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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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奄美

76件の記事があります。

2013年05月21日特定外来生物~オオキンケイギク~【奄美地域】

奄美 アクティブレンジャー 伊藤

うがみんしょ~らん!
梅雨に入って湿度は80%弱の日が続き、カビ対策に追われる奄美地域です。

さて、先日地元の中学生と一緒に特定外来生物に指定されているオオキンケイギクの駆除作業を行いました。
この植物は、北米原産の多年生草本です。日本には1880年代に観賞用や緑化用に導入されました。しかし、繁殖力が旺盛で草刈りに対する再生力が強いため、一度定着してしまうと在来の植物を駆逐し、辺りの景観を一変させてしまう性質があります。
←駆除前

←作業中

←駆除後
今回の作業は20~30m程の範囲で実施しました。
よく見ると花が咲いていない小さい株がたくさん生えていて、駆除したオオキンケイギクはゴミ袋10個分となりました。

一緒に作業した中学生たちにとっても、外来種問題について考えるきっかけになったと思います。今後も、地域と一緒になって、奄美の自然に向き合っていきたいと思います。

<外来種被害予防三原則>
☆入れない  悪い影響を及ぼすかもしれない外来種をむやみに日本に入れない
☆捨てない  ペットとして飼っている外来種を自然のなかに捨てない
☆拡げない  自然の中にいる外来種を他の地域に拡げない


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2013年05月21日世界自然遺産セミナー 【奄美地域】

奄美 アクティブレンジャー 牧野

 うがみんしょ~らん!(こんにちは!)
 奄美野生生物保護センターの松田です。毎朝目覚めると、リュウキュウアカショウビンの爽やかな鳴き声が聞こえます。

 今回は先日開催された平成25年度第一回大島支庁世界自然遺産セミナー「世界自然遺産の概要と野生生物の現状等について」についてお知らせいたします。

 このセミナーは、奄美大島に今年度赴任した大島支庁職員及び世界自然遺産関係業務に従事する市町村職員を対象に、世界自然遺産の概要・登録に向けた取り組み状況と、指定作業が進められつつある国立公園の概要及び規制等について、理解を深めて貰うことを目的としています。

 まずは「世界自然遺産登録と国立公園指定に向けて」と題し、大島支庁衛生・環境室の吉田係長が講演を行いました。



 引き続き、「奄美大島における野生生物の現状と課題」と題し、石川自然保護官が講演を行いました。



 マングース防除事業で実際に使用しているワナや自動撮影カメラを持ち込み、仕組みや動作状況の説明を私が行いました。 さらに、近年ではマングースの捕獲頭数が減少し、生息数(推定)が300頭程度まで減少していることや、今までの防除事業の成果として在来種が回復してきていることなどを説明しました。

 今年は奄美群島が本土復帰してから60周年という節目の年を迎え、地域全体として国立公園指定・世界自然遺産登録に向けた機運も高まりつつあります。これからも地域の皆様に理解を深めて貰えるような取り組みに力を入れていきたいと思います。

【今日の一枚】


・「ケラマツツジ」
・山地林縁や渓流沿いに生える高さ1~2mの常緑低木。鮮やかな赤い花が新緑の渓流沿いを彩っていました。

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2013年04月25日極小!奄美の希少な植物たち【奄美地域】

奄美 アクティブレンジャー 伊藤

うがみんしょ~らん!(こんにちは!)
奄美大島ではサンコウチョウなどの夏鳥がチラホラ確認出来るような季節となりました!夏がもうすぐそこまで来ているようです。

さて先日、植物に詳しい方と一緒に奄美の希少な植物たちの生育状況を調査してきました 。そこで出会ったとても小さくて希少な植物たちをご紹介したいと思います。


まずはこちらの写真をご覧ください。岩をのぞき込む松田アクティブレンジャーです。


このような岩に、とてもとても小さな希少植物が生えていました。

左上:コケタンポポ 右上:ヒメミヤマコナスビ
左下:ヒメサギゴケ 右下:コビトホラシノブ

環境省レッドリスト2012では、 ヒメミヤマコナスビとコビトホラシノブは絶滅危惧ⅠA類、ヒメサギゴケは絶滅危惧ⅠB類、コケタンポポは絶滅危惧Ⅱ類に選定されています。
ほかの植物に埋もれていたり、葉の大きさが5mm程しかなかったりと自力で探すのはとても難しいと思いました。普段なかなか気づかない小さい世界に、ただただ魅了されたひとときでした。

