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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

平成新山防災視察登山~ミヤマキリシマを添えて~

2023年05月15日
雲仙 飛永 翔
皆さん初めまして!
雲仙自然保護官事務所の飛永です。

これから梅雨や台風の時期となりますが、気をつけてお過ごしください。

さて、私の最初の投稿は「平成新山防災視察登山」についてです!
20以上ある山々から成る雲仙岳の1つ「平成新山」は、1990年11月から1995年2月にかけての噴火でできた新しい山です。現在の標高は1483mで、普賢岳の1359mを超えて長崎県最高峰となりました。

現在でも警戒区域が設定され、普段は立ち入りが禁止されている平成新山への防災視察登山は今回で33回目となり、約80名の関係者が参加しました。

晴天とミヤマキリシマのお出迎え



雲仙仁田峠のミヤマキリシマ

登山当日の5月15日(月)、仁田峠では青い空とちょうど見ごろを迎えたミヤマキリシマが待ってくれていました。 気温もちょうどよく最高のコンディションで、九州大学地震火山観測研究センターの松島教授を先頭に平成新山の頂上を目指し出発しました。

道なき登山道


登山の様子(警戒区域)


平成新山は山一面が大きな溶岩で埋め尽くされ、中にはぐらぐらする不安定な岩もあって、注意が必要でした。どこも険しい岩山で、自分で登りやすいところを探りながらの登山となりました。
そんな場所にもミヤマキリシマは咲いていて、生命力を感じることができました。

現在の活動状況


噴気が立ちこめる平成新山頂上


お昼過ぎに頂上に着いてからは、松島教授から現在の活動状況の説明がありました。
まず、溶岩の尖頭部分から出ている噴気の温度を計測します。結果は約91度。ここ数年は90度前後で落ち着いていますが、調査を始めた頃の温度は約700度あったそうで、ガーっと音を立てながら噴出し、目が痛くなる程の火山ガスの成分だったそう。今はほとんど水蒸気とのことでした。
現在、火山活動は落ち着いている一方、崩落の可能性があるとのことでした。崩落の予測は難しく、地震や大雨が引き金になるケースも考えられるが、風化などを原因に脆くなった溶岩ドームはいつ崩れてもおかしくない状態であることを頭に入れておく必要があります。
今後、平成新山の様子に変化があればこのAR日記を通じてお知らせしたいと思います!