西表石垣国立公園
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2018年10月23日サシバ前線、南下中です!
西表石垣国立公園 西表 光森 康祐
皆さま、こんにちは。
西表自然保護官事務所の光森です。
10月も後半になり、だいぶ涼しくなってきました。
いよいよ長かった夏の終わりという気がします。
晴れの日が多かった西表島もだんだんと快晴の日が少なくなってきた気がします。
西表島では今の時期、秋を告げる渡り鳥としてサシバが渡ってきています。
西表事務所でも窓を開けて仕事をしていると、外から「ピックイー」と元気な声が聞こえてきます。
毎年、西表島では仲間川のマングローブ林で休む個体が多いのですが、
今年は渡りのルートが少し変わったようで、島内でも別の場所での目撃が多くなっています。
▲旋回中のサシバ
サシバは春から夏に九州~本州に渡って繁殖、秋の始まりとともに南西諸島を通り、
東南アジアなど南方へ渡っていきます。
中には南西諸島で冬を越す個体もいるようです。
来年はどのルートで渡っていくのか楽しみです。
2018年10月09日ボートスノーケリングと今夏のサンゴ速報
西表石垣国立公園 神保彩葉
石垣島は、台風が過ぎてから、
急に気温が下がり、秋らしい風が吹き始めました。
まだまだ夏が続く!と忙しなく動いていましたが、
そんな季節の訪れに、ハッとさせられ、
こうして今年も終わるのか~と考えてしまう今日この頃です。
さて、今年の夏、本土では猛暑が続いたようですが、
南の島の石垣島は、実は比較的涼しく、過ごしやすい年でした。
人間もですが、サンゴにとっても、
今年は海水温が安定していて、過ごしやすい年だったようです。
さて、2016年の大規模白化では、
たくさんのニュースや新聞で報道がありましたが、
その後の石西礁湖がどうなっているか、
島の人にも知ってもらおう、みてもらおう。
ということで、先月ボートスノーケリングを開催しました。
今回の観察ポイントは、白化の影響を大きく受けてしまった場所(マルグー)と、
環境省で行っている石西礁湖自然再生施設&その周りのサンゴ(ヨナラ水道)の観察にいきました。
当日の航路
【観察ポイント①定点調査区S23_マルグー】
大規模白化前のマルグーはこちら(2014年撮影)
写真のような卓上ミドリイシが広がっているポイントでした。
大規模白化後(2018年9月撮影)
こうして比較してみると、白化の影響力がよく分かります。
ただ、石西礁湖のすべての場所が、白化によって死滅したわけではありません。
【観察ポイント②ヨナラ水道(小浜島と西表島の間)】
この地点は、潮通しが良く、日頃から流れがあるため、
白化の影響はさほど大きくなかった地点です。
下の写真のように、元気な枝状ミドリイシが広がっています。
枝状ミドリイシ群落
サンゴと生き物の観察中
元気なサンゴをみて、参加者も元気!
また、石垣自然保護官事務所では、サンゴを再生するための活動のひとつとして、
着床具を使ったサンゴの移植事業を行っています。
今回は、そんな取り組みの様子もみてもらいました。
石西礁湖自然再生施設
ボートスノーケリング、記念写真!
大規模白化で大きく衰退した場所。そうでない場所。
白化で死んだサンゴ。耐え抜いたサンゴ。
サンゴも色々ありますが、サンゴの生きる力は侮れません。
白化を耐え抜いたサンゴ(15cm程度)
赤ちゃんサンゴ。新しい命。
石西礁湖や石垣島沿岸では、現在、手のひらサイズの小さなサンゴがたくさん定着し、成長しています。
サンゴのように、くじけず懸命に生きる気持ちを忘れないでいたいですね。
以上、石垣自然保護官事務所からの報告でした。
2018年08月23日身近な生き物観察会~身近な外来種を探してみよう!~【石垣地域】
西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本
こんにちは。「身近な生き物観察会~身近な外来種を探してみよう!~」と題して、身近な在来の生き物や外来種を観察する観察会を8月11日(土)に開催しましたので、お伝えします。
今回の観察会は、バンナ公園(沖縄県緑化種苗協同組合)、八重山地区小中学校理科教育研究会と共催で、西表石垣国立公園パークボランティアの方にもご協力いただき、一般参加者31名のみなさんにご参加いただきました。