小さかったり、大きかったり、個性的な奄美の生き物たち。知れば知るほどその魅力にとりつかれていくような気がします。これからもそんな奄美の魅力を発信していきたいと思います。

今日の一枚:【アマミカタバミ】

絶滅危惧ⅠA類に選定されています。なんと葉の幅は5mm未満です。
5~10月頃に黄色い花を咲かせます。

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2013年04月13日シダ植物の新芽、まんでぃ! 【奄美地域】

奄美 アクティブレンジャー 牧野

 みなさん、こんにちは。新年度が始まりましたね。奄美自然保護官事務所・アクティブレンジャーの松田です。 

 4月に入り山は様々な植物の新芽に溢れています。今回はアマミノクロウサギの幼獣糞調査中に見かけたシダ植物の新芽を集めてみました。

 「まんでぃ」とは→奄美大島の島口で「たくさん」という意味です。

 シダ植物が繁栄し、大森林を形成していたのは古生代後半の石炭紀(約3億5900万年前から2億9900万年前)と呼ばれる時代で、この後のおよそ3億年の時の流れの中でシダ植物はさまざまな姿に進化し、その一部は種子植物へと進化し姿を変えてきました。しかし3億年の昔に手に入れた、胞子で子孫を残してゆくシダ植物もともとの生き方を続けるものも残り、その子孫が現在のシダ植物だそうです。う~ん、長い歴史があるんですね。


上左:タマシダ、上右:ウラジロ、下左:ヒリュウシダ、下右:ホラシノブ


上左:コシダ、上右:ワラビ、下左:イシカグマ、下右:ヒカゲヘゴ

 この中でも奄美大島以南に分布するヒカゲヘゴは、樹高が5~10メートルにもなる日本で最大級のシダ植物と言われています。また、若芽は食用にもなるようです。

 こうして見てみると、シダ植物の新芽にもそれぞれ個性があるなぁ~、と感じますがいかがでしょうか?個人的にはヒリュウシダとホラシノブの先端の丸まった感じがお気に入りです。


【今日の一枚】



・「アマミセイシカ」
・常緑広葉樹林内の渓流沿いに生える小高木で、奄美大島の固有種。園芸採取などで激減しています。昨年の8月に公表された環境省レッドリスト2012では、絶滅危惧IA類に選定されています。

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2013年04月09日未来を担う学生たち【奄美地域】

奄美 アクティブレンジャー 伊藤

うがみんしょ~らん!(こんにちは!)
希少種の調査が集中する怒濤の3ヶ月が終わり、奄美野生生物保護センターに自然保護官が一人増え、新しい体制になって新年度がスタートしました。

↑オオトラツグミの調査の様子

 さて先日、大阪から高校生のお客様がいらっしゃいました。
大阪府立豊中高等学校の生物研究部の皆さんは、奄美大島の自然に興味を持ち、現在大きな問題になっているノイヌやノネコのフン分析を通して、それらが奄美の自然に与える影響を調べてくれています。
センタースタッフからのアマミノクロウサギの保護対策や世界自然遺産登録に向けての取り組みなどの講義のあとに、彼らが研究成果を発表してくれました。

彼らが調べた35個のフンに、なんと80.6%の確率でアマミノクロウサギやアマミトゲネズミ、ケナガネズミなどの希少種の毛や骨が入っていたということでした。
彼らの発表は、「ペットの犬・猫を捨てない、固有種や希少種の保護、貴重な自然を守るのもこわすのも人間」という言葉で締めくくられていました。
遠く離れた大阪の地で、このように奄美大島に興味を持ち、力になりたいと思ってくれている彼らに感激・感謝する一方で、この島が抱えている問題・課題を再認識させてくれた発表でした。

そのあと飼育しているマングースを見学し、アマミノクロウサギの生息状況調査の体験をしてもらいました。

↑マングースを見学する皆さんと説明する松田アクティブレンジャー

↑アマミノクロウサギのフンのカウントを体験
慣れない沢歩きに戸惑っているようでしたが、ケガもなくハブにも会わず、一安心して体験調査を終えました。

豊中高校の生物研究部の皆さんには、これからもがんばってほしいなと思いながら、自分もしっかり奄美の自然を伝えていかなくてはいけない!と気持ちも新たに今年度もがんばりたいと思います。

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2013年03月14日アマミノクロウサギ調査in奄美大島【奄美地域】

