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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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西表石垣国立公園 石垣

96件の記事があります。

2015年06月30日ボートでスノーケリング!

西表石垣国立公園 神保彩葉

こんにちは!石垣自然保護官事務所の神保です。

6月18日にフサキリゾートさまに全面的なご協力を頂きつつ、真喜良小学校の子どもたちと環境省子どもパークレンジャー事業で、ボートスノーケリングをしてきました!

この日に至るまで、1.室内でサンゴの学習2.プールでのスノーケリング練習と段階を踏んで学んできた子どもたち。いよいよ海に入る日が来ました!

当日は少し波が立っていたこともあり、海に入る前は不安や緊張の表情を浮かべる子どもの姿も見られました。

しかし、スノーケリングポイントまでの移動はなんとバナナボート!

おかげで緊張していた子どもたちも、気持ちが少し和らいだ様子でした。

▲ 移動の様子

▲ ゆっくりと海に入る子どもたち

▲ スノーケリングの様子

初めは緊張していた子も、慣れると少しずつリラックス。後半は、「ひとりで泳げるよ!」と浮環を使わずに泳ぐ子も。

怖かったけれど泳ぐことができた、生きているサンゴを初めて見た、そんな経験がこれから子どもたちの自信へつながっていくと思います。

今回、ボートやバナナボート、スノーケリングのサポート等、フサキリゾートのみなさまの全面的なご協力でここまで有意義な学習が実現しました。本当にありがとうございました。

「自分たちの住んでいる街の近くにもサンゴがある」ということを今回子どもたちに知ってもらえたと思います。今後も身近な生物や自然に興味を持てるようなきっかけを作れるよう努めていきたいと思います。

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2015年06月10日見つけた与那国島の生き物【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本

5月25日~26日の1泊2日で鳥獣保護区の制札を設置するために与那国島へ行ってきました。沖縄地域は梅雨に入っているため、当日の際も与那国島は曇りで、やや雨の降る天気でした。

鳥獣保護区に新たに設置した制札

与那国島は日本最西端の島です。快晴で空気が澄んだ日には西海岸から台湾の山々を望むことができますが、今回はあいにくの天気でしたので展望することができず残念でした。国境がすぐ近くにあると思うと不思議な感じがします。与那国島には、国内希少野生動植物種に指定されているヨナグニカラスバトやキンバトなどの希少な鳥類が生息しています。鳥類を保全していくために約1,040haの地域が国指定与那国鳥獣保護区に指定され、約63haが特別保護地区となっており、大規模な開発などが規制され、希少鳥類が生息しやすい環境が維持されています。

今回は、台風等で倒れ、撤去されたままだった鳥獣保護区の境界線に新たに制札を取り付けました。沖縄地域は台風が直撃することもあるため、台風後は制札の看板が飛ばされ、支柱だけ残されている被害も多くあり、定期的な巡視は欠かせません。

ナンバンギセル

与那国の林道を走っていると、ナンバンギセルという植物を発見しました。ナンバンギセルは日本各地で生息している植物で、絶滅危惧種に指定されている県もあります。開花は夏から秋にかけて見られ、自ら光合成をすることができないため、他の植物に寄生して養分を得ながら成長し、主にイネ科の植物に寄生する寄生植物です。名前の由来は、その名の通り、むかし、南蛮人がくわえていたパイプに似ていたことから「ナンバンギセル」と名付けられたようです。

上の写真をご覧ください。少しインパクトがありますが、この大きな幼虫も与那国島の生き物です。何の幼虫かわかりますか?

正解は・・・ヨナグニサンの幼虫です。

日本最大の蛾として知られ、沖縄県の天然記念物に指定されているヨナグニサンの幼虫。ヨナグニサンは、与那国島の方言で「アヤミハビル」と呼ばれ、「模様のある蝶」という意味があります。むかしは、標本用に乱獲される等、生息数が危機的な状況まで減少しましたが、現在では、地元の皆さんの保護活動のおかげで、たいぶ生息数が増えてきているようです。5・6月はヨナグニサンの幼虫の時期で、最初に幼虫を見た際は、すごく大きくて、驚きました。ぜひ、与那国島にお越しの際は、観察して頂きたい生き物の1つです。

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2015年05月25日楽しく学ぼう!サンゴ学習【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 神保彩葉

みなさんこんにちは。

沖縄地方はついに梅雨に入ったようです。恵みの雨、たくさん降ってほしいですね。

さて、5月20日に西表島にある上原小学校の子どもたちがサンゴを学びにやってきました!約一時間の授業ということで、前半はクイズを交えたスライドで「サンゴとは何か」を学び、後半は「サンゴの役割」についてグループで話し合いました。

クイズでは思わぬ難題に、悩みに悩んで答えを決めるのに時間をかけている子も。「サンゴは何の仲間なの?」「サンゴ礁ってなんだろう?」答えられそうでも知っていないとなかなか答えられないですよね。

そしてサンゴの骨格を見ながら、ポリプのお勉強!

ポリプはどこにあったのかな?

▲ ポリプはどこにあったのかな?

後半は4つのイラストをみて、それぞれなにをしているところなのかを書き出し、そこからサンゴの役割を考えて、発表してもらいました。自分たちで自由に考えてみることで、また違った視点からみることもできたのではないでしょうか。

使用したイラスト

▲ 使用したイラスト

話し合いの様子

▲ 話し合いの様子

最後にセンター内の見学...。

ところでみなさん、実は歩き回るサンゴもいるって知っていますか?
こちらのクサビライシの仲間は、ゆっくりですが歩き回ることができるのです。
別名:アクロバットサンゴとも呼ばれています。

どうしてもサンゴは動かないイメージがあり、なかなか動物と認識されにくいのですが、授業内でこの話もしたので印象に残ったのか、サンゴの骨格標本を見て「これ、歩くやつだよね!」と覚えてくれたようです。

クサビライシの仲間

▲クサビライシの仲間

熱心な子どもたちの姿勢から、私たち自身も新たな発見や学ぶことがありました。豊かな自然を次世代につなげていくためにも、子どもたちの好奇心や疑問を大切にしていきたいですね。

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2015年04月13日竹富島ビジターセンターゆがふ館にバードストライク防止ネット設置【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 神保彩葉

皆さまはじめまして!

今年度4月1日付けで石垣自然保護官事務所に着任しましたアクティブレンジャーの神保です。

このアクティブレンジャー日記を通して、より多くの皆さまに西表石垣国立公園の旬の情報を提供していきたいと思っております。どうぞよろしくお願い致します。

早速ですが、4月3日に竹富島ビジターセンターゆがふ館にてバードストライク防止のネットを設置してきました。(バードストライクとは、主に鳥が人工物に衝突してしまう事故のことを言います。)

ネット設置中の神保

天敵ハヤブサのイラストと防止ネット

ここでよくバードストライクに遭う鳥の種類は、アカショウビンやキンバトなどだそうです。

今までもバードストライクが起こりやすい窓ガラスには、天敵動物のイラストを貼るなど、対策はしていたのですが、それでもバードストライクの被害が起きてしまうとの事で、せめて死亡事故が防げないかとの思いで、今回ネットを設置し、対策を強化しました。

このネット設置で、少しでも被害が軽減できることを祈ります。

ネット設置後、竹富島島内の巡視も行いましたが、島内の至る所でデイゴの真っ赤な花が見頃を迎えておりました。

八重山群島は、早くも初夏を迎えているようです。

夏本番はまだまだこれから!

八重山の暑さに負けず、精力的に巡視等の業務に勤しみたいと思います。

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2015年02月23日2015年「世界湿地の日」名蔵アンパル自然観察会【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本

最近の石垣地域は、だいぶ冷え込む季節になりました。冷え込む時期と言っても気温は15℃程度と他の地域に比べるとかなり暖かいです。

さて、「世界湿地の日(Word Wetlands Day)」の2月2日を記念しまして、3回目となる「世界湿地の日」名蔵アンパル自然観察会を1月31日(土)に実施しました。講師にはアンパルの自然を守る会の島村さん(共同代表)にお願いしました。スタッフとして西表石垣国立公園パークボランティアのみなさんにもご協力いただきながら、無事に終えることができましたので、ご報告します。

【講師の島村さんによる解説】

当日は、あいにくの曇り空の天気で肌寒かったですが、名蔵大橋から見渡せる広大な干潟に下りて干潟の植物や底生生物を観察しながら、参加者の皆さんに楽しく自然とふれあっていただくことが出来ました。

観察会では、まず始めに講師の島村さんが幼い頃、身近にある植物で作成した遊び道具(チャンバラ、高飛び、凧揚げ)を持参し、ご紹介いただきました。参加した子供たちは遊び道具に興味津々といった感じで、欲しいといって持ち帰るお子さんもいました。また、観察時には島村さんが呼びかけて、参加者にマングローブに生育している植物を触ったり、香りを嗅いだりして色んな感覚を感じさせていました。葉の香りを調べた子供たちからは、「くさい」「いいにおい」というさまざまな声が聞かれました。きっと、普段、植物の葉を香ることはないはずなので、子供たちとって新鮮だったでしょう。

【殻にこもったオカヤドカリに息を吹きかける子供たち】

また、講師の島村さんはオカヤドカリに関しても、とても詳しい方です。海岸に生息しているオカヤドカリを探して、オカヤドカリが好む環境や種類の見分け方について解説していただきました。子供たちはオカヤドカリを手に取り、殻にこもってなかなか出てこないオカヤドカリを見ようと頑張って息を吹きかけていましたが、その姿はとてもかわいらしかったです。

【テリハボクの葉で飛行機遊び】

石垣島では、道路沿いの街路樹でよく見かけるテリハボクですが、葉は葉脈に沿ってきれいに手で千切ることができます。その特徴を利用して、島村さんが自宅の畑から採ってきたテリハボクの葉をみなさんに配布し、葉を飛行機の形にかたどり、だれが一番遠くへ飛ばせるか競い合いながら楽しみました。

今回、参加してくれた子供たちが、島村さんから教わった遊び方を参考に、身近にある自然のものから遊び道具を発明し、自然と親しんだ生活を送ってほしいとおもいました。

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2014年10月16日「右利きのヘビと左巻きのカタツムリ」講演会【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本

私たちの身近にいる様々な生き物たちは、長い年月をかけて互いに影響し合い、環境に順応しようと少しずつ生態や形などを変化させながら、進化し続けています。

さて、今回は、西表石垣国立公園パークボランティア研修会の一環として、9月23日(火)に進化生物学に関する講演会を開催しましたので、ご報告します。


写真1:講演会開会時の様子

講師は、京都大学白眉センターで進化生物学を研究され、西表島と石垣島を調査フィールドとしている特定助教の細将貴氏をお招きしました。私たちヒトにも利き手などがあるように、他の生き物にも利き手や利きあごのようなものが存在します。たとえば、片方のハサミが大きなシオマネキ、巻き貝やヒトのつむじの巻き方向の違い、ほ乳類が胸の左側に心臓が備わっているように、体の左右で違った機能をもっていることなどが上げられます。どれもなじみのあるものですが、なぜそうなっているのかは意識しないものばかりです。細氏は、そこに目を付け、進化生物学の観点から、ダーウィンの唱える自然選択説に反する非・適応進化について研究され、西表島と石垣島に生息しているイワサキセダカヘビとそこに生息しているカタツムリが奇妙な進化を遂げていることを発見し、進化がなぜ起きたのか、どのようして進化してきたのかを解明する研究をされています。


写真2:イワサキセダカヘビがカタツムリを捕食する実験映像

カタツムリを横から見てみると、らせん状に巻いた貝殻をしています。その殻の口が右か左かで右巻きか左巻きかがわかり、多くの種類は右巻きをしていますが、細氏はセダカヘビ類が生息している分布域には左巻きのカタツムリが少数ですが分布していることを発見しました。本来、カタツムリは逆巻き同士では交尾がうまくいかず、左巻きのカタツムリが突然変異で生まれても、左巻き同士のペアが巡り会わなければ、生涯、子を残すことはなく滅びる定めにあります。
セダカヘビはカタツムリを主に食べるヘビです。細氏はセダカヘビが「右利き」で、セダカヘビ類が生息している分布域に左巻きのカタツムリが分布しているのは、セダカヘビに食べられないよう進化を促進させているのではないかと仮説を立てたのです。セダカヘビの頭部の骨格標本の下あご歯列を調べると、右の歯が左の歯の本数よりも多く、右の歯を使って獲物を食べていることがわかり、「右利きのヘビ仮説」を証明したのです。さらに根拠を深めるために捕食実験をすると、右巻きのカタツムリは、すぐに捕食されましたが左巻きのカタツムリの捕食には、圧倒的に長く時間がかかり、うまく捕食できず、取り逃がしてしまうことがわかったのです。これだけ明確に左右非対称性の歯をもつ動物は他にいないそうです。
今回は、これらの興味深い研究についてスライドを用いて、わかりやすい図や実験映像を交えながら説明していただきました。
参加者のみなさんからは「これまで生き物の左と右について考えてこなかったので、お話を聞いてとても興味深く楽しかった」「進化はどのくらいで起こるのか」「小さい頃から左巻きのカタツムリを探している」などさまざまな感想が聞かれ、質問も多く上げられました。細氏は、いろいろな質問に丁寧にお答えしていただき、参加者からはいろんな意見が聞けて楽しかったと好評でした。


写真3:質疑応答時の様子

私も細さんの聴講をお聞きし、ユニークな研究でとても興味深く、生き物の進化の面白さを改めて知りました。今後もこのような講演会を開催していきたいです。

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2014年09月10日盛りだくさん!サンゴの海の自然観察【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 春口

 こんにちは。石垣自然保護官事務所の春口です。アクティブレンジャー日記を書かなければと思いながら、気がつけばもう9月。すっかりご無沙汰してしまいました。
 毎年恒例となっているスノーケリングでの観察会、「海の自然教室」を今年も開催しました。パークボランティアの皆さんのご協力をいただき、7月には22名、8月には14名の方を海へと案内しました。この日記では8月の行事についてご紹介します。

 8月16日(土)に『「海の自然教室(米原)」&「わくわくサンゴ石垣島プロジェクト」共同体験会』を開催しました。「わくわくサンゴ石垣島」は石垣島内の小学生にサンゴ学習を提供するプロジェクトで、これまでも小学校への学習提供や普及啓発イベントで協力をいただいています。(これまでに協力で行った取り組みの一部を過去の日記で紹介しています。ぜひご覧ください。)
 この観察会は二者との共催行事とし、午前と午後の二部構成で行いました。午前の部では共催団体のひとつであり「わくわくサンゴ石垣島」の構成団体、八重山漁業協同組合サンゴ養殖研究班による養殖サンゴの苗作り体験です。まずは大きなサンゴ水槽の中にいる生き物探し、次にサンゴの拡大写真から同じサンゴを探し出すなどゲーム形式でサンゴの注目を高めていきます。その中でサンゴの生態に関する知識を身につけた後、養殖サンゴの苗作りに挑戦しました。切り分けられた枝サンゴを特殊なボンドで土台に固定し、水槽に移し替えます。
 今回作ったサンゴの苗はしばらく水槽で飼育し、それから海で養殖が行われます。自分の作った苗がしっかり成長してほしいと願う子どもたちへ向けて、養殖班のみなさんから「サンゴが育つにはきれいな海が必要。自分たちの植えたサンゴのためにも海を大切にしてください。」とメッセージをいただきました。



左上:サンゴ水槽の生き物探し。大きな水槽の中にいる生き物たちを探します。
右上:拡大写真から同じサンゴを探し出します。特徴をしっかりと捉えないと大人にも難しいかもしれません。
左下:いよいよ苗作り体験。このときばかりは子どもたちも静かになります。
右下:作った苗を水槽へ。これからの成長が楽しみですね。


 午後からは海域公園地区に指定されている米原海岸でのスノーケリング体験「海の自然教室」です。米原海岸にはキャンプ場が整備されており、トイレやシャワー室といった施設があります。海の自然教室は昨年度からキャンプ場を管理する石垣市の施設管理・すぐやる課との共催行事として実施しています。
昼食を摂り、参加者の皆さんが集まったところで午後の部が始まります。午前中のサンゴの苗作りを通して参加者と海の距離がぐっと縮まり、子どもたちはみんな海に入りたくてしょうがないといった様子でした。海に入る前に注意事項を説明したら、ここからはパークボランティアの皆さんの出番です。大まかなルートをあらかじめ決めて、その中で見つけた生き物を観察していきます。午前中の水槽にはいなかった形や色の違うサンゴ、カクレクマノミとイソギンチャク、星砂を作り出す有孔虫など様々な生き物を見つけてはパークボランティアさんからの解説を受けてもらいました。初めてのスノーケル体験に緊張気味だった子もすっかり泳げるようになり、海に入ってからの1時間はあっという間で充実した活動となりました。




左上:この平たい生き物もサンゴの仲間。少しだけ手にとって観察してみました。
左下:シコロサンゴの間を抜けていきます。隙間からスズメダイが顔を出しています。
右上:マイクロアトールで休憩中。何か見つけたようです。そっと覗いてみると・・・
右下:ワニゴチという魚でした。魚なのに、泳ぐのは苦手なようです。


米原海岸は島の人もよく利用する場所です。私自身もよく両親に連れて来てもらっていましたし、石垣市の担当の方もお子さんを連れて泳ぎに来ていたと教えてくれました。これからはご家族でも海へ出かけてもらいたいと投げかけ、無事に行事を終えることができました。
 今回の活動は「わくわくサンゴ石垣島」との共同体験会としたことでこれまでにない取り組みとすることができました。海の中では魚に注目が集まり、見落としがちになってしまうサンゴにしっかりと注目してもらうことが出来、サンゴ礁の海で行う自然観察会としての意義がいつも以上に深まったと実感しています。このような機会や米原という場所を通して、島の大勢の子どもたちと保護者の皆さんに海の豊かさと大切さを感じてもらえればと思います。そして石垣島の自然を大切にする心を持ち、将来にわたって見守ってくれることを願っています。

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2014年03月31日出張授業第2回in大浜小学校

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 春口

 出会いと別れの季節ですね。石垣自然保護官事務所もこの2ヶ月で職員の半数が変わり、新しい雰囲気となりそうです。私と仲本は引き続き勤務しますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 3月11日、大浜小学校5年生の皆さんへサンゴの授業を行ってきました。去年の10月に4年生へ出張授業を行った小学校です。これまで小学校での学習は体を動かしながら行う授業がほとんどで、他の団体の方々と協力しながら行ってきましたが、今回は電子黒板を使ってお話をする1時間。アクティブレンジャーとして一人で生徒の皆さんの前に立つのも実はこれが初めてです。いつにも増して緊張していましたが、児童の皆さんに暖かく迎えていただきました。
 まず説明するのはサンゴという「生きもの」のお話から。サンゴは固いし動かないのでなかなか生きものとして認識されにくいのですが、その正体は立派な動物です。児童の皆さんに「サンゴって生きもの?それとも石?」と訪ねるとほとんどの児童は「生きもの」と答えてくれるのですが、「それじゃあサンゴは動物?植物?」とクイズを出すと、植物と答える児童の方が多いのです。一般的にイメージしやすい、沖縄の海岸によく転がっているサンゴの固い部分は骨です。サンゴは私たちがよく見にする生きものとは違い、体の周りに骨を作って、本体は骨の間に隠れて身を守ります。サンゴの骨をよく見てみると小さな穴がたくさんあるのがわかります。



写真:塊状サンゴの骨。

この穴の間に小さなイソギンチャクがたくさん住んでいます。そして、サンゴが長い時間をかけて作り上げてきた地形をサンゴ礁と呼び、私たちは食料や観光資源として活用しています。また、昔の人はサンゴを塀や柱の支柱など、建築資材としても利用していました。石垣では古くからサンゴ礁の恩恵を受けていることがわかります―――。そんなお話を、クイズや質問のやりとりを行いながら進行していきました。



写真:質問にきちんと手を挙げて答えてくれる児童たち。(提供:大浜小学校)

後半はそんなサンゴの海に迫る危機と現在の海の様子のお話です。温暖化やオニヒトデ、陸上からの流出などサンゴが晒されている驚異を説明し、赤土が溜まってしまった海と影響を受けていない海の写真を見比べてみました。また、これらの驚異によって八重山の海がどう変化しているのか、海域のサンゴ被度(ある区間がどの程度サンゴで被われているのか)の定点調査の結果を見ながら考えていきました。最後に、自分の目でサンゴや海の生きものを観察して石垣の豊かな自然を感じる体験をしてみてくださいとお願いをして、授業を終了しました。

 後日、児童達から一人ひとりからよせられた感謝状をいただきました。サンゴがイソギンチャクの仲間で毒をもっていることに驚いたという声や、たくさんの種類がいること、きれいな海を守るためにゴミを捨てず、これからも海岸清掃をやっていきたいという言葉がたくさん綴られていました。短い学習時間の中でも、児童達はサンゴを生きものとして理解し、豊かな海に囲まれて生活していることを感じてくれたようです。


 外の世界から八重山を見てみると、たくさんの魅力に溢れている素晴らしい場所だと感じることができます。しかし、その場所に住んでいる人々には「ずっとそこにあるもの」として、価値を認識されずにいることがあります。なぜこの島に憧れてやってくる人がいるのか、どんな魅力があるのかを学校の中で学習することにより、より多くの児童達に住んでいる場所の素晴らしさ、面白さを知り、誇りに思えるふるさとになるよう、これからも力を注いでいこうと思います。

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2014年03月27日サンゴウィークにコーラルウォッチ!【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 春口

3月5日はサンゴの日と言われています。今年のサンゴの日は慶良間諸島が国立公園に指定されました。これからは慶良間にもアクティブレンジャーが着任し、様々な取り組みを発信してくれるのではないでしょうか。
さて、石垣島では3月5日を含めた1週間を「石垣島サンゴウィーク」として、様々な団体がイベントを企画してサンゴ礁の海への理解を深める取り組みが行われています。石垣自然保護官事務所ではサンゴの健康診断、コーラルウォッチを行いながらイノー(磯、礁池)の生きものを観察する「イノーのコーラルウォッチ」を実施しました。行事には40名以上の方にご参加いただき、スタッフも石垣事務所職員だけでなくパークボランティアの皆さん、西表自然保護官事務所も応援に駆けつけてくれました。
今回の行事のもう一つの目玉は観察後の短歌作りです。ゲストとして歌人の俵万智さんにお越しいただき、この観察で感じたことをそれぞれで短歌にして表現するという企画です。俵さんは石西礁湖自然再生協議会のサンゴサポーターに任命されており、表現者として八重山のサンゴ保全を発信していただいています。



写真:ご協力いただいた歌人の俵万智さん。

まずはサンゴセンターの中でサンゴという生きものやコーラルウォッチの方法を説明し、俵さんに短歌の作り方をお話いただきました。その後グループに分かれて海岸へ向かい、コーラルウォッチと生きもの探しです。この日は少し曇っていましたが、雨が降ることもなく心地よい天気の中、ゆっくりと観察を楽しんでいただきました。サンゴだけでなくナマコやカニ、シャコを見つけては観察します。中にはタコを見つけた子もいてこちらが驚かされることも。コーラルウォッチは大人の膝下が海水に浸かる程度の場所で行うのですが、そんな限られた範囲でも子供たちはたくさんの発見をするものですね。



写真:何を見つけたのかな?

センターに戻ってからは短歌作成の時間です。スタッフも参加者の皆さんと一緒になって短歌を作り、ホワイトボードにはたくさんの作品が並びました。作られた短歌は俵さんに見ていただき、その中から数点を詠んでもらうことになっています。俵さんに作品を選んでいただいている間、生きものとしてのサンゴのおさらいと八重山のサンゴの移り変わりを説明し、住んでいる地域の海への理解を更に深めていただきました。



写真:参加者だけでなくスタッフも一緒に短歌を作りました

参加者の皆さんによって作られた短歌のうち、二つの作品を紹介します。
「くろなまこ ゆびでさわった やわらかく やさしいきもち またあいたいね」
「さわるのが はじめびくびく したけれど ふわふわくろい あったかなまこ」
この二つの作品は別々のお子さんが作りました。同じ生きものを題材としていますが、内容は違っていて感じ方がそれぞれだということを教えてくれています。短歌作りは活動を振り返ることもでき、他の方がどう感じたのか考えることもできてとても良い時間になりました。
 体験活動では何を見てどのように感じたのか、内容を振り返ることがとても大切です。今回の活動は、振り返りの方法も様々で印象に残る工夫がたくさんできると改めて感じた時間になりました。日常の小さな発見を絵や写真、言葉など自分の表現で残すことができればまた新たな楽しみになりますね。皆さんも喜びと感動を膨らませる方法、ぜひ探してみてください。

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2014年03月03日今年も実施しました「世界湿地の日」名蔵アンパル自然観察会【石垣地域

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本

みなさん「世界湿地の日(World Wetlands Day)」をご存じでしょうか?『ラムサール条約:特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約』が1971年2月2日にイランのラムサールという都市で結ばれました。世界湿地の日は、同条約や湿地の大切さを一般のみなさんに知っていただこうと世界各地でイベントなどが催される日です。石垣自然保護官事務所では、この日にちなんで2月16日(日)に今年も『「世界湿地の日」名蔵アンパル自然観察会』を実施しましたのでご紹介します。

「世界湿地の日」では毎年、ラムサール事務局からテーマが定められます。2014年のテーマは「湿地と農業」ということで、それに関連した観察会を行いました。アンパルの自然を守る会のみなさんを講師にお迎えし、西表石垣国立公園パークボランティアのみなさんにスタッフ協力いただきました。アンパルの自然を守る会のみなさんには、サトウキビ畑などから流れ出る赤土が海へ流出してしまう原因を実験やパネルを使いながら解説していただいたほか、お子さんや大人も夢中になって砂の中に隠れているカニや貝などを探し、見つけた生き物の生活スタイルの違いなどを解説してもらったり、なかなか入ることのない「マングローブ林内の不思議」と題して、現在起こっているマングローブ林の変化とその原因を説明していただきました。このように内容盛りだくさんで充実した観察会を実施することができました。

写真:小さなケースに水を流して、赤土流出実験する様子

赤土流出実験は、小さなケースに赤土と芝生を張り詰め石垣島で多くある「サトウキビ畑」を再現し、耕した畑と芝が根を張っている畑で大雨が降った場合、どのくらい赤土が海へと流れるのかをわかりやすく比較する実験を行いました。今まで赤土問題について知らなかった子供たちや大人も石垣島で起こっている現状に関心を持たれた様子でした。

写真:干潟の生き物探し

干潟の生き物探しは、参加者に数分間自由に干潟の生き物を探してもらい、見つけた生き物などの名称や生態などを解説いただきました。当日は気温も暖かく晴れたので、たくさんのカニが出現していました。見つけた主なカニ類は、ミナミコメツキガニ、オキナワハクセンシオマネキ、リュウキュウコメツキガニでした。貝類では、アラスジケマンガイ、コゲツノブエ、カヤノミカニモリなどが見つかりました。子供たちは、カニにすごく興味を持ち、探すのに夢中でその場から離れないお子さんたちもいて、毎回お子さんはカニの虜になってしまいます。

写真:昔と現在のマングローブ林内の変化を解説する様子

マングローブ林内では、昔と現在のマングローブ林がどう変化し、なぜ変化しているのかを解説いただきました。なかなか入ることのないマングローブ林を見学して、参加者のみなさんには実際に名蔵アンパルで起こっているマングローブの立ち枯れや倒木の現状を知っていただく良い機会となりました。私も勉強になった一日になりました。

毎年2月に名蔵アンパル観察会を行っていますが、今回も親子連れで参加されるリピーターの方もいたり、参加者から「このような観察会をまたやってほしい」という声も聞かれました。これからも今回のような参加者が楽しく自然とふれあえる観察会を実施して、自然へ関心をもってくれるお子さんたちが今後も増えるといいなと感じました。


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