はじめに室内で、身近な生き物の鳴き声クイズを行いました。似たような鳴き声のヤエヤマニイニイとイシガキニイニイのセミの鳴き声を言い当てられたお子さんもいたりして、すごくびっくりでした。また、石垣島で増えてしまい生態系に悪影響を及ぼしている特定外来生物のオオヒキガエルの説明を行いました。ペットを飼う前には、しっかりと家族で話合って飼うことなどをお伝えして、外来種を増やさないためにみんなができることについてお話をしました。
▲身近な外来種について事前学習
その後、講師の案内のもと、野外に出て公園内を散策して、見つけた生き物を触ったり、鳴き声を聞いたりしながら、みんなで生き物を探して歩いていきました。
▲野外に出て、公園内を散策
散策コースには、あいうえお順に答えて回るクイズラリーを各ポイントに設置して、身近な生き物のクイズを行いながら、散策しました。
▲各ポイントに設置したクイズラリーの問題を読む子どもたち
公園内に流れる小川には、特定外来生物のボタンウキクサが繁茂していました。参加者のみなさんにはボタンウキクサの葉っぱの感触を調べてもらい、クイズラリーのクイズの問いに答えていただきました。また、子どもたちが石垣島の固有種であるオオハナサキガエルを発見して、みんなで観察しました。大人が歩いても普段見つけられない生き物も子どもはすぐに見つけ、色んな生き物を観察することができ、面白かったと感想をいただきました。
▲見つけたオオハナサキガエルの解説時の様子
▲子どもたちが、大きなナナフシも発見していました。
班になって、侵略的外来種と呼ばれているアメリカハマグルマの根っこ取り競争を行いました。参加したみなさんは、一生懸命にアメリカハマグルマの根っこを引き抜いていただきました。おかげさまで、短い時間でしたが、ゴミ袋3つ分のアメリカハマグルマを抜き取っていただき、楽しく駆除体験を行うことができました。
▲各班でアメリカハマグルマの根っこ取り競争
今回は、親子でたくさん自然にふれあって楽しんでいただき、身近な外来種のことも考えるきっかけになり、すごく有意義な観察会となりました。
夏休みももうすぐ終わりですが、夏休みの思い出に、お子さんを連れてご家族で、身近な自然を楽しんでほしいなと思います。
2018年08月22日中学校での出前授業【石垣地域】
西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本
こんにちは。子どもたちは、夏休みですね。今回は、波照間島に行ってきました。
波照間島は「果てのうるま」とも呼ばれ、「うるま」は沖縄の方言で、サンゴ礁を意味します。波照間島の観光スポットである「ニシ浜」の透き通った海は、エメラルドグリーンに輝き"ハテルマブルー"とも呼ばれる美しいビーチです。
*「ニシ浜」は、西表石垣国立公園の海域公園地区にも指定されています。
▲「ニシ浜」の海岸
岩礁には、目の黒いラインが特徴的で全身が白い羽毛で覆われたエリグロアジサシの群れを観察することが出来ました。沖縄には、繁殖のために夏の時期に飛来します。
▲岩礁で観察したエリグロアジサシ
波照間島は、石垣島から高速フェリーで片道約60~100分で到着することができますので、ぜひ、夏休みの思い出にお子さんたちと波照間へいらしてみてはいかがでしょうか。
さて、今回波照間島に伺ったのは、波照間中学校の生徒に夏休みの自由研究のお手伝いとして出前授業を行うためです。出前授業では、外来種についてのお話をさせていただきました。外来種とはどういった生き物なのか、波照間島では生息していないオオヒキガエル、シロアゴガエル(特定外来生物)の生態や鳴き声を説明しました。もしも、石垣島で増えてしまっているオオヒキガエルとシロアゴガエルの鳴き声を波照間で聞いたら、石垣自然保護官事務所まで連絡するようお伝えしました。
外来種のお話のあとは、生徒は、先生が作成したワークシートをもとに夏休みの自由研究のテーマ選びや計画表を悩みながらも自分が興味のあるテーマを記入していました。自由研究のテーマには、雨水のPH調査、アリの生態、釣りで釣り上げた魚の種類、いきもの調べ、洞窟調べなど色々上がっていました。
▲外来種についてのお話