奄美 アクティブレンジャー 伊藤

うがみんしょ~らん!
奄美大島では、鳥たちがさえずりはじめ、新芽が芽吹き、すっかり春らしくなってきました。たくさん渡来していた冬鳥たちも、だんだんと少なくなってきたように思います。

さて2月に奄美大島で、アマミノクロウサギの生息状況モニタリングを行いました。
徳之島と比べると大きな沢が多く、水量が多かったり、流れが速かったり、調査距離が長かったりと、少し大変な調査となりました。
奄美大島は、近年生息数の増加傾向が確認されています。私が担当した沢では、今年もフンの確認数が大幅に増えている沢があり、幼獣のフンがたくさん確認された沢もありました。結果がまとまるのが楽しみです。

↑調査地の様子

↑この橋の上だけで1000個を越えるフンがありました。


3月に入り、オオトラツグミの調査も始まりました。オオトラツグミは奄美大島だけに生息している固有種で、環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類とされています。夜明け前の数分、「キョローン」と澄んだ美しい声でさえずります。姿を見ることは難しいですが、この声を聞くと春が来たことを感じます。
奄美大島でこの時期限定の美しいさえずりを、是非一度、聞いていただきたいと思います。

今日の一枚:【シリケンイモリ】


奄美で最も普通に見られるイモリですが、環境省レッドリストでは準絶滅危惧種とされています。分布は奄美諸島・沖縄諸島となっていますが、徳之島では生息は確認されていません。今の時期はちょうど繁殖期となっており、池や沼などでたくさんみることができます。


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2013年02月05日アマミノクロウサギ調査in徳之島【奄美地域】

奄美 アクティブレンジャー 伊藤

うがみんしょ~らん!
今日は、かなりの盛り上がりをみせている最新の話題からお伝えします。
「奄美・琉球」が世界自然遺産の登録候補地として暫定リストに掲載することが正式に決まりました!登録に向けて一歩前進です。

先月、徳之島でアマミノクロウサギの生息状況モニタリングを実施したのでご報告いたします。
この調査は、2007年から毎年行っています。決められた沢沿いを歩きながら、両岸で発見したアマミノクロウサギのフンを数え、新鮮さなどを記録します。今年は、生息数推定のために新たに11本の沢を追加し、合計31本の沢を調査しました。

↑フンを数えて、位置情報を記録します。

立て続けに島を襲った大きな台風の爪痕が残っており、倒木や土砂崩れが多く確認されました。沢が見えないほどに倒木が積み重なっていた場所もあり、くぐったり、乗り越えたり、斜面を登って迂回したりして、調査を行いました。
そんな酷い状況だった沢でも、アマミノクロウサギのフンを確認することができました。

↑根元の付近から折れた木

全体の印象として、昨年より確認できたアマミノクロウサギのフン数は少ない気がしました。近年全くフンが確認できていないエリアもあり心配です。きちんと結果がまとまりましたら、またご報告いたします。

今月は、奄美大島で同様の調査を行います。
こちらも台風の影響が残っていると思われますが、安全第一!でがんばりたいと思います。

今日の一枚:【オリイコキクガシラコウモリ】


沢沿いの防空壕あとと思われる穴で発見しました。フワフワの毛に覆われた体はゴルフボールくらいの大きさで、とても可愛いコウモリでした。
鼻から超音波を出すため、特徴的な形をしています。


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2013年01月30日大活躍!マングース探索犬 【奄美地域】

奄美 アクティブレンジャー 牧野

 現在、奄美大島で行われているマングース防除事業では、3頭のマングース探索犬が活躍しています。平成20年度にニュージーランドから奄美大島にやってきて、ハンドラー(奄美マングースバスターズのメンバーで探索犬の訓練士)とともに訓練を続け、平成21年4月には探索犬認定試験※1に合格、現在ではマングースの生息を確認するために実戦配備されている、我々の大事な仲間です。
3頭ともテリア系の雑種で、マングースの生体の痕跡を探索することに長けています。本国のニュージーランドでは外来種対策で活用され、イタチ類やネズミなどの駆除に大きな成果を挙げているそうです。
※1 ニュージーランド保全省が定めている探索犬の認定基準に則した試験



写真左から、探索犬ハンドラーの喜岡さんと「リム」、後藤さんと「タワ」、山下さんと「ラタ」です。

それぞれの探索犬を紹介します。
・「ラタ」:平成19年11月、ニュージーランド生まれ、5歳、オス
・「タワ」:平成19年11月、ニュージーランド生まれ、5歳、オス
・「リム」:平成20年7月、ニュージーランド生まれ、4歳、オス



山中での探索の様子です。林内を探索する「リム」。
探索を開始しマングースの臭いを嗅ぎつけると、その臭いをたどってマングースの居場所をハンドラーに伝えます。その情報を基にハンドラーはマングースを捕獲します。探索犬とハンドラーが連携して捕獲した例が昨年度は11件、今年度は1月現在までに12件あり、着実に結果を残しています。
奄美大島ではワナによる捕獲数が昨年度は261頭と、ピーク時の10%以下となり、マングース生息密度が低下しています。このような状況において、探索犬の重要度は今後更に高まっていくことが予想されます。

これからも更なる活躍を期待しています!

