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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

阿蘇の春の生き物たち

2023年05月29日
阿蘇くじゅう国立公園 渡邉 卓実
記事をご愛読いただいている皆様、はじめまして。
阿蘇くじゅう国立公園管理事務所の渡邉です。
 
今年の春から阿蘇の方へ参りました。春になると人もですが、暖かい陽気に誘われて、色々な生き物が顔をのぞかせます。今回は、春頃に阿蘇地域で見られる生き物たちをご紹介します。
ベニシジミLycaena phlaeas(写真1)
成虫の翅は濃いオレンジ色で、黒褐色の縁取りがとても良いコントラストになっています。幼虫はスイバやギシギシを食草にし、タデ科植物の葉や葉脈に似た保護色をしているため、見つけにくいです。ムシトリナデシコが生える中で、じっと止まってくれるいい子でした。
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ベニシジミ
オオルリシジミShijimiaeoides divinus(写真2)
5月頃を中心に見られる大型のシジミチョウ。幼虫の食草はマメ科のクララという植物を食べ、成虫は同じくクララに卵を産みます(写真3)。熊本県指定希少野生動植物に指定されており、採集などの行為は禁止されています。ベニシジミと違い、乱舞するように飛ぶため、カメラマン泣かせの機敏な子でした。
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オオルリシジミ
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オオルリシジミの卵
イタドリFallopia japonica var. japonica(写真4)
タデ科の多年生植物で農道の道端や土手など色々なところに群生しています。草丈が約1.5mほど大きくなり、春先の若芽は食べることができます。10円玉くらいの太さがある茎をかじったらとても酸っぱく、食べ過ぎるとお腹をこわす人もいるそうです。また、私有地のものもありますので、みなさん気を付けてください。
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イタドリ
身近なところに意外な発見や魅力を隠しているのが「自然」の良いところだと思います。皆様のご自宅付近は、春になるとどのような生き物たちが顔をのぞかせますか?