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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

アニマルトラッキング 【雲仙地域】

2013年02月04日
雲仙
冬の野山は、生き物の気配が少なく、寂しいものです。そんな冬の野山散策を10倍楽しくさせてくれるのが、今回紹介する“アニマルトラッキング(動物追跡)”。
アニマルトラッキングとは、糞、足跡、食痕など、動物の痕跡(これをフィールドサインといいます)を頼りに、動物の生息状況や生態を推定する試みです。ですから、何も冬にしかできないことではないのですが、積雪の直後は新鮮な足跡や糞がとても目立ち、見つけやすいのです。

1月28日(月)の朝、前日の夕方から断続的に降った雪がうっすらと積もっていました。これはチャンス!!
すぐに雲仙温泉街からほど近い「白雲の池」へと向かいます。
駐車場に積もった雪は、轍や靴跡がなく綺麗な状態。どうやら一番乗りのようです。

池の水面は、中央部を除いた大部分が凍り付いていました。
その池を一周している遊歩道を歩くと、早速見つかりました。これは…タヌキかな?


上:凍り付いた白雲の池と白く染まった雲仙の山々
下:タヌキの足跡

タヌキの足跡は、一つ一つを見るとイヌのものによく似ていますが、やや丸みがあり、何よりも全体として乱雑についているのが特徴です。

さらに歩くと、これまた特徴的な足跡が2種類平行して伸びているではないですか!
ノウサギと…ネズミの一種かな?


ノウサギ(上)とネズミの一種(下)の足跡

ノウサギは、写真のように縦に2つ、横に2つ並んだ特徴的な足跡をつけます。写真では右から左に進んでいて、まず2本の前足を縦に並べるような形で着地し、続いてその前足を挟み込むような恰好で、前足よりも前方に後足を横に並べて着地し、そのまま跳ねる…この動作を繰り返すことで、特徴的な足跡がつくのです。
下の方に並んでいるネズミの一種の足跡も、形はノウサギのものによく似ていますが、大きさが全然違いますね。

さらに進むと、キツネの足跡も見つかりました。


キツネ(左)とネズミの一種(右)の足跡

キツネの足跡は、一つ一つの形はイヌやタヌキのものとよく似ていますが、ややほっそりしており、全体として見たときに、ほぼ一直線に並んだきれいな形となっているのが特徴です。

野生の動物は、なかなかその姿を直接確認することは難しいのですが、生息情報であればアニマルトラッキングにより比較的容易に得ることができます。ただし、あくまでフィールドサインからの“推定”なので、その地域でその種の生息記録があるかなど、複数の視点から検証する必要がありますね。また、今回は足跡を取り上げましたが、糞や巣穴など、他のフィールドサインも見ていくと更に面白く、生息情報の信頼性も増します。
皆さんも野山を歩く際には、動物たちの残した“サイン”に目を向けてみてはいかがでしょうか?