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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

緊急出動!

2023年07月29日
対馬 金子 涼太朗
「道路上にうずくまったヤマネコのような動物が居る。」2023年7月某日。外は雨も降り、街灯の無い場所は既に真っ暗な21時過ぎ、対馬野生生物保護センター(以下センター)職員に地元の方より一本の電話がありました・・・
つい先日、実際にあった連絡です。みなさんこんにちは、対馬自然保護官事務所の金子です。今回は対馬のアクティブ・レンジャーはじめセンター職員がおこなっているツシマヤマネコ(以下ヤマネコ)の救護活動についてお話したいと思います。センターではヤマネコ保護のため、通報があれば24時間365日対応しています。
現場で実際にうずくまっていたヤマネコ(Mk-109ひかり)
職員が現場に駆けつけると、確かにヤマネコの幼獣がいて、まだ息もありました。しかし、人が近づいても動く気配も無く雨で濡れてだいぶ弱っている様子でした。付近を捜索しても母ネコやきょうだいの姿も無かったため、急いで保護し、センターへ連れ帰りました。(幼獣の場合、母親から一度引き離してしまうと、その後回復したとしても、母親のもとに戻せなくなってしまう恐れがあります)
検査のため採血をするヤマネコ(Mk-109ひかり)
センターでは深夜にもかかわらず、既にNPO法人どうぶつたちの病院の獣医の先生や飼育スタッフが急行・待機してくださり、ただちに治療や検査を進めます。血液検査やレントゲン撮影、低体温のための保温処置や点滴を流したりなどします。
懸命の治療や経過観察が夜を徹して行われ、ヤマネコの容体を見守り続けていただきました。
そのおかげで保護されたヤマネコは回復傾向で、食事も少しでありましたが出来るようになってきていました。また、診察結果、現場の状況から交通事故によるものではないかと判断されました。
現場付近に自動撮影カメラを仕掛け母ネコ、きょうだいネコが居ないか調査します
ここからが、再び私たちの仕事です。明るくなってから、事故現場を再度訪れ、現場検証や改めて発見者から詳しくお話を聞いたり、母ネコが子供探しに近くにいないかの調査のために、自動撮影カメラを仕掛けたり、現場付近に新たに看板を設置したり、近隣の地区や店舗に事故発生のチラシを配ったり、報道関係のみなさまに連絡をいれたり・・・と情報の収集・広報などをなるべく迅速に、各団体と協力しておこなっていきます。
#事故現場のすぐそばに看板を設置します
事故現場のすぐそばに看板を設置します
近隣の地区へチラシを作成・配布し呼びかけます。
ここまでが通報からのセンターの仕事の流れです。あとはヤマネコが元気に回復していく経過をセンターで見守り続けます。
いかがでしたでしょうか?私たちの仕事のこと、少しは知っていただけたでしょうか!?
他にもいろいろな業務があるので、また別の機会に紹介したいと思います。それでは、今回はこの辺で!
 対馬自然保護官事務所 金子