九州地域のアイコン

九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

標高1700mのモグラ 【くじゅう地域】

2013年02月06日
くじゅう
2月5日(水)、三俣山方面へ登山道の巡視に行ってきました。
1月末から暖かい日が続き、雨が多かったこともあり、くじゅう連山に積もった雪はほとんど解けてしまいました。
中岳から天狗ヶ城、久住山までこげ茶色の山肌がはっきりと確認でき、3月中旬のような光景です(写真上)。雪のある写真と比べると山の様子が一目瞭然ですね(写真下)。



そんなパトロール中、三俣山の標高1700m付近でモグラ塚を発見!

モグラも登山者と同じように地下から山頂を目指しているかのようですが、餌と快適なすみかのある理想郷を求めてなわばりを拡大しているのでしょう。

さて、くじゅう地域に生息するモグラはどんなものがいるのでしょうか?
日本には7種のモグラ類がいるとされていますが、分布と生態を調べてみると、標高の高い場所にいるとされる「ヒメヒミズ」というものと西日本に生息する「コウベモグラ」の可能性が高いようです。
生体を確認できなかったのでどちらかははっきりしませんが、冬眠しないモグラは、厳寒のくじゅうでも地中で元気に活動しているようです。

一方、里山ではモグラは畑や田んぼを荒らす動物として知られています。
地下トンネルによって、作物の根が張れなくなって生育が悪くなったり、田んぼの畔を壊したりなどの被害を出します。
そんなモグラを追い出し、五穀豊穣を祈る伝統神事「もぐらうち」をくじゅう地域の飯田高原では「飯田高原お宝探検隊」が行っています。
お宝探検隊とは、地元の飯田小学校の3~5年生が所属し、飯田高原の自然や文化、伝統行事を体験し学ぶ活動です。



戦前を最後に廃れていましたが、3年前に行事を復活。本来は小正月に行いますが、今年は1月12日(土)に行われました。
わらで手作りしたたたき棒で地面を叩きながら、「も~ぐらうちは14日、あずき飯は15日♪」と歌って、もぐらを追い払います。

もぐらうちをしながら地元住民の方々のお宅を回るのですが、
訪問宅の方々も大変喜んでいらっしゃいました。
人間とモグラ、そして伝統文化。
人と自然は関わりあいながら文化を築いてきたんだなと感じました。