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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

ツマアカ女王蜂駆除大作戦始まります!

2023年03月24日
対馬 引地稜
こんにちは! 対馬厳原事務室の引地です。

今回はこれから始まる「ツマアカ女王蜂市民駆除大作戦」についてご紹介します。"ツマアカ"とは、ツマアカスズメバチのことで、中国・台湾・東南アジア・南アジア原産で海外では韓国やヨーロッパで定着が確認されています。日本では2012年に対馬で初めて働き蜂が確認され、国内で唯一対馬でのみ定着しており特定外来生物に指定されています。
ツマアカスズメバチの特徴として、他の在来スズメバチより全体的に黒っぽく、脚の先が黄色なのが特徴です。また樹木の高い位置に巣を作ることが多く駆除が大変であり、在来のスズメバチより繁殖力が高いため、巣が大きくそこから数百匹の新女王蜂が生まれるため一度定着してしまうと駆除が難しいのが特徴です。

▲ツマアカスズメバチ
 
対馬で懸念される影響としては在来種の競合などもありますが、ツマアカスズメバチは対馬で養蜂に用いられているニホンミツバチを捕食します。ニホンミツバチによって作られる蜂蜜は非常に貴重で、その糖度の高さから卸値が一升あたり2万円を超えることもあるそうです。そのため、ツマアカスズメバチの防除は在来種を守るだけでなく、対馬の伝統を守るための取組みでもあります。


▲対馬の養蜂で用いられる蜂洞(はちどう)。対馬では至る所に設置されている。

この取組みの一環として行われているのが、今回ご紹介する「ツマアカ女王バチ市民駆除大作戦」です。この作戦は、冬眠明けに活動を開始する女王蜂を捕獲の対象として、市民の皆様にこれを捕獲するためのトラップを仕掛けていただくというものです。

▲穴を空けたペットボトルにカルピス・水・ドライイーストを混ぜた物を木に吊るします。

穴の部分が返しになっており一度入ったツマアカスズメバチは外に出られず溺死する仕組みになっています。
前回も多くの方にご協力いただき、対馬全島で推定1,400匹のツマアカ女王蜂を捕獲することが出来ました。年々捕獲数が減少しておりこれも8年間継続してご協力いただいている対馬の皆さんおかげです!生息数が減少している今がチャンスと捉え、対馬の豊かな自然とニホンミツバチを守るため、本種の防除により一層取り組んでいきたいと思います。