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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

遊水池の清掃「鳥を守る」

2015年11月10日
沖縄南部 アクティブレンジャー 知念

 沖縄県豊見城市にある遊水池「三角池」には、リュウキュウヨシゴイや

カワセミ等の留鳥に加え、秋から春にかけて毎年多くの渡り鳥がやってき

ます。10月下旬、清掃の下見に行ったこの日もたくさんの鳥たちで賑わっ

ていました。

 

【観察できた鳥】

ハシビロガモ、コガモ、キジバト、アオサギ、ダイサギ、コサギ、ヒクイナ

(亜種リュウキュウヒクイナ)、バン、オオバン、コチドリ、セイタカシギ、

タシギ、アカアシシギ、アオアシシギ、キアシシギ、イソシギ、ヒバリシギ、

ハマシギ、エリマキシギ、サシバ、カワセミ、シロガシラ、セッカ 等

水辺のバレリーナと呼ばれる絶滅危惧種のセイタカシギの群れ(2015年10月撮影)

▲セイタカシギ  チドリ目 セイタカシギ科 絶滅危惧種Ⅱ類 

 

 その鳥たちを観ようと本土からも多くのバードウォッチャーが訪れる場所

となっています。絶滅危惧種のクロツラヘラサギが毎年越冬し、近い場所か

ら観察できることでも人気があります。

 

 ところが、ここでもゴミの問題は深刻で、ペットボトルをはじめ、空き缶、

蛍光灯、農業用のカゴやビニール等が潮の満ち引きで流れ着き、溜まり、泥

に埋もれているものもあります。過去には、くちばしに釣り糸が絡まったク

ロツラヘラサギが確認されたこともあり、年に一度は市の職員が清掃を行っ

ています。環境省もクロツラヘラサギや多くの水辺の鳥たちをゴミによるケ

ガや事故から守る活動として、昨年から一緒に清掃活動をさせて頂いていま

す。

潮の満ち引きで流れ着き、溜まったゴミ(2015年10月撮影)

▲流れ着いて溜まったゴミ

ボディボードを使って泥干潟のゴミを拾う作業の様子(2015年10月撮影)

▲作業の様子

 

 泥干潟では陸地のように歩いて移動することが難しいので、ボディボード

を使い体重を分散させて這いながら進みます。拾ったゴミをボディボードに

載せて運ぶのですが、ボードはゴミで重く、脚は疲れ、油断すると深みには

まり、そこから抜け出すのは一苦労です。

泥干潟の深みに脚を取られ、抜け出すため泥と戦っている様子(2015年10月撮影)

▲泥と戦うレンジャー

 

 作業をがんばっていると手や作業着はもちろん泥だらけ。泥と呼んでいる

この「泥」はヘドロなので、正直、クサいです。顔にも(時には目や口の中

にも)泥が飛び散り、苦笑いしながらも黙って仕事人を貫きます。深く考え

ることはせず、純粋な気持ちでゴミを拾うことに集中します。

集められたゴミの様子(2015年10月撮影)

▲集められたゴミ

作業後のきれいになった様子()

▲作業後の様子

 

 2時間の作業の後は、写真のとおりきれいになりました。作業をするため

鳥たちには少し迷惑を掛けましたが、すっかりゴミがなくなりきれいになっ

た状態を見ると、とても嬉しくなりました。

 

 生きものは私たちの暮らしのそばにいます。人間の出したゴミで事故に遭

ったり、ケガをし、それが原因で死んでしまう生きものが増えているそうで

す。ゴミ捨てのマナーを守ることはもちろんですが、ゴミを出さないことを

真剣に考えねばならないと改めて考えさせられました。

作業後の池を眺めると、徐々に鳥が戻りはじめていました。(2015年10月撮影)

作業後の池を眺めると、遠くには鳥たちが徐々に戻ってきていました。

長い時間お邪魔しました。