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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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2019年12月

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2019年12月16日国指定草垣島鳥獣保護区の巡視を実施しました 【出水地域】

出水 本多孝成

 出水自然保護官事務所の本多です。

 皆さんは草垣群島という島をご存知でしょうか。

 草垣群島は、鹿児島県枕崎港から南西へ約90km離れた場所に位置する無人島(群島)です。

上ノ島、中ノ島、下ノ島等の小さな島々で構成されており、カツオドリやオオミズナギドリの重要な

繁殖地として国指定の鳥獣保護区「国指定草垣島鳥獣保護区」(特別保護地区)が上ノ島に

設けられています。

 ※鳥獣保護区指定年月日:昭和48年11月1日、周囲:2.3km、面積:21ha

▲草垣群島の位置図

https://maps.gsi.go.jp/#5/36.104611/140.084556/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1)をもとに作成。

 九州地方環境事務所野生生物課および出水自然保護官事務所では、11月12日(火)において

草垣島鳥獣保護区の現況調査を実施致しました。今回は、この様子についてお伝えいたします。

  • ■串木野港出発~上ノ島到着(A.M.6:00~10:30)

 草垣群島には旅客船や飛行機等の定期便が存在しないため、今回は串木野港から漁船を

チャーターし、上ノ島まで行きました。フィールドスコープやカメラ、調査用紙等の荷物を

船へ搬入した後、午前6時頃に串木野港を出港しました。

 出港してすぐは日の出の時間帯と重なったこともあり、朝焼けに映える桜島等の美しい景色を

楽しみつつ、一日の始まりに期待を膨らませていました。しかしそれも束の間、出港から30~60分が

経過してからは次第に波が荒くなり、船体が大きく揺れ始めました。そこから私はあっという間に

猛烈な船酔いに襲われ、思わずダウン...。

 以後、船の中でずっと横になることしかできませんでした。

■上ノ島到着~島内巡視(A.M.10:30~P.M.13:00)

 出港から約4時間半後、草垣群島(上ノ島)に到着しました。船酔いで朦朧とする意識の中、

這うようにして甲板へ出てみると、目の前にはゴツゴツした岩場がそびえ立ち、上空には

カツオドリが絶え間なく飛び交う幻想的な光景が広がっていました。

 

▲上ノ島の外観と上陸地点

 周囲は険しい岩場・崖に囲まれていますが、島の東側に緩やかな斜面と小さな入り江が

形成された場所があります。この入り江には島内の歩道と連結した突出部分(左下の写真)があり、

ここへ船首から飛び移るようにして上陸しました。

<島内の様子>

 上陸後、少し休憩をとってから巡視を始めました。今回の巡視の主な目的は、鳥獣保護区内に

設置された制札(標識)の確認と、野鳥を含めた野生生物の調査です。巡視中、島内の様子を写真に収めた

ので紹介します。

▲崩落した歩道

 上ノ島の頂上には海上保安部所管の灯台が設置されており、島内には灯台へ続く一本道が残って

います。しかし、この道はかなり老朽化が進んでいるようで、崩落した箇所がいくつかありました。

 

▲一本道の勾配・カーブと斜面の植物

 一本道は急な勾配かつカーブが連なっていたため、進むのに一苦労しました。

斜面はハチジョウススキ等の野草や、成人の高さ程の低木で覆われていました。

▲野鳥の古巣(カツオドリ?)

 歩道沿いには、枯草がお椀状に浅く窪んだポイントがいくつかありました。カツオドリの

古巣かもしれません。周囲には羽毛や野鳥の排せつ物が散らかっていました。

▲野鳥の死骸(オオミズナギドリ?)

 野鳥の死骸がいくつか横たわっていました。これはオオミズナギドリでしょうか。

この現場の上空ではカツオドリが元気いっぱいに飛び交っており、生き物の生と死の

コントラストが印象に残りました。

▲哺乳類の糞便(クマネズミ?)

 野鳥だけでなく、哺乳類のフィールドサインも見つかりました。

▲繁茂した下草によって見えなくなった歩道

 一本道の途中、下草が繁茂し歩道が見えない場所がありました。上ノ島には急な斜面や

崩れた歩道が多く、誤って道を踏み外す危険があるため、安全面を考慮しここで折り返しました。

<上ノ島で確認された野鳥(一部)>

 約2時間の野鳥調査を上ノ島で実施した結果、合計5目26種120羽の野鳥を記録しました。

その一部を紹介します。

 

 

▲カツオドリ

 島内や洋上のいたるところで見ることができました。上二枚の写真のように、古巣を休息の

ために利用する様子が確認できました。

▲ハシブトガラス

 ハシブトガラスは一般的には留鳥であり、渡りをしない野鳥として知られています。

この個体は一体どのようにして草垣群島までやってきたのでしょうか。

 

▲チョウゲンボウ(左)、ノスリ(右)

 上ノ島の野鳥調査では、わずかな範囲内に多くの猛禽類を見ることができました。

写真の二種に加え、ミサゴ、オオタカ(幼鳥)、ツミ、ハヤブサを確認しました。

▲ジョウビタキ(メス)

 お馴染みの冬鳥です。今回の調査では同じヒタキ類のコサメビタキ(夏鳥)も確認しました。

上ノ島は冬鳥、夏鳥の渡りの中継地になっているようです。

 今回、上ノ島の巡視を通じて、草垣島鳥獣保護区の現況や野鳥等の生息状況を知ることができ、

大変貴重な経験になりました。草垣群島は私たちの生活とは距離的にも社会的にもかけ離れた

存在ですが、そこには確かに野鳥を始めとする生き物たちにとって重要な自然環境が広がっていました。

手に届くあるいは目に見える範囲の自然環境だけが重要ではないと気付くきっかけになりました。

<参考URL>

・鳥獣保護区制度の概要(環境省HP)http://www.env.go.jp/nature/choju/area/area1.html

・鳥獣保護区の指定状況(環境省HP)http://www.env.go.jp/nature/choju/area/area2.html

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2019年12月09日鳥獣害に関する出前授業 【くじゅう地域】

阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう 神代拓馬

国立公園に隣接する飯田高原の九重町立飯田小学校では、子供たちが自然のことについて学ぶ機会が多くあり、年間を通して様々な活動をしています。

チームタデ原

↑長者原のタデ原について学び、発信することを目的に結成された団体。

お宝探検隊

↑飯田小学校の1~6年生が加入している団体、飯田高原の自然・歴史・文化について学ぶ。

先月、飯田小学校の生徒さんから鳥獣害の話をして欲しいと依頼があり、出前授業を行いました。

その生徒さんは、田んぼを荒らしているイノシシを見たらしく、何故そのような行動をするのか教えてほしいと大人顔負けの質問がありました。

阿蘇くじゅう国立公園の周りでも、希少植物がシカに食べられて個体数が減少したり、イノシシが田んぼや畑を荒らしたりして農業被害が出たりするなど鳥獣害が多くなっています。

授業では、初めにくじゅう地域に生息する野生動物の写真を見せて生態や、どのような被害が出ているかを話しました。

後半では、何故そのような行動をするのか勉強しながら、被害が出ないためにどういった対策が必要か話し合いました。

私からは、野生動物は悪さをしようとして来てるのではなく、生きるために食べるものを求めて来てるに過ぎないとも説明しました。

生徒さんたちからは、今まで畑や田んぼを荒らす野生動物に対しての悪いイメージがあったが、それがなくなったという意見が出ました。