波照間島には、ネズミの駆除を行うために持ち込まれたニホンイタチが生息しており、貴重なキシノウエトカゲなどのトカゲ類が減少しています。もともといなかった生き物が生息してしまうと、もともといた生き物に悪影響を与えてしまいます。いつまでも変わらない波照間の自然環境を守っていくためにも是非、生徒さんたちには、自然環境をテーマにした夏休みの自由研究を行ってもらえると嬉しいなと思います。
2018年08月03日昆虫の口を見てみよう@夏休みエコツーこどもウィーク
西表石垣国立公園 西表管理者
皆さま、こんにちは。
西表自然保護官事務所の光森です。
最近、星座アプリを駆使して星座や星の名前を少しずつ覚えてきました。
知っている星が増えてくると、もっと知りたくなります。
さて、西表自然保護官事務所では毎年、西表島エコツーリズム協会主催の「夏休みエコツーこどもウィーク」に講師としてお話しをさせていただいています。
今年は8月1日に、「虫の口はどうなっているの?」ということで関東アクティブレンジャーとお話ししてきました。
虫メガネや顕微鏡を使って昆虫の口器を観察し、口器から食べ方が噛むのか吸うのかなめるのかを予想してもらいます。
▲タイワンカブトムシの口はブラシみたいだから...。
▲サキシマヒラタクワガタの口の横の触覚みたいなのはなんだろう...。
また、図鑑を参考に何を食べているのかの食性も調べてもらいました。
似ている口の形でも食べているものが全然違うのがわかったかな。
中には「夏休みの自由研究これにしよ~!」と言っている児童もいました。
夏休みを思う存分楽しんでほしいです。
2018年08月02日ヤマネコの仔猫たちを放獣しました。
西表石垣国立公園 関東準之助
みなさま こんにちは西表自然保護官事務所の関東です。
5月に衰弱とケガで保護したヤマネコの仔猫たちを無事に野生復帰させました。
2頭とも保護したときに比べて体格も良くなり、体重は保護時の4倍になりました。また、負傷部分も完治しました。
オス
メス
今回の仔猫たちは集落内で保護されたため、全く同じ場所へ帰すわけにもいかず放獣は近くの山中まで運んで行われました。生まれてから半分の期間を屋内で生活していたからなのか、最初はどちらも野外の開放感に戸惑っているようでした。
合成写真にチャレンジも早すぎてピントが合わず、微妙な連続写真に・・・。
連続写真を撮ろうと待機していたら予想していなかった方向へ出ていってしまいました。う~ん残念。
放獣後、しばらくは付近にモニタリング用カメラを設置し経過観察を行っています。また、識別のためにオスは尻尾中央部分の毛をバリカンで剃っています。メス尻尾の先端部の毛をバリカンで剃っています。(剃毛部分は1か月くらいで元通りになります。)
今年は台風も多くなりそうで、つぎつぎと試練が降りかかりそうですが無事に成長してくれればと願っています。
2018年07月31日小中学校へのサンゴ学習
西表石垣国立公園 神保彩葉
みなさん、こんにちは。
石垣自然保護官事務所の神保です。
本土では、今年は猛暑が続いているようですが、
石垣島は32~33度程度。
観光の方々からは、「石垣島、意外と涼しい!」という声も聞こえる程です。
さて、石垣自然保護官事務所では、例年、石垣島内の小中学校と連携した
サンゴの学習を行っています。
今年度は、新川小学校5年生65名、川平小学校4~6年生22名、川平中学校1~3年生16名が対象となり、
室内での学習だけでなく、スノーケル観察等の野外での体験学習も含めて、
各校年間5回程度の授業を行っています。
一部ではありますが、授業の様子をご紹介します。
まずはサンゴクイズ!サンゴのこと、どのくらい知っているかな?(新川小学校)
サンゴが大きくなれる条件ってなに?
どーなるコーラル、サンゴ生き残りゲームに挑戦。(川平小学校)
サンゴの骨格を観察してみよう。(川平小学校)
プールでスノーケリング練習 (新川小学校)
いよいよ海でスノーケリング!(川平中学校)
米原海岸のサンゴや生き物たちを観察しました!(川平中学校)
スノーケリングでみた生き物を絵に描き、模造紙に貼っていきます。(川平小学校)
どんな発表にするか、グループごとに話し合い。(川平小学校)
さて、それぞれどんなまとめ方になるのでしょうか~。
発表会を楽しみにしたいと思います!
2018年07月17日夏休みの自由研究無料相談室【石垣地域】
西表石垣国立公園 アクティブレンジャー 仲本
今年もいろいろな場所でクマゼミが「ワシワシワシ・・・」と元気よく鳴く夏がやってきました。子供たちは、もう少しで夏休み。毎年、夏休みは、自由研究のテーマ選びに悩み、何をテーマにしていいのかわからないお子さんも多いのではないでしょうか。
夏休み直前、自由研究のテーマ選び応援企画と題して、八重山地区小中学校理科教育研究会(理科の先生)と共催で、夏休みの自由研究無料相談室を開催しましたので、お伝えします。
▲相談室開会時の様子
今回は、外来種をメインテーマとした身近な自然、調べ学習の進め方、テーマの選び方、まとめ方などについて、自然に詳しい方や理科の先生、環境省のレンジャーがアドバイザーになり、一緒に相談にのりました。
▲ニイニイゼミの展翅図の解説を聞き入る参加者
自由研究相談室は、石垣自然保護官事務所としては初開催ということで、子供たちが集まってくれるのか心配な面もありましたが、当日は、離島から参加してくださった小中学生もいたりして、とても良い機会となりました。子供たちは各自あった自由研究のテーマ探しを行っていました。相談を終えた子供からは、「身近に生息する外来種」、「八重山のセミ」、「砂」など各自のテーマが決まり、いっぱい探して研究したいと意欲的な意見を聞くことができ、とても有意義な相談室となりました。
▲図鑑やアドバイザーの意見を聞いて、学習する参加者ら
夏休みの自由研究で一番大切なのは、「好き」を見つけ、「やりたい」気持ちを引きだす、テーマ選びです。ぜひ、お父さん、お母さんにも身近なすばらしい自然に興味を持っていただき、お子さんと一緒に自由研究のテーマを探して、楽しい夏休みをお過ごしくださいね。
2018年06月26日放獣まで、あと一歩
西表石垣国立公園 西表管理者
みなさん こんにちは 西表自然保護官事務所の関東です。
前回、紹介した保護中の仔猫たちですが、治療も終了し野生復帰に向けてのリハビリ期間に入りました。保護してから1か月が経ち両個体とも痩せていた体にも肉がついてきてずっしりとしてきました。
メス(左)保護時535g⇒1265g オス(右)保護時540g⇒1445g(6月17日時点)
さて、イリオモテヤマネコは他地域のヤマネコ類と違い食性に偏りがありません。狭い島で生き残るための知恵ともいうべきか両生爬虫類から魚類、鳥類、昆虫類、甲殻類などと様々なものを食べています(もちろん哺乳類も捕食します)。とりあえず偏食にならないようにと、この2頭が住んでいた場所に生息していて食べることのできる生き物を毎食用意して与えています。
カエルはヌマガエル、カジカガエル、ヒメアマガエルなどを与えてみましたが保護前から食べたことがあったのかすぐに捕まえて食べました。トカゲはキノボリトカゲ、スベトカゲ、イシガキトカゲなどを与えました。キノボリトカゲは初めて見たのか捕らえようとしたときに唸り声をあげました。ヘビはサキシママダラを与えてみましたが、これも初だったようでヘビに威嚇され、ヤマネコのほうが後ずさりして逃げてしまいました。その後、何度かトライするもヘビが動くたびに及び腰になってしまい狩り失敗が続いています。
昆虫はカマキリやツユムシの仲間は躊躇せずに食べましたが、バッタやコオロギはかみ殺すだけで食べませんでした。セミもツマグロゼミは食べてもクサゼミは食べませんでした。
甲殻類は糞からよく見つかるテナガエビを用意しました。オスは尾の部分と前脚以外は食べたようでしたが、メスは水の中から引っ張り出して遊んだ後に放置して食べませんでした。
水への抵抗もなくすために容器に水を張って中にオタマジャクシやカエルを数匹放してみました。メスは躊躇せずにそのままバシャっと水の中へ入りましたが、オスは足先が濡れるのを嫌って、前足をちょんと浸けてもすぐに出してプルプルっと水を払っていました。
室内には木も組んで設置しています。台を取り付けたところお気に入りの場所になったのか、日中はご飯を置いても降りてこないことがあります。
モニターで観察していたところ、オスは寝返りを打つときに滑り落ちそうになっていましたが、前足で踏ん張って元の位置へと戻っていました。メスは、ほぼ垂直になっている木をそのまま登れるので筋力もついてきたようです。
今後の予定としては、準備の整った順番で山へ帰すことになり保護地点から少し山へ入った林内で放す予定です。放獣後、付近の道路や集落へ出没することもあるとは思いますが地域のヤマネコとして、みなさんで見守ってくださるとうれしいです。
こんにちは。石垣自然保護官事務所の神保です。
イベントの告知です。
今年は国際サンゴ礁年ということで、八重山だけでなく、
全国各地でサンゴに関する様々なイベントや取組みが行われてきました。
そんな国際サンゴ礁年2018も残すところあとわずか!
ということで、国際サンゴ礁年締めくくりのクロージングイベントが
12月16日(日)、なんと石垣島で開催されます!
全国各地で行われてきた取組みの紹介や
サンゴについて学習した学校の学習発表、
琉球大学名誉教授土屋先生&井田寛子さん(気象キャスター・気象予報士)のトークショー、
国際サンゴ礁年2018アンバサダーさかなクンからのビデオメッセージや、ゆるキャラも登場します!
詳細はチラシをご覧下さい。
みなさまのご来場お待ちしております~!