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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

交通事故に遭ったカンムリワシ放鳥【石垣地域】

2021年06月15日
石垣 アクティブレンジャー 仲本

今年3月下旬に交通事故に遭ったカンムリワシ(若鳥)を救護しました。野生復帰はかなり難しいと覚悟していましたが、順調に回復し、骨折した翼も完治。リハビリゲージ内でも翼を広げて旋回できるまで元気になったことから、5月26日(水)に救護場所近くのきび畑にて放鳥することができましたので、お伝えしたいと思います。

▲事故現場(緩やかな下り坂)

発見された際は、道路上でうずくまっていたそうですが、職員が救護現場に駆けつけると道路上にはおらず、道路脇の林の中で、うつ伏せの状態で発見されました。

▲救護時の様子

救護後、すぐに動物病院で診察と治療が行われ、右の翼の橈骨と尺骨(人で言うと手首と肘の間の骨)の開放骨折(骨折した際に皮膚が破れて、骨が外に露出する状態)が見つかり、皮膚の表面の損傷もかなり酷く、翼がねじれてしまい、雑菌による感染症を引き起こす可能性も高く、重傷な状態でした。

▲救護したばかりの放鳥個体

今回のようなケースで野生復帰できるのは、かなり稀なケースです。これも速やかな通報により迅速な救護対応ができこと、動物病院の獣医師さんの懸命な治療、リハビリを行って頂いている方等の連携がうまくできたおかげです。今回、放鳥を行うことができ、本当にうれしい限りです。

▲放鳥場所(写真中央、野底岳)

▲元気に羽ばたき、林内に向かう「のそこ」

放鳥した個体には、左脚に緑のNと刻印された足環を装着し、野底(のそこ)地域で救護されたことから、愛称は「のそこ」と名付けられました。かなり臆病な性格で、なかなか飛び立とうとしなかったのですが、しばらくして元気に飛び立っていきました。

令和3年(2021年)のカンムリワシの救護件数は、石垣島で2件、西表島で3件、合計5件です。その内5件すべてが交通事故で救護されています。もし、交通事故にあったり、衰弱して弱っているカンムリワシを発見しましたら、下記の連絡先までご連絡をお願いいたします。

<カンムリワシの救護連絡先>

○石垣島

 環境省石垣自然保護官事務所 0980-82-4768

 石垣市教育委員会文化財課  0980-83-7269

○西表島

 西表野生生物保護センター  0980-85-5581

<足環の付いた放鳥個体の目撃情報の連絡先>

○カンムリワシリサーチ

 ウェブサイト : "http://kanmuriwasi.web.fc2.com/"

 E-mailアドレス: yonnayonna470(a)gmail.com 

          ※(a)を@に置き換えてお送りください。