よりもさらに積雪することが予想されるので、必ず冬山の装備を準備してください。

 

【冬山の装備】

●服装:速乾性・保温性に優れたインナー、フリースやダウン、防水透湿性に優れたアウターを着用。靴下は保温性の高い厚手のもの。ニット帽やグローブも忘れずに!

●登山靴:保温性・防水性の高い冬用登山靴。

●装備品:岩場等、凍りついて滑りやすい場所ではピッケル、ストック、アイゼンが必要。

 

詳しくは、冬山の登山装備ポスターをご覧ください!

冬山の登山装備ポスター

↑冬山の登山装備ポスター【改訂版】

今年、登山装備ポスターを新しくしました!モデルは...恥ずかしながら私です(;∀;)

 

さて、この日の巡視では数頭のヤクシカに出会いました。

が、どのシカもなんだかいつもと違う...。

違和感をおぼえた私は、よ~くシカを見てみました。

そしてハッと気付きました!

夏毛から冬毛に換毛していたんです!!

......冬なので当たり前のことですが(^^;)

 

冬毛になったヤクシカは、色は灰褐色で、顔や体など全体的に毛の量が増えて丸くなっています。

ちなみにシカの夏毛は明るい茶色に白い斑点の鹿の子模様です。

白い斑点は木漏れ日が差す森の中で目立たなくするためと言われています。

夏毛のヤクシカと冬毛のヤクシカ

↑左が夏毛のヤクシカ。なるほど、確かに鹿の子模様だと木漏れ日の中で周りの景色にとけこみますね!また顔や首まわりがスラリとしています。

右が冬毛のヤクシカ。夏に比べるとモコモコしていてとても可愛らしいですね!

 

積もる雪と冬支度をしたヤクシカを見て、本格的な冬の到来を感じた1日でした。

そしてこの日から1ヶ月が経ち2015年がスタートしました。

まだまだ寒い日が続きますが、風邪など引かないよう身体に気を配り、新たな気持ちで元気に過ごしましょう!!

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2014年12月26日出前授業を実施しました!【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

屋久島自然保護官事務所では、平成20年から屋久島町立八幡小学校の4年生を対象に、屋久島の自然環境の素晴らしさや大切さを知ってもらうと共に、自然を守る取り組みについて理解を深めてもらうことを目的として、年に4回、出前授業を行っています。

 

今回は、今年度実施した全4回の出前授業について報告します!

 

第1回目は、6月20日に教室で世界遺産や国立公園、環境省のパークレンジャーの仕事や屋久島で起きている問題について学習しました。実は昨年度3・4年生が複式学級だったため、今年度の4年生は今回学習する内容を昨年度の授業で一度勉強しています。そこで、今回は○×クイズ形式にして昨年度の授業内容を復習してもらうことにしました。

「一番多く正解した人にはプレゼントがあります!!」と伝えると、みんな必死になって昨年度の授業を思い出していました。ゲーム感覚で体を動かし楽しみながら復習できたようです。(結局、みんな頑張ったのでみんなにプレゼントの賞状をあげました♪)

 

第2回目は、6月27日に教室でウミガメについて学習しました。事務所からウミガメの骨の標本と実物大のウミガメイラストを持参し、子ども達の心をわしづかみ(?)にしたところで、ウミガメの生態、観光客が増加したことで起きている問題や地元の人を中心としたウミガメ保護の取り組みについて紹介しました。

北太平洋で最もアカウミガメが上陸する屋久島で暮らす子ども達にとって、ウミガメは身近な存在だと思っていましたが、意外と見たり学んだりする機会は少ないようで、みんな最後まで興味津々に話を聞いてくれました。

教室でクイズの答えを聞く子ども達とウミガメの授業風景

①○×クイズの答えを熱心に聞く子ども達。昨年度の授業を必死に思い出しています。

②ウミガメの授業風景。

 

第3回目は、7月に野外授業として塚崎海岸でウミガメの上陸・産卵跡の観察を予定していましたが、台風のため延期に...。結局、夏休みをはさんでしまい、ウミガメシーズンが過ぎてしまったので、内容を変更して10月に貝の調査を行いました。

屋久島の南西部に位置する塚崎海岸は、海の透明度が非常に高く、魚やサンゴの種類が豊富なことから、屋久島国立公園の海域公園地区に指定されています。貝類もたくさん生息していて、貝の調査を通して屋久島の豊かな海について知ってもらいました。

貝が専門分野の菊地アクティブレンジャーに貝の魅力を解説してもらい、貝殻を採集しました。

その後教室に戻り、菊地アクティブが作成した「【特製】貝の種判別シート」を使って採集した貝の種名を調べ、標本を作りました。殻が欠けていたり模様が剥げていたりして、種の判別は少々苦戦していましたが、自分の拾った貝の名前や特徴をしっかりまとめることができました。

少々苦戦しながら貝の種判別をする児童の様子と貝の標本

①少々苦戦しながら種判別シートで採集した貝の種を判別中。

②お気に入りの貝を標本にしました。

 

また、今回貝の採集と併せてパークレンジャー体験として海岸清掃と標識の清掃を実施しました。

塚崎海岸での清掃の様子と集めた沢山のゴミと標識清掃の様子

①海岸清掃の様子。台風後ということもあって、浜には沢山のゴミが漂着していました。

②児童はたったの7名でしたが、10分の短い時間でこんなに沢山のゴミを回収しました!

③環境省の国立公園の標識は、みんながたわしで一生懸命磨いてくれたおかげでピカピカになりました。

 

今年度最後の第4回目は、11月に西部地域で動植物の観察と、シカの食害を防ぐために設置された植生保護柵の見学を行いました。西部地域では現在シカが増えすぎていて林床植生がほとんどありません。今回見学した植生保護柵は、設置してまだ4ヶ月でしたが、柵の中ではたくさんの萌芽やつる性植物の生育が見られ、シカの食害による影響を柵の中と外ではっきりと見比べることができました。

また、この日は沢山のサルとシカに出会うことができ、じっくり観察できました。

さらに、落ちていたサル糞とシカ糞を採取し、沢で洗い、糞の中身を比べてみました。サル糞からは植物の種子が、シカ糞からは細かくすりつぶされた葉が出てきました。

西部地域で植生保護柵の説明を熱心にメモする児童と糞をルーペで観察する児童

①植生保護柵の説明を聞きながらしっかりメモする子ども達。

②洗ったサル糞とシカ糞をルーペで観察。

 

教室に戻ってからは、西部地域で学んだことを模造紙にまとめて発表しました。

そして、2年間授業を受けてくれたみんなにお手製の子どもパークレンジャー認定証を授与しました!

教室でまとめを発表する児童と子どもパークレンジャー認定証授与式の様子

①まとめの発表会の様子。

②子どもパークレンジャー認定証の授与式。みんなよく頑張りました!

 

出前授業を通して、屋久島の自然の魅力だけでなく、屋久島がかかえている問題についても知ってもらえたと思います。授業前よりももっと屋久島や自然のことが好きになってくれたら嬉しいなと思いました。

また来年度も、新しい4年生に会えるのを楽しみにしています!!

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