【今日の一枚】


・「オオアマミテンナンショウ」
・徳之島の固有種。アマミテンナンショウに比べ全体的に大型で、徳之島南部の石灰岩土壌に自生しています。昨年の8月に公表された環境省の第4次レッドリストでは、絶滅危惧IA類に指定されています。

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2013年01月15日希少種調査シーズン突入【奄美地域】

奄美 アクティブレンジャー 伊藤

うがみんしょうらん!
奄美野生生物保護センターは、希少種の調査シーズンに突入しました!
毎年1月から3月は、アマミノクロウサギ、アマミヤマシギ、オオトラツグミの 保護増殖事業に関わる調査をたくさん実施します。

簡単にスケジュールをご紹介します。
1月:アマミノクロウサギの生息状況モニタリング (徳之島)
2月:アマミノクロウサギの生息状況モニタリング(奄美大島)
3月:アマミヤマシギ全島調査、オオトラツグミさえずり調査

アマミノクロウサギの生息状況モニタリングは、沢沿いのフンの数を数えます。山の奥深くまで入るため、ハブの少ない冬期に調査を実施しています。胴長を着用して沢を登りながら、ひたすらウサギのフンを数えます。

↑沢沿いでウサギのフンを探します。

そして3月は寝不足月間です。オオトラツグミは早朝にしかさえずらないため、調査は日が昇る前から開始します。アマミヤマシギは夜の林道を調査するため、調査が終わるのは深夜になります。調査担当者は、寝不足になること間違いなし!なのです。

↑車に驚き、林道から近くの木に避難したアマミヤマシギ

それでも奄美大島や徳之島の自然を知るためには、とても大切な調査です。普段なかなか行けない場所なので、どんな環境なのかと期待もしつつ、しっかり調査していきたいと思います!

次回は徳之島のアマミノクロウサギの調査報告をさせていただきます。


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2013年01月07日徳之島希少動植物調査② 【奄美地域】

奄美 アクティブレンジャー 牧野

 みなさま、新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 昨年末に徳之島で希少動植物の調査を行ってきました。昨年の8月から9月にかけて南西諸島を3つの大きな台風が通過しましたが、2か月以上経過した調査時点でもガケ崩れや倒木などが島内随所で確認され、被害の深刻さを物語っています。
 前回の7月の調査時とは打って変わって、今回は天気に恵まれ、沢調査や林道調査などすべて予定通りに進みました。アマミノクロウサギにも2回出会え(しかも北部の生息確認エリア外でした)、とても充実した5日間でした。

 今回は調査で出会った生き物たちを紹介しようと思います。



 2日目の沢調査で出会った【オキナワテイショウソウ】です。10メートルほどの滝を迂回して登り、沢に戻ったところで5株ほど、ひっそりと咲いていました。奄美大島から沖縄にかけて分布するキク科モミジハグマ属の多年草。別名マルバハグマとも呼ぶそうです。白い風車のような可憐な花が印象的です。



 こちらは徳之島の固有種【チリメンマイマイ】です。沢沿いの笹の葉っぱに付いていました。比較的大型のカタツムリで、殻に縮緬状の突起があることからこの名前が付いたようです。あやうく見逃すところでした。



 こちらは【アマミアカガエル】です。2011年にリュウキュウアカガエルだったものが、別種ということで新種記載されました。奄美大島・加計呂麻島・徳之島に分布します。昨年の8月に公表された環境省の第4次レッドリストでは、準絶滅危惧(NT)に指定されています。


【今日の一枚】



・天城町当部の「オキナワウラジロガシ」
・板根と呼ばれている根が特徴的なブナ科コナラ属の常緑高木です。果実は日本最大のドングリ(直径2.5㍉~4㍉)として有名です。奄美野生生物保護センターがある大和村には国指定の天然記念物のオキナワウラジロガシがあります(2008年3月28日指定)。

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