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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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西表石垣国立公園 石垣

132件の記事があります。

2017年02月15日平久保エコロード自然観察会【石垣地域】

西表石垣国立公園 神保彩葉

こんにちは。

石垣自然保護官事務所の神保です。

 

先日パークボランティアのみなさん主催にて、

石垣島北部の東海岸沿いに位置する未舗装路、

「平久保エコロード」をゆっくりと歩きながら、自然観察会を行いました。

 

当日、いくつか発見があったので、ご紹介したいと思います。

 

放牧された牛たちとパークボランティアのみなさんin平久保エコロード

 

 

 

みなさん"アオガンピ"という植物は知っていますか?

 

アオガンピの樹皮は、古くから紙の材料として、人々に親しまれています。

道中、そんなアオガンピを発見しました。

 

アオガンピで作られた紙は、非常に強く丈夫で、

八重山では、アオガンピを使って卒業証書を自作する学校もあるそうです。

 

パークボランティアの方の中には、石垣島出身の方もおり、

小さい頃は、よく紙を作るお手伝いをしたと言っていました。

 

  

アオガンピについて解説する事務局長    アオガンピ

また、こちらの木の実は、"ヤエヤマアオキ"という植物の実で、

別名"ノニ"と呼ばれており、よく健康食品等で「ノニジュース」として販売されています。

体には良いのですが、味はあまりよろしくないためか、

テレビ番組等では、罰ゲームとしてノニを使用することもあるそうです。

ヤエヤマアオキ (ノニ)

 

 

途中、海岸にてお昼休憩。

 

海岸散策をしながら歩いていると、何かが落ちている・・。

・・胃袋?!

どうやらウミガメの胃袋のようです。

 

なぜ胃袋だけ漂着しているのかは謎に包まれたままですが、

あまりにキレイな状態で残っていたので、

思わず持って帰ろうかと悩みましたが、さすがにやめました・・。

 

   

お昼休憩中                 恐らくウミガメと思われる胃袋

 

また、海岸に落ちているたくさんのサンゴ骨格を見て、

私の担当分野であるサンゴについての質問が出たので、解説を行いました。

 

サンゴ解説中

 

今回、参加者それぞれの得意分野を出し合って、お互いに学べる良い機会となりました。

自分の専門分野ももちろんですが、分野外のことも幅広く勉強してきたいなと思います。

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2017年02月08日カンムリワシ週間【石垣地域】

西表石垣国立公園 アクティブレンジャー 仲本

今回は国内希少野生動植物に指定され、石垣島と西表島のみに生息しているカンムリワシの観察会が行われましたので、ご紹介したいと思います。

この観察会は、カンムリワシの交通事故防止のための普及啓発や救護されたカンムリワシのリハビリから野外復帰までのケア、放鳥した個体の情報収集などを行って頂いているカンムリワシ・リサーチ(民間団体)が主催した観察会です。旧正月の祝いの席などに披露される八重山民謡「鷲ぬ鳥節」にちなんで、毎年旧正月の日から一週間(今年は128日~24日)を「カンムリワシ週間」と題して、カンムリワシに関する啓発活動が行われています。今年で10年目となり、石垣自然保護官事務所も毎年協力して観察会に参加しています。

▲カンムリワシ(成鳥)

▲双眼鏡やスコープでカンムリワシを観察する参加者たち

観察会当日は、天気もポカポカ陽気で、参加者40名が集まり大盛況でした。観察中、3羽のカンムリワシを観察することができました。一度に3羽のカンムリワシが観察できるのも生息しやすい自然環境が残されている証だと思います。他にもミサゴやアマサギ、アカガシラサギなども観察することができ、参加したみなさん楽しそうでした。観察会後は、やいま村(観光施設)の中にある古民家で、地元中学生(郷土芸能部)のみなさんによる八重山民謡「鷲ぬ鳥節」の演舞がありました。中学生の楽しげで元気溢れる演舞は、とても素晴らしくて私も元気をもらいました。

■八重山民謡「鷲ぬ鳥節」

一、綾羽(アヤパニ)()らしょり ぶいる()だしょうり

二、正月(ショウガヅィ)ぬすいとぅむでぃ 元日(グヮンニツィ)(アサ)ぱな

三、(アガリ)かい(トゥ)ぶぃつぃけ 太陽(ティダ)ばか()いつぃけ

(翻訳)

一、綾羽の鷲が生まれ 立派な羽の鷲が生まれ

二、正月の早朝に 元日の明け方に

三、東の方へ飛んでいき 太陽に向かって舞っていきました

▲八重山民謡「鷲ぬ鳥節」を演舞する地元中学生(郷土芸能部)のみなさん

また、カンムリワシのスナップ写真などが展示された「カンムリワシ展」も市立図書館で開催されました。カンムリワシのスナップ写真は、カンムリワシ・リサーチの方が撮影され、一点一点どれも迫力のある写真ばかりで見応えがありました。

▲カンムリワシ展の様子

これからの2月~3月の時期は、カンムリワシの子育て時期になります。子育て時期は、親鳥が子どもにエサを与えるためにエサを獲る回数も増えるため、行動が活発的になります。カンムリワシが車に轢かれたヘビやカニなどを食べるため、道路上で目撃されることも多くなります。

この時期に石垣島や西表島にお越しになる際は、カンムリワシ等の野生動物のことに気にかけて頂き、安全運転で八重山の自然を楽しんで頂けるとうれしいと思います。

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2017年01月31日ヨナグニマルバネクワガタの生息木調査【石垣地域】

西表石垣国立公園 アクティブレンジャー 仲本

沖縄気象台によると、沖縄地方の2017年1月の平均気温が1946年の統計開始以降、最高を更新したと発表がありました。今年の1月上旬は石垣地域もびっくりするほど暖かく、半袖シャツでも過ごせるほどの日もありました。

さて、今回は国内希少野生動植物に指定され、与那国島のみに生息しているヨナグニマルバネクワガタの調査について、ご紹介したいと思います。

与那国島は、小さな島ですが島固有の動植物が数多く生息する亜熱帯の大自然に恵まれた日本最西端の島です。与那国馬が放牧されている広大な牧場や岩肌むき出しの断崖、サンゴ礁と白い砂浜など島ならではの素晴らしい景観が広がっています。

▲与那国馬が放牧されている広大な牧場

近年は、台風が何度も与那国島を直撃して、一昨年は最大瞬間風速81mを記録した猛烈な台風が与那国島を襲来しました。このような強い台風が度重なり、ヨナグニマルバネクワガタが生息するスダジイが倒木しています。過去には、土地改変などによるスダジイ林の伐採で生息地が脅かされ、種の保存法で国内希少野生動植物種に指定される以前の販売目的の採集圧によって個体数もかなり減少しています。

今回の調査は、専門家の先生のご指導のもと、ヨナグニマルバネクワガタの生息環境や生息木の状況を把握するために行った調査です。調査は、地元の方に調査員となって頂き、まず調査の方法を学ぶ講習会を行いました。その後、2日間実際に山に入り、どれだけヨナグニマルバネクワガタにとって生息しやすいスダジイが生育しているのかを調べました。

▲生息木調査の様子

調査中、小さな沢に大きなアメンボが集まっていました。それは、トゲアシアメンボと呼ばれる日本では与那国島にしか生息していないアメンボでした。オスのほうがひとまわり大きく、あしにトゲがあることが名前の由来です。成虫は赤色の羽を広げて水面から直接飛び立ちます。最近では、農家の高齢化などが進み、生き物が棲みやすい水田などが減ってきているため、アメンボなどの水生昆虫が減少しています。

▲水面に浮かぶトゲアシアメンボ

たくさんの大きなキクラゲも発見しました。朝方に降った雨のおかげで大きくかさが開き、おいしそうでした。与那国島ではキクラゲのことを「みんぶる=耳たぶ」と呼ぶそうです。

▲自生したキクラゲ

鳥獣保護区の制札の建て替え作業も行いました。台風で根元から折れたり曲がったりしていたためです。時間のない中で、建て替え作業を行うのは一苦労でしたが、必要なすべての制札を建て替えることができました。

▲鳥獣保護区の制札の建て替え作業

今回の調査では、台風にも負けずにたくましく生育しているスダジイ林を確認することができました。今後の調査でも健全なスダジイ林とそこに生息するヨナグニマルバネクワガタがいつまでも確認できるよう島の皆さんと一緒に保全施策を考えていきたいと思います。

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2016年12月05日レンジャーの強い味方、子どもパークレンジャー!【石垣地域】

西表石垣国立公園 神保彩葉

12月に入り、今年も残すところあとわずかですね。

今年の石垣島は、11月中旬くらいまで、晴れた日には気温28度近くとなり、

夏はまだ終わらないの?!と思う日もありましたが、

最近は涼しくなり、半袖では肌寒く感じます。

さて、石垣自然保護官事務所では、小学校へ訪問し、

サンゴや石垣島の環境について理解を深めてもらう、「子どもパークレンジャー事業」を行っています。

今年度は"真喜良(まきら)小学校"の5年生、61名を対象に、年7回授業を行い、

先日最後の授業が終了しましたので、報告したいと思います。

~今までの振り返り~ 

第1回目(5月26日)

【君たちを子どもパークレンジャーに任命します!】

【えっ!サンゴって動物なの?!】

第2回目(5月31日)

    

【養殖サンゴの観察中】          【サンゴが触手を出しています。】

第4回目(6月16日)

【スノーケリング体験】

【はじめて見た海の中はとてもキレイで感動!】

第6回目(6月28日)

【海で見た生き物のマップづくり】

そして最終回。今まで学んだこと、調べたことをグループごとに発表します!

最終回(11月10日)

 

どんな方法で伝えたら相手に伝わりやすいか考え、

それぞれ紙芝居や新聞、絵本、カレンダーなどを作成してくれました。

発表途中にクイズを投げかけてみるなど、

相手を引き込ませるような工夫や新しい発想があり、

見ている私たちも「なるほど~」と考えさせられる場面もありました。

最初はサンゴのことをほとんど知らなかった子どもたちでしたが、

反対に色々と教えてもらうことが多かった最終回でした。

真喜良小学校子どもパークレンジャーのみなさん。

石垣島の自然を守るために、これからもよろしくお願いします!

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2016年09月29日海の自然教室in米原、無事終了しました【石垣地域】

西表石垣国立公園 神保彩葉

毎年恒例、海の自然教室を9月10日に石垣島米原海岸で行いました。

 

参加者は一般16名。お友達同士や親子での参加が多数でした。

 

今年も定員いっぱい!みなさま感謝です!

 

自然保護官から開会の挨拶があり、いよいよ観察会始まり!

 

 

すると会場からざわめきが。

 

 

 

 

沖縄県警のキャラクター、シーサーやいま君、今年も登場!

元気に跳びながら?!警察官の方と一緒に、「海に入る時の5か条」を教えてくれました。

 

 

 

記念写真

 

 

 

さて、今回の舞台である米原海岸は、地元の人や観光客が多く訪れる、人気スポットのひとつです。

そんな米原海岸は、国立公園と海域公園地区に指定されています。

 

 

みなさん、海域公園地区では、

熱帯魚やサンゴの採取が禁止されていることをご存知ですか?

 

石垣自然保護官事務所では、八重山漁業協同組合と共同で、

違法採取防止と資源管理の為、カクレクマノミの住処であるイソギンチャク近くにタグを設置し、

定期的にモニタリングを行っています。

 

モニタリング中のカクレクマノミとイソギンチャク

 

その他にも、啓発用の看板やポスター設置等、地域の方々と協力しながら、

一般の方々に呼びかけを行っています。

 

海岸沿いの看板

 

 

啓発用ポスター貼り

 

 

今回、事前レクチャーとして、そんな私たちの取り組み紹介と

毎朝ボランティアで米原海岸の清掃をして下さっている、八重山ハザードマップ研究会の花城さんより、

「米原海岸の環境」と題してお話いただきました。

 

事前レクチャーの様子

 

 

 

 

事前レクチャーの後は、いよいよお楽しみのスノーケリング観察です。

 

 

 

 

機材合わせと練習風景

 

 

カクレクマノミ(モニタリング中)の観察

 

 

生憎の天気で、予定よりも早く観察を切り上げることとなってしまいましたが、

スノーケリングが初めての子も多く参加してくれていたので、

これを機に、海や環境保全に興味を持ってくれたら嬉しいです。

 

以上、海の自然教室in米原の報告でした!

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2016年08月24日石垣島でアメリカザリガニの初確認【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本

今夏の石垣島の天気予報は、晴れマークが並び、厳しい暑さが続いています。夏休みとあって、家族や友人などで、公園や広場などへ外出する機会も多くなると思います。

   

今回は、公園や広場などへ外出されるみなさんに注意していただきたいことがありますので、お知らせしたいと思います。

   

石垣島の某所の池で、石垣島には本来生息していないはずのアメリカザリガニが確認されてしまいました。

また、そのことが「ザリガニ釣り・・・格好のアトラクション」として地元の情報誌に掲載されました。

▲アメリカザリガニの生息が確認された池

   

現在、八重諸島でアメリカザリガニが確認されているのはこの池だけです。

しかし、ここだけでかなりの数のアメリカザリガニが生息しており、これ以上いろんな場所で増えてしまうと、もともと生息しているテナガエビとエサを巡って競合したり、希少な水生昆虫や水草を食べてしまうなど、八重山諸島の生態系に及ぼす影響が強く懸念されます。

▲池で捕獲したアメリカザリガニ。「生態系被害防止外来種リスト」では緊急対策外来種に選定され、積極的に防除を呼びかけている。

   

池にアメリカザリガニがいる原因は不明ですが、おそらくホームセンターなどで購入し、ペットとして飼われたものが池に捨てられ増えたのではないかと考えています。

   

夏休みとあって、うわさを聞きつけた家族連れや子供たちがやってきて、アメリカザリガニを網や釣り竿で捕獲する人たちが増えています。捕まえたザリガニを持ち帰ったはいいけどやっぱり飼えないからと他の場所に捨ててしまうと、そこでまた繁殖して増えてしまう可能性がありますので、持ち帰ることはご遠慮いただきたいのですが、持ち帰る場合は捨てたり、逃がしたりすることは絶対にやめてください。

   

そういった事態を避けるため、親水広場の入口と池の周辺には、アメリカザリガニ等を捨てない、逃がさないことを周知する立て看板を設置して注意喚起を行っています。また、人力での定期的な捕獲作業に加え、施設を管理している石垣市と調整しながら、池に流れる水をせき止めて、汲み上げ式ポンプで水を枯渇させて防除する方法を行っているところです。

▲池付近に立てた注意看板

   

ペットを飼えなくなった結果、かわいそうだからといって、むやみに野外に逃がしたり、捨ててしまうと、爆発的に増えてしまい、もともと棲んでいた生き物に悪い影響を及ぼしてしまうという事例が全国的に問題になっています。

   

これ以上被害を拡大させないためにも、外来生物についての問題を正しく認識して、いろんな場所に拡がらないように注意する必要があります。取り返しの付かない事態になってしまう前に、ペットを飼う際は、その生き物のことをよく知った上で、最後まで責任を持って飼いましょう。

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2016年07月04日アコークローの生き物調査

西表石垣国立公園 神保彩葉

みなさん"アコークロー"という言葉を知っていますか?

 

アコークローとは沖縄の方言で"夕暮れ時"を意味します。

 

 

そんなアコークローの時間帯から夜にかけての生き物調査を、

石垣島北部地域子どもパークレンジャーの子どもたちと行いました。

 

▲(開会式)国立公園と子どもパークレンジャーについての説明

 

 

石垣島の日の入り時刻は遅く、

上の写真は19時半近くにも関わらずまだ明るい状態です。

 

 

▲鳴き声に耳を傾けながら、調査開始です。

 

 

▲鳴き声が聞こえたら、聞こえた時間と生き物の名前を記録します。

 

 

すっかり日も沈み、あたりも暗くなると、

夜間に活動する生き物たちが顔を出し始めました。

 

 

【発見したカエルたち】

~何種類知っていますか?~

 

▲サキシマヌマガエル(固有種)

 

▲ヒメアマガエル(固有種)

 

▲ヤエヤマアオガエル(固有種)

 

▲オオヒキガエル(特定外来生物)

 

※こちらのオオヒキガエルは、特定外来生物に指定されている為、駆除しました。

 

 

また、滅多に見ることができないセミの羽化シーンに遭遇することができました!

 

 

▲クマゼミの羽化シーン

 

羽化したばかりの透き通ったクマゼミの姿に、

みなさん(私も含め)しばらく見とれていました。

 

調査を終えた子どもたちからは、

"色々な生き物が見られて良かった!""また参加したい!"との声が多数でした。

 

 

人間も暑い場所から避難するように、

生き物たちも夜間に活動する等、戦略を立てて生きているんだなぁと感じた一日でした。

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2016年06月10日西表石垣国立公園が拡張されました!

西表石垣国立公園 神保彩葉

新聞やニュースなどで、すでにご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが、

 

(祝)平成28415日付けで、西表石垣国立公園が拡張されました!

 

 

拡張された場所は、"西表島のほぼ全域とその周辺海域"

石垣島は"平久保半島サガリバナ群落地"が新たに国立公園に加わりました。

 

 

【拡張前】

 

色線で囲ってある場所が国立公園内です。

 

 

【新しい公園区域図】

 

ご覧のとおり、西表島に関しては、かなり大幅に区域が拡張されました。

 

 

国立公園拡張の記念として、西表島と石垣島、

それぞれの島で「国立公園指定記念式典・シンポジウム」が行われました。

 

521日 石垣島で行われた記念式典・シンポジウム】

 

石垣島で行われたシンポジウムでは、

「平久保半島サガリバナと星空の魅力を語る」と題して、

新たに国立公園に指定された平久保サガリバナ群落地を

今後どのように守り、持続的に利用していけるかということを各方面の専門の方々にご議論頂きました。

 

国立公園への指定は、長年かけてその土地の自然を守ってきた、

地域の方々の自然を守るという強い気持ちと努力の賜物だと思っています。

 

国立公園への指定はゴールでなく、スタート。

 

これからも地域の方々と協力、連携を取りながら、国立公園を活かしていこうと思います!

 

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2016年06月10日グリーンイグアナのテレメトリー調査【石垣地域】

西表石垣国立公園 アクティブレンジャー 仲本

こんにちは。梅雨の時期に入り、最近の石垣島はジメジメとした湿気の高い日が続き、カビの発生が心配な季節になりました。

  

さて、今回はグリーンイグアナのテレメトリー調査について報告したいと思います。

▲イグアナのテレメトリー調査の様子

  

グリーンイグアナは、最大で全長1.8mにもなる大型のトカゲです。

ペットが逃げだしたり、飼いきれなくなって飼い主が放したりするなどしたのか、石垣島では1994年ごろから野生化したグリーンイグアナが目撃されるようになりました。現在、環境省では重点対策外来種に指定し、対策の必要な種になっています。

  

グリーンイグアナは、花や果実などの植物質を好んで食べますが、幼体のうちは昆虫なども食べるため高密度に増えてしまうと、植生や昆虫類に影響が及ぶ可能性があります。また、野生化した個体は気が荒く、捕まえようとすると尻尾で叩いたり、鋭い爪でひっかいたり、噛みつくこともあるので、発見した場合は、近づいたり捕獲しようとはせずに、石垣自然保護官事務所(TEL0980-82-4768)までご連絡ください。

▲グリーンイグアナ

  

イグアナのメスは繁殖期となる4~6月頃、地面を歩き回り、産卵しやすい砂地に穴を掘って、約50個もの卵を地中に産み落とします。このため、繁殖期のイグアナのメスは目撃例が多くなりますが、繁殖期以外の時期は目撃する機会も少なくなり、日頃どこで、どのように行動しているのかがわかっていないことも多くあることから、テレメトリー調査を今年の3月から行っています。

  

今回行っているテレメトリー調査とは、主に海岸沿いや海岸林の中を歩き、発信器の付いたグリーンイグアナを探し、どこにいるのかを特定してポイントに落とす調査です。定期的に調査を行うことで、グリーンイグアナの行動範囲や集中的に利用している場所、好む環境を知る基礎的な情報を得ることができます。こうした情報がわかることで、効果的な防除対策のヒントが得られるのではと考えています。

  

調査では、発信器の付いた個体を広いエリアで探すため時間がかかるうえ、日中の真っ白な海岸は、照り返しがすごく日差しもガンガンに照りつけるため非常に暑く、ものの20~30分で汗だくになります。海岸を歩いていると、イグアナのものと思われる足跡が数カ所で見つかりました。おそらく産卵のために歩き回るメスの足跡だと思います。足跡は、一本線を引いたような尻尾の跡ができ、その両側に足跡が残っているのが特徴です。

▲イグアナの足跡(赤い矢印部分が一本線に伸びた尻尾の跡)

  

調査中に希少なキシノウエトカゲにも出会うこともあります。キシノウエトカゲは、八重山諸島や宮古島に分布しているトカゲ類の中で最大のトカゲで約40センチにもなります。最初に見たときは、その大きさにびっくりしました。天気の良い日は、ひなたぼっこをしている様子を目にすることができ、かわいらしい顔をしています。

▲落ち葉の中から顔を出すキシノウエトカゲ

  

最近はハイアワユキセンダングサ(外来種)の花のまわりで、たくさんのオジロシジミが飛び回っています。オジロシジミをよく見てみると、羽の後ろに2つの突起物が付いています。その2つの突起物は、触角に見立てた羽、羽の付け根の丸いまだら模様を目に見立てて、天敵の目をあざむくようにできているようです。身近な生き物でも観察してみることで、生きるために必要な知恵が備わっていることに気が付くことができ、とても面白いですね。また、日々の調査で面白い発見がありましたら、アクティブレンジャー日記で発信していきたいと思います。

▲オジロシジミ

  

調査は、まだ始まったばかりなので、これから少しずつデータを蓄積していくことで見えてくる情報を整理しながら、防除対策に役立てられるよう、今後も調査を頑張っていきたいと思います。

  

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2016年03月22日さわって、あそんで、学ぼう!イノーのいきもの観察会【石垣地域】

西表石垣国立公園 神保彩葉

3月5日は"サンゴの日"として、毎年石垣島では、3月5日を含む1週間を「石垣島サンゴウィーク」とし、その期間中は様々な団体がサンゴに関するイベントを開催しています。

 

石垣自然保護官事務所も石垣島サンゴウィークの企画として、3月12日(土)に、「さわって、あそんで、学ぼう!イノーのいきもの観察会」を開催しました。

 

イノーとは沖縄の方言で、「サンゴ礁に囲まれた浅く穏やかな海」、つまり礁池のことを指します。

 

当日は、国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターで開会式と事前学習を行った後、真栄里にある多田浜海岸という場所へ向かい、生き物観察を行いました。

 

▲開会式:国立公園について説明する齋藤保護官

 

この日は春の大潮で、海に到着すると、すでにアーサ(あおさ)を採りに来ている多くの人たちの姿がありました。このように、昔から島の人たちは、生活の場として海を利用しています。

 

 

▲アーサを採る島民の方々

 

 

いざ観察を始めると、みなさん生き物探しに夢中で、なかなか先へ進まない!といった様子でした。

 

 

 

箱メガネや網、スコップなどのアイテムを使って、フトユビジャコやタカラガイ、ナマコやヒトデ、中にはウミウシを見つけた参加者もいました。

 

▲見つけた生き物(クモヒトデ、フトユビジャコ、ハナビラダカラ)

 

普段見慣れている生き物たちでも、「口の位置はどこ?」「足はあるの?」「性別は?」「何食べているの?」等、ふと考えてみれば不思議なことでいっぱいです。観察中は、子どもから大人まで、「これはなに?!」「なんで〇〇なの?!」と興奮気味にあらゆる質問が飛び交っていました。

 

 

▲アオヒトデの管足について説明

 

 

海の生き物には、未だに分かっていないことが多くあります。

こういった好奇心や探求心を、たくさんの人に持ち続けてもらえたらいいなぁと思いました。

サンゴ礁の海はまさに学びの宝庫です。みなさんも是非、干潮の時間を狙って、お散歩がてら、海へ出かけてみて下さい。季節ごとに見せる海の顔、様々な生き物との遭遇、そして新しい学びがきっとあるはずです。

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