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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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西表石垣国立公園 石垣

79件の記事があります。

2013年08月06日新城島インドクジャク銃器駆除【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本

最近の石垣は、毎日暑い日が続き、雨が降らないので農作物や水不足が心配になります。みなさん熱中症にも十分ご注意下さい。

さて、八重山諸島では、リゾート施設、小学校などから飼育個体が逃げ出したものと考えられるインドクジャクが野生化しており、現在、小浜島・黒島・石垣島・新城島・与那国島で繁殖しています。
インドクジャクは、キジ科の鳥でインドやスリランカなどに自然分布しています。トカゲ類や昆虫のほか、植物の芽・種子・果実を主に採食し、農作物に被害を与えることから、外来生物法の特定外来生物に準じる対策が必要な外来生物として、要注意外来生物に選定されています。

インドクジャクのオス

今回、八重山猟友会の皆さんや新城公民館の方にご協力いただき、新城島で猟犬や銃器を用いて、インドクジャクの駆除作業を実施しました。

駆除作業前の様子

新城島は竹富町にある島で、上地島と下地島の2つの島を総称しています。下地島にはインドクジャクは生息していませんが、上地島には、1969年にリゾート関連企業が宿泊施設で観賞用として飼育していた飼育個体が逃げ出し、野生化していました。その後、平成18年から23年に掛けて129羽を駆除し、現在は5個体以下まで減少していると考えられ、根絶が近い状況となっています。上地島は面積1.76平方キロメートルと小さな島ですが、集落以外の多くの場所は木や草がうっそうと生い茂っています。さらに、クジャクは木の上や草陰にジーと隠れて気づかれないようにしているため、1個体を見つけ出すことも一苦労です。
今回の駆除作業では、目撃情報の多い島内西側を重点的に朝から夕方まで捜索しましたが、1個体を発見するも、逃げられてしまい駆除することが出来ませんでした。これまで銃器駆除以外に捕獲罠を設置して捕獲を試みていますが、警戒心が強い個体が残っているため、罠に掛かる個体が少なくなっているのが現状です。島内にいる個体は、残り数羽と思われるため、再び増える前に駆除を実施していきたいと考えています。

新城島(上地島)内の様子

外来生物は、小さな島の中であっても一度繁殖してしまうと、駆除し、根絶するのに膨大な費用と労力を要します。生き物を飼育しているみなさんは、外来生物法の被害予防三原則である「入れない、捨てない、広げない」を心にとめ、責任を持って生き物を大切に飼育していただきたいと思います。今回の駆除作業に同行して、改めて外来生物を根絶することの難しさを痛感した一日となりました。

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2013年07月10日スノーケル練習会と海の危険生物【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 春口

 ここ数日、石垣は本当に良く晴れています。観光でいらしている方々は「これぞ八重山!」と喜んでいるのではないでしょうか。ですが、現在台風7号が接近中です。みなさまどうぞご注意を。

 さて、夏まっしぐらとなる6月29日(土)、真栄里海岸にて職員とパークボランティア(PV)でスノーケルの練習会を行いました。石垣自然保護官事務所では毎年2度、「海の自然教室」と題してスノーケルを使った観察会を開催しています。この観察会を企画する私たち、そしてお手伝いいただくボランティアさんに求められるのが安全管理の知識と技術です。事故を未然に防ぐよう努め、事故が発生してしまった場合は冷静で早急な対応が求められます。職員は毎年1度の救命講習を受講していますが、すべてをマスターすることはなかなか難しいものです。そこで今回は過去に受けた講習内容を振り返り、特に重要な初期対応の練習会を行いました。

 参加者は職員3名、PV2名の計5名。復習も兼ねて進行を行う私にはちょうど良い人数です。2名のボランティアさんは、日頃から海に出かけることがあり、友人に石垣の海を案内することもあるために参加してくださいました。
初めに行った講習は、要救助者がパニックに陥った状態で浮き輪やレスキューチューブを用いて救助する方法です。相手が溺れてパニックになっている場合、慌てて近寄るとつかみかかられ、二人とも溺れてしまう可能性があります。そのため救助の際はまずは浮き輪を渡して落ち着かせます。要救助者が落ち着いたら、状態を確認しながら岸へ戻ります。浮き輪を使った救助訓練の後は、救助者の状態を確認しながらの泳ぎ方や海岸から引き上げて人工呼吸を行う際の注意点など、一連の流れを確認しました。



写真1.レスキューチューブを使った救助訓練



写真2.練習の様子を参加者に見てもらい、改善点などを話し合いました。


今回の練習会では参加者同士で積極的に確認し合い、もう一度練習するなど少人数ならではの意見交換が行われ、充実した時間となりました。私自身も今回の練習会を企画し、事前に練習することで技術をきちんと身につけることができました。

 ここで無事に練習会終われば良かったのですが、最後にハプニングが発生してしまいました。こちらもご報告します。

私たちが主催する観察会や練習会では遠くに行きすぎないよう、目印のためにブイを浮かべています。練習後にブイを撤去し、そのまま潮の流れに乗って海岸に戻っていると、不意に頬から唇にかけて電流を流されたような激痛が走りました。何が起こったのかとよく目を凝らすと、小さく透明な浮き袋と鮮やかなブルーの触手。カツオノエボシ(※)です。この日は満潮で風が強かったため、外洋から流れてきたようです。
何が起こったか理解した途端、恥ずかしながら軽くパニックに陥りマスクを外してしまいました。既に足の付く場所だったので立ち上がり冷静さを取り戻しましたが、これが足の付かない場所だったら、落ち着きを取り戻せなかったら・・・考えるとゾッとします。救助の練習をしたその日に私が要救助者になるところでした。ウェットスーツを着ていたことで過信していたのかもしれません。反省です。



写真3.打ち上げられたカツオノエボシ。指のサイズと見比べて小さいことがわかります。(過去の職員が撮影)


 海には危険な生物もたくさんいます。6月から9月までは沖縄県より「ハブクラゲ注意報」が発令されるなど注意が呼びかけてられていますが、毎年必ず被害者が出ています。
これから私は、この経験を生かしてとしても皆さんに注意を強く呼びかけたいと思います。一人では海に行かず、危険生物の対処法について知識を身に付けましょう。野外へ出かける際はできるだけ肌の露出は控えましょう。海や山へ出かける際には注意事項を確認し、予防措置を取りましょう。小さな過信が大きな事故へ繋がらないよう、楽しいレジャーをお楽しみください。

※カツオノエボシ
 全長10cm~30cm程度。透明または青白い浮き袋を持ち、浮き袋からは長い触手が伸びている。自身に泳力はなく、海面を漂いながら風や潮の流れに乗って移動する。浮き袋は風を受ける帆の役割を持つが、しぼませて海中へ沈むこともある。肉食で、触手に触れてショック死した小魚などを食べる。人が刺された場合、電流が走ったような痛みに襲われる。2度目以降に刺されるとアナフィラキシーショックを起こす場合があり、まれに死亡するケースもある(日本での死亡例はない)。
海岸で打ち上げられている個体を発見しても、しばらくは刺胞が残っているためいたずらしないこと。刺された場合は、海水で触手を落とし、氷水で冷やすこと。ハブクラゲの対処法とは異なり、酢を使用してはいけません!(一部沖縄県HPより抜粋)

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2013年07月02日西表石垣国立公園標識の塗装【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本

沖縄は、これから台風が多くやってくる季節になりますので、台風対策は万全に。
今回、石垣島に設置してある西表石垣国立公園標識の塗装を行ってきましたので、ご報告します。

石垣島には、野底マ-ペ-と呼ばれる山があり、登るルートが2つあります。1つめの野底集落の山林から登る片道約1時間のルートと、2つめの野底集落と伊野田集落をつなぐ林道の間にある登山道から登る片道約15分のルートがあります。山頂は気持ちいい風が吹いており、見晴らしが良く、サンゴ礁と白い砂浜や水平線が一望できる石垣島のすばらしいスポットです。

野底マ-ペ-と呼ばれる由来は、むかし、土地の開墾のため黒島から野底集落へ強制移住させられた人々がいました。その移住者にマ-ペ-と呼ばれる娘がおり、黒島に残された恋人を思い野底岳に登ったが、石垣島にそびえ立つ沖縄県最高峰の於茂登岳にさえぎられ、黒島の姿さえも見えず、マ-ペ-は絶望のあまり山頂で石になったという伝説があり、このように呼ばれているそうです。

標高282.4mの野底マ-ペ-(野底岳とも呼ばれています)

その野底マ-ペ-に続く林道に設置してある西表石垣国立公園の入口標識を塗装しました。林道内は湿度が高く、木材で建てられた標識は、数年の間にカビが付着していたほか塗っていた塗料も剥がれていた状況だったため、防腐・防カビ・防虫のための塗装と標識付近の草刈りを行ってきました。

西表石垣国立公園の標識塗装

標識塗装後、塗装前と見比べて色が明るくなり、標識周辺の草刈り効果で視認性も高くなったため来訪者にも国立公園を意識してもらえると思います。馴れない塗装作業で服や靴に塗料が付着し、洗濯しても落とせなく落ち込むこともありましたが、うまく塗装が出来きました。石垣島には、貴重な自然が見られるいくつかのスポットに案内標識が設置されており、これらの標識等公園内の施設の点検・整備もアクティブレンジャーの大事な仕事のひとつです。

標識付近で面白いチョウを撮影しましたのでご紹介します。撮影したのは、リュウキュウヒメジャノメと呼ばれるチョウでした。琉球諸島に生息し、八重山では2月~12月の長い期間でこのチョウが見られます。蛇の目のような模様は、天敵である鳥等の捕食者の目をくらます効果があり、鳥が眼状紋の部分を突いても体本体の損傷を回避して逃げることができるそうです。

蛇の目模様の側に白い太線があるのが特徴のリュウキュウヒメジャノメ

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2013年06月25日明石小学校子どもパークレンジャー第2回・第3回【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 春口

 前回のAR日記では明石小学校での子どもパークレンジャー第1回を紹介しました。今回は明石小での活動第2回と第3回を紹介します。まずは第2回目の活動から。

 5月22日に行われた第2回目の学習では、学校を飛び出してシュノーケリング体験を行いました。前日まで天気予報は雨マークだったのに当日の天気は快晴、野外学習日和となりました。
 このシュノーケリング体験学習は私たちレンジャーが児童にレクチャーするわけではありません。石垣島北部にダイビングショップを持つ「八重山ダイビング協会北部支部」の皆さん、昨年度の活動もお手伝いいただいた「石垣島沿岸レジャー安全協議会」の皆さんが児童達に海の楽しさや沿岸で生活するいきものの面白さを伝えてくださいます。(その間私たちは安全対策と記録係として周囲に目を配っています。)
 スタッフとして参加してくださっている方の中には、明石小の児童の父兄もいます。お父さんがダイビングのインストラクターということは、その児童の生活と八重山の海が直接生活と結びついているということ。このシュノーケリング体験学習は、きれいな海を守ることの大切さを直に考えてもらう機会でもあります。
 さて、明石小でのこれまで2回の学習で、児童達は水や海、そこで生活するいきもの達のことを少しずつ知り、豊かな海を感じることができました。第3回は、そんな地元の海について調べる方法を学習します。




写真左上:泳ぎになれていない低学年には児童一人ひとりにスタッフがつくので安心です。
  右上:慣れてきたら少し深いところへ行ってみます。見られるいきものが少しずつ増えていきます。
  左下:高学年は潜水の練習も行いました。
  右下:最初は緊張していた児童たちも最後にはリラックスして楽しんでいました。
スタッフのお兄さん達とも仲良くなれたようです。
 第3回の学習は、水平透明度の調査体験です。
※※※
水平透明度調査とは、文字通り海中の水平方向の透明度を調べる方法です。水平方向に白色板を伸ばし、取り付けられた1m毎にマークが入っているロープを巻いていきます。少しずつ距離を縮め、白色板が見えた距離を「水平透明度」として記録します。昨年度から八重山の海に関心の高い住民が集い、島の各地で水平透明度調査を実施する「八重山イノーの水のきれいさ調査隊」を結成し、年数回の調査を実施しています。今回の学習は、調査隊のまとめ役であり、石垣島でエコツアーガイドをしている内藤さんにご協力いただきました。※※※

この調査の特徴は、水深が1m程の場所でも調査できるという親しみやすさです。前回の学習でシュノーケルの技術を身につけた高学年なら、決して難しい作業ではありません。
 調査場所は学校の敷地から歩いて5分で到着する海岸です。まずは児童達に白色板がどの程度の距離で見えるか予想してもらいました。最初の児童達の予想は15mほど。では、高学年の2人が実際に計ってみます。白色板から20m離れた位置から、砂を巻き上げないように慎重にロープを巻いていきます。15m…見えない。10m…まだ見えない。白色板が見えたのは、大きく予想を下回った4.5mでした。これには児童達もびっくりです。
 その後、石垣や小浜などこれまでの調査結果をまとめたポスターを用いて今回の明石の結果と石垣島周辺の結果を見比べてみました。透明度の高い場所では13m、低い場所では1mと場所によってばらつきがあります(詳しくは下のポスターへ)。違いを見比べながら、少しずつ疑問を見つけてくれた児童達。暑い中、本当にお疲れ様でした。



写真左上:内藤さんによる「きれいさ」のお話。児童達はしっかりと聞いています。
  右上:計測器具で身長を測ってみました!透明度を「○○君何人分?」で考えると予
想も楽しくなりますね。
  左下:高学年による計測です。20m先から白色板へゆっくり近づいていきます。
  右下:計測できなかった児童たちへの「見えない」から「見える」の体験。

 明石小の子どもパークレンジャーはこの3回で終了です。最後に行った水平透明度調査で児童達が持った疑問やこれまでの学習での関心事は明石小の総合学習「明石っ子探検隊」のテーマとなります。今後は児童達が調べ学習の時間となり、私たちは裏方でサポートです。まずは児童達がどのようなテーマを持つのか、気になるところです。今年度の子どもパークレンジャーは明石小学校のほか2校で実施しています。次回、また違った学校の取り組みを紹介したいと思います。

※「八重山イノーの水のきれいさ調査隊」は随時メンバーを募集中です。気軽にできる活動ですので、八重山にお住まいでご関心のある方はぜひ下記URL内の連絡先、または石垣自然保護官事務所春口(0980-82-4768)までご連絡ください。ホームページ内には学習で活用したポスターも掲載されています。
※当ホームページは現在仮設置中です。

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2013年06月25日今年もやってます!子どもパークレンジャー!【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 春口

 平成14年度から続いている「子どもパークレンジャー」が今年も行われています。八重山の小学校を対象に、調査体験や自然ふれあい活動を通して地域の自然、そして自然との関わり方を学んでいく子どもパークレンジャー。今年度は一昨年度から継続している石垣市立八島小学校5年生、石垣市立明石小学校に加え、平成18年度、19年度にも活動を実施した石垣市立富野小中学校の小学生を対象として実施します。今回は明石小での活動を紹介します。

 明石小では今年度、全児童を対象に海をテーマにした体験活動を実施します。昨年度の子どもパークレンジャーでは、「サンゴ」をテーマに3回の学習を実施しました。今年度は明石小学校独自の総合学習カリキュラム「明石っ子探検隊」の一部として位置づけています。この活動は身近な海をフィールドにした体験学習を通し、児童一人ひとりが独自にテーマを決めて調べ学習を行うものです。子どもパークレンジャーでは、児童達が一年間かけて学習する「明石っ子探検隊」のテーマを決めるための動機付けとして3回の体験活動を実施します。

 第1回目は5月2日(木)に屋内で3つのアクティビティーを行いました。1つ目は人と水の一番身近な関係である体の水分について考える「アクアボディー」、2つ目の「魚をつくろう」は、様々な魚の特徴を組み合わせてタイトルの通りオリジナルの魚を作り出す活動です。



写真1.「魚をつくろう」では体の模様、体や口の形、繁殖方法といった魚の特徴を混ぜ合わせています。このグループはマグロの模様でナマズの体、コイの口、カダヤシの繁殖方法を参考にします。一体どんな生きものが生まれるのでしょうか。



写真左上:それぞれの魚の特徴を組み合わせたら、生息場所も考えます。
  左下:写真1のグループが生み出した魚、「ロイシズ」と名付けられました。
 右上下:この2種類の魚は縞模様や口の大きさは真逆ですが、どちらもカラフルです。
右下の魚は海藻に卵を産む様子も描かれています。

そして最後は「サンゴ島会議」。このアクティビティーではサンゴ礁に囲まれた無人島に、ホテルや桟橋、ゴミ処理場や発電所などを建設するリゾート開発を計画してもらいます。どこにどのような施設を建設すれば利用者が自然を楽しみ、同時に環境への影響が少なくなるのか、自然との上手な付き合い方を考えてもらいます。低学年には難しい「サンゴ島会議」でしたが、高学年が上手にリードして計画図を完成することができました。
特徴的だったのが、「サンゴ島会議」で飛行場を作るなど開発に積極的なグループでも「発電所は風力発電にする!」とエコな生活を考えてくれていたこと。風力発電所の建設は、分かれた3つのグループ全てに共通していました。「発電所の建設」は決められていましたが、どんな発電所にするのか指定されているわけではありません。自然エネルギーを用いることは、児童達が独自に考えてくれました。子どもパークレンジャー3年目の中高学年の児童たちの中には自然を大切にする心、自然とうまく付き合っていく考え方が身についているようです。今年度最初の学習で、これまでの学習の成果を見ることができたことはとても喜ばしいことでした。

 今年度第1回目の子どもパークレンジャーは良いかたちで終わらせることができました。次回の活動では、海に出てシュノーケリングと調査体験を行います。詳細は次回のAR日記でご紹介します。ぜひご覧ください。

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2013年06月03日交通事故多発・カンムリワシ放鳥【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本

 沖縄は梅雨に入り、ジメジメした天気が続いています。私は数時間の外出ですぐに日焼けしてしまいました。これからの季節、外出時には皆さん日焼け対策や熱中症対策をしっかりしてお出かけください。
 さて現在、石垣島ではコウライキジ、インドクジャクなどによる農作物の被害が問題となっています。農家さんは農作物を守るために防鳥用のテグスを水田に設置して対策を行っていますが、残念なことに水田のカエル等を捕食するために降りたカンムリワシがテグスに絡まる事故が今年に入って石垣島で2件発生しました。幸い2件とも早急な発見と救護のおかげで、無事に放鳥することができましたので報告します。このような事故が再び起きないよう農家の皆さんは防鳥用ネットに蛍光テープやリボンを付けるなど、鳥がネットに近づかないような対策のご協力をお願いします。


今年1件目に水田のテグスに絡まったカンムリワシの放鳥時の様子

 先月、救護されたカンムリワシの放鳥に立ち会いました。今年1件目のカンムリワシは、今年3月下旬にテグスに絡まって動けなくなっているところを救護された幼鳥です。救護時は片翼を痛めていたため、県の事業で行っている「野生生物ドクター」によって治療を行い、野生復帰までの期間「保護飼養ボランティア」のご協力のもと、保護ゲージで様子を見ていました。その後、リハビリを受け元気になったことから5月13日(月)に救護場所近くの小学校グランドで児童が見守る中、放鳥しました。
 放鳥時、児童たちは間近で見るカンムリワシに「かわいい」と嬉しそうに興味津々で飛び立つまで見守っていました。雨が降る天候でしたが、カンムリワシは元気いっぱいに羽を広げて森へ飛び立っていきました。


今年2件目に水田のテグスに絡まった事故時のカンムリワシ

 今年2件目のカンムリワシは、4月17日(水)に救護され、目立った外傷もなく元気であったため、4月23日(火)には放鳥されました。

 また、今年はカンムリワシの交通事故も多発しています。石垣島での平成24年の交通事故件数は7件でしたが、平成25年に入ってから5月現在で交通事故件数は6件となっており、前年の1年間の件数に並ぶ勢いです。これから石垣島は夏本番を迎え、生き物の活動も活発になるほか、観光で訪れる方も多くなります。特に夜間や早朝に自動車やバイクを運転する際は、野生動物が道路上に急に飛び出してくることもありますので、カンムリワシをはじめ、野生動物に気を付けて安全運転を努めてもらいたいと思います。


カンムリワシ交通事故防止のため設置した看板(石垣市富野)


<カンムリワシの救護連絡先>
〇石垣島
環境省石垣自然保護官事務所 0980-82-4768
石垣市教育委員会文化課   0980-83-7269
〇西表島
西表野生生物保護センター  0980-85-5582

カンムリワシの救護情報はカンムリワシリサーチHPをご覧ください。
http://kanmuriwasi.web.fc2.com/



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2013年03月04日「世界湿地の日」名蔵アンパル自然観察会【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本

毎年2月2日はラムサール条約が締結された日として「世界湿地の日(World Wetlands Day)」とされています。この時期は世界各地のラムサール条約湿地で催し物などのイベントや活動が実施されています。ラムサール条約湿地に登録されている名蔵アンパル(石垣市)では、この日を記念して石垣自然保護官事務所主催の『「世界湿地の日」名蔵アンパル自然観察会』を日本野鳥の会石垣島支部、西表石垣国立公園パークボランティアの方々の協力を得て実施しましたので、その内容をお知らせします。


西表石垣国立公園パークボランティアさんの解説

名蔵アンパルは、石垣西部に位置する名蔵川と海をつなぐマングローブ林が広がる河口干潟で、国指定鳥獣保護区及び国立公園にも指定されており、平成18年11月にラムサール条約湿地として157haが登録されました。干潟にはカニやエビ、貝、小魚などの多様な生き物が生息し、八重山地域を代表するカンムリワシや世界各地から渡ってくる珍しい水鳥たちがやってきて休憩場所や絶好のエサ場(サンクチュアリ)として利用しています。ほかにも亜熱帯地域を代表する数種類のマングローブ林を見ることができる貴重な場所となっています。

・今年の世界湿地の日のテーマは「湿地は水を育む」です。

今回の観察会は、マングローブ林の植物や生き物を観察しながら湿地の大切さを知っていただくことを目的に、マングローブ林の落葉などを食べるキバウミニナと呼ばれる日本最大のウミニナ(貝)の採食実験やアナジャコの巣穴を観察したほかに、なかなか日頃入ることの出来ないサンクチュアリでの野鳥観察などを通して、多くの生きものを育む湿地の生物多様性を体感していただけたと思います。


キバウミニナ採食実験の様子

今回は、幸運なことに絶滅危惧IB類(EN)(環境省レッドリスト)に指定されているクロツラヘラサギを確認することができました。クロツラヘラサギは、ヘラ状のくちばしを左右に振って、砂底に生息するカニやエビなどの底生生物を採食します。推定生息個体数は約2000羽と世界的にもとても希少な鳥です。10月下旬頃から3月下旬頃まで越冬地として沖縄などで過ごし、4月初旬から繁殖地である中国大陸や朝鮮半島へ渡っていきます。


2羽のクロツラヘラサギと手前に小さく見えるのはイソシギです。

湿地は、様々な生き物が利用していますが、釣り・潮干狩り・ハイキング・バードウォッチングなど私たち人間も楽しめる場所です。いろんなレクレーションができるほかにも、海への土砂流失を防いだり、防災の役割をはたすなど、農業・漁業・観光といった資源を生み出している私たちにとってもなくてはならない大切な場所となっています。しかし、身近にある分、さまざまな開発や私たちの生活のために湿地が失われ、汚されてしまっているのが現状です。そこで、世界の国々が協力し合い、大切な湿地を保全し、恵みを賢明に利用することを目的に「ラムサール条約」が結ばれており、日本には46カ所の条約湿地があります。これからの貴重な湿地を未来にずっと残していけるように、私たちみんなで湿地について理解し、守っていきたいと思います。

今後もこのような観察会を実施して、数多くの方にすばらしい名蔵アンパルの自然を楽しみながら大切さを知っていただけたらと考えています。きっと、毎回新しい発見に出会えるはずですよ。当主催の観察会以外にも暖かい夏場や一年を通して名蔵アンパルで催しものが開催されていますので家族や友人を誘って、ぜひご参加して下さい。


【ラムサール条約と条約湿地についての詳細は以下のリンクから】
http://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/

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2013年01月11日「環境学習交流発表会」が行われました【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 春口

みなさんこんにちは。
今回は、前回のアクティブレンジャー日記の最後に少しだけ紹介した「環境学習交流発表会」についてお伝えしようと思います。

石垣島には、今年度の子どもパークレンジャーでサンゴ学習を実施した八島小学校、明石小学校や以前の子どもパークレンジャーをきっかけに継続してサンゴ学習に取り組んでいる小学校、また様々な機関と協力して環境学習に取り組んでいる小学校が多くあります。
しかし、それぞれの小学校がどのような環境学習を実施しているのか、小学校間、児童間で知る機会はなかなかありません。
そこで、各小学校の取り組みを一堂に会して発表することにより、サンゴ礁の海に関する環境学習についての関心や理解を深めようと先生方や学習に関わっているメンバーが企画し、11月30日(金)に石垣市内6つの小学校から総勢118名の児童が集まり、「環境学習交流発表会」が八島小学校の体育館で行われました。

一言で「サンゴ礁の海の環境学習」といっても、学校によって取り組んでいる活動のテーマは様々です。継続的にコーラルウォッチを実施している小学校もあれば、珍しい海草や地元民にとってはおなじみのシャコ貝など、海の生きものに焦点をあてている小学校もあります。また、発表方法も壁新聞やプロジェクターを使い、その中でもクイズの出題や劇を取り入れるなど、学校独自の工夫がたくさん見られました。



写真:学習発表の様子。他の小学校の児童が注目する中、堂々と発表していました。

全学年で発表を行った明石小学校の児童は、これまでの学習で学んだ内容と、学んでいくうちに浮かんだ疑問を児童たちが自ら調べ、劇やクイズにして全員で発表しました。また、参加した6校のうち唯一の大規模校である八島小学校の5年生たちは学習内容の発表だけでなく、サンゴ礁や身近な自然を守る大切さを伝える詩を全員で発表しました。この詩は、サンゴ学習を通して感じたことを児童一人一人が書き出し、児童の言葉を先生が繋げて作ったものです。印象に残ったので、この詩の一部を紹介します。

 海。美しく、青く光る海。はるか昔から、人々の生命を支えてきた私たちの宝。
私達の住む沖縄の島々の周りには、サンゴ礁が広がっている。サンゴ礁があることで、私達に大きな恩恵を与えてくれている。
そんなサンゴ礁を私たちは大事に扱ってきただろうか。様々な原因により、今、沖縄の海は姿を変えつつある。
人間の豊かな生活のためにうばわれていく自然。このままでいいのだろうか。私たちの子孫は、そして、地球に住む生き物たちは、これまでと変わらぬ生活ができるだろうか。
私たちは今、直面する問題に真剣に向き合わなければならないと思う。
そして人々に伝えよう。私たちの未来のために、共に考えようと。

この発表で、八島小の児童たちは大規模校ならではのまとまりとエネルギーを見せてくれました。



写真上:八島小5年生による詩の発表。児童たちの力強い発表は迫力がありました。
写真下:明石小学校は赤土が海へ流れ出る様子を自分達で作った道具で再現し、注目を集めていました。

各学校の発表の後はみんなで給食を食べて交流し、環境学習交流発表会のプログラムは終了しました。後日、子どもパークレンジャーで関わった先生方に発表会のお話を聞いたところ、「他の小学校の学習内容や発表内容に驚かされた。」と同時に「自分達の学習を発表し、他校の児童の目を引くことで児童たちの自信に繋がった。」との感想をいただくことができました。
また、今後の取り組みとして八島小学校では全体での詩の発表を、明石小学校では今年度のサンゴ学習のまとめを、それぞれ学校の発表会で地域や保護者へ発表する予定とのことです。

 子どもパークレンジャーや小学校の環境学習は、児童たちに地域の自然に目を向けてもらうきっかけ作りです。今回の環境学習交流発表会では、学校の取り組みを共有し、児童たちが関心を高める良い機会となりました。更に、この学習で学んだことを児童たちが発信することで、自然を大切にする心が地域全体へ浸透していくことでしょう。
地域で自然を守るための地盤を作り、更に環境学習の輪が広がるよう、今後もサンゴ礁の海の学習に協力していきたいと思います。

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2013年01月09日第3回子どもパークレンジャー【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 春口

あけましておめでとうございます。今年は昨年以上に私たちの活動を発信していこうと思います。今年もよろしくお願いします。

環境省で実施している「子どもパークレンジャー事業」も第3回を終え、今年度の事業が終了しました。11月2日(金)に実施した八島小学校、そして11月9日(金)に実施した明石小学校での活動の様子をお伝えします。

第3回となる八島小の学習では、「サンゴのテリトリーウォーズ」というアクティビティーを行いました。このアクティビティーは、限られたフィールドの中で成長速度や好みの場所など、特徴が異なる4種類のサンゴを成長させていくものです。「成長カード」の他、オニヒトデや白化などの「減少カード」も含まれている25枚のトピックカードをランダムに引き、それに併せてマス目シート上のサンゴが増減を繰り返します。児童達はグループに分かれ、サンゴの担当やカード係など役割を決めます。カード係がトピックカードを引き、最後にサンゴがどれだけ残っているのかグループ毎で確認しました。
(ルール詳細はこちらから< http://c-kyushu.env.go.jp/naha/coral_reef_study/>)



写真:サンゴのテリトリーウォーズの様子。サンゴでいっぱいになるグループもあれば、サンゴが少ない班もあります。なぜでしょう?

各グループの残ったサンゴとトピックカードの引いた順番を比べてみると、終わりの方に成長カードが続いたグループはサンゴ面積の割合が高く、連続で減少カードが出てしまった班の割合は低くなっていることがわかりました。児童達はこの活動を通して、減少する要因が連続するとサンゴは耐えられずに減っていくことを学習しました。

次に、トピックカード1枚を1年と考えて25年前から現在までの八重山のサンゴをとりまく歴史に当てはめて実施してみたところ、フィールド上のサンゴはほとんど残りませんでした。これは児童たちにとって相当な衝撃があったようです(これは事前に練習した私たちにも衝撃でした)。
今までの活動でサンゴが衰退する原因を学習している児童たちですが、今回は自分の班のサンゴが減っていく様子を地元の海で実際に起こった出来事として捉え、今まで以上に真剣に考えてもらうことができました。



写真:トピックカードの配列を八重山の海の25年の歴史に当てはめたシート。半分以上が赤色の「減少カード」となり、サンゴがどんどん減っていきました。


もうひとつの実施校、明石小学校では3つのアクティビティーを行いました。そのうちのひとつはサンゴの強さに着目したものです。サンゴはストレスに弱い生き物ですが、海が健全なら回復できる強さを持っています。それを踏まえて児童みんなにサンゴになってもらい、長い時間をかけて増減を繰り返していることを知ってもらいます。
アクティビティー中に変化していくサンゴの数を毎回記録し、最後にグラフにして確認します。すると、白化などの減少イベントが発生するとサンゴの数が激減することがわかります。特に、2つの要因が一度にでてしまうと多くのサンゴが減ってしまいました。一方、減る原因がなければサンゴは順調に増えていくこともグラフから見てとることができました。



写真左:アクティビティーの様子。サンゴになるには、向かい側で同じカードを持っている児童とペアになります。
写真右:サンゴになった人数の変化を確認。グラフの変化を真剣に見つめていました。


この2つのアクティビティーに共通するメッセージは、「環境負荷がなければ健全な自然環境が保たれる」ということです。これ以上サンゴを減らさないためではなく、これからサンゴが増えていくためにはどうしたらいいのか、児童達は今までとは違う角度から考えることができたと思います。
ぜひ一度、「自然を守るために生活を見直す」ではなく、「生活を見直したら、自然が元気になっていく」と考えてみてください。そうすると、ちょっとした行動も環境保全に役立っているように感じられます。少し考え方を変えてみると、環境に配慮した生活が楽しくなってくるのではないでしょうか。


これで今年度の子どもパークレンジャーは終了ですが、11月30日にサンゴの海の学習をしている学校の児童達が集まり、学んだことを発表し合う「環境学習交流発表会」が行われ、八島小と明石小も参加しました。この「環境学習交流学習発表会」の様子は、次回のアクティブレンジャー日記でお伝えしようと思います。

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2012年11月21日石西礁湖サンゴ礁基金【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 春口

11月も終盤となり石垣もずいぶんと涼しくなってきました。朝夕は冷えるようになってきたので、体調管理にも注意が必要ですね。

さて、今回はサンゴの海を守るために寄付を集める「石西礁湖サンゴ礁基金」を紹介します。
石西礁湖サンゴ礁基金とは自然再生推進法に基づき設置された「石西礁湖自然再生協議会」のための基金で、サンゴ礁保全のために寄付金を募っています。これまでに300万円以上の寄付をいただき、いただいた寄付金はオニヒトデ対策や赤土対策などに活用しています(平成24年9月末日現在)。

石西礁湖サンゴ礁基金では、ホームページにて随時皆様からの寄付を募っています。オンライン寄付サイト「Give One」により自宅からでも寄付していただくことができます。特に11月27日から12月26日までの1ヶ月間は、「E-ファンドレイジング・チャレンジ」という取り組みにて赤土対策に焦点を当てて寄付を募りますので、ぜひサンゴ礁基金のホームページをご覧ください。
「海を守るために何か行動を起こしたい。でも何ができるのかわからない」という方もいらっしゃるのではないかと思います。私自身、過去にそう思っていたことがあります。寄付という方法は、現場に出ることができない方でも協力できる一つの方法です。一人ひとりの力が集まることでできることがありますので、海の回復のためにぜひ皆さんの力を貸してください。どうぞご協力よろしくお願いします。

また、7月には地域のお祭りにも参加して大勢の方からの寄付をいただきましたので、ここで紹介させていただきます。
地域のお祭りは多くの人と出会うチャンスです。サンゴ礁基金ではサンゴの保全に関するパネルの設置やサンゴについてのクイズ等で来場者の関心を高め、ブースの正面に募金箱を設置しました。その結果、地元の方や観光でいらした方、また様々な年代の方に寄付していただき、2日間で11万円以上も集まりました。大勢の方がサンゴの海に関心や問題意識を持ってくれたことと感じています。


写真:参加したお祭りブースの様子。特にサンゴクイズは大人も子どもも大好評でした。

サンゴ礁基金ではより大勢の方にメッセージを届け、サンゴ礁基金を知っていただくため、発信力のある著名な方に「サンゴサポーター」となっていただいています。現在は歌手の加藤登紀子さん、地元で大人気のバンド「きいやま商店」、石垣島出身のアーティスト「RYOEI」の2名と1組がサンゴサポーターです。
7月に参加したお祭りでは、サンゴサポーターとなった「きいやま商店」と「RYOEI」の任命式やライブも行われました。今回のイベントでは、サンゴの海を守るためのメッセージソングとして、八島小学校と明石小学校が子どもパークレンジャーで実施したサンゴ学習の感想文を元に「RYIEI」が作詞作曲した「夢色のさんご」をつくっていただき、イベントの最後にはこの曲を「きいやま商店」と「RYOEI」のコラボレーションで歌ってくれました。このお祭りで、ブースでの周知だけでなく、音楽を通してサンゴの海を守ることの大切さを伝えていただきました。


写真:祭りに合わせて実施したサンゴサポーター任命式。サンゴの海を守るため、これから大勢の方に八重山の海とサンゴ礁基金について伝えていただきます。
 
サンゴ礁基金では今後も地域行事に参加し、大勢の方に基金の取り組みを知っていただけるように発信していきます。ぜひ皆様のご協力をお願いします。



※石西礁湖サンゴ礁基金ホームページ
<http://www.strata.jp/sangokikin/>
※石西礁湖自然再生協議会ホームページ
<http://www.sekiseisyouko.com/szn/>
※夢色のさんご(YouTubeより)
<http://www.youtube.com/watch?v=lhAHEXqS29A